THE YEARNING/Dreamboats & Lemonade

THE YEARNING/Dreamboats & Lemonade
2014年7月 イギリス
『米ソフト・ロックへの憧憬が生んだ、2014年、幻の夏』

 フィル・スペクター直系のソフト・ロックを現代に甦らせたイギリスの新星、
ジ・ヤーニングのデビュー作。
去年の夏にリリースされており、キラキラとした煌びやかさ、
または陽炎のようにゆらゆらとした幻想ムードに包まれています。
残念ながら冬真っ盛りな今日この頃ですが、アルバムの魅力はまだまだ健在。

 ジ・ヤーニング(憧れ)は2012年、
作曲を担当するジョー・ムーアによる自分のスタジオ・プロジェクトを持ちたい、
という思いから結成されました。
スタジオのメンバーとして名を連ねているのは11名。
作家であるジョー・ムーア、現在17歳の歌姫マディー・ドビー、
もう一方のヴォーカル、ユスティナ・ハラス、
ギターのゴルダン・キャンベルとマーク・キフ、
チェリストであるゾーイ・メデス、等々といった面々です。
Yearning.jpg

 前述の通り、60年代アメリカを想起させるソフト・ロック・サウンドをやっている彼ら。
エコーの掛け具合、コーラス、壮麗なストリングスなどからは
フィル・スペクターやブライアン・ウィルソンへの憧れが感じられます。
ただし音の壁はそれほどでもなくすっきりしているのがポイント。
またメロディーはモータウンやゴールデン・ポップスの流れを汲んでいるので、
ノスタルジックな味わいが濃厚です。
ここまで英国要素はゼロですが、暗くメロウな作風や、
フルートやチャイムなどの繊細なアレンジからは英国気質を十分に感じ取れます。

 アンサンブル面においては、
元々プロジェクトとして集められただけにバンドらしさは皆無。
しかし、メルヘンチックな世界観を見事に演奏しきっています。
看板ヴォーカリスト、マディーの歌声は舌足らずで少女性を感じさせ、
ドリーミーなイメージを増幅させており、とても魅力的。

 発掘された50年代ガール・ポップと錯覚しそうな本作。
何も新しいことはやっていないのですが、
その実、ソフト・ロックのフィルターを通して50年代をやろうというコンセプトは洗練されており、
現在だからこそ聴ける音楽なのかもしれません。
アメリカを研究し尽くしたうえで、イギリスらしい憂鬱も捨てていないソングライティングも見事です。

「If I Can't Have You」


50~60年代の音楽番組へのトリビュートが詰まったクリップから、並々ならぬ拘りが伺えます。
マディー・ドビー嬢の可憐なイメージで売っていこうという潔さも良し、
と思いきや徐々に暗がりの奥からメンバーが顔を出し始め・・・・・・いいですね。

※直輸入盤(解説付き)が出ています。ダウンロード・コードもあり。
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