10speed/10speed

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1998年 アメリカ ロサンゼルス
『世紀末にもロック・ヒーローは居た』
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 1998年。彼らはロック・ヒーローになることを決意した。
ザクザクと刻まれるリフと太いビート。80年代以降失われていた、
ハッタリと情熱がたっぷりと詰まったサウンドを引っ提げて。

 テレビの音楽番組では、セリーヌ・ディオンとマライア・キャリーが引っ張りだこ。
ゴージャスな女性歌手によるポップスは、ゴスペルやR&Bといった黒人音楽由来のものが多く、
リズム、グルーヴを重視したサウンドが特徴でした。
一方ロックの人気も未だ健在。
大きなスタジアムではAC/DCやストーンズ、エアロスミス、ボンジョヴイといったベテランが活躍していました。
だがしかし。活躍しているのはベテランばかり。
新しいロック・ヒーローは現れていなかったのです。

 そんな時代。
アメリカのレーベル、A&Mに持ち込まれた新人グループの音源から聴こえてきたのがこんな音楽。

Give A Damn


デヴィッド・ボウイやクィーン、キッスといった70年代黄金期を彷彿とさせるロック・サウンド。
特に顕著なのはデヴィッド・ボウイを始めとするグラム・ロックの影響です。
溢れるハッタリと高揚感。
A&Mはその新人グループ、
10スピードに『20世紀最後のロック・ヒーロー』のキャッチ・フレーズを与え、デビューさせたのでした。


ただ10スピードの本領は、グラム・ロックの伝統を受け継ぐだけではありませんでした。

It Makes Me Crazy


 作中からは明らかにグラム・ロックとは異質な強靭なグルーヴ感が感じられ、
黒人音楽(この曲だとフィリー・ソウル)からの影響を受けていることが分かります。
彼らの隠されたもう一つの武器、それは濃厚なブラック・フィーリング。
その音楽性は本来であれば、
同時代に活躍したレニー・クラヴィッツと比較されてもいい存在だったのかもしれません。
しかしブラック・ミュージックが流行していた時代にはインパクトが必要。
そこで『20世紀最後のロック・ヒーロー』という大上段で勝負に出たのでした。

 結果として彼らは残念ながら本作のみで解散という悲しい結末を迎えてしまいました。
音楽ビジネスがひたすら巨大化していたあの時代、
ノスタルジーが入り込む隙間は無かったということでしょう。

 成功こそ出来なかった彼らですが素晴らしいアルバムを残してくれました。
このアルバムはいつ聴いても、ロックならではの高揚感をもたらしてくれます。
彼らは、僕にとって「世紀末のロック・ヒーロー」です。

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コメント一覧

#883 No title
ご無沙汰です!あいかわらず掘り出し物を聞かれておりますね。
#884 Re: No title
rw様 こんにちは

> ご無沙汰です!あいかわらず掘り出し物を聞かれておりますね。

これは僕のとっておきなのですよ。
そうなってしまっているのもちょっと悲しいのですが。
是非聴いてみてください。

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