アイラ・レヴィン/死の接吻

アイラ・レヴィン/死の接吻
1953年アメリカ
中田耕治訳 377p 読書期間 7日
『次々に襲い掛かる不測の事態に、
いつしか殺人を応援してしまう』


 ミステリーの名作としてよく上がる作品。

 最初の章は、犯人の視点で物語が描かれます。
大学生である彼は財産目当てでドロシイという同じ学校の女学生と恋人になるのですが、
交際を続けるうちに彼女が妊娠していることが判明。
自殺に見せかける殺人を決意するまでの心理や
実行に至るまでの様々な障害にやきもきさせられました。
何故か殺人を応援してしまっている自分がいました。

 次の章。前章で触れていたドロシイが三姉妹の末娘であるという記述。
ここでは次女であるエレンが自殺であるという報道に疑問を持ち、
犯人捜しを開始します。
ここでふと思い至るのが、そういえば前章で犯人の名前を聞いていなかった、ということ。
この章では二人の容疑者が登場。
どちらが犯人なのだ!と楽しませてくれる仕掛けが楽しいです。
ちなみにどんでん返しがあり、まんまと引っ掛かってしまいましたが、その方が面白く読めます。

 最後の章は長女、マリオンの章。
最後までどうなるか全くわからない展開で一気に読ませます。
よくある犯人との対決シーンも緊迫感が凄い。

 アイラ・レヴィンは本作発表後、劇作家として活動を始めたそうですが、
そんな経歴も納得できるダイナミックな展開が続く、評判に違わぬ面白いミステリーでした。

 犯人はとても身勝手な性格。
しかし「財産目当て」というシンプルな目的に向かって頑張っており、
「三女」が駄目なら「次女」で、「次女」が駄目なら「長女」で、とある意味一本気なので、
憎み切れません。
周りの人間を自分より下に見下している態度も、
後々の展開(犯人と見破られた後)を思えばオイシイ要素。
愛すべき悪役です。
物語終盤、引き継ぐ予定の製銅工場ではしゃぐ彼はとてもキラキラしています。
それに反して三姉妹がかなり物足りない感じですが・・・・・・
話を成立させるためには仕方ないかな。

 見事にハマってしまいました。
アイラ・レヴィンの2作目は10年以上インターバルを置いており、
1967年の「ローズマリーの赤ちゃん」。
こちらも名作と呼ばれていますので、近いうちに読んでみようと思います。
翻訳が違う方なのが気になるところですが大丈夫でしょう。
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