Maz O'Connor/ This Willowed Light

Maz O'Connor/ This Willowed Light
2014年7月 イギリス
『EFDSS(って何だ?)からの刺客、現る!』

 鼻歌のように、自由に囁くように日常を歌う感じ。
さりげなく美しい歌声。
彼女のアルバムを初めて聴いたとき、
かつて70年代にB&Cレーベルなどよりリリースされていた
英フィメール・フォークの名作群を思い出しました。

 マズ・オコナーはロンドンを拠点に活動する女性SSW。
学生時代よりEFDSS(English Folk Dance and Song Society)という組織に属し、
奨学金を得て英国フォークの勉強を行っていたようです。
キック・スターター(久々に登場!)のサポートなども得て
2011年にEP『On Leaves or on Sand』でデビューした後、
2012年にファースト・アルバム『Upon a Stranger Shore』を発表。
本作はそれに続くセカンド・アルバムとなります。

 EFDSSなどというゴツい団体に入っていることからも分かるとおり、
筋金入りの英フォーク・マニアであり、70年代英フォークの伝統を守った音楽性が特徴です。
ただしアメリカン・フォークやカントリーの影響も混ぜ合わせており、
いわゆる「米国憧憬の英フォーク」サウンドとなっているのがポイント。
渋すぎず、親しみやすいメロディーなのでフォーク初心者でもすんなり聴ける音楽だと思います。
maz-oconnor.jpg

 最初に述べたようにとにかく歌声がさりげなく美しい。
21世紀の何たら、などと形容するほど大仰に語る必要もなく、
聴こえてくれば、ハッと耳を惹きつける清廉さをもった穏やかな歌声です。
そして楽曲も素晴らしい。
ウェールズで活躍した、婦人参政運動の活動家、
エミリー・ワイルディング•デイヴィソンについて歌った「Derby Day」、
アメリカ開拓史を扱ったトラッドをフェミニストの視点で改作した「The Mississippi Woman」、
ピート・シーガーやスティーライ・スパンを始め、
多くのミュージシャンに歌い継がれてきた子守唄「The Grey Selkie」の新解釈でのカバーなど、
練られたテーマによる歌が揃っており、
もれなく英米折衷ならではの温かみのあるメロディーで彩られています。
「Awake Awake」で始まり、「Night Cap」で終わる構成も見事。捨て曲なし。

 プロデュースは新世代英フォークを代表する若手の一人、ジム・モレーが担当。
マンドリンなど様々な楽器を操るマルチ・プレイヤーの才と、
プログラミングなどを駆使した伝統音楽の大胆なアレンジ能力を持った人物です。
プロデューサーとしての経験は少ないながら、
マズ・オコナーにとって強力な助っ人となったことでしょう。
エコー、シンセサイザー、プログラミングによる鮮やかでダイナミックなアレンジと、
ピアノ、トランペットなどによる、ふくよかでオーソドックスなアレンジを使い分けており、
素晴らしい(ゴージャスな)仕上がり。
尚、彼はプロデュースの他、ドラムをほぼ全編で担当している他、
曲によってはハモンド・オルガン、マンドリン、ピアノ、ギターでも参加しており、正に大活躍。

「The Mississippi Woman」
 

 軽やかで気負わない歌声はやはり魅力的。
本文でも書いた通りこの曲はトラッド改作ですが、
ジョニ・ミッチェル度が高くなっているのもポイントです。
ハモンド・オルガンとチェロが穏やかに溶け合う序盤から、
ドラムが入り躍動する後半まで構成も文句なし。
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