LESLEY DUNCAN/Moon Bathing

LESLEY DUNCAN/Moon Bathing
1975年 イギリス
『久しぶりの世界初CD化に興奮』

 キャロル・キングの影響を受けた70年代のイギリス女性シンガーと言えば、レスリー・ダンカンでしょう。
エルトン・ジョンの後押しで、彼のレーベルからデビュー。
何枚かのアルバムを残しています。
90年代にエドセル・レーベルより再発されたファースト、セカンドは
地味ながら「イギリスのアメリカ」が楽しめる好作で気に入っていました。
まさか、2016年になって日本のレーベルが世界初CD化として4枚目のアルバムをリリースしてくれるとは。
どうやらフリーソウルものとして注目を集めていたようですね。
いずれにしてもありがたい!
(飛ばしてしまった、ジャケットが素晴らしい3枚目もいつかCD化して頂ければ。)
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 プロデュースはジミー・ホロヴィッツが担当。
リンダ・ルイスのファースト(2枚目でも3枚目でもなく、ってところがミソ)で、
アレンジを務めていた人物とのこと。
彼女の場合、初期作をエルトン・ジョンがプロデュースしていた為、路線変更をしたかったのでしょう。
レスリー・ダンカンはセカンドで『EARTH MOTHER』なんてタイトルを付けるくらい、
アーシーで渋い楽曲を作る印象があったのですが、
ここではキーボード、ストリングスがふんだんにあしらわれた洗練されたサウンドとなっています。
(一部、アーシーな曲もあり)
ソウルとフォークを融合させた爽やかな楽曲群は素晴らしく、
伸びやかで澄んだ歌声も存在感抜群。
演奏面では、英国ロック名盤の常連、
カメレオン・ギタリストことクリス・スペディングが乾いた音のギターを披露。
これはうれしい。
更に(こちらもいろんなところで大活躍)リザ・ストライクがコーラスで参加しているのもポイントです。

 1977年の『Maybe It's Lost』もCD化してくれているので、そちらも買いたいと思います。ありがたい!

 CDには歌詞対訳がありませんでした。日本盤なだけに少し残念。
ただし入っていた写真は良かったです。

I Can See Where I'm Going
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Led Zeppelin/ Physical Graffiti 40th Anniversary Deluxe

Led Zeppelin/ Physical Graffiti 40th Anniversary Deluxe
1975年 イギリス
『変わり過ぎると文句を言い、
変わら無すぎると何も言えない。』


・・・・・今日はほったらかしてしまっていたツェッペリン・リマスター盤のレビューを発掘してみます。
風邪が全然良くなりません。


 これまでツェッペリンの最新リマスター・シリーズは、
リリース後に即レビュー記事を更新してきた僕ですが、
ここに来て反応が鈍くなってきました。
やっぱり一気に全タイトル出してしまった方が良かったのではないか、
と外野から後出しで言ってしまう今日この頃。

 今回は『フィジカル・グラフィティ』ですね。
過去のアウト・テイク(『III以降』)を放出して盛り沢山で詰め込んだ結果、
2枚組になったという大作。
フォークやブルースといった彼等に取って従来のルーツ音楽からの影響のみならず、
流行のニュー・ソウルにも反応。
ブラック・フィーリングも取り込むことで、より粘り腰のグルーヴが生み出されています。
独創的なギター・リフのアイディアがここに極まっており、
名曲「Kashmir」やB’zがオマージュしたことでも知られる「Trampled under Foot」などでのギターには、
古典から昇華させたインパクト抜群のフレーズが盛り沢山。

 個人的には学生時代に通学路だった田んぼ道を
自転車で走った時のテーマとしていた(なんちゃって)ウエスト・コースト
Down By The Seaside」のレイドバック感がたまりません。

さてリマスター効果についてですが、
この辺りのアルバムになると録音状況も向上していることもあり、
自分の耳ではあまり差異を感じることが出来ませんでした。
今回のリマスターで共通していると感じた以下の2点、
①音圧が低くなっていることで蛮性が後退してスマートになっていること、
②ドラムが引っ込んでベースやキーボードが前に出ていること、
については本作も同様な気がします。
煮え切らない感じになってしまうのは、
それだけ中期以降の前リマスターに関して不満が無かったということに他なりません。

 コンパニオン・ディスクにはヘッドリィ・グランジでの未発表テイクが7曲収録。
ジョン・ポール・ジョーンズ一時離脱前の初期音源ということですね。
事前に教わっていたのですが
Everybody Makes It Through (In the Light) (Early Version / In Transit)」が
ハープシコードを使っており、とてもオカルティックな仕上がり。
これは面白い。
他は「Brandy & Coke (Trampled Under Foot) (Initial Rough Mix)」での
キーボード・ソロが原曲よりも前面に出ており、新鮮でした。
それにしても2枚組だからもっと未発表あるかな、
と思ったのにこの分量の少なさは何故!?
・・・・・・出し惜しみしているだろうと思わざるを得ません。

「Brandy & Coke (Trampled Under Foot) (Initial Rough Mix)」
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Fairport Convention/ Rising For The Moon [Deluxe Edition]

Fairport Convention/ Rising For The Moon [Deluxe Edition]
1975年 イギリス
『デラックス・エディションは貴重音源がてんこ盛り』

 柿の種を食べながらテレビを見ているとポロリと一粒、テレビの裏へ入ってしまった・・・・・・
よっこらせ、とテレビ台をどけると。
あら、不思議。フェアポート・コンベンションの未開封アルバムが出てきたよー。(ダメダメ)

 英フォーク・ロックを代表するグループ、フェアポート・コンベンションの8作目。
この時期はメンバー・チェンジが激しかった頃で、
サンディ・デニーが脱退して男所帯だったグループに、
フォザリンゲイ~ソロを経験したサンディ・デニーが復帰。
ライブ盤を経て制作されたのが本作となります。
マタックスは途中で脱退してしまいますが、三人デイヴ時代の二人は残留。
そこへ戻ってきたサンディ・デニー。
当時バンドにはサンディの恋人トレヴァー・ルーカスとジェリー・ドナヒューという
二人のギタリストが在籍していました。
70年にフォザリンゲイを組んだメンツであり、
サンディ・デニーにとってやりやすい環境が整っていたことは間違いありません。
案の定、作曲クレジットでは一部共作曲を除き、ズラリとサンディ・デニーの曲が並んでいます。
当時のフェアポートの持っていたカントリー・ロック調のサウンドに、
サンディのソロでのポップな味わいを生かした楽曲群が並んでおり、
ほのぼのとしたアルバムとなっています。
穏やかなデイヴ勢がサンディ・デニーを立てた結果初期にあった緊張感はなく、
同窓会的な和やかな雰囲気が印象的。

 デラックス・エディションは貴重音源がてんこ盛りでおすすめ。
まずディスク1には別テイクが5曲。
未発表曲「The King And Queen Of England」はソロ『Like An Old Fashioned Waltz』にも
ボートラとしてデモ・ヴァージョンが収録されています。
ディスク2は74年LAトルバドール公演を収録したライブ盤。
こちらはディラン・カバー「Knockin' On Heaven's Door」や
サンディのソロ音源などこの時期ならではのレパートリーが楽しめるので、
新鮮に楽しむことが出来ました。

 おむすびころりん的な経緯で聴くことが出来たデラックス・エディション。これはツイテル!
「One More Chance」
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ひがしのひとし/マクシム

ひがしのひとし/マクシム
1975年 日本
『悲しすぎる見栄』

 以前レビューを書いたひがしのひとし。
その時に『はじめてのシャンソン』をファーストと思っていて買った経緯にも触れたのですが、
今回めでたくファースト・アルバムも入手したので仕切り直し(?)でレビューしたいと思います。

 プロフィールなどについては前回のレビューをご参照ください。
セカンドが『はじめてのシャンソン』だったわけですが、
ファーストも同じくシャンソンとフォークとブルースをやっています。
聴く順番は逆になりましたがほぼ同じ音楽性で安心して楽しめます。

 ピアノ、ブラス、フルートなどを含むバンド・アンサンブルは室内楽的でジャジーな仕上がり。
まさしく酒場の音楽という雰囲気が素晴らしい。

 ご本人によるハスキーな歌声も相変わらず魅力的。

 楽曲についてですが自身のオリジナルとジョルジュ・ブラッサンスのカバーが半々という構成で、
ジョルジュのカバーについては自分で日本語詞を付けています。
また西岡恭蔵の曲も1曲収録。(後述)

 年を取るにつれて付き合う音楽が変わっていく様子を歌う「シャンソンを唄おう」、
詩人菅原克己の言葉をそのまま歌詞に載せてアウトローを唄った「マクシム」、
歌詞カードが伏字だらけでワクワクさせておきながらサラッと躱す「ポルノグラフ」、
一転して金子光晴の詩を歌う「生まれて始めてのことを女はされる (愛情13)」など、
興味深い歌ばかり。
昭和フォーク・ファンなら楽しめること請け合いです。

 さて、そんな中でも個人的には西岡恭蔵のカバーに惹きつけられました。
「悲しいピエロ(ピエロと少年)」という曲で、
西岡ヴァージョンは『ろっかばいまいべいびい』(本作と同年の1975年にリリース)に収録されています。

「ピエロと少年」
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Henry McCullough/Mind Your Own Business

Henry McCullough/Mind Your Own Business
1975年 イギリス
『さっぱり風英スワンプ』

 北アイルランド出身、
近年はポールのバック・バンドのメンバーとして知られるギタリスト、ベース・プレイヤー。
スプーキー・トゥース、グリース・バンド、ウイングス、といったグループを渡り歩いた、
英ロックを支えた重要ミュージシャンです。
そんな彼がウイングス脱退後、
ジョージのダーク・ホースからSSWとしてソロ名義で初めてリリースしたのが本作。
いかにも米国憧憬という雰囲気のイラストが素晴らしいアルバム・ジャケットからも
内容の良さが伝わってくるので、聴いてみたかったのですが遂に去年CD化されました。
実はお小遣いの関係上、後回しにしていたのですが
そろそろ日本盤が廃盤になりそうな気配を感じたので慌てて購入した次第です。

 ちなみにCDはビッグピンクより再発されました。
日本盤はヴィヴィッドから解説をつけてリリースされています。
ビッグピンクは韓国のビートボールのサブ・レーベルであり、
(日本製には及ばない完成度ですが)紙ジャケで
レイドバック系の再発をしてくれるインディー・レーベル。
世界初CD化タイトルも多く、コレクター魂を刺激し、且つ資金的に悩ませてくれます。

 録音にはグリース・バンドの面々はもちろん、
フランキー・ミラー、そしてパトゥーやヴィネガー・ジョーのメンバーといった
渋いセッション・プレイヤーが参加しています。
ウイングス以前の音楽性に回帰しており、ジャケのイメージ通り、
米国憧憬のスワンプ~パブ・ロックをやっています。
ハンク・ウィリアムスのカバーであるタイトル曲以外は自作曲で構成。
収録されているのは枯れた歌声と、特段のインパクト、ハイライトこそないものの、
控えめなスライド・ギターといった本人の魅力が堪能できるほのぼのとした佳曲ばかり。
後期スプーキー・トゥースやグリース・バンドの延長線上として
期待した通りの音楽が楽しめました。

Mind Your Own Business FULL ALBUM
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