DAVID PARKER/ DAVID PARKER

DAVID PARKER/ DAVID PARKER
1971年 イギリス
『煮え切らない英SSW作』

 久しぶりに「得体の知れないミュージシャンに手を出してみよう。」と思って買ったのがこのアルバム。
SSW系のレアなアルバムを続々CD化している韓国のビッグ・ピンクからCD化された、
デヴィッド・パーカーのセカンドです。
プロデュースにハーヴェストなどで活躍していた
ジョナサン・ピールが起用されている他はクレジットが不明、という状況。
間違いなく上級者向けです。

 デヴィッド・パーカーはカントリー系のSSWで、
68年にはダイオン・パーカーとして1枚アルバムを発表しているそうです。

 帯の通り、英フォーキーがカントリー・テイストを取り入れた、という感じの内容でありますが、
アンドウェラ等に比べるとかなり地味であることは否めません。
英トラッドの峻厳とした冷たさが抜けきっておらず、カントリー要素がうまく混ざり合っていないという印象。

 メロトロンが入っている曲もあり、
当時の英ロック・アンダーグラウンドの空気感が感じ取れるのはうれしいのですけれども、
もはやそこまで。
ただし、B面はメロウな弾き語りを中心としており、かなり和めました。

 アクの強いグループを多く手掛けたジョナサン・ピールの仕事の中では、
かなり地味な部類に入ると言えましょう。
一通り、英SSWの米国憧憬ものを制覇したら検討する余地はあり。

Youtubeも見つかりませんでした。
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五つの赤い風船/New Sky/Flight

五つの赤い風船/New Sky/Flight
1971年 日本
『元々二枚組で出したかった→
結果少しリーズナブルに!』


 五つの赤い風船のアルバムが久しぶりに再発されました。
自分が集めようとした頃には廃盤となっており、
結構なプレミアが付いており断念。
ずっと一部タイトルとベスト盤でしか聴くことが出来なかったのでとてもうれしいです!

 実はボックスも出ていたのですが、持っているタイトルもあり予算の関係上もあり、
断念しました。
しかしボックスには未発表のライヴが追加されているとのことで
後ろ髪引かれる気持ちもあります。

 今回購入したのは『New Sky/Flight 』。
ライヴを含めて通算5枚目にして、
サイケデリックで実験色の強い後期を象徴するアルバムです。
これはブレーンである西岡たかしの影響力がどんどん増した結果。
オリジナルは別々のタイトルでリリースされていましたが、
今回は制作者の意向通り、二枚組として流通しています。
大まかに西岡ソロ色が強い『New Sky』、
風船らしさが強い『Flight』という性格分けがされているそうです。

 まず『New Sky』。
冒頭から23分使った「時々それは」が登場して圧巻です。
当然ながらこれがハイライトとなっています。
これはサイケデリックというよりもプログレッシヴと言う感じで
オルガンの敷き詰めっぷりやSEのコラージュなどから、
フロイドやクリムゾンからの影響も強い印象。
8分ほどまで優しげなバラード調で引っ張りますが、
途中から再びSEが乱入。
雑踏、人々の話声、宣伝カーなどの音たちが表れては消える中、
ピアノソロが美旋律を奏でていきます。
レイラの後半みたいな感じでしょうか。
そして再びヴォーカル・パートに戻る、というドラマティックな構成。
死をテーマとした歌詞が曲と共にぼんやりと子守唄のように浸透して心地いいです。
ただ、
浴びるにはいい音楽ですが、ちょっと23分は長すぎるかな、というのが現時点の感想です。

 藤原秀子がヴォーカルを取る2曲を始め、B面に収められた残り4曲も
概ね、サイケデリック・フォークの様相。
おちゃらけたカントリー・ソング「たまには一度は」ですら、
ダルダルな空気が抜けていません。
このダークな雰囲気が眠れぬ夜に重宝しそうな感じ。

 そして『Flight 』。
こちらは和気藹々としたフォーク・ソングが楽しめるアルバムとなっています。
全11曲。
どちらも西岡たかしが全曲を手掛けているのですが、
ダーク成分を『New Sky』に配分したおかげで、
こちらはとても朗らかでファンタジックなサウンドとなっています。
本来の五つの赤い風船にあった爽やかさが戻っているのですが、
得体のしれない不気味さは薄れています。
これを単体として聴いた場合、ちょっと物足りないと感じたかもしれませんが、
『New Sky』の続きとして聴いてみると穏やかなクールダウンとして完璧に機能しています。

とにかく、やっと聴けて大満足です。

「私は広い海に出る 」
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Tentacle/The Angel Of Death

Tentacle/The Angel Of Death
1971年 スコットランド
『英アンダーグラウンド最深部・サンプル1』

 ごくたまに聴きたくなる英国のアンダーグラウンドなハード・ロック。
チープな録音環境から生まれる、その音楽は
ファズも効かせた一途なブルース・ギター、
タイトなリズム隊、はったりを利かせたヴォーカル。
だいたいこんな感じで、それは普段日常を送っていくのに
(言ってはなんだが)BGMとして無くていい音楽だと思います。
そんな生活にフィットしない、ほとんどの人に忘れ去られたこのジャンルですが、
自分は何故か、数年に一度くらい(もうちょっと聴いてあげよう)
聴きたくなります。

 そんな今日の一枚に推したいのが、いや棚からたまたま引っこ抜いたのが
本作テンタクルのアルバムなのです。

 自分自身彼らについてはスコットランド出身と言うことしか知らず、
改めて調べてみました。
しかし、マネージャーがジム・ウエスト(ボドキンソーホー・オレンジを担当)だということが
分かったくらい。

 まずジャケについて。
tentacle copy

いわゆる「モンデールがいこつ」。ひどいですね。
ただアンダーグラウンドな雰囲気は
既に発散されているので分かりやすいともいえます。

 テンタクルはツイン・ギターを擁するハード・ロック・バンド。
サイケ・ブルース通過後のヘヴィ・ロックをやっていますが、
70年代初頭ということでドロドロした感じは控えめで洗練された無駄のない曲展開が特徴。
引きずるようなヘヴィ・ギターの応酬、ハッタリを効かせ、朗々と歌い上げるヴォーカル、
手数多く時にタメも効かせるリズム隊。
これらによるドッシリ(モッサリ)としたアンサンブルが特徴です。
所々で通常キーボードが担当するような叙情的なフレーズをギターが奏でるのが印象的。
ドラマティックな要素もポイントです。
ブラック・サバスに影響を受けたダークなハード・ロックという方向性ながら、
T2にも通じるジャズ・ロック・テイストも併せ持っており、聴きごたえは十分です。

「My Destiny, My Faith (Parte I)」

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Pee Wee Crayton/Things I Used To Do

Pee Wee Crayton/Things I Used To Do
1971年 アメリカ
『違いが分からない男のブルース・レビュー⑰』

 ピー・ウィー・クレイトンは1914年12月18日、テキサス州で生まれました。
若いころにはオースティンで暮らしていたそうです。
音楽活動への切っ掛けとなったのは1940年代、結婚後に移住した
カリフォルニア州オークランドでのこと。
当時、その地で公演していたTボーン・ウォーカーの演奏に衝撃を受けて
ブルース・ギタリストを志すことになります。
直談判の末、弟子入りのような形で師匠を自宅へと招き
直接指導を受けていました。

 結果としてTボーン・ウォーカーのフォロワーとしては、
最も著名なギタリストとなるまでに成長。
ジャジーで洗練されたフレージング、リズミカルな演奏はまさしく師匠譲りのもの。
敢えて比べるなら
ヴォーカルよりギターに重点を置いており、荒々しい弾きっぷりで圧倒してくれます。

 死去する1985年まで多くのアルバムを残すピー・ウィー・クレイトンですが、
多くはシングルのコンピレーションであり、
特定のアルバムの為の録音はほとんどしませんでした。
本作はその数少ない例外の一つ。
1971年というキャリアとして落ち着いてきたころのアルバムです。
自身の代表曲の再録音を交えながら、ブルース・スタンダードのカバーを中心とした内容。
peewee.jpg

 ギラギラしていた若手時代である1950年代の録音に比べると
ギターの攻撃性は落ちているものの、軽妙なグルーヴが生まれているのが特徴。
エレピ、サイドギターも入ったバンド体制で録音されており、
パブでの演奏のごとき気安さが魅力的です。
加えて若いころには弱い、弱いと指摘されていたヴォーカルも
声量こそ物足りないものの落ち着いた味わいが加わっています。

 あまり知られていない存在のギタリストですが
Tボーン譲りの分かりやすいノリの良さがあり、とても聴きやすいと思います。

「Let the Good Times Roll」


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Kim Carnes/Rest On Me

Kim Carnes/Rest On Me
1971年 アメリカ
『貫録十分のデビュー作』

 今日はブックオフで発見したキム・カーンズのデビュー作をご紹介。
ごめんなさい、買ったものの全然知らない人なので調べながら書いていこうと思います。
81年に「ベティ・デイビスの瞳」をヒットさせたことで知られる女性SSW。
この曲については初めて聴きましたが、ディスコにも目くばせしたポップ・ナンバーで、
素晴らしくキャッチーですね。
彼女は女ロッド・スチュワートと呼ばれていたそうで、
なるほど、しゃがれたヴォーカルはロッドを彷彿とさせます。

60年代から、アイドル・シンガーやCMソングの仕事に携わっていた彼女。
70年代初頭、アイドル・グループを脱退。SSWとして再出発を決意。
そしてデビュー・アルバムとして発表したのが本作。
Rest on Me
うーむ、これデビュー・アルバムだったのか!?
だいぶ・・・・・・何でもありません。

 原盤レーベルはインディーのエイモス・レコード。
プロデュースは、ジミー・ボウエンという人が担当しています。
そして演奏陣にはマイク・ディージー(G)、ラリー・カールトン(G)、エド・グリーン(Dr)といった
ツワモノのセッション・プレイヤーが参加しています。

 内容ですが、少し前までアイドルとして活躍していただけに可愛くポップな部分も残しつつ、
元来得意とするカントリー、フォークといったルーツに根差した渋いSSW作となっています。
また時代性なのか、スワンプ要素を適度に取り込んでいるところもポイント。

 デビュー作であるためか、自作曲はわずかに2つのみ。他は全てカバーです。
スワンプ・ミュージシャン、ダニエル・ムーアの2曲を筆頭に、
ゴフィン=キング、ボビー・フリーマン、ロカビリーのベイカー・ナイト、
と多彩なレパートリー。

 アイドル脱退直後とは言え、既に(枯れてこそいないものの)
パワフルな歌唱を聴かせてくれるキム。
ピアノ、オルガンを交えたスワンピーなアレンジで仕上げられた楽曲群を歌いこなしています。
ちなみに彼女自身のオリジナル曲は共に鍵盤入りのバラード。
オーソドックスながらなかなかの出来です。

後年に於ける作曲の才能もまだ開花しておらず
冒険も少なく地味な作風ではあります。
しかし
聴き手を和ませる気安い温かみが全編から漂っており、
70年代初頭の女性SSWものとしては十分楽しめる内容でした。

「Sweet Love Song to My Soul 」
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