五つの赤い風船/おとぎばなし

五つの赤い風船/おとぎばなし
1969年 日本
『野心が顔を出したファースト』

 「おとぎばなし」というタイトル、ポップなイラスト・ジャケに油断して再生ボタンを押すと、
ピアノ・ソロとエコーが掛かった呟きによるドロドロとした曲が始まり、ギョッとなります。

 本作は五つの赤い風船の代表作とされるファースト・フル・アルバム。
録音には4人のメンバー(西岡たかし、中川イサト、藤原秀子、長野隆)の他、
ジャックスの木田高介、つのだ・ひろ、谷野ひとしが参加しています。

 一応、グループのアルバムのはずですが
前述した冒頭の「私は深い海にしずんだ魚」や次の「青い空の彼方から」は
西岡たかしの弾き語りのみで構成。
他にも中川イサトによるギター弾き語り「一滴の水」、
長野隆がジャックスの面々とセッションした「叫び」など、
メンバーがバラバラに作り上げたと思しき曲がいくつか入っています。

 音楽性もバラエティに富んでおり、
ジャックスが絡んだフォーク・ロックからドノヴァンなどの影響を受けたアシッド・フォーク、
ポエトリーディング、そして従来のハーモニーが美しいフォーク・ソングと盛り沢山。
サウンドとしてはロックが最も混沌としていた1968年の空気を一年遅れで
吸収、発散しているような印象を受けました。
当時、実験的であった多重録音も使われています。
それでいて初期のイメージであるコーラスが印象的な
爽やかな楽曲も残しているバランスの良さ。
そのあたりが、本作が支持されている所以でしょう。
鳥取民謡を洋楽アレンジした「貝殻節」や中川イサト、長野隆による提供曲を含んでおり、
一番グループらしいアルバムになっていることもポイント。

 今聴くと時代の流れはもちろん感じるものの、反戦歌も含めて、
あの時代の若者の空気感を感じることが出来るロマンあふれるアルバムです。

「貝殻節」


オリジナル・ヴァージョンはyoutubeに無かったので西岡たかしによるセルフ・カバーをどうぞ。
エコーがたっぷり掛けられており、風呂場の鼻歌の如き、とろとろな雰囲気が特徴です。
本作に先立つ1966年にテレビドラマの挿入歌として、
この民謡が使われて流行したのだそうです。
一般的なヴァージョンはこちら

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