ハンバート・ハンバート/むかしぼくはみじめだった

ハンバート・ハンバート/むかしぼくはみじめだった
2014年 日本
『カントリー路線を極めた、渋い一枚』

 現在活躍している中で、もっとも好きな邦楽グループの一つが
今日紹介する男女デュオ、ハンバート・ハンバート。
アイルランド民謡、アメリカのフォーク、カントリーと日本の童謡をルーツとした
アコースティック音楽をやっています。
本作は通算8枚目。

 帯にはティム・オブライエン・プロデュース、ナッシュビル録音の文字。
「ティム・オブライエン?あぁ、『ニュークリア・エイジ』とか書いた人だよね、
村上春樹が訳した・・・・・・ん、プロデュース?」
全然別人でした。グラミー賞受賞って最初に書いてありました。
この方のようですね。不勉強で申し訳ない!
フィドルでの弾き語りを得意とする、カントリー歌手のようです。
こちらは後日、きちんと聴いてレビュー予定。
とにかく、その道の第一人者によりプロデュースされており、
加えてカントリーのメッカ、ナッシュビルでの録音。期待が膨らみます。

 音楽性は前作の延長線上といえるもので、環境からして当然のことですが
カントリー寄りのものになっています。
前作と並ぶ通好み(地味とも言う)な内容。
アイリッシュ民謡由来の荒涼としたイメージは残っているものの、
どっしりのんびりとしたアンサンブルと乾いた音色が印象的です。

 まず作曲面から。
家畜や日常、マーダー・ソングの流れとしての「鬼」。これらを題材とした歌詞が並んでおり、
米ブルース、カントリーとの親和性を感じさせます。
内省的な曲が多いです。
オリジナルが並ぶ中、あべのぼるという人物の楽曲が2つあり。
あべのぼるは70年代から活躍する音楽プロデューサーであり、
ディランⅡやソー・バット・レビューのマネージメントで知られる人物。
自分は名前を知りませんでしたが、
昭和フォーク、和製ファンクといった音楽の発展に貢献した方です。
2010年に亡くなられていますが、恐らく彼が関わっていた春一番を切っ掛けとして
ハンバート・ハンバートと接点があったのでしょう。
シリアスな「何も考えない」、「三百六十五歩のマーチ」を彷彿とさせる朗らかな「オーイオイ」、
どちらもアルバムのカラーに溶け込んでいます。
他には、個人的に「移民の歌」というタイトルがツェッペリン・ファン魂を刺激されました。
(あっちはお茶目なダジャレですけれど)
テレビ番組『シャキーン!』『おかあさんといっしょ』に提供した
「ホンマツテントウ虫」「ポンヌフのたまご」辺りが、前作の「アセロラ体操のうた」に相当する、
世間一般とのコンタクトを図る目玉ソングでしょう。
ただ、如何せん素晴らしく本学的な仕上がりなので、コマーシャルな機能は果たしておりません。

 次に演奏面。
アコギ、オルガン、ベース、パーカッション、フィドルorギターという編成。
ハンバート・ハンバート独特の、隙間をとった緩やかなタイム感はそのままに
ルーラルな雰囲気満点のアンサンブルが特徴です。
コーラスも含めて音の伸びが素晴らしく、ナッシュビル録音というイメージそのまま。
佐野遊穂のヴォーカルは、相変わらずの素晴らしさ。もはや孤高の存在感があり。
反面、出番で割を食っているのが佐藤良成の歌。
近年活躍が減ってきており今作でもリードを取る曲(ソロ・パートはほぼ無し)が二つだけ。
致し方ないところかもしれませんが、もう少し活躍して欲しいところ。

 ハンバート・ハンバートのカントリー路線が極まった完成度の高いアルバムです。
じっくりと聴き込むほどに沁みてくることでしょう。

「ぼくのお日さま」


持ち味の異なる男女ヴォーカルが鮮やかに交錯するデュエット・ソング。
魅力をわかりやすく伝えるオープニングに相応しい曲です。
乾いたパーカッションが印象的。
さらっと自然に終わる感じもいい。
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