須山公美子/夢のはじまり

須山公美子/夢のはじまり
1986年 日本
『子守歌として末永く付き合っていきたいアルバム』
 長期に渡りCDが廃盤となっていた名盤中の名盤が二度目の再発。
ということで、その類の煽り文句にはめっぽう弱いわたくしは衝動買いをしてしまったわけであります。

 須山公美子という方は全く知りませんでした。
神戸出身の女性シンガー。
ピアノ、アコーディオンによってシャンソン、昭和歌謡をテーマとした自作曲やカバーを演奏しており、
現在も現役で活躍されています。

 本作はレコード文化最晩年に、当時の最新技術を駆使して録音されたセカンド・アルバム。
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シャンソンや唱歌をルーツにしていることも頷ける、伸びやかで清廉な歌声と
穏やかながら時々、アヴァンギャルドでレコメンっぽさも顔を出すピアノ、アコーディオンの調べの組み合わせ。
このような作品がギラギラ絶好調な1986年にリリースされていたとは知りませんでした。
インディー・レーベルからひっそりとリリースされるのも(残念ながら)納得の音楽性です。
本作には、斎藤ネコや溝口肇など、セッション・プレイヤーとして豪華なメンツが参加しており、
「新しい大陸」など賑やかな伴奏が楽しめる曲もあり。
ノスタルジックでとろけるような世界観が全編で貫かれています。
夜、ひっそりと子守歌として末永く付き合っていきたいアルバム。

「新しい大陸」
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Mada. Randafison Sylvestre, Rakoto Frah, Patrice Ratsimbazafy/Madagascar THE ART OF Randafision Sylvestre, Songs Accompanied By Valiha And Sodina

Mada. Randafison Sylvestre, Rakoto Frah, Patrice Ratsimbazafy/Madagascar THE ART OF Randafision Sylvestre, Songs Accompanied By Valiha And Sodina
1989年 マダガスカル
『60を超えるおじいちゃん二人と孫による演奏』
 今回はタイトル書きが長い。
実はitunesのデータからコピペしたものです。
アフリカ大陸を目指した東南アジアの移民が住み着くようになったという島、
マダガスカルはアフリカの中のアジアと呼ばれているそうです。
久しぶりの民族音楽シリーズはマダガスカルの音楽をご紹介。

 本作はトリオ編成によるマダガスカル民謡の演奏を収めたもの。
メンバーはマダガスカル紙幣に肖像が書かれているというソディナ奏者のラコト・フラーをはじめ、
ヴァリハ奏者のランダフィゾン・シルヴェストル、
ラコトの孫であるカボサ奏者のパトリス・ラツィンバザフィの3人。
彼らはマダガスカルでは人間国宝的存在であったとのこと。
録音は彼ら1989年に来日した際に行われています。
まとめると、60を超えるおじいちゃん二人と孫による演奏ということです。

 楽器について。
まずソディナは竹笛のこと。
SODINA.jpg

解説ではインドネシアのスリン
SLIN.jpg


との類似が指摘されていますが確かに似ていますね。

ヴァリハは日本では竹筒琴と呼ばれ、マダガスカルを代表する民族楽器とのこと。
VALIHA.jpg

ドレミソラの5音階(ペンタトニック)であり、
筒の中心にある溝を中心として左右交互に音階が並んでいるのが特徴。
カブーサはギターの一種。
他、曲によっては太鼓類が加わるものもあり。

 爽やかで軽快なソディナ、力強いカブーサ、繊細な優美な音色のヴァリハ。
さすが国宝級だけに、達者な演奏で、朗らか且つ素朴な雰囲気も素晴らしい。
情緒豊かなメロディーはアジア的であり、
力強いビートと解放感はアフリカ的というところでしょうか。
マダガスカル独自の音楽性は確かに伝わりました。

 祝祭感たっぷりで、
昼ごはんにそばを食べた後に寝転がりながらこれを聴いていると、とても心地よいです。

Madagascar - The Valiha (Sylvestre Randafison)
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Véronique Vincent & Aksak Maboul/Ex-Futur Album

Véronique Vincent & Aksak Maboul/Ex-Futur Album
1980-83年 ベルギー
『アクサス、じゃなくてアクサク・マブール』

 なにこれ?アクサク・マブールの新作?えっ?三十云年振り?
違うの?ふむふむ・・・未発表音源集・・・・・・なるほど。
本作は80年から83年に録音された未発表音源をまとめたものだそうです。

 ベルギーのアヴァンギャルド系ロック・バンド、アクサク・マブール。
70年代後半、フレッド・フリスやクリス・カトラー、ユニヴェル・ゼロ、ヘンリーカウといった
ミュージシャン、グループと交流し、レコメン・シーンの礎を築いたグループです。
リーダー、マルク・ホランダーが生み出すアヴァンギャルドながらも愛嬌あるメロディーが
散りばめられた音楽。
一口では語れない音楽性ですが。。。
敢えて言うなら、民族音楽と現代音楽の融合を、
電化楽器と生楽器を絶妙によって試みたことで生まれたもの。
(・・・・・・何か違う気がするので)
youtube動画をどうぞ。こういうのをやっています!

 さて本作。
流れてくるのは女性ヴォーカルによる、ニューウェイヴ要素たっぷりのテクノ・ポップ。
どうやら、アクサク・マブールにも在籍していたヴェロニカ・ヴィンセントのソロ作を
アクサク・マブールの面々がバックアップした、というのが本作の成り立ちのようです。
アクサク・マブールとして触れてしまうと
「なんだ、このマイルドな音楽は!こんなのが聴きたいんじゃないやい。」
となるのでご注意を。

 ミステリアスなヴェロニカの歌声は魅力的。
80年代ならではのふわふわしたシンセに乗って、
民族色を隠し味にした不安定なメロディーを奏でています。
エフェクトが掛かったコーラスもたっぷりで、
別名義として楽しむなら随所にアクサク・マブール色も残っています。

「Chez les Aborigènes」
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Son Palenque/Afro-Colombian Sound Modernizers

Son Palenque/Afro-Colombian Sound Modernizers
2014年(編集盤)コロンビア
『アフロ・コロンビアンの温故知新』

 コロンビアの音楽と言われてもピンと来ないのですが、
カリブ海周辺に住むアフリカ系コロンビア人の間で伝えられた
アフロ・コロンビアン音楽というものがあるそうです。
カリブ海地域に於ける奴隷制度で虐げられた黒人たちが
コロンビアに逃亡、パレンケというコミュニティを形成。
そして日常を楽しむために音楽を作ったという訳です。

 ソン・パレンケは70年代後半から活動を続ける、
パレンケの音楽文化を継承しているグループ。
伝統を継承するだけでなく、ポピュラー音楽との融合も図っており、
コロンビア音楽を代表する存在として、近年はクラブ・シーンでも注目を浴びているそうです。

 本作はマニアックなワールド・ミュージックの再発に力を入れているレーベル、バンピ・ソウル
により編集されたベスト・アルバム。

 ポピュラー音楽との融合という点が肝であり、民族音楽としてのパッションは残しつつも
儀式的な冗長さなどは無く、グルーヴィーなノリの良さが強調されています。
ビートが強調されたダンス曲や渋くジャジーな曲もありつつ、
見事なポリフォニーで圧倒されたりもして、熱気ムンムンの内容で飽きさせません。

 30年の歴史に於いて姿を変えて伝統音楽が進化していくのを聴き通すのは、
なかなかにロマンあふれる体験。
 もちろん、カーニバルな雰囲気を演出するにはもってこいの一枚でしょう。

「PALENGUE PALENGUE」
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宮本典子/Rush

宮本典子/Rush
1980年 日本
『華麗なストリングスに彩られたソウル歌謡』

 去年、『NORIKO』で宮本典子入門を果たし、最近やっと二枚目を購入しました。
あのときはすぐ他のアルバムも買いたい、とか思っていたのですが
色々と物欲がせめぎあい、ついつい後回しになってしまいました。

 帯にはライトソウルという文字もあり、なるほど次作にあたる『NORIKO』に比べると
洋楽度が高くAOR~シティポップのイメージが強いアルバムです。
ただ一般的には
前作『VIVID』で挑戦した歌謡曲路線を本格的に導入したアルバム、
ということになっているみたいです。
この辺りは遡って聴いている自分とは印象が異なりますのでご了承ください。
作曲陣には林哲司、筒美京平、大野雄二、呉田軽穂といった面々が名を連ねています。
豪華メンツですね。当然ながら死角のない素晴らしい曲ばかりが収録されており、
『NORIKO』ほど歌謡曲由来の俗っぽさとハッタリこそ無いものの、
洗練された和製ソウルを楽しむことが出来ます。

 グルーヴィという部分ではちょっとおとなしめと感じましたが、
高品質な演奏と楽曲、そして相変わらずのパワフルな歌唱で大いに楽しむことが出来ました。
2枚のアルバムだけを聴き比べてもかなり違ったので、
プロデュースやレーベルの意向に翻弄されていた当時の状況も伺えて来て、
葛藤があったのだろうな、と想像させられました。
近々、ベスト盤もリリースされるとのことで、まだまだ再評価されている彼女。
次は初期のアルバムを、そのうちに聴いてみようと思います。

「炎の頃」
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