砂場/ひとりきりでうたううた

砂場/ひとりきりでうたううた
2012年 日本
『自主盤を聴く 第1回』

 70年代や80年代に比べれば、
誰もがミュージシャンになれるようになった今日この頃。
一方でレコード会社が流通に載せることが出来るパイの数は限られています。
そんな時代だからこそ、
一般流通に乗らない自主制作盤にもいい作品が埋もれていたりするのです。

 自主盤は入手ルートが限られているのですが、
まず正攻法と言えるのがミュージシャンとの直取引。これでしょう。
メールからして気を使います。
あなたの音楽にこんな感じで出会って楽しんでいます、的なことから始まり
今後のご活躍云々・・・・・・そんなコミュニケーションも楽しかったりします。
しかし、聴きっぱなしにしていたな、と反省。
せっかく音楽ブログも始めたことですし、自主盤のレビューを始めたいと思います。
尚、本シリーズの記事は、対象を国内インディーズに限らせていただきます。
さすがに洋楽インディーズの自主盤は直取引出来るコミュニケーション能力がありません。

 第一回は砂場。(検索泣かせな名前です)
長野出身。福岡、東京と
メンバーが離れた状態で活動しているトリオ編成のバンド。
昭和フォーク、歌謡曲を彷彿とさせる人情味あるメロディーを
ノイジーなギターが特徴的な
叙情的なロック・サウンドで聴かせてくれます。
アンサンブルの質感はオルタナティブ・ロックの影響が強いです。

本作は2012年にリリースされた2ndミニアルバム。
バンドの状態が上記の通り、遠距離交際中につき不安定。
そのような状況下で、ミヤザキヤツキが作った
弾き語りナンバーを福岡周辺のサポート・ミュージシャン
の助力により完成させたアルバムです。
バンド・メンバーも、もちろん参加していますが、
全員揃っているのは2曲だけとなっています。

※と、昨日書いたのですが、先ほど宮崎さんよりメールを頂き、
「砂場の二曲以外のレコーディングメンバーは福岡でなくて、
名古屋の友人たちでした。」との情報をいただきました。
テキトーに書いてしまい申し訳ありません。
以上、訂正でした。


 購入時、宮崎さんとのメールのやり取りに於いて
「今回のアルバムは、完全なバンド体制では無いので
期待しているものと違うかもしれませんが楽しんでもらえれば・・・」
とのメッセージを頂きましたが、その通り1,2曲目以外は
アコースティック・ナンバーで構成されています。

 そのアコースティック楽曲ですが、
元々あったフォーク、歌謡曲の素養が前面に出ています。
爆音ギターがない分、哀愁味ある「きれいなしゃがれ声」が
よりくっきりと存在感を発揮。
素朴で穏やかな味わいです。華を添えている女性コーラスもポイント。

通信販売はこちらのメール・フォームからどうぞ。
通信販売取り扱いショップのリンクもあり。

「ひとりきりでうたううた」
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ワンダフルボーイズ/ビューティビューティビューティフルグッバイ

ワンダフルボーイズ/ビューティビューティビューティフルグッバイ
2012年 日本
『よりメロウでノスタルジックに生まれ変わったデビュー作』

 しゃかりきコロンブス。
奇妙礼太郎も取り上げた「君が誰かの彼女になりくさっても」を収録した
同タイトル・デビュー作をリリースしたものの、
そのままフェイドアウトしてしまったポップ・グループです。

 すっかり忘却していた先日、特集記事「おれの地方賞」にて
彼らがワンダフルボーイズとして再出発していることを知りました。
早速注文したところ、本日届いたのでまずはデビュー作から取り上げたいと思います。
尚、ワンダフルボーイズのリーダー、サンデーカミデが奇妙礼太郎等と組んだグループ、
天才バンドのリリースも控えているため、
(執筆時4月)今週から3週に渡って順にレビューしていく予定です。

 前身グループでは7人組でしたが、ワンダフルボーイズは6人組。
メンバーは、少しだけチェンジしているようですが、概ね同じです。
サポート・プレイヤーとして鍵盤奏者とブラスが入っているので、
全体としてはサウンドの層が厚くなっています。
ついでに言うと、奇妙礼太郎、杉瀬陽子、AZ CATALPAという
ゲスト・ミュージシャンもしゃかりきコロンブス時代と同じでした。

 シンセサイザー、ブラスを交えたノスタルジックなディスコ・ミュージックをやっており、
音楽性もばっちり前身グループを踏襲しています。
気だるい夜のBGMを彷彿とさせる、アンニュイな雰囲気が全編から漂っているのが特徴。
それは元々、サンデーカミデの作曲センスとしてあった資質です。
アンサンブルは、より大らかでスケールが大きくなっており、
メロウなムードも増していると感じました。
フルートがフワフワとした浮遊感を生んでいることもポイント。

 線がやや細い泣き虫ヴォーカルも味わい深く、気負いのないメッセージがすんなり入ります。
ただし表現の幅がやや狭いことも事実。
その欠点は、ゲスト・ミュージシャンを起用することでカバー。
華やかなアクセントとなっており、アルバムの構成もまとまりが出ています。

 ミドル・チューンばかりの構成は、
ゆるく素人感覚に溢れており、アットホームな聴き心地。
充実の再デビュー作です。

「93年の唄」
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永野亮/はじめよう

永野亮/はじめよう
2012年 日本
『こんなに爽やかなソウル系SSWも珍しい』

 あくまで主役にはならない控えめな主張、しかし耳を澄ますととてもグッド・ミュージック。
2012年、30秒から1分のCMで多くの音楽ファンを惹きつけた、永野亮。
本作はデビュー・アルバムです。
元々、APOGEEというオルタナティヴ・ロック・グループの中心人物であった彼ですが、
このアルバムの頃はCM音楽作家としての活動を盛んにしていました。
それらの楽曲を中心にまとめたのが本作となります。

 自身のアコギ、ピアノによる弾き語りを中心としたバンド編成での録音がされています。
楽曲群は、フォーキーなアコースティック・ミュージックという趣。
ブラック・ミュージック、特にニュー・ソウルの影響を反映させた温かみのあるメロディーが特徴です。
CM曲(ソングではなく曲)であることを意識したコンパクトに凝縮した構成が素晴らしい。
11曲が35分に収まっています。

 正直ライブで声量が足りているのか不安になる、繊細且つ柔和な歌声も魅力的。
英語やハミングの曲も混在しています。
以前書いたように日本人の英語曲には否定的な僕ですが、
ここでも曲の良さゆえ許容しています。
恐らくCM曲という性質ゆえ、耳に残りすぎない(広告のメッセージを邪魔しない)英語が
使われるのでしょう。

 今後の活躍を期待せずにはいられない、新世代シティ・ポップの傑作。
なのですが、本作以降、ソロとしての活動は鳴りを潜めており、
代わってAPOGEEの活動が復活。
APOGEEの存在も重要でありますが、是非再び永野亮として活動を再開してもらいたい。
「はじめよう」はもう分かったので「続けよう」が欲しい。
ファンとして待ちわびております。

「D.R.E.A.M.S」
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Jessica Pratt/Jessica Pratt

Jessica Pratt/Jessica Pratt
2012年 アメリカ

『現代アシッド・フォーク・シーンのサンプルとして』
 
サンフランシスコを拠点として活動するシンガーソングライターのデビュー・アルバム。

 サイケデリックの本場、サンフランシスコには
アシッド・フォークを指向するミュージシャンが今尚多いようです。
彼女もそんな一人でしょう。
弾き語りのみで構成されているシンプルなサウンド。
リンダ・パーハクス等の流れを汲んだ
気怠げで幽玄な音世界は、70年代アシッド・フォークと同等の質感を持っています。

 楽曲は悪くはありませんが、特に引っかかりが無い印象。弱いと思います。
しかしヴォーカルはハスキーな声質で、どこか捨て鉢なところが感じられて魅力的。
落ち着いた雰囲気で心地よく聴けることでしょう。
白黒のポートレイトによるジャケもいいですね。

 まだまだアンダーグラウンド・シーンには、
彼女のようなミュージシャンはゴロゴロしています。
ただメディアがほったらかしているだけのこと。
是非、本作からアシッド・フォークの道に入ったならば、
底なし沼のような現代アシッド・フォーク・シーンを探求して欲しいと思います。

「Mountain'r Lower 」
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ママレイド・ラグ/デイ・アンド・ナイト・ブルース

ママレイドラグ/デイ・アンド・ナイト・ブルース
2012年 日本

『ソロとなってからの最高傑作』

 最近、70年代に回帰した音楽を指向するミュージシャンが
増えてきたような気がします。
今日はその道の第一人者であるママレイド・ラグの最新作をご紹介。
 
 70年代アメリカン・ロックやSSW作品、はっぴいえんどなどの影響を受けた
若年寄ロック・バンドとしてデビューしたママレイド・ラグ。
ファーストで喫茶ロックの旗手として注目されるや、
よりポップになったセカンドでCMソングに抜擢。
一気にブレイクするかと思いきや、
ソングライターの一人が脱退、
色々あって(大分ざっくりと)田中拡邦のソロ・プロジェクトとなりました。
本作は去年リリースされた5枚目のアルバムです。

 全楽器を彼が担当しており、アコギを中心とした
シンガー・ソングライターらしい作風です。
楽曲の質は、今回も文句なく高いです。
ただ、演奏面ではピアノやリズム隊などを、
一人で録音しているだけに、
アンサンブルにスケールの大きさが感じられません。
これをバンドで鳴らしたら・・・・・・
想像するともったいない思いがします。
とは言え、故・大滝詠一を彷彿とさせる甘い歌声と、
ブルージーなギターの素晴らしさは健在。
初期のはつらつさは失ったものの、
代わりに小坂忠のような枯れた味わいを手に入れています。
これは素晴らしい歳の重ね方。

「いつでも どこでも」
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