リュドミラ・ウリツカヤ/ソーネチカ

リュドミラ・ウリツカヤ/ソーネチカ 沼野恭子訳
1992年 ロシア 142p 読書期間1日
『穏やかな人生を送る才能』

 1930年代、ロシア。
本を読むことで現実逃避することを、日々の楽しみとしていたソーネチカ。
働いていた図書館で出会った反体制の芸術家、ロベルトと結婚する。
戦争によって芸術への意欲を失っていた夫と激動の時代を生き抜き、
やがて生まれた娘は成長し、自身は老いていった。
ある日、娘の連れてきた美貌を持つヤーシャの境遇を不憫に思った彼女は、
ヤーシャを引き取ることになるが・・・・・・。

 たった142pで主人公の一生を追っています。
寒々しいロシアの情景も伝わってくる平易で読みやすい文章は素晴らしい。

 育った境遇ゆえか、自己愛が欠落した主人公のソーネチカ。
夫に自身が裏切られても、その結果として夫が幸せになったことを喜び感謝します。
ここをどう読者が受け止めるか、がこの本の読みどころかもしれません。
ただ例え、「ソーネチカ、都合いい女になりすぎ、もっとガツンと行くべき」
と思ったとしても、多分、清々しい読後感は変わりません。
サラッとした、いい話にまとめられています。
このあたりはやはり、ソーネチカの穏やかな気性が、あるがままに描かれているためでしょう。

 アイデンティティーすら怪しい感じで、日々、悩みながら生きているような私には
頼もしく映りました。
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