倉内太/刺繍

倉内太/刺繍
2013年5月
『中年にささるフォーク・シンガー』

 誰もが思っていてもなかなか歌には出来ないことを歌うというのは凄いことだ。
歌うのも恥ずかしければ、聴くのも恥ずかしい。
だから今日もこっそりとヘッドホンで楽しむのだ。

 ギター弾き語り、シンガーソングライターによるセカンド・アルバム。
最近のミュージシャンで例えれば前野健太、友部正人あたりに通じる、
むき出しの感情を正直に発露させたフォーク、ブルースをやっています。
50年代アメリカ音楽の影響を感じさせつつも、
親しみやすいロック・ミュージックのフィルターを通しているので
耳馴染みがいいです。

 楽曲は奇をてらわないオーソドックスな作りで、
往年のブルースのようなどっしりとした安定感を感じさせます。

 自身の仕事、倉庫内作業員の日常や、周りの女の子の描写など、
詞世界の主張は赤裸々。上記で例に出したミュージシャンと同じく、
きちんと人間をさらけ出していることで独自の空気感を醸し出しているのが特徴でしょう。
とにかく歌詞が面白い。
表現される世界観は昭和フォーク的なもの。
しかし飾らない言葉選びは、
昭和フォークというよりも90年代以降の歌謡ポップスの流れを汲んでいます。
先に歩く彼女の足跡からサイズを観察する「22.5」など、
女に対する偏執的な拘りが(男)心に刺さります。
しかしながらちょっと異質なのは、その清々しい歌いっぷり。
堂々たる主張。こちらはこそこそと「いいぞいいぞ」と草葉の陰から声援を送っているのに、
大手を振って返されている感じ。
この「おれを見ろ」という歌い方は素晴らしい個性です。現在30歳を超えたところ。

 セッション・プレイヤーは曲ごとにバラバラ。
ですので一体感には欠けますが、
バンドでの録音が増えており、ロック度は上がっています。
また、ぶるぶると震える泣き虫ヴォーカルは、特徴的。
歌詞をしっかりと歌いきっており、きちんと歌として理解できるのは素晴らしい。
これが普通なのだよ!といいたい。

「22.5」


アルバムにも参加しているネイティヴ・ギターと組んだ曲。
ご丁寧にも歌詞付のライヴ映像、ありがたい。

好きになる女の子には自分の歌が嫌われるのですか、そうですか。
日本人には赤裸々すぎるからなぁ・・・・・・せつな

パブロック的な温かみのある演奏だと思います。
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