Danielle Cawdell/Silence Set Me Free

Danielle Cawdell/Silence Set Me Free
2018年 イギリス
『厳しい冬の屋内で暖を取っているような聴き心地』
 
一粒一粒、しずくが滴り落ちるようなピアノと、わななくエレキギターの倍音。寒々しく幻想的な音楽は、ジョニ・ミッチェルからの影響をイギリスの地で実践したスタイル。70年代のブリティッシュ・フォークをも彷彿とさせます。
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 ダニエル・コーデルはピアニストにして、シンガーソングライター。イギリスのバーミンガムを拠点として活動しています。ウェスト・ミッドランドに住むシンガーソングライター、ダン・ホワイトハウスが主催するソングライター・サークルのワークショップに参加。これをきっかけとしてダンの後援を取り付け、更にもう一人、バルセロナのプロデューサー、ジェイソン・ターバーの助力を得ることとなり、二人のプロデュースによりデビュー・アルバムが完成しました。
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 ピアノの弾き語りをベースとした楽曲群で、いくつかの楽曲でエレキギターやストリングスが加えられているものの、総じてシンプルに仕上がっています。前述した通り、ジョニ・ミッチェルからの影響が顕著で、静かな中に厳しさを感じさせる楽曲群が印象的。歌声は高音が澄み切っていて伸びやか。厳しい冬の屋内で暖を取っているような聴き心地。

Danielle Cawdell - Silence set me free - Treehouse Sessions Live Stream - #TreeTV
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Grace VanderWaal/ Just the Beginning

Grace VanderWaal/ Just the Beginning
2017年 アメリカ
『大人大活躍』

 アメリカンズ・ゴット・タレント2016年度の優勝者、グレイス・ヴァンダーウォールのデビュー作。アメリカンズ・ゴット・タレント、というのはアメリカのオーディション番組のことらしく、その名前から受けるイメージ通りの内容のようです。優勝した頃には12歳だったそうで、つまり本作をレコーディングしていた頃には13歳ということになります。
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 最初に聴いた時にはそのような情報は知りませんでした。オォォォォォ、というような詠唱(ヴォーカリーズ)を駆使したパワフルで清々しい歌唱、ピアノを土台にした大らかな楽曲群が魅力です。デジタル世代ですから、プログラミングやストリングスを被せているのですが、手拍子や自身の歌声、ピアノの音色といった生音を中心に組み立てていて素朴さを十分残しているのが素晴らしい。さすがにこの辺りの編曲は大人が関わっていると思います。一方でスケールが大きくドラマティックな展開になる曲が多く、13歳の新星らしからぬ「いかにもアメリカっぽい商業音楽臭」が鼻についてしまうところもあり。大人のプロデュースは功罪半ばといった感じです。

 13歳の新星sswのデビューと言われると、大人が介入しまくっているのでもやもやするところ。
しかしながら、全体的には元気なフェイストみたいな瑞々しい魅力があり、楽しめました。

Grace VanderWaal - So Much More Than This
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折坂悠太/ざわめき

折坂悠太/ざわめき
2018年 日本
『開放的な清々しさが感じられるのが特徴』

 祭囃子や民謡、昔の歌謡曲のエッセンスなどと、ジャズ、レゲエ、シャンソンの要素を混ぜ合わせた、土臭さたっぷりの音楽。そんな音楽をやる折坂悠太の5曲入り新作が出ました。
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 今回は弾き語りではなく、バンド編成での録音。1曲目「芍薬」のみ、ドラムが打ち鳴らされるお祭りソングで、他は穏やかな曲が並んでいます。ピアノ、管楽器を交えた室内楽という風情。

 歌詞の日本語の美しさは健在。相変わらず古風な表現を使いながらも、以前よりも分かりやすくなっている気がします。山あり谷ありで、うねるような節回しも相変わらずで、合奏となっても歌を軸に据えています。発声に気持ちが乗っていて何を歌っているのか分からないところも魅力のひとつ。

 弾き語りの内省的で穏やかな魅力とは異なる、開放的な清々しさが感じられるのが特徴です。

折坂悠太 - 芍薬 (Official Music Video)
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ENGLAND/ The Imperial Hotel

ENGLAND/ The Imperial Hotel
2006年 イギリス
『ジェネシス愛がストレートな良曲』

 ジェネシス・フォロワーのグループの中でも、別格の人気を誇るグループ、イングランド。泣きのギター、メロトロンの洪水、テクニカルで緻密な曲構成、全て素晴らしい。そんなイングランドが2006年に突如、来日公演を敢行。その際に会場限定として販売されたのが、今回ご紹介するEP『The Imperial Hotel』。これが1975年に録音された未発表曲という。決して新曲などではない、この潔い態度。ファンとしてはうれしい限り。尚、僕は来日公演があったことは知っていたのですが、なんとなく心配な要素をビシバシと感じたため、スルーしました。その為、このCDは中古で購入しております。(プレミアついてお高いのですが、それなりに流通している模様)
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ファンの購買意欲を高めるジャケ。

 内容は24分のタイトル曲1曲を収録しています。1977年にリリースされたファースト・アルバムよりも前の1975年録音。ピーター・ガブリエル度の高い裏声の交えたオペラチックなヴォーカル・パフォーマンス、ブォーンと唸るメロトロン、ぐるぐる回るコーラスなどイメージ通りの大作が楽しめます。演奏面のテクニックも抜群。アルバムに収録されている楽曲群に比べると、ジェネシス愛がストレート過ぎてコピーかな、みたいに感じるところはあるが、それはそれで良し。

ENGLAND - The Imperial Hotel
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Tricklebolt/ Tricklebolt

Tricklebolt/ Tricklebolt
2018年 オランダ
『僕も、おしくらまんじゅうの中に入りたいものだ』

 いわゆる、ヴィンテージ・ハード・ロックと呼ばれる70年代ハード・ロックを追求するグループ、Trickleboltをご紹介します。ヴィンテージ・ハード・ロックのムーヴメントについては、初期には大喜びで反応していたものの、徐々にどれもこれも金太郎飴の如くワンパターンだったため、飽きてしまっていました。それでもこうやって時々紹介するのは、「これはちょっと違うぞ」と思える音に出会えた場合なのですが、根本として好きだからなのでしょう。
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 さて内容について。本作はデビュー・アルバム。Trickleboltは5人編成で、オルガン奏者がおります。ディープ・パープルとブラック・サバスを混ぜたような音楽性を持っています。パープル7:サバス2:ツェッペリン1くらいでしょうか。実はヴィンテージ・ハード・ロックでオルガンと来れば、だいたいブラック・サバスっぽいことをやりたがるのが21世紀の若者事情。ですので、ジョン・ロード風にギュインギュインとドライヴ感のあるソロ・フレーズを聴いて、胸が熱くなりました。ギターはリッチーのようにクラシックの素養が無く、加えてヴォーカルも地味目ですが、バンド・アンサンブルはキレが良く、グルーヴィ。サバスっぽいオカルトチックなギターリフもあり。
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High Trees

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