吉澤嘉代子/変身少女

吉澤嘉代子/変身少女
2014年5月 日本
『完成度の高いアレンジの功罪』

 交流ブログ、hawaiibem's music blog様で教えてもらった吉澤嘉代子の新作が早くも登場。
(自分が年末に知ったのでそう感じるだけですが)
そのことを再び、上記ブログ様に教えてもらってさっそく聴いてみました。

 
 2作目にして早くもメジャー・デビューということで、
依然音楽業界での女子バブルを感じさせます。
ただこの方に関しては、方向性も定まっていたので大勢に影響は無いでしょう。
(それよりもハタチを超えて少女というタイトルをつけたことにモヤモヤがありますが、
単に語呂の問題なのかもしれません)
再びミニ・アルバムとなったのは、少し残念です。
個人的にはカバーで埋めてしまっても全く問題無かったので、フルにして欲しかったです。

 前作のレビューはこちら。
昭和歌謡を始めとした温故知新な音楽性と、おおはた雄一など渋いゲストで、
おっさん心を刺激する作品だった前作。
あの後、インタビューなども読んでみたところ、
そもそものルーツとしてそういう音楽を聴いてきたわけではなく
生まれた音楽がそれに近い性質を持っていた、みたいなことのようです。
その後、渋い味わいを理解するプロデューサー陣がそちら側に寄らせた、
というのが前作の姿とのこと。

 今回はcafelon(うちにも1枚cdがありました)の石崎光がプロデュースを担当。
オープニング曲のみ「光子」名義になっています。きっとこういうことだと思います。
セッション・プレイヤーは若手とベテランが入り混じるメンツ。
詳しいクレジットはこちらの公式ページでどうぞ。

 やはり目を引くのはコーラスに於ける伊集加代の参加でしょう。
ロマンがあります。

 さて内容ですが、明るいポップな曲を多めに揃えています。
昭和歌謡な雰囲気を残しつつ、
60年代英米ロックのエッセンスが楽曲に散りばめられているのが特徴。
特にビートルズとビーチボーイズの影響は大です。
具体的には、正面切ってオマージュしている「ラブラブ」を始め、
エコー、ストリングス・アレンジなどがビートルズを、
また、コーラス・ワークやギター・リフなどがビーチ・ボーイズを、
彷彿とさせます。

 伊集加代のコーラスは主にシャンソン要素を取り入れたナンバーで威力を発揮。
ムードを高めてくれました。

 これらの要素が昭和歌謡チックな雰囲気と、違和感無くミックスされており、
ノスタルジーをまぶしたフェミニン、という可愛いガールポップとして仕上がっています。
若い女性ならではの溌剌とした歌唱も、魅力的。
素晴らしいプロデュース振りだと思います。
今回は、そのプロデュースが一人になったことで、
作風が統一されているのも好印象です。

 ただアレンジの影響元が強力(ビートルズとビーチボーイズですから)なので、
そちらに耳を奪われてしまいがち。
恐らく元は弾き語りで作られた曲として生まれてきたはずなのですが、
メインのメロディーの印象が薄くなってしまう副作用が生まれている気がします。
渋谷系出身プロデューサーのジレンマが表面化してしまった感は否めません。
ここまでやるならメロディーにもガツンと来る記名性がほしいところです。

 女の子ミュージシャンとしては、これ以上ない仕上がりだと思います。
「あわてるな。これは挨拶がわりだ。」
SSWとしての真の実力は、次のフル・アルバムで見せてくれると信じています!

「美少女」


「愛のしるし」などでも有名なモータウン調のリフが印象的なナンバー。
乙女度が、ずば抜けて高い仕上がりで、光子になったのも納得です。

タイトルからして、美少女宣言なのかなと思いきやフェイントでした。

アルバムに於ける歌詞の傾向は、
彼女自身が等身大の自分を反映させたもので、同世代の女性が共感出来るものだと思います。
通常、このような歌詞ですと
「少女」「女の子」「女子」を祭り上げている現代に於いて、もたれることが多々有ります。
ですが彼女の場合、言葉選びも絶妙にレトロ(80年代)なので
(さすがにおっさんには共感までは出来ないものの)すんなり聴けます。

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コメント一覧

#254 No title
ブログの紹介までして頂いてありがとうございます。

私は昔の音楽をあまり辿らないタチなので、影響元が明確には分かっていなかったのですが、アレンジに関してはご指摘の通り王道なところを行き過ぎて前作ほどの新鮮さを感じなかったのは事実ですね。

発想はシンプルだけど、意外とやっている人は少ないところを上手くついているとは思うので、気長に次の作品に期待したいところです。
#257 Re: No title
hawaiibem様

こんばんは コメントありがとうございます。

アレンジに溺れて個性が薄くなってしまうのは
メジャー転向の悪いパターンの一つですよね。
「こーいう感じ好き」と言われるレベルではあると思うので、
後はメロディーの質の向上を切に望んでおります。

仰るとおり、僕も次作に期待したいです。

> ブログの紹介までして頂いてありがとうございます。
>
> 私は昔の音楽をあまり辿らないタチなので、影響元が明確には分かっていなかったのですが、アレンジに関してはご指摘の通り王道なところを行き過ぎて前作ほどの新鮮さを感じなかったのは事実ですね。
>
> 発想はシンプルだけど、意外とやっている人は少ないところを上手くついているとは思うので、気長に次の作品に期待したいところです。

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