Sara Serpa & André Matos/Primavera

Sara Serpa & André Matos/Primavera
2014年4月 ポルトガル
『開拓者精神に満ちあふれた、挑戦的ジャズ・ヴォーカル作』

 清廉としたヴォーカリゼーション、寂寥感を伴うアコースティック・ギター。フォーク、プログレ、
オペラ、宗教音楽、民族音楽と様々な要素を纏っているジャズ・ヴォーカル作品で、
様々な感情が入り混じる不思議な聴き心地がくせになるアルバムです。

 ヴォーカルのサラ・セルパ、ギターのアンドレ・マトス(あのヴォーカルの人ではありません)
によるデュオ作。共にポルトガル出身のジャズ・ミュージシャンです。

 今回は情報が無く、ウィキペディアからのものに頼ります。
サラ・セルパは2005年、奨学金を得てバークリー音楽大学に入学し、ボストンに移住。
それと前後して多くのポルトカルや国際的ミュージシャンと共演。
その一人がアンドレ・マトスだったとのことです。(ウィキペディア参照箇所は以上)。
尚、現在はニューヨークへと移動しているようで、
こちらのページにインタビューが載っていました。

SARA.jpg


 紹介したインタビュー・ページでも言及している通り、
音楽性は大衆に迎合しておらず先に示したような
様々なルーツ音楽をミックスしたようなものとなっています。
移住を繰り返す彼女の積極的な音楽活動そのままに、
旺盛な開拓者精神が音楽性にも息づいていると言えるでしょう。
時に詠唱のように厳かに、時にプリミティヴなリズムに乗って軽やかに、
スピリチュアルな高音を響かせるヴォーカーリーズは圧巻。
歌唱にはオペラを研究した痕跡が見られるのもポイント。
伴奏はアンドレ・マトスによるアコギのみによるものがほとんど。
柔らかくも寂しげな音色をベースとしていますが、
時には焦燥感を煽るリズムを刻む箇所も見られ(マグマのごとし)、
アコギ1本とは思えない鬼気迫る表現力が素晴らしいです。
数曲ではサラによるピアノや、アンドレによるソプラノ・サックスも登場。
アヴァンギャルドなジャズ・ロックのような質感で、
シンプルながらクールなアンサンブルを聴かせてくれます。

 また演奏の方針としては残響を重要視しており、
そこに気を配った録音がされているのがポイント。
人気のない教会で演奏されているような、
非現実で夢うつつな雰囲気が聴き手を包み込みます。

 ある曲では爽やかな開放感を感じ、
またある曲では不穏な焦燥感を感じる。
あるいは他の曲では穏やかで満ち足りた気持ちにさせられたり、
と心揺さぶられる音楽体験を味わえるのです。

 自由な発想で新しい音楽を開拓しよう、
というジャズの先鋭性(かつてのロックも持っていた)が感じられる音楽は、
間違いなく聴く人を選ぶものの21世紀に於いては尊い挑戦だと感じました。
世界にはまだまだ凄い音楽があるのだなぁ。
 
「Kubana」



 アンドレ・マトスによるアコースティック・ギターが刻むビートが混沌を生み出す、
ダークなナンバー。
また、サラがポルトガル語によってきちんと歌詞を付けている
(他はハミングのみ)唯一の曲でもあります。
緊迫感を押し上げておいて、サビで解放されるのが快感。
本文中でマグマに例えたのは、この曲です。
ロック・ファンにも魅力が伝わりやすいかと思います。

日本ではパッケージでの流通がされていない模様。
入手の際にはダウンロードでどうぞ。
もっと読まれたい。ランキングのクリックにご協力を。→
関連するタグ ポルトガルジャズ

トラックバック一覧

コメント一覧

コメントの投稿

名前

タイトル

メールアドレス

URL

本文

パスワード

非公開コメント管理者にだけ表示を許可する