浜田真理子/Town Girl Blue

浜田真理子/Town Girl Blue
2017年 日本
『隣に住んでるピアノの先生にも教えないと』

 ジャズ・ヴォーカル、歌謡曲の流れを汲んだ歌手、SSWである浜田真理子の新作。今回は久保田麻琴プロデュースということで、ますます期待が高まります。
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 英語詞、日本語詞の曲が交互に置かれた構成で、インスト1曲、カバー4曲を収録しています。

 前作『But Beautiful』にもあったバンド演奏は本作でもあり。それでもピアノ弾き語りを中心とした構成に戻しています。ピアノの残響の美しさ、清々しい歌声を芯に据えた音作りがプロデュースの方針でしょう。2曲目「You don't know me」でのたそがれたスライド・ギターは久保田麻琴らしいですし、クレジットを見るとアップライト・ベースやアコーディオンなども入っているのですが、さりげない加減のアレンジがされています。自分の音で仕上げるのではなく「自分はこの人のここが好きなのだ!」という所に誘導する手法が見事にハマっている。いいアルバムです。

カバー曲のうち「なにもない Love Song」だけは全く知らずに「なんていい曲を書くのだろう!凄い!」と思ってしまいました。実際は久保田麻琴プロデュースのギタリスト、濱口祐自の作品とのこと。こちらもチェックせねば。

Town Girl Blue (全曲試聴)
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Pokey LaFarge/Manic Revelations

Pokey LaFarge/Manic Revelations
2017年 アメリカ
『ウキウキ気分にさせてくれる』
 
  自らの音楽ジャンルについて、カントリー、ブルースとアーリー・ジャズを21世紀流で、と記しているポーキー・ラファージ。50年代のキャバレー音楽やパブロックのような市井の人々に囲まれて育まれたような、親しみやすさと軽快さがあります。
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 ポーキー・ラファージは1983年生まれの33歳、イリノイ州ブルーミントン出身。子供時代に祖父の影響から、バンジョーとギターを始めます。しかし彼の夢はアメリカ文学の作家になることで、スタインベックなどの名作を読みながらアメリカの歴史を学ぶ過程で、ブルース、カントリーに触れることになったそうです。その後、近所のピザ屋で演奏しているブルースマンからの影響で、いよいよアメリカのルーツ音楽への興味に目覚め、バンドを組むことになりました。2006年にバンドを率いてのソロ・キャリアをスタート。現在まで7枚のアルバムを発表。既にアメリカのみならず、世界の音楽ファンからtoe-tapping music(足でリズムを取りたくなっちゃう音楽)と呼ばれ、親しまれているとのこと。本作は8枚目となります。
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 今回のアルバムではトランペット、ユーフォニアム、チューバ、ピアノ、サックス、ベース、クラリネット、フルート、グロッケンシュピール、エレキギター、ドラム、パーカッション、洗濯板、アップライトベース、ハーモニカなどを使用する、7人編成のバンドを組んで制作しています。穏やかながら心地よい低音が素晴らしいヴォーカルは、古き良きアメリカを想起させるもの。冒頭に記したアメリカン・ルーツ・ミュージックの他に、所々でウエスタンも混じっています。既に8枚のアルバムを出しているだけに、この音楽が芯まで馴染んでいるのが良く分かります。まだ来日したことが無いみたいですが・・・・・・来ないかな。

Riot In The Streets
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Jessica Gabrielle/Crazy

Jessica Gabrielle/Crazy
2017年 フランス
『タイトル曲は今年を代表する名曲』

 エイミー・ワイングラスとジョス・ストーンを足して割ったような、と現地のメディアから形容される新人ソウルSSW。スマートで涼やかなソウル・ミュージックはヨーロッパならではのものです。ハキハキとしたパワフルな歌唱は表情豊か。影のあるメロディーが印象的な楽曲群にはローラ・ニーロやキャロル・キング、リンダ・ルイスなど、ポップスからの影響も感じさせます。
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 フランス系アメリカ人、ジェシカ・ガブリエルはコロラド州で生まれ、現在はフランスのパリに移住しています。活動開始時期については不明ながら、2012年にはデンバーの歌唱コンテストの最終候補まで残った経歴があり。アルバム・デビュー前から幾多の歌唱コンクールに応募しているものの、残念ながらファイナリスト止まりだったようです。本作はコツコツと書き溜めていた自分の楽曲をまとめたファースト・アルバム。
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 既に書きましたが、ソウルというよりはソウルフルなポップスという印象。ピアノ弾き語りに、適時ストリングス、バンドを足した編成で録音されています。後ほど紹介しますが、表題曲「Crazy」の出来が圧倒的。他の曲も悪くはないのですが霞んでしまいます。ただデビュー作にして、素晴らしい曲を作ることが出来たのは僥倖。これからの活躍が期待される新人SSWです。

CRAZY

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ぶどう÷グレープ/おやつの隠し場所

ぶどう÷グレープ/おやつの隠し場所
2016年 日本
『集大成だから安定のいつも通り』

 日本のニューウェイヴ、テクノ・ポップ・バンド、ぶどう÷グレープの最新作。前作のレビューはこちら

 インフォによるとデビュー10周年とのこと。自分はサードからファンになりましたが、リリース間隔が短いのでまだ10年しか経っていなかったのか、という印象です。先行して発表されていたシングル曲10曲をリマスタリングして収録しているとのこと。
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 インフォでは集大成のアルバムと呼ばれており、シングル曲を集めた甲斐のあるバラエティーに富んだ内容です。とは言え、ピコピコ・シンセと個性的なくみんこのヴォーカルの強力な記名性があるので、ぶれは全くありません。大きな驚きこそ無いものの、いつも通り、アヴァンギャルドでポップなぶどう÷グレープが楽しめます。集大成が終わった次のアルバムも楽しみです。

 イギリスでのライブ映像がyoutubeで公開されていたので、チェックしたのですが自然に受け入れられていてすごかったです。
すってんころりん、すってんころりん、の熱唱にほのぼのとしました。

運命のバス
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The Buttertones/Gravedigging

The Buttertones/Gravedigging
2017年 アメリカ
『無邪気なサーフ・ロック懐古』

 サーフ・ロックをベースにビート、ガレージ、サイケデリックの要素を詰め込んだ音楽は、猥雑でサスペンスな魅力に溢れており、まるでスパイ映画か西部劇のサウンド・トラックのようです。
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 ロサンゼルスを拠点として、2012年に結成された5人組バンド、ジ・バタートーンズ。サーフ・ロック、ガレージ・パンクなど60年代の音楽からの影響を吸収して自身のスタイルを身に付けていったとのこと。本作は3枚目のアルバムとなります。
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 メンバーにはホーン奏者と鍵盤奏者が加わっており、分厚くドラマティックなサーフ・ロック・サウンドが楽しめます。サーフ・ロックのリバイバルではありますが、先達のサーフ・ロックの特徴をより増幅させているのが特徴。いわゆるペケペケ・ギターもより高速に、ヴォーカルのけれんみもたっぷり、など全てが大仰なアレンジで聴いていて微笑ましいです。その為、アルバムを通して聴いていると8曲目辺りでもたれてしまう側面もあり。

 それでも、サーフ・ロックへの拘りが伝わってくる筋の通ったアルバム。聴き応えは十分です。

Sadie's A Sadist
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