ブッツァーテイ/タタール人の砂漠

ブッツァーテイ/タタール人の砂漠
脇功訳 353P 読書期間3日
1940年 イタリア
『タタール人は今日も来ない』

 砂漠を望む辺境の砦を守る将校として一生を終えるドローゴの物語。
カフカの再来であるブッツァーテイによる幻想文学の古典、とのことです。
確かに闇に浮かぶ砦や、孤独な夜の砦に響く水音など、
日常とは異なる不思議な世界観は読み応えがありました。

 多くの人がそうであるように、自分は小説を読むときには(映画でも)、
自分が通らなかった人生体験を除く楽しみというものを期待します。
さて。本作の主人公ドローゴは毎日、人生に立つ波風に期待しながら
砦にて、まだ見ぬ敵兵の出現を心待ちにしています。
ほとんどの将校が数年で出て行く僻地での任務。
しかし何も起きず日々が過ぎていき、その場所に馴染んでいくことで
いつの間にか辺境の砦から抜け難い境遇へと追いやられていきます。
徐々に穏やかな余生を意識し始めるドローゴ。
終盤の300ページに差し掛かっても何も起きない状況に、絶望しかかる私。
現実的なストーリーで、オフの時間に過ごす読書タイムとしては世知辛すぎる!
果たして敵は来たのか!というところは読んでのお楽しみ。

 普通の男、ドローゴの普通な人生を読んだわけですが、
砂漠の向こうに敵兵が準備していると想像したりして
現れぬ敵に日々緊張していた彼の姿は無駄ではなかったんだな、と思いたい。
最後は自分が納得することが大切なのだ、とブッツァーテイは言いたいのでしょう。
それから決断を悩んでいるあいだにも時は流れ、もはや引き返せないところまで進んでしまう、
という教訓もあり。

このブログも自分の人生に於ける、日々の哨戒活動みたいなものかもしれない。
とか、思ってみます。
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