Amy O/Elastic

Amy O/Elastic
2017年 アメリカ
『ジャケとは裏腹にパンキッシュ』

 ジャケから受ける印象ではフォーキーな女性SSWかな(レスリー・ダンカンっぽい)、と思っていたのですが、ギターリフが小気味よく刻まれる、パンキッシュなロック・サウンドが展開されています。
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 インディアナ州ブルーミントンを拠点として活動する二人組の女性デュオBrenda's Friendに所属しているエイミー・エルスナーによるプロジェクトとのこと。ソロ・プロジェクトながら鍵盤を含む5人編成のバンドとなっています。

 チープで可愛らしさを演出するシンセ、物憂げな女性コーラス、ギターリフが丁寧に折り重なっているところが聴きどころ。演奏は総じてラフであり、シンプル。疾走感のみを大事にしています。その分、メロディーの展開は凝っており、気まぐれな鼻歌のような楽曲群は無邪気な魅力があり。

Sunday Meal
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カーネーション/SUBURBAN BAROQUE

カーネーション/SUBURBAN BAROQUE
2017年 日本
『ライブを体験したくなる』

 思いついたことを詰め込んだのが前作(ジャケットのイメージ通り)だったなら、バンドの躍動感を強調させたのが今回の新作だという印象。

 結成からの年月が経って、改めてバンド・サウンドのかっこよさを追求しており、厚みのあるアンサンブルは聴き応え抜群。脱退している矢部浩志が11曲中7曲でドラムを叩いている他、松江潤がギター、佐藤優介と藤井学が鍵盤で参加。
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 序盤3曲はメンバーがほぼ固定されているので、セッションの臨場感も伝わりワクワクさせてくれます。中盤でもトロッグスを彷彿とさせる迫力のビート、ツェッペリンのようなエキゾチックな旋律とグルーヴをビリビリと感じる充実の内容。音楽を浴びることの楽しさをシンプルに提供してくれているのが最高です。
  
 ブックレットには湯浅学氏のライナーがあり。THE ENDのアルバム以来、久しぶりの遭遇がカーネーションでうれしい。聴けば聴くほど音楽に対して謙虚になる、というお言葉、心しておきます。

Peanut Butter & Jelly
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Chris Thile & Brad Mehldau/Chris Thile & Brad Mehldau

Chris Thile & Brad Mehldau/Chris Thile & Brad Mehldau
2017年 アメリカ
『ジャズだけどジャズで敬遠されたらもったいないってアルバムがある』

 ジャケットに惹かれ、1分ほど試聴した後に購入したアルバムです。ピアノとマンドリンの打ち付けるような演奏に情緒豊かな男性ヴォーカルが乗る、というスタイルで、ジャンルはジャズとなっていました。
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雰囲気がいいジャケ、としか言えないのですが好きなジャケです。

 ブラッド・メルドーはフロリダ州出身。1970年生まれの47歳。95年にデビュー作を発表して以来、現在まで19枚のアルバムを発表しているジャズ・ピアニストです。フリー・ジャズを交えた叙情的なメロディー展開が魅力。近年は様々なジャンルのミュージシャンとの共演作を発表しており、本作のその流れに乗っています。ジャズのみならず、クラシックやロックにも興味を持っており、しばしばジャンルを横断している点もポイント。

 クリス・シーリはプログレッシヴ・カントリーのグループとして知られるパンチ・ブラザーズのマンドリン奏者。そういえば、パンチ・ブラザーズの最新作はここでレビューしていたような・・・していましたね

 二人は共にノンサッチというレーベルに在籍しており、その縁でデュオを組んだのでしょう。

 ジャンルはジャズとなっていますが、メロディーはポップで優しいものが多く、とても聴きやすいです。収録曲はオリジナルとカバーが半々という構成。ディランの「Don't Think Twice, It's All Right」やビリー・ホリデイの「I Cover the Water Front」を取り上げています。マンドリン、ピアノ、ヴォーカルというシンプルな構成ながら、寂しいフォーク・ナンバからダイナミックで幻想的な、まるで初期ジェネシスのようなプログレ・ナンバーまで、表情豊かな楽曲群で楽しませてくれます。

 一粒一粒の音がくっきりしていてとても綺麗なピアノ。ブラッド・メルドーという存在を知ることが出来て良かったです。クリス・シーリの在籍するパンチ・ブラザーズの旧作共々、色々集めてみようかな。

 輸入盤で買ったのですが、日本盤が出ているらしくそちらではボートラも入っている模様。買い直そうと思います。

Chris Thile and Brad Mehldau - Don't Think Twice It's Alright (Dylan Cover)
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MR.BIG/Defying Gravity

MR.BIG/Defying Gravity
2017年 アメリカ
『黄金期は原点では無かった。』

 今調べてみると自分のMR.BIG歴は『ACTUAL SIZE』までで終わっていました。一度の解散を挟んだものの、オリジナル・メンバーで再結成。通算8枚目のアルバムです。
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 プロデューサーには黄金時代を支えていたケヴィン・エルソンを起用。またパット・トーピーがパーキンソン病を患っている為、ドラムの録音にもサポートが付いています。

 「原点回帰」という煽りを前面に出している本作。アコースティックなバラードや躍動感とポップなメロディーが合わさったロック・チューンが収録されており、その意図は十分伝わります。元々、フリーの「MR.BIG」という曲名から取られたバンド名を冠しているだけに、ヘヴィなリフを主軸としたブルース・ロックがいくつか収録されているのがポイント。これがポップな楽曲よりも主張が激しい為、全体的には地味で渋い印象を受けてしまう結果に。『LEAN INTO IT』制作スタッフが再び集結、などと書かれているのでついつい比べてしまうのですが、華やかさ、曲のクオリティで足りていないと思います。とびきりポップなキラーチューンや有無を言わさぬ勢いが無いので仕方ありません。

 ただ比べることを止めれば、どっしりとしたグルーヴ感が楽しめるブルース・ロック作として十分な出来だと思います。変わらぬソウルフルな喉を披露しているヴォーカルを初め、
年相応の落ち着きを見せる各メンバーそれぞれの演奏は相変わらず素晴らしい。
『LEAN INTO IT』制作スタッフ云々を抜きにして、もう一度原点回帰というキーワードで連想すると、
ファーストってこういう地味で渋いアルバムだったかもしれない、などと思いました。

Defying Gravity
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徳永憲/信じるに値しない男

徳永憲/信じるに値しない男
2017年 日本
『滋賀が寒いところだということが良く分かる』

 10作目。前作発表後、東京から故郷の滋賀へと転居しており、再出発の1枚となります。
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 ギター弾き語りをベースに宅録機器を駆使して制作するというスタイル。ここ数枚はポップになったり、ロック度を増したりしながら、どんどん耳馴染みが良くなっていったという印象でした。ゲストの参加による音もカラフルになっていました。
しかし新作はかなり硬派。特に前半の曲ではサビがサッパリとしており、いつものドラマティックな曲展開は控えめです。代わりにトラッド由来の寒々しさが強調されていて、冬の厳しさが伝わってくるような聴き心地。録音機材も前述のようにシンプルなので、音も概ね白と黒の世界の如し。帯にもありますが、初期の作風へと回帰しようという意図を感じます。内省的な徳永憲の本質を改めて確認出来ました。

序盤の3曲は、沈み込むような打ち込みのドラムとフルートがダークでオリエンタルな雰囲気を醸し出しており、レッド・ツェッペリンの「III」を思い出しました。

 アルバムタイトル「信じるに値しない男」はインパクト十分の言葉。長らく彼の音楽を楽しんできたので「そんなことない」と反駁したい所ですが、ご本人がそういっているのだからそうなのでしょう。故郷に帰って最初のアルバムタイトルで、信じるに値しない男だと表明している。田舎から上京して帰郷、と言う流れから来る悲哀を連想する言葉。僕は彼が信じるに値しない男だと受け入れつつ。今後、滋賀から登場する新作を、待っていようと思います。

雪の結晶
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