レイモンド・チャンドラー/ロング・グッドバイ

レイモンド・チャンドラー/ロング・グッドバイ
1953年 アメリカ
村上春樹訳 711p 読書期間 1ヶ月
『小説の登場人物に本気でイライラ』

 前回から随分、間隔空いてしまった読書感想。
色々と読んではいたのですが途中で挫折したり、
感想が出てこなかったりで(面白かったけれども)、
何冊かスルーしていました。

 今回読んだのは、ハードボイルドなミステリー小説の金字塔とされている作品。
今回は村上春樹訳を選択しました。

あらすじ(amazonより抜粋)

私立探偵フィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリー・レノックスと知り合う。何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。が、その裏には哀しくも奥深い真相が隠されていた。

 とにかく、この本は文章がすらすらと入ってくるという印象。
読みやすく理解しやすい、文章がイメージしやすい。
それが楽しいのです。

 そして登場人物たちのハードボイルドな佇まいも魅力でしょう。
いちいちカッコつけて権力に反抗する態度を見せるのに、
なすすべもない主人公のマーロウを始め、
ダメ人間テリー、アル中作家ウェイドなど読んでいて
本気でイライラさせられてしまったのは久しぶり。
特に主人公には共感できない部分が多かったのですが、
(報酬は素直に受け取ろう)
それだけ読者の感情を揺さぶることが出来るのは凄いことです。

 謎解きに関してはある程度結末が読めてしまったので、
ドキドキしませんでした。
ただ先が読みたくなる展開ではありました。
そしてラストのやり取りはかっこつけすぎだろう、と思いつつも
惹きつけられました。

 700p越えの文量が少し長く感じました。
展開に関して言えば、ウェイドという作家との関わり合いを描いたパート。
特に彼の居場所を探す際に様々な医者に会いに行くところは
「どーせ、みつかるんだろ、サッパリと流そうよ。」
と思ってしまいました。
そして、村上春樹は、最初の翻訳にあたる清水俊二訳で省略されていた部分を
原書に忠実に訳した、とあとがきで語っています。
確かにレイモンド・チャンドラー の細かな描写は読みどころなのですが、
クドイ。
この横道に逸れるのが魅力の一つらしいのですが自分は入り込めませんでした。

 このように不満を感じつつも
文章の魅力で大いに楽しめました。

 そういえば、あとがきが50pほどもあったのには驚きました。
最初の翻訳である清水俊二訳を褒めつつ、
自分が翻訳することの意義を語るところが
「好きなものを翻訳したいために言い訳をひねり出す」
ような強引な熱意が感じられて良かったです。
村上春樹、おちゃめじゃないか。
でもいつか清水俊二の訳も読んでみよう。
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