Punch Brothers/The Phosphorescent Blues

Punch Brothers/The Phosphorescent Blues
2015年1月 アメリカ
『これが進化型アメリカーナなのか』

 これが進化型アメリカーナなのか・・・
軽快なマンドリンによるアルペジオのソロに乗ってヴォーカルの寂しげな独唱、
やがてフィドルとバンジョーが包み込むように登場。
聖歌由来のクワイアを始めとして、
クラシック、エレクトロ、デジタル・ロック、など様々な音楽要素が混ざり合う、
まるでプログレッシヴ・ロックのような様相。
そう思ってしまうのも道理、1曲目から10分を超える大作ナンバーでした。

punchb.jpg

 パンチ・ブラザーズは2006年に結成されたグループ。
ニューヨーク、ブルックリンを拠点としており、
5人編成(マンドリン、フィドル、バンジョー、ギター、ベース)で活動しています。
音楽スタイルとして「プログレッシヴ・ブルーグラス」を標榜。
(やっぱりプログレッシヴが付くのか!)
中心人物はマンドリン奏者のクリス・シーリー。
以下、彼の生い立ちと共にグループのプロフィールについて触れていきます。
81年にカリフォルニア州オーシャンサイドにて生まれたクリス・シーリー。
音楽一家で育った彼は5歳でマンドリンを弾き始めます。
そして8歳になったとき、シーリー家がご近所のワトキンス家と組んだブルーグラス・グループ、
ニッケル・クリークの一員として参加します。
彼らは学校と一家団欒の合間を縫って、2枚のアルバムを制作し、ツアーも敢行したそうです。
2000年代に入り、クリスを中心としたトリオ編成となっていた彼らは
ヴァイオリニスト、アリスン・クラウスと出会います。
そして彼女のプロデュースのもと、格段の進歩を遂げたサード・アルバム『Nickel Creek 』を発表。
これがグラミー賞ノミネートを果たし、ブルーグラス・グループとして知名度を獲得することになります。
そんなニッケル・クリークも2007年に解散。
次なるグループとしてクリスが組んだグループがパンチ・ブラザースでした。
ニッケル・クリークの後期で追及していたブルーグラスのプログレ化を進行させた音楽性であり、
事実上、後継グループのような存在と言えるでしょう。
アルバムをこれまで3枚リリースしているのですが、
解散していたはずのニッケル・クリークが昨年再結成。(クリスももちろん在籍)
音楽性が酷似している本グループの存在意義が危ぶまれる中、
4枚目のアルバムである本作が発表されました。

 先述した通り、10分台の大作からスタートする本作。
大作はこれ限りですが3曲目にはドビュッシーのカバー「パスピエ」(ベルガマスク組曲より)
を収録するなど、一筋縄ではいかない内容。
時に熱く、時に静かに、歌い分けるヴォーカルと
幾重にも重なる弦楽器が奏でる心温まる旋律はとても魅力的です。
(基本的にドラムレスですが一部入っている曲もあり)
内省的なバラードから激しいロック・チューンまでふり幅が目まぐるしいものの、
根っこにあるブルーグラスの田舎らしく素朴なノリがあるので、
リラックスして楽しめるアルバム。
生粋のカントリー・ファンに受けるとは思えませんが、
一部のyoutube動画は20万越えの再生回数となっており
アメリカを中心にかなりの人気を誇っているようです。(日本語の情報はあまりありませんでした)
レディオヘッドやコールドプレイなど
様々な音楽性を融合したロック音楽が好きな方には是非おすすめしたいグループです。

「I Blew it Off」

アルバム中でも最もエモーショナルなロック・ナンバー。
メロディーはあくまでもカントリー寄りでらしさを残しながら、
爽やかな歌声とコーラスでポピュラーな音楽に仕上げています。

「Passepied」

1曲だけだと、このグループの魅力が伝わらないと思うのでドビュッシーのカバーもどうぞ。
ガラリと雰囲気を変えたクラシック・ナンバーのカントリー・アレンジ。
オーディエンス動画で全く様子が伺えないのが難点ですが、
演奏レベルの高さは十分伝わりますね。

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コメント一覧

#560 No title
GAOHEWGII様、こんばんは。

これは、すっごい聴き応えありますね。
パッと聴くとプログレッシヴでごった煮ですが、
カントリーさながらのイナタイ雰囲気と、田舎臭くほんわかしたメロディが前面に出ていて意外と親しみやすかったです。
知性派のオルタナロックって感じもしますね!

カントリー・ブルーグラスは、
国内では旧態然としたイメージが未だに残ってるので、
若手のリスナーには敬遠されがちのが残念ですね。
#563 Re: No title

Choco16様 こんばんは
コメントありがとうございます。

気に入っていただけて何より。
さすがベテランだけにスケールの大きな音楽をやっていると思います。

> カントリー・ブルーグラスは、
> 国内では旧態然としたイメージが未だに残ってるので、
> 若手のリスナーには敬遠されがちのが残念ですね。

そこですよね。
少ない若手洋楽ファンにもアピールする音楽だと思うだけにもったいない。
情報を貪欲に取り込もうとしているファンも多いのですが
「その雑誌に載っている音楽なんて全体からしたら豆粒程度なんだぜ!」って話ですよ。
(暴走気味でごめんなさい)


> GAOHEWGII様、こんばんは。
>
> これは、すっごい聴き応えありますね。
> パッと聴くとプログレッシヴでごった煮ですが、
> カントリーさながらのイナタイ雰囲気と、田舎臭くほんわかしたメロディが前面に出ていて意外と親しみやすかったです。
> 知性派のオルタナロックって感じもしますね!
>
> カントリー・ブルーグラスは、
> 国内では旧態然としたイメージが未だに残ってるので、
> 若手のリスナーには敬遠されがちのが残念ですね。

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