Ntjam Rosie/Breaking Cycles

Ntjam Rosie/Breaking Cycles
2017年 オランダ
『都会派ソウルの奥の方に潜む高揚』

 これでネジャム・ロズィエと読むのですね。カメルーン生まれ、オランダのマーストリヒトで育った女性SSW。2008年にデビューして以来、コンスタントにアルバムをリリースしており、本作で5枚目。尚、オーガニックなジャジー・ソウルとして、日本でも何枚かのアルバムがリリースされています。
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 柔和で囁くような女性コーラスや、浮遊感あるキーボードが紡ぐメロディーは、呼吸の様に穏やかに満ち引きを繰り返しており、なるほどオーガニックと例えられるのも納得。一部の楽曲では部族音楽のような掛け合いもあり。リンダ・ルイスのような爽快さを持つ歌声も魅力的です。リズムは粘っこくグルーヴィ、ブラスも入っていてジャジー。近年の流行であるエレクトロ・ソウルの流れを汲みつつも、野性味を個性として加えているのがポイントです。デジタルの制御が加わっているので熱量はそれほど伝わってきませんが、おおらかさは十分。日本盤のリリースが止まってしまったことでチェックが漏れている方にはおすすめしたい出来。楽しめました。

Take a good look at me
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Vulfpeck/Mr Finish Line

Vulfpeck/Mr Finish Line
2017年 アメリカ
『楽しさ更にアップ』

 卓越したテクニックに裏打ちされたグルーヴ感と、サービス精神溢れるポップなメロディーを併せ持つ、一級のファンク・グループ、ヴルフペック。当ブログでは前作、前々作でヴァルフペックと表記しておりましたが、どうやら今作では日本語ページでヴルフペックと紹介されている模様。サクッと日和りました。ヴァルフペックでもヴルフペックでも、どっちでもいいのですが、毎回メディアに取り上げられている割には、ガツンと人気が上がっているようにも感じられないのがもどかしい。
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 今回のアルバムはサード・アルバム。ファーストセカンドのレビューもしているので宜しければ読んでください。ここまで年1枚のハイペースなリリース・ペースを保っています。

 今回のアルバムでは全曲でフューチャリング表記が付いているのが特徴。様々なミュージシャンとセッションすることで、バラエティの豊かさを演出しています。ファンクとミニマル・サウンドの融合ということで、ミニマル・ファンクを標榜していた彼らですが、かなりファンク度が後退している印象。緻密なアレンジと多幸感溢れるポップネスに磨きをかけており、ポップスのアルバムとして大変楽しく聴けるアルバムとなっています。多彩なゲストについては、あまり知らないミュージシャンが多くコメントが出来ないのが残念であります。そんな中去年レビューしたテオ・カッツマンの名前にはほっこりしました。その他、デヴィッド・T・ウォーカーも参加しています。シンセサイザーのキラキラ度は最高潮。そろそろブレイクするぞ、とここからのアルバムでずっと言い続ける!

Mr. Finish Line (feat. Christine Hucal & Theo Katzman)

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長野友美/時のたてがみをつかんで

長野友美/時のたてがみをつかんで
2017年 日本
『部屋で落ち着いている時や旅の小休止の時に聴きたい』

 長崎出身で、京都を拠点に活動しているシンガーソングライターによる三枚目のアルバムです。彼女の音楽は、今回初めて聴きます。
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 プロフィールには情報が少なく、その中でアイルランド民謡やブラジル音楽に興味があることが書かれていました。ギターで作曲をしています。録音は長野友美のギター弾き語りを基本として、そこへ伴奏として楽器が加わる形で行われています。クレジットは
以下の通り。
<参加ミュージシャン>
CONTRABASS:HIROSHI FUNATO 船戸博史
CLARINET:WAKA OKABAYASHI 岡林和歌
DRUMS:TAKUJI ITOU 伊藤拓史
ELECTRIC GUITARS:HIDEAKI KURIMOTO 栗本英明
FLUTE:NAOE MORIBE 森部直枝
STEELPAN,PIANO:MEME めめ
PRODUCED BY HIROSHI FUNATO 船戸博史
上記の通り、船戸博史が参加しています。全11曲のうち、9曲を自作しており、残り2曲は提供曲です。

 風景描写が丁寧な歌詞と、冷たく清々しい、それでいて軽やかな歌唱。サビをはっきりさせずに放り投げたような(鼻歌のような)曲展開。これらの要素を持つ彼女の音楽は、ジョニ・ミッチェルからの影響を強く感じさせます。アイルランド民謡のような寒々しさや、ブラジル音楽のようなゆったりとしたリズムを反映させた曲もあり、バラエティーは豊か。楽器の足し方で各楽曲の個性を出している、プロデュース振りも見事です。

 地味なのですが、何故かもう一度聴きたくなるタイプの音楽でした。
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Sarah Lesch/Da Draussen

Sarah Lesch/Da Draussen
2017年 ドイツ
『巻き舌たっぷり、実にドイツ人らしい歌いぶり』

 ハード・ロックの世界では一大勢力であるドイツ勢。しかしドイツのポップス、それも女性歌手となると、今日ではほとんど話題となっていない気がする。やっぱりドイツ語がネックなのだろうか。なのだろうなぁ。あの巻き舌での「イッヒ!」の雄々しさたるや。胸キュンは出来かねるイメージがある。どうやら、僕もそう思っていたようだ。今日、紹介するドイツの女性歌手、サラ・レッシュ。彼女の場合はどうだろう。巻き舌たっぷり、実にドイツ人らしい歌いぶり。ドイツ人だからこれでいいのだ。
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 1986年アルデンブルグにて生まれ、現在はライプチヒにて音楽活動をしているシンガーソングライター、サラ・レッシュ。息子の為に新約聖書に曲を付けた歌を作ったことが切っ掛けとなり、学校の教師からミュージシャンへの転身を果たしたそうです。2012年にデビュー作、2015年にセカンドを発表しており、本作はサード・アルバムとなります。

 ピアノ弾き語りをベースにした楽曲にバンド・アレンジを施した録音。ドイツ民謡、ゴスペル、カントリー、ブルースなどが入り混じった音楽性はなかなかのアクの強さ。加えて彼女のヴォーカルは演劇のような豊かな表現力を発揮しており、テンションの高い内容となっています。もちろん終始、巻き舌で唸っているわけではなく、爽やかなファルセットや朗らかな歌声もたっぷり入っており、くるくる変わる表情が楽しい。引き込まれます。

Sarah Lesch - Da Draussen
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Nona Reeves/ MISSION

Nona Reeves/ MISSION
2017年 日本
『早い新作を遅く紹介』

 ワーナー復帰第一弾アルバムとのこと。1年半ほどのインターバルを経ただけで新作が届くことには驚きます。凄い。ジャケの色合い、イラストからも原点回帰な雰囲気が漂っている印象を受けました。
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 シンセやプログラミングを駆使した音の重ね方が相変わらず緻密です。聴くたびに新しい音に気が付いたり、快感を得るポイントが変わります。また、ゲストを迎えての新鮮さの演出はいつも通り。多様性の演出と共に、グループの刺激となっているのでしょう。

 リズム寄りだった前作『BLACKBERRY JAM』から引き継いでビートが強力。曽我部恵一参加曲である『未知なるファンク』を始め、グルーヴィーな曲が多いです。ヴォーカルのテンションは高く、まるで岡村靖幸のように聴こえる瞬間があり。ただし甘さやポップなメロディーが健在なので、楽曲は親しみやすいものばかり。演奏はビシバシ、キビキビとしていて気持ちいい。肉感的という印象です。抜群にキャッチーな音楽なはずですが、アクが強い。 

NONA REEVES 『Sweet Survivor』
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