ゲントウキ/誕生日

ゲントウキ/誕生日
2016年 日本
『10年振りの新作』

 ゲントウキのワンマン・ライブの特典として、「来年出るアルバムに収録される新曲CDR」をプレゼントされたのが2014年の師走。その新曲「愛の砂漠」はダイナミックな緩急で疾走するナイスなナンバーでした。そして明けた2015年。ワクワクしながら待てども、一向に良い知らせは届かず。いつしか待っていることも忘れていました。しかしゲントウキは頑張っていたのだ。2016年の8月頃に届いたダイレクトメールはゲントウキによるライブのお知らせ。そこには新作リリースという告知が!そういえばゲントウキのことを待っていたのだった、と思い出した私は、すぐさまチケットとCDを予約したのでありました。
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 本作は日本のポップ・グループだった、今はSSW田中潤のプロジェクトのゲントウキによる10年振りの新作。ここまでインターバルを空けることが出来るのはレジェンド級のミュージシャンくらいでしょう。例えばピンク・フロイドやデヴィッド・ボウイのような。届いたCDに対して(10年前には我が町にも自分が働いていたCDショップがあったのだが、今はネット通販一択なのだ)当然、楽しませてくれるのだろうな!と期待した私。ジャケは再び中村佑介のものを使用しており、ワクワク感を煽ります。しかしながら、裏面。8曲。10年振りで新曲が8曲!?足りないです。あと4曲は付けてほしい。更にボートラの代表曲「素敵な、あの人。」のアコースティック・ヴァージョンもちょっと後ろ向きな印象がしてあんまりうれしくなかったです。シングルに入れるならイイと思うのです。やはり新曲だけで勝負してほしい。さて、ここまでが、アルバムを聴く前の感想。

 初めて聴いた時は全体的に薄く感じてしまいました。「うわー、こりゃあ早まってライブ予約して失敗したかな。」とすら思ったほど。ただ、その後の素晴らしいライブ(ベーグルで奥歯をヤラレタのもいい思い出だ)を経て、聴き込む程に評価急上昇。これは素晴らしいアルバムだ。

 一人プロジェクトへと移行していった時期のゲントウキはサンバやボサノヴァなどブラジル音楽の要素が濃厚になっていった印象があり、本作もそれを受け継いだ内容になっている。加えて、ジャズっぽい演奏が入るのもポイント。そして、ゲントウキの核たるセンチメンタルなメロディーとドラマティックな転調も健在。歌詞は往年に比べると随分、ストレートになったと感じました。様々な楽曲提供の経験によって、表現方法が変わったのでしょう。常人では恥ずかしくて文字に出来ないような、まっすぐなメッセージには完全降伏。楽曲は総じて素晴らしく、特にニュー・ソウル風のポップ・ナンバー「5万年サバイバー」が気に入っています。

 二つ気になった点があり。まず、ソロ・プロジェクトになったことで録音方法がセッションよりも多重録音に比重を移していること。一人プロジェクトであっても固定のバンドを組んで録音した方が一体感が出たと思います。聴いてすぐ分かるテンションの差があるので、もったいないと感じました。もう一つは繰り返しになるが、曲数の物足りなさ。やはり10年振りで8曲は少ない。ボートラの「素敵な、あの人。」リメイクに関しては、好意的に見れば新しいファンへのサービスでもあるかな、と思いました。

 良いポップ・ミュージックを作れる日本人ミュージシャンは貴重で、この10年の空白はもったいないなぁ、と改めて感じました。これからの10年、ゲントウキとして作品をどんどんと出していただければうれしいです。次のアルバムを来年、いや来月出してくれても全くオーケイなのであります。

ゲントウキ NEW ALBUM「誕生日」全曲トレーラー/GENTOUKI 「Birth Day」Trailer

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