パスピエ/幕の内ISM

パスピエ/幕の内ISM
2014年6月 日本
『確かに幕の内、そして合体ロボとも言える』
 
 通常、グループのプロフィールなどから入るのが当ブログの王道ですが
パスピエの場合、いつの間にやら、「ド」メジャーなグループになっていたので
その辺りは割愛します。

 メジャー第一弾であった前作「演出家出演」は、各方面絶賛だったのですが
どうにも馴染めませんでした。
今にして思うと個性抑え目で中央線に寄った作風だったと思います。
今回のアルバムはそういった経緯もあってか、あまり期待しないで聴いてみました。

 幕の内というだけに様々なタイプの曲が入っているんだろうな、
という予想を裏切らない内容。

 ハード・ロック・ルーツ(ディープ・パープルかな?)であろう
ギターリフを融合させた「世紀末ガール」、80年代炭酸系歌謡ユーミン添え「七色の少年」、
クリムゾン+テクノ・ポップ「トーキョーシティ・アンダーグラウンド」、
オリエンタル+相対性理論「とおりゃんせ」、椎名林檎風「アジアン」、
マーチ「誰?」、などやりたい放題というよりも、
敢えて引き出しを追加したかのような幅広さに面食らいます。
そして、それぞれが完成度が高く洗練された仕上がりであることが凄いです。

 「演出家出演」を挟んで見えにくくなっていた、
グリグリと頭でこねくり回した楽曲という彼らの個性が再び全開であることはうれしいです。
BPMが高いイケイケな曲が多く、圧倒されて置いてけぼりになってしまう箇所もあるものの、
楽曲配置に於ける緩急はうまく付けられており、酸欠にはなりません。

 本作は現時点で絶賛記事ばかりであり、実際それも頷ける完成度だと自分も思います。 
しかし敢えて難点を挙げるとすれば以下のようになります。

 これまで語ってきたように本作には
袋詰めの野菜のように溢れ出る数多くのエッセンスがあります。
そしてそれを、硬質なアンサンブルと女性ヴォーカルという、
パスピエ・サウンドでまとめあげています。
ただ「雑多なアイデア」こそがパスピエなのだ!という着地ではモヤモヤするのも事実。
足りないのは、聴き込みを要する前にガツンを聴き手を掴んでしまうインパクト。
恐るべきプロ仕事な新作に無茶ないちゃもんを付けつつ、
次作以降の更なる飛躍に期待したい!

「トーキョーシティ・アンダーグラウンド」


 本文だと、クリムゾン+テクノポップと書いている曲ですね。
これは本作の聴きどころである2分過ぎからのソロを含めたシンセサイザーの敷き詰めっぷりから
連想したものだったと思われます。(さっき書いたことなのにうる覚え)

 ドラマ性が際立っており、本作の代表曲として推します。
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コメント一覧

#272 No title
各曲のルーツを辿った解説、とても参考になりました。クリムゾン+テクノポップとは!この曲の間奏、凄い好きなんですよね。

最後に挙げている難点はクリアするのはなかなか難しいところですね。マニア心をくすぐりつつ、誰でも一聴して引き込まれるポップミュージックといったところでしょうか。ただ、最近の若手バンドの中でもこの2つを両立できるのではという存在が増え始めている気がします。彼らにはその先頭に立って様々な音楽にチャレンジしてもらいたいですね。
#273 Re: No title
hawaiibem様 こんばんは

> 各曲のルーツを辿った解説、とても参考になりました。クリムゾン+テクノポップとは!この曲の間奏、凄い好きなんですよね。

これ、残すか悩んだんですよね。今もう一度聴いたのですが、「だから書いたのか」と再び納得。
この「ふぉーん」っていうシンセサイザーの重ね方はやっぱりポイントだと思います。
いい曲ですよね。

>
> 最後に挙げている難点はクリアするのはなかなか難しいところですね。マニア心をくすぐりつつ、誰でも一聴して引き込まれるポップミュージックといったところでしょうか。ただ、最近の若手バンドの中でもこの2つを両立できるのではという存在が増え始めている気がします。彼らにはその先頭に立って様々な音楽にチャレンジしてもらいたいですね。

うーむ、確かに無茶を言っているような気がしてきました。

もっと平たく言うと、幕の内弁当って主役がいないじゃないですか。
そういうコンセプトだからそう感じてしまったのは仕方ないし、
そこを指摘するのは、やっぱり無茶な要求だと思うのですが、
例えば強烈なインパクトを放つヴォーカルとか、奇抜な看板楽器とか、
そういうやつがあればなぁ、みたいなことです。

あるいは幕の内の中身を変えるとか・・・。

とにかく仰るとおり活きのいいグループであることは間違いありません。
やっぱり期待大ですね!(無理矢理まとめた感じでご勘弁)

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