Poppy/Poppy.Computer

Poppy/Poppy.Computer
2017年 アメリカ
『ぴーおーぴーぴーわい、あいむぽっぴー』

 去年「いーすたーいーすたー」というきゃりーぱみゅぱみゅの曲が、仕事中にあまりにもヘヴィローテーションされすぎて、脳みそから離れなくなった体験をしました。(今年は無くて良かった!)それには及ばないものの、「ぴーおーぴーぴーわい、あいむぽっぴー。」という、この能天気なフレーズ、なかなかの脳みそこびりつき具合です。
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 ポピーは「コンピュータの中に住んでいるんだよ」などとのたまっておりますが、マサチューセッツ州ボストンで生まれた23歳の女性。歌手、作曲家、女優、ダンサーと多岐に渡って活躍しているそうです。平たく言うとタレントだと思います。幼少期よりマンハッタンのダンス・カンパニー、ロケッツに憧れを抱き、ダンスに夢中になっていたとのこと。ボストンの学校ではいじめを受けるようになり、その逃げ道として音楽の道を志すことになります。尚、彼女の父親はバンドのドラマーです。ポピーは2007年家庭の事情でナッシュビルに引っ越し、更に2009年、今度は自身が音楽活動をスタートさせるためにロサンゼルスへ移住します。2012年からソーシャルメディアを通じての音楽活動を開始。特にyoutubeでの活動で人気を集め、2017年本作でデビューすることとなります。

 正直、はっちゃけたお嬢さん、というイメージで見ていたので、自分で曲を作る人だと知って驚きました。さて音楽性ですが、彼女は日本文化からの影響を大きく受けており、音楽に於いても80年代から90年代に欠けてのテクノ歌謡からの影響が強いようです。何故そこに?という疑問は残りますが、確かに濃い遺伝子を感じます。全力で演じている風の闇を感じさせるほど、元気はつらつキャピキャピな歌唱と、緻密なプログラミングによるアレンジ、テクノ歌謡由来のポップなメロディー。これら3つの要素が彼女の音楽の特徴と言えます。中毒性は高く、「私は一体何を聴いているのだ。」と、おっさんが我に返っても、再び没頭してしまうほど。「ぴーおーぴーぴーわい、あいむぽっぴー。」と鼻歌しながらカートを運ぶ我、気持ち悪し。

I'm Poppy - Official Lyric Video
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Lucky Soul/ Hard Lines

Lucky Soul/ Hard Lines
2017年 イギリス
『ガール・ポップの面影はあんまりだけれども』

 イギリス発ガール・ポップ・グループのサード・アルバム。

 2004年グリニッジで結成。紅一点のヴォーカル、アリ・ハワードを擁した6人組グループ。これまで2枚のアルバムをリリースしていて、60年代ポップスとニューウェイヴの融合、と呼ばれたレトロなポップスを指向していました。
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 その2枚のアルバムも持っているはずですが、あまりのサウンドの変化に気が付きませんでした。7年の沈黙の間に何があったのか、デジタル・ディスコ路線へと路線を大幅変更しています。

 レトロなポップ・センスを生かしたデジタル・ディスコ。それはダフト・パンクじゃないか、と思ってしまいますが正解です。あるいはベリンダ・カーライルかな。艶やかさを増したアリ・ハワードのヴォーカルは時にマドンナを彷彿とさせるほど強力。ソフトな男性コーラスも絶妙。ちょっとビートに埋もれがちではありますが、バンドもグルーヴ感溢れるアンサンブルを披露しているところもポイントです。8分越えの曲を含めた11曲というボリューム満点な内容なので、疲れてしまうところが難点。久しぶりに正統派ポップスの収穫となりました。

No Ti Amo

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平井正也BAND/届く光

平井正也BAND/届く光
2017年 日本
『ソロで落とし物を拾う』

 マーガレット・ズロースのヴォーカル、ギター担当である、平井正也による自身の名義を冠したバンド作。実質、ソロ・アルバムだと思います。彼はバンドとは別にソロとして長く活動しており、自主盤でいくつかアルバムもリリースしていますが、流通に乗せたのは本作が初めて。
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 メンバー、編成は以下の通り。
平井正也(vo.g.マーガレットズロース)
船戸博史(wb.ふちがみとふなと)
鈴木亜沙美(d.僕のレテパシーズ、ミチノヒ)
鈴村まどか(key.PLUTATA)
うーむ、船戸博史しか知らない。僕のレテパシーズは好きなのですが、ドラムの方の名前を憶えておりませんでした。PLUTATAは聴いたことがありませんので、この後、調べてみます。

 初期のマーガレット・ズロースにあったフォーク要素がたっぷり詰まっているのが特徴。マーガレット・ズロースの最新作がロックンロールに特化したものだったことも影響しているのでしょう。棲み分けの意識が感じられます。フォークとは言え、若い頃にあった焦燥感や不安が歌われることはなく、ほのぼのとした日常が題材です。

 ヴォーカルはバンドよりもしっとりとした歌い口。震える歌声が穏やかな曲に合っています。隙間を多く作った心地よいリズムの波に、キーボードの清々しい音色が踊る、といった感じのバンド・アンサンブルも歌を活かしていて、とてもいい。
また、適度にラフなレコーディングがされており、これは平井正也のソロ作ならではの特徴。
このアルバムとマーガレット・ズロースの最新作。両方の魅力が合わさったとしたら最高なのだけれども、それが出来ない状況(多分時間と距離)があるということなのでしょう。

届く光、灯る光
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Gentle Giant/ Three Piece Suite

Gentle Giant/ Three Piece Suite
2017年 イギリス
『21世紀のGG入門ならこれ』

 変拍子と複雑なコーラス・ワークを駆使し、ジャズ、ロック、トラッドを融合した不思議な音楽を想像していたグループ、ジェントル・ジャイアント。一度、ハマってしまえば中毒性の高いジェントル・ジャイアントですが、取っつきにくいプログレッシヴ・ロックの作品群の中でも、別格のアクの強さを誇るグループなのです。そこで初心者にオススメしたい一枚としてご紹介したいのが本作。初期の3枚からセレクトされた編集盤です。
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 元々、①マルチ・トラックの発掘→②高音質盤の発売、という流れで発掘作業を進めていたのですが、全ての楽曲の音源を揃えることが出来ず、再発を断念。発見出来たマルチ・トラックのみを集めて、リリースすることになったのが本作ということだそうです。

 これまでの盤とは一段次元の違う、くっきりとしたサウンドで楽しめます。例えば「Why Not?」に於けるギターソロのバックの掛け声のところや、「Pantagruel's Nativity」の折り重なる管楽器とコーラスの重層的な感じ。頻繁な楽器持ち変えによる複雑な演奏の妙がより楽しめる仕上がり。これはアルバムを既に持っている人にもおすすめ出来る内容です。

GENTLE GIANT - THE HOUSE, THE STREET, THE ROOM (Official video)
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Tony Allen/The Source

Tony Allen/The Source
2017年 アメリカ(ナイジェリア出身)
『レゲエのリズムとロックの熱狂、テクノの没入感。全部入ってジャズ』

 ナイジェリア出身。アフロ・ビート・ドラマーの巨匠、トニー・アレンのブルーノート・デビュー・アルバム。(←宣伝文そのまま)色合い、レタリング共にブルーノートらしいジャケだったので、ついつい聴いてみました。
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 トニー・アレンは元々、ナイジェリアのラジオ局で働いていたそうです。そうした中でアート・ブレイキーの音楽に感銘を受けて、ドラムの演奏を始めることに。60年代にはフェラ・クティのメンバー・オーディションを受け、彼のバックでドラム、パーカッションを担当。アフロビートの感覚を身に付けました。その傍らで、自身のソロ作も多く発表しており、本作はフル・アルバムとして20枚目にあたります。

参加メンバーは以下。
Mathias Allamane(b) Jean Philippe Dary(p) Indy Dibongue(g) Yann Jankielewicz(ss) Nicolas Giraud(tp) Nicolas Giraud(flgh) Jean-Jacques Elangue(ts) Rémi Sciuto(bs) Rémi Sciuto(as, fl) Daniel Zimmerman(tb,tuba) Vincent Taurelle(clavinet) Tony Allen(ds)

テナー・サックスとしてクレジットされているヤン・ジョンキエレヴィックスは、共同プロデューサー的な立場でアルバムの方向性を決めた人物とのこと。また上には記載されていませんが、ゲストとしてブラーのデーモン・アルバーンがキーボードとして参加しています。トニー・アレンはセッション・ドラマーとしても活躍しており、デーモン・アルバーンとも共演しているのでその縁でしょう。その他、多彩な楽器が揃ったビッグバンド編成でのセッションとなっています。

 2017年の初めにはアート・ブレイキーのトリビュート盤も発表しており、且つビッグ・バンドでの演奏ということで、モダン・ジャズ以降の伝統を受け継いだ、アフロ・ビート・ジャズをやっています。ゆったりとしたグルーヴを作り出すトニー・アレンのパーカッションとスペーシーなピアノが鮮烈。ふくよかなサックス群のうねりと合わさって、とても神秘的に響いています。てっきりケニー・ドーハムのようなアフロ・キューバンだろうと思っていたのですが、レゲエのリズムとロックの熱狂、テクノの没入感が加わったジャズとして想像を上回るインパクトがありました。

Tony Allen - Ewajo (Album The Source, 2017)
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