MARIA MULDAUR/WAITRESS IN A DONUT SHOP

MARIA MULDAUR/WAITRESS IN A DONUT SHOP
1974年 アメリカ
『ジャジーでまったりいい気分』

 これまで聴く機会が無かった、マリア・マルダーのセカンドを新名盤探検隊で購入。
別にここで書かないでもいいことなのですが、
帯の英語表記(正)MARIA MULDAURのところがRUMARIA MULDAURになっていることに気が付きました。
誤植ですよ、とそっと報告しておきましょう。
いいの、いいの、これくらい。
ただ気づいてしまったよ、ということで書いてしまいました。ごめんなさい。

 マリア・マルダーのプロフィールは少々込み入っています。
グリニッジ・ヴィレッジ出身の女性シンガー。
1960年代当時、自由奔放なライフスタイルを持つボヘミアンが集う都市と知られた土地で、
様々な芸術に触れて育ったそうです。
高校卒業後に音楽活動を開始。
オールド・タイム・ミュージック、フォークと関心を映しながら、
21歳(1964年)にはイーヴン・ダズン・ジャグ・バンドに参加します。
バンドはレコード発売を経て解散。
続いてジム・クウェスキン・ジャグ・バンドへ参加(1964年)。6年(1970年まで)の活動の後バンドは解散し、
活動を通じて結婚した夫ジェフとのデュオ、ジェフ&マリアとして2枚のアルバムを発表。
そして離婚(1972年)。
以降、1973年のファーストを皮切りにソロ・シンガーとして活動を始めることになります。
本作はファーストと並ぶ代表作として知られる、セカンド・アルバムです(リリース時31歳)。
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 ファーストと同じく、オールド・タイム・ミュージックをテーマにしていますが、
こちらはスウィング・ジャズを支えた名プレーヤーを多く起用しており、
1920年代を想起させるジャジーな仕上がりが特徴です。
何気なく、英フォークの首領、ジョー・ボイドが(1stに続いて)プロデュース。

甘く艶っぽい歌声は唯一無二な魅力があり。
また、ジャグ・バンドでの経験が生かされているのか、
ジャズ系、ウッドストック系、双方のプレーヤーのバンド・アンサンブルは調和が取れており、
派手なソロはありませんが酒場音楽さながらの気安い魅力がたまりません。
ジャズ・スタンダード、ソウル、ウッドストック系と幅広いレパートリーを揃えた選曲も申し分なし。
「真夜中のオアシス」だけで終わりにしたらもったいない。セカンドもおすすめです。

Sweetheart
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Tom Jans/ Tom Jans

Tom Jans/ Tom Jans
1974年 アメリカ
『むさくるしいのでスルー・・・ではもったいない』

 ドビー・グレイに提供、プレスリーもカバーした「LOVING ARMS」の作者として知られるトム・ヤンス。
カルフォルニアを拠点に活動していたシンガー・ソング・ライターです。
日本ではソニーから廉価盤で幾度となく再発されたセカンド作
『子供の目』の方がダントツで人気があるようです。
まぁセカンドのジャケがこれで、
TOM2ND.jpg

ファーストのジャケがこれなのですから
TOM1ST.jpg
仕方がないところかもしれません。
その上、セカンドにはリトル・フィートの面々も参加
(ローウェル・ジョージのプロデュース)しているのですから、
むさくるしいファーストまでなかなか手が伸びにくいというもの。

 しかしながら、あの「LOVING ARMS」で有名な、という形容で紹介されるトム・ヤンスなのに、
その曲をセルフ・カバーしているファーストをスルーするなんて、ちょっともったいない。
ということで聴いてみることにしました。

 セッションの参加メンバーにはレジー・ヤングやロニー・ヤング、トロイ・シールズなど、
カントリー、ブルース界隈の名手が名を連ねています。
カントリー色はセカンドよりも濃厚ながら
ヴィブラフォン、サックス、オルガンなども入っているので彩豊かなサウンドが楽しめます。
押しつけがましくない、ハートウォーミーな歌声はセカンド同様、魅力的。

「Loving Arms」
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菊地雅章/イースト・ウィンド

菊地雅章/イースト・ウィンド
1974年 日本
『土着的なドラミングが圧巻』

 ジャズのアルバムを聴き始めてもうすぐ5年くらいですが、
実は日本のジャズはほとんど手付かずでした。
最近コツコツと聴き始めていて、本作もそんな中の一枚です。

 菊地雅章は「マイルス・デイヴィスに誘われた唯一の日本人」ということで知っていたのですが、
アルバムを聴いたことがありませんでした。
50年代から活動している、日本を代表するジャズ・ピアニスト。
音楽性は幅広く、入門盤をどれにしようか迷いましたが、
フォノグラムのレーベル「EAST WIND」の第一弾アルバムとなった本作をチョイスしました。

 メンバーは以下。
菊地雅章(p)、日野皓正(tp)、峰厚介(ts)、JUNI BOOTH(b)、ERIC GRAVATT(ds)

マッコイ・タイナー・カルテットの二人がリズム隊として参加している豪華メンツです。

収録曲は2曲のみ。
1曲目「East Wind」はマッコイ・タイナー・カルテットの流れを汲んだジャズ・ロック色の強いナンバー。
日本人二人による血気盛んな吹きっぷりが素晴らしい。
加えてトライバルなドラミングが強力。
この曲のエリックさんが日本の盆踊りで叩いたらさぞ盛り上がることでしょう。
菊地雅章によるピアノと共に放たれる猫の鳴き声のような呻きも聴きものです。

 2曲目「Green Dance」はよりファンキーで、土着的な雰囲気が強調されています。
菊地雅章のピアノは、こちらの方がより白熱しているという印象。
グイグイ速度を増していくインプロヴィゼーションは圧巻です。

 スピリチュアル・ジャズの流れを汲んでいる作品ですが、小難しくはならず、
かっこよくスマートに聴かせてくれるのはメロディーを大事にする日本人のアルバムならでは、
の部分もあると思います。
電化マイルスの影響が濃い初期作品も機会があれば聴いてみたいです。

「Green Dance」
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The Tymes/ Trustmaker

The Tymes/ Trustmaker
1974年 アメリカ
『いぶし銀ヴォーカル・グループの力作』
 今日聴くのはフィラデルフィアを拠点として活動していたヴォーカル・グループ、
タイムスの74年にリリースされたアルバム。

 自分は全く知らなかったグループで、今回初遭遇。
結成は古く1960年、
それまでラティナーズというグループで活動していた4人組に
リード・ヴォーカルのジョージが加わることで誕生したとのこと。
1963年にリリースされたオリジナル曲「SO MUCH IN LOVE」がデビュー・シングルなのですが、
この曲がいきなり米チャート1位を獲得。
ドゥーワップ由来の甘くメロウなメロディーと、優しく包容力溢れるコーラス。
彼らの魅力の真髄が詰まったこの曲は
その後、幾度かのリヴァイバル・ヒットをするほどに支持を集めることになります。
(自分も彼らの曲だとは知りませんでしたが、
この曲は知っていました。山下達郎もカバーしていましたね。)
グループはその後もアルバムを地道に制作、77年まで活動を続けたのちにフェイドアウト。
しかしタイムスの物語には続きがあります。
2001年にアメリカで発表された『ソング・オブ・センチュリー』のリストに
「SO MUCH IN LOVE」が入ることで再び注目を集めると、70歳近いメンバー達が再び集結。
ライブ活動を再開させることに。
2005年にはコーラス・グループとして殿堂入りを果たした彼ら。
リード・ヴォーカルのジョージは2004年に、
他二人も2010年代に入って亡くなってしまったため、現在二人だけになってしまいましたが、
おじいちゃんになってから再結成するという特別な体験は、本当に素晴らしいと思います。

 さて本作ですが彼らのアルバムでは後期に当たるアルバム。
先述の「SO MUCH IN LOVE」のリメイク・ヴァージョンが収録されており、
これが時代を反映してゴージャスなディスコ・ヴァージョンになっています。
これはこれで悪くない。
ちなみにこのヴァージョンでもバッチリ、ヒットしたとのこと。
更にアース風のディスコ・チューン「You Little Trusmaker」、
ノーザン・ソウル風ミドル「Ms. Grace」という2曲のヒットを収録しています。
華やかなストリングス・アレンジやビッグ・バンドをバックに、
朗々たるジョージのリード・ヴォーカル、そして分厚いコーラス・ワーク。
全編に渡って紡がれるソフィスケイトされたメロディーも素晴らしい。
ベテランのヴォーカル・グループらしい安定感抜群のアルバムとなっています。

「Ms. Grace」
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Gloria Scott/What am I Gonna Do

Gloria Scott/What am I Gonna Do
1974年 アメリカ
『あっ、ジメジミになっている・・・もういいや』

 ジメジミな梅雨ももうすぐおしまい。

そんな時に聴きたいソウル・ミュージックって何だろうか。
・・・・・・考え中・・・・・・
ストリングスたっぷりのあまーい奴がいい。
女性ヴォーカルで・・・
バリー・ホワイトの70年代仕事なら、
ドラムのカッツ、カッツ、が目立つから雨音と合うかも。

 ということで、グロリア・スコットの唯一作を選んでみました。
レア・グルーヴ文化で一躍名盤へと成り上がったアルバムです。

 ゴスペル出身者らしい彼女の歌声は貫禄十分。
伸びやかであり且つ深みを感じさせ、包容力があります。
前述のとおり、ディスコ全盛の時代までソウル・シーンをリードする
バリー・ホワイトがプロデュースを担当。
更にアレンジャーとして当時のバリーをアシスタントとして支えていた
ジーン・ペイジ、トム・ブロックが加わっています。
彼らによる、壮麗でありながら軽やかなストリングスは見事。
聴き手をとっても柔らかく包んでくれます。
またバリー・ホワイトはこの時期、ドラムを大きめにミックスすることで
タイトなリズムを際立たせており、本作もそれに習っています。
結果メロウグルーヴとしていい塩梅のサウンドが出来上がり。
デヴィッド・T・ウォーカーなど良質なセッション・プレイヤーも多数参加。
あくまでも黒子役として目立たぬながら、縁の下の力持ちとして貢献しています。

「(A Case Of) Too Much Lovemaking 」
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