森鴎外/山椒大夫・高瀬舟

森鴎外/山椒大夫・高瀬舟
1915年~ 日本
376p 読書期間7日
『偉い人』

 森鴎外には中学くらいに読んで以来、触れて来ませんでした。
この本の内容も完全に忘れており、久しぶりの再読です。

 森鴎外の生い立ちなどについては割愛させていただきます。
他のHPをご覧ください。
軍医を経験しエリートでもあった彼は、道徳や教訓を多く含んだ小説を得意としています。
鴎外のモットーは足るを知る、です。
また愛国心も高く、作品から軍国主義の雰囲気がプンプンするのも特徴でしょう。
本書は彼の代表的な短編を11編まとめたものとなっています。以下、簡単に感想を述べます。

尚、今回はあらすじを割愛しており、その代わり、タイトルより「青空文庫」にリンクを貼ってみました。
短い話も多いので気が向きましたら是非読んでみてください。


銀の杯はいらない、この小さな杯がいいのだ。
とのことですが、全く真意が測りかねます。
自然主義に対する反抗心、というものを表しているという解釈がされているようです。
主人公の少女の凛々しい姿だけは伝わりました。

普請中
日本はまだまだ普請中(自分自身も)なのだから昔の女のことにかまってなどいられないのだ、
という硬派なおっさんの話。
という解釈でいいのかな。
わざわざ外国から訪ねてきた女に対してこのつれない態度はなかなかにひどい。
だけれども、ハードボイルドな姿はかっこいい!

カズイチカ
鴎外の医者時代の自伝的短編でしょうか。
どこか、ほのぼのとした3つの症例の話が楽しい。

妄想
主人公の老人が若き日を回想、
していると見せかけて鴎外の思想をつれづれなるままに書いております。
難しい。もうそれだけ。

百物語
人生の傍観者、という価値観自体、自分にはまったく共感出来ないテーマ。
ただ、寂しいんだろうな、ということだけは伝わりました。
「あー、もう人生やる気なし!」という状況になった時にまた読んでみたい。

興津弥五右衛門の遺書
現代っ子の自分としては「そんな理由で死んじゃうの?」という言葉に尽きる。
でも武士道の価値観を知るうえではとても分かりやすいお話でした。

護持院原の敵討
鬼平犯科帳などで知ってはいたのですが、昔の敵討ちって大変だったのですね。
現代の日本でもしこれが認められていたら、
防犯カメラもあるし、かなり効率的に処理出来るな、と考えてしまいました。
スッキリ解決で読後感良好。

山椒大夫
ひたすらひどい目に合わされる姉と弟。おしんのようだ。

二人の友
友に対する冷静な評価振りがえぐい!さすが人生の傍観者は違うぜ。
違うよ、それは友じゃないよ、という気持ちになってしまう自分がいた。

最後の一句
 お金を持ち逃げした父の身代わりとして死罪となった長女いちのまっすぐな態度が、
現代っ子(二回目)の自分には怖すぎました。
躊躇や葛藤が全く描写されていないとは・・・・・・。
加えてこの時代の人たち(あくまで一部だと思いますが)の命に対する価値観にも衝撃を受けました。

高瀬舟
まさに「足るを知る」を表現した代表作。
死を望む相手に対する真心、というテーマも加わっているのもポイント。
重い話なのに何故か清々しい読後感があり。

総じて感情を押し付けずさっぱりとした読み応えが素晴らしい。
一方で確固たる信念が伝わってくるので、それを受け止められないとキツいかもしれません。
僕は鴎外の「友」にはなれそうにない。
多分、門前払い。
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