JMクッツェー/恥辱

JMクッツェー/恥辱 鴻巣友季子訳
1999年 南アフリカ 290p 読書期間2日
『恥辱にまみれながら生きるぞ』

 読書動機は帯の「教え子の前で、男はエロスのしもべとなった・・・・・・。
に引っかかったため。一冊くらいこういうのもいいだろうと。
ブッカー賞受賞作だそうです。

 最近は読書に身が入らず、途中で投げ出すか、読破しても理解できないものが多かったです。
敗退が続いていました。
SFなど設定が難解なものが多かったのも要因かもしれません。
そこへ行くと本書は非常に読みやすかったです。

 セックス・ライフに積極的な52歳の教授が女子大生に手を出したところ、
問題がこじれ大学を解雇。
しかし、心機一転、娘の住む南アフリカでの暮らしも軌道に乗りつつありました。
そんなとき娘が暴漢に襲われる事件が発生。

他、犬を安楽死をさせるという南アフリカでの仕事、
などを絡めつつ
中年男があっという間にどん底に落ち込んでいく様を描いています。

 先述したように、まず文体がとても簡潔。ムダが一切なく心象なども極力端折られています。
もちろん原文がその通りの手法で書かれているからこそ、
ですが端的に訳してくれてありがたい。

 自分のクラスに在籍する中から、外見だけで口説く女性を決めるという、
52歳大学教授の率直さは素晴らしい。
さすがに共感は出来かねます。うらやましいですけれども。
自分には叙情が無い、欲望だけだ、という
自分の主義を曲げず、悪化する状況下でも全く屈しない精神もすごい。
もっとも、この年になると周りの言葉で自分が変わるなんてことは、難しいのかもしれません。 

 タイトルとなっている『恥辱』。
この本では自身のセクハラ問題を発端として
自身が落ちていく様を主人公が恥辱と称しています。
しかし、南アフリカでは、そんなことは日常茶飯事であり人権やら思いやりなんて
忘れ去られる瞬間があるんだよ、ということのようです。まさしく恥辱が日常。
悟りを開いたように状況を受け入れる登場人物たちが印象的です。

 ラストは爽やかなようでいて、諦めも漂っています。
もやもやした読後感があり、いい物語を楽しめました。
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