Fairport Convention/ Rising For The Moon [Deluxe Edition]

Fairport Convention/ Rising For The Moon [Deluxe Edition]
1975年 イギリス
『デラックス・エディションは貴重音源がてんこ盛り』

 柿の種を食べながらテレビを見ているとポロリと一粒、テレビの裏へ入ってしまった・・・・・・
よっこらせ、とテレビ台をどけると。
あら、不思議。フェアポート・コンベンションの未開封アルバムが出てきたよー。(ダメダメ)

 英フォーク・ロックを代表するグループ、フェアポート・コンベンションの8作目。
この時期はメンバー・チェンジが激しかった頃で、
サンディ・デニーが脱退して男所帯だったグループに、
フォザリンゲイ~ソロを経験したサンディ・デニーが復帰。
ライブ盤を経て制作されたのが本作となります。
マタックスは途中で脱退してしまいますが、三人デイヴ時代の二人は残留。
そこへ戻ってきたサンディ・デニー。
当時バンドにはサンディの恋人トレヴァー・ルーカスとジェリー・ドナヒューという
二人のギタリストが在籍していました。
70年にフォザリンゲイを組んだメンツであり、
サンディ・デニーにとってやりやすい環境が整っていたことは間違いありません。
案の定、作曲クレジットでは一部共作曲を除き、ズラリとサンディ・デニーの曲が並んでいます。
当時のフェアポートの持っていたカントリー・ロック調のサウンドに、
サンディのソロでのポップな味わいを生かした楽曲群が並んでおり、
ほのぼのとしたアルバムとなっています。
穏やかなデイヴ勢がサンディ・デニーを立てた結果初期にあった緊張感はなく、
同窓会的な和やかな雰囲気が印象的。

 デラックス・エディションは貴重音源がてんこ盛りでおすすめ。
まずディスク1には別テイクが5曲。
未発表曲「The King And Queen Of England」はソロ『Like An Old Fashioned Waltz』にも
ボートラとしてデモ・ヴァージョンが収録されています。
ディスク2は74年LAトルバドール公演を収録したライブ盤。
こちらはディラン・カバー「Knockin' On Heaven's Door」や
サンディのソロ音源などこの時期ならではのレパートリーが楽しめるので、
新鮮に楽しむことが出来ました。

 おむすびころりん的な経緯で聴くことが出来たデラックス・エディション。これはツイテル!
「One More Chance」
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ひがしのひとし/マクシム

ひがしのひとし/マクシム
1975年 日本
『悲しすぎる見栄』

 以前レビューを書いたひがしのひとし。
その時に『はじめてのシャンソン』をファーストと思っていて買った経緯にも触れたのですが、
今回めでたくファースト・アルバムも入手したので仕切り直し(?)でレビューしたいと思います。

 プロフィールなどについては前回のレビューをご参照ください。
セカンドが『はじめてのシャンソン』だったわけですが、
ファーストも同じくシャンソンとフォークとブルースをやっています。
聴く順番は逆になりましたがほぼ同じ音楽性で安心して楽しめます。

 ピアノ、ブラス、フルートなどを含むバンド・アンサンブルは室内楽的でジャジーな仕上がり。
まさしく酒場の音楽という雰囲気が素晴らしい。

 ご本人によるハスキーな歌声も相変わらず魅力的。

 楽曲についてですが自身のオリジナルとジョルジュ・ブラッサンスのカバーが半々という構成で、
ジョルジュのカバーについては自分で日本語詞を付けています。
また西岡恭蔵の曲も1曲収録。(後述)

 年を取るにつれて付き合う音楽が変わっていく様子を歌う「シャンソンを唄おう」、
詩人菅原克己の言葉をそのまま歌詞に載せてアウトローを唄った「マクシム」、
歌詞カードが伏字だらけでワクワクさせておきながらサラッと躱す「ポルノグラフ」、
一転して金子光晴の詩を歌う「生まれて始めてのことを女はされる (愛情13)」など、
興味深い歌ばかり。
昭和フォーク・ファンなら楽しめること請け合いです。

 さて、そんな中でも個人的には西岡恭蔵のカバーに惹きつけられました。
「悲しいピエロ(ピエロと少年)」という曲で、
西岡ヴァージョンは『ろっかばいまいべいびい』(本作と同年の1975年にリリース)に収録されています。

「ピエロと少年」
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Henry McCullough/Mind Your Own Business

Henry McCullough/Mind Your Own Business
1975年 イギリス
『さっぱり風英スワンプ』

 北アイルランド出身、
近年はポールのバック・バンドのメンバーとして知られるギタリスト、ベース・プレイヤー。
スプーキー・トゥース、グリース・バンド、ウイングス、といったグループを渡り歩いた、
英ロックを支えた重要ミュージシャンです。
そんな彼がウイングス脱退後、
ジョージのダーク・ホースからSSWとしてソロ名義で初めてリリースしたのが本作。
いかにも米国憧憬という雰囲気のイラストが素晴らしいアルバム・ジャケットからも
内容の良さが伝わってくるので、聴いてみたかったのですが遂に去年CD化されました。
実はお小遣いの関係上、後回しにしていたのですが
そろそろ日本盤が廃盤になりそうな気配を感じたので慌てて購入した次第です。

 ちなみにCDはビッグピンクより再発されました。
日本盤はヴィヴィッドから解説をつけてリリースされています。
ビッグピンクは韓国のビートボールのサブ・レーベルであり、
(日本製には及ばない完成度ですが)紙ジャケで
レイドバック系の再発をしてくれるインディー・レーベル。
世界初CD化タイトルも多く、コレクター魂を刺激し、且つ資金的に悩ませてくれます。

 録音にはグリース・バンドの面々はもちろん、
フランキー・ミラー、そしてパトゥーやヴィネガー・ジョーのメンバーといった
渋いセッション・プレイヤーが参加しています。
ウイングス以前の音楽性に回帰しており、ジャケのイメージ通り、
米国憧憬のスワンプ~パブ・ロックをやっています。
ハンク・ウィリアムスのカバーであるタイトル曲以外は自作曲で構成。
収録されているのは枯れた歌声と、特段のインパクト、ハイライトこそないものの、
控えめなスライド・ギターといった本人の魅力が堪能できるほのぼのとした佳曲ばかり。
後期スプーキー・トゥースやグリース・バンドの延長線上として
期待した通りの音楽が楽しめました。

Mind Your Own Business FULL ALBUM
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Archie Bell & The Drells/Dance Your Troubles Away

Archie Bell & The Drells/Dance Your Troubles Away
1975年 アメリカ
『フィリー・ソウル版アーチー・ベル&ドレルズ』

 アーチー・ベル&ドレルズは「Tighten Up」の存在感が大きすぎて、
ファースト及びその続編のセカンドばかりを聴いていたのですが、
75年の本作に近所のブックオフでたまたま遭遇。
楽しそうなジャケに釣られて買ってみました。

ARCBEL.jpg

 アーチー・ベル&ドレルズはアトランティックでアルバムを3枚リリースした後、レーベルを離脱。
マイナーなレーベルを渡り歩きシングルのみを発表していました。
そして前作から6年のインターバル。
TSOP(サウンド・オブ・フィラデルフィア)の傘下、フィラデルフィア・インターナショナルから
満を持してリリースされたのが本4thアルバムとなります。

 本作は、マクファドン&ホワイトヘッド、ギャンブル&ハフ、バニー・シグラーなど
フィラデルフィア・ソウルのオールスターとも言うべきメンバーが
バックアップをして制作されているだけに、いい曲が揃っています。

 オープニング「Let's Groove」は熱を帯びるリズムと合いの手ヴォーカルなど、
「Tighten Up」の要素を含むグルーヴィ・チューン。
しかし骨太なアトランティック・サウンドとは異なり、甘く爽やかなグルーヴが印象的です。

 全体的に豪華なストリングス・アレンジと優しいコーラスは
典型的なフィリー・ソウル・サウンドとなっており、質も大変高い作品。
豪華メンツを起用した裏返しか、彼らの個性が薄まっているような気もしないでもないです。
しかし、「Tighten Up」のイメージからの脱却には十分成功していると思います。
個性と言う点では、彼らはスロウ・バラードでのねちっこい歌い振りにも定評があるのですが、
本作でも「I Won't Leave You Honey Never」という9分越えの大バラードを収録。
フィラデルフィア仕様で甘々な仕上がりとなっており、どっぷりと浸かれます。

「The Soul City Walk」

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宮里ひろし/長い旅がいやになる

宮里ひろし/長い旅がいやになる
1975年 日本
『URCらしい関西フォークの快作』

 月一で登場、「URC最後の蔵出し」シリーズ。今回は宮里ひろしのファースト・アルバム。
私はまったく聴いたことが無かったのですが、
今回の再発シリーズでは人気があるタイトルのようなので楽しみです。

 なぎらけんいちの73年作『葛飾にバッタを見た』にて、
宮里ひろしの「負け犬」が取り上げられたことを切っ掛けに、知名度を獲得。
以後、関西フォーク・シーンで活動。ちいちゃいおっちゃん、と呼ばれ親しまれていたそうです。
(確かに歌詞カードにあるポートレートでも小柄さが良く分かります。)
春一番への参加を経て、75年に本作を発表、という流れのようです。
後期URCを代表するフォーク・シンガーの一人とのこと。現在も自身でバーを経営しつつ、
音楽活動を地道に続けているようです。

 さて、本作についてクレジットから触れていきます。
アレンジは武蔵野タンポポ団の村瀬雅美が担当。
録音にはアーリー・タイム・ストリングス・バンドのメンバー、
今井忍やミディからCD再発された75年の自主盤で知られる林ヒロシを始め、
大阪のミュージシャンを中心に多数のゲストが参加しています。
とは言うものの、勉強不足につき先に挙げた二人以外はまったく知らない方々ばかり。
申し訳ありません。

 音楽性はアメリカン・フォークを基盤にした曲に、
詞をつけるというURC伝統のスタイルを踏襲したもの。
大らかな雰囲気はなぎらけんいちや高田渡の諸作に通じる魅力があります。
演奏面ではフィドル、ピアノが効果的に使われており、
ルーズでアメリカンな雰囲気が再現されているのが特徴。
朗らかなバラッドから、酒場でくだを巻いているかのような、やさぐれたブルースまで、
表情豊かなユーモア溢れる歌い口で楽しませてくれます。
URCフォークが好きなら、聴いて損のない快作でした。

「へろへろ」
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