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カンバス/アイランド

カンバス/アイランド
2018年 日本
『5年間練った鉄壁のセカンド』

 福岡出身、現在は東京を拠点に活動するポップ・デュオによるセカンド・アルバム。今回はハピネス・レコードからリリースされています。セルフ・プロデュースですが、先行でリリースされた2曲のみマイクロ・スターの佐藤清喜がプロデュースで参加。まだデュオの面影が残りアコースティックな雰囲気があった前作と変わって、完全なバンド・サウンドになっています。セッション・メンバーにはハピネス人脈である北山ゆう子(drum)の他、今井カズヤ(key)が参加。他、ブラスセクションが付いた楽曲「ラバー」があり。
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 かっちりプロデュースされた印象で、まさしくシティ・ポップな聴き心地。5年という時間を掛けているのもあり、完成度の高い楽曲が揃っています。鍵盤、ドラムが入ることでアコースティックなイメージは無くなっているのが、少し寂しい。演奏部分が強化されており、「惰性」の後半部分で聴くことが出来るアメリカ西海岸ロック系爽やかギター・ソロを筆頭に、小川貴史のギターは強力です。一方の菱川浩太郎も太く小気味よいベースが素晴らしい。さっぱりとした乾いた音色で都会的な雰囲気を演出しているピアノ、ドラムの助っ人二人も申し分なし。最後になりましたが、小川貴史の澄んだ歌声は変わらず、更に安定感を増しています。どっしりしすぎて前作の掠れた感じが、少し名残惜しいくらい。

丑三つ時に君想う
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HARCO/あらたな方角へ

HARCO/あらたな方角へ
2017年 日本
『かつてHARCOの音楽を楽しんでいた時代を思い出す』

 聴きそびれていたHARCOの新作。帯にラストアルバムとありましたが、次作よりHARCOではなく青木慶則名義で活動するとのこと。
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 ポップに振り切った前作『ゴマサバと夕顔と空心菜』と比べると、シンセサイザーやプログラミングによる冷たく無機質な音が前面に出ていて、夜の未来感があり。ミニアルバム3枚をリリースしていた時期、あるいはその前の辺りを彷彿とさせる実験精神が多く含まれています。豪華ゲスト多数参加(山崎ゆかり、山田稔明、田中潤など)が彩りを添える役割に抑えられており、あくまでHARCOの個性が際立っているのが素晴らしい。
 
 かつてHARCOの音楽を楽しんでいた時代を思い出すような、懐かしい気分になったのが、なるほどラスト・アルバムということなのでしょう。

HARCO - アルバム「あらたな方角へ」トレイラー
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Enuff Z'Nuff/Diamond Boy

Enuff Z'Nuff/Diamond Boy
2018年 アメリカ
『次に期待』

 パワー・ポップ、メタル・グループのイナフズナフによる通算10枚目。コンピ盤など変則的なアルバムが多いので、通算枚数は曖昧です。
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「新しいブートレグかな」と思わせるチープなデザインがイナフズナフらしくてグー。

 前作発表後、かねてより確執が明らかであったドニー・ヴィーが遂に脱退。作曲面、ヴォーカルをリーダーであるチップ・ズナフと二人で請け負っていた人物だけに厳しい状況です。ドニー脱退後の2016年には『Clowns Lounge』という脱退前のお蔵入り音源を再録したアルバムをリリース。苦いファンサービス振りが印象的でした。

 内容について。まずギターが重い。とにかく殴り掛かってくるようなリフで圧倒されます。分かっていたことですが、ヴォーカルに魅力が薄いです。やはりドニーの深みのあるガラガラ声はイナフズナフの要だった模様。チップのヴォーカルには厚いエコーが掛けられており(これはいつも通りなのですが)、盛り過ぎに感じてしまう。楽曲群は引っ掛かりや転調が少ないシンプルなものが多い。加えてミドルテンポ楽曲が多くを占めており、全体でも単調な印象です。中盤の「Fire & Ice」「Love is on the Line」辺りは、もう一捻りすれば化けそうな予感もありそう。終盤の2曲「Dopesick」「Imaginary Man」はドラマティックで、往年の雰囲気が残っています。

Metalheart
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稲村一志と第一巻第百章/フリー・フライト

稲村一志と第一巻第百章/フリー・フライト
1977年 日本
『何度も再発してくれてありがたい!』

 解説には「ショーボート屈指の名盤」、帯には「北海道のシュガーベイブ」とストレートに絶賛のコメントが並んでいる本作。アルバム・ジャケットに見覚えはあったものの、いままで聴く機会がありませんでした。一度聴いてみると、絶賛するのも納得の素晴らしい内容でした。何度も再発してくれてありがたい!
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 本作は稲村一志を中心とするグループの唯一作。北海道を拠点として活動していました。ブックレットには大瀧詠一のコメントも掲載されており、大きな影響元であり、且つ交流も持っていたとのこと。
ジャズ、ソウルの要素を内包したシティ・ポップをやっており、一部ではレゲエを取り入れるなど、バラエティ豊かで洗練された音楽が楽しめる内容。ブラス・セクション、管弦楽器、コーラス隊を加えた大所帯によるアンサンブルは、適度な隙間があり、ジャケット通り、夜を感じさせる穏やかさが特徴。また本作は4チャンネルで録音されたとのことで、現場の気怠さが伝わるようなザラザラとした粗さも、魅力を生んでいるポイントとなっています。

稲村一志と第一巻第百章GOKUU

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Laura Hill/Secrets

Laura Hill/Secrets
2018年 オーストラリア
『大らかで心地よいフォーク作』

 オーストラリアの南側に位置する、フルールー半島出身であるローラ・ヒル。彼女のシンガーソングライターとしてのサード・アルバムとなります。
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 詳細なバイオグラフィが無く、作品群から推測するしかないのですが、恐らく2000年代から活動を始めた若手のミュージシャン。自身の音楽をインディー・フォークと呼んでいます。

 地元オーストラリアのレビューでは「大衆性が増して、間口の広い音楽へと変化した。」という好意的な意見がありました。どうやら、初期は本格的なフォーク路線でやっており、徐々にポップス寄りの音楽性に変化してきているという状況の模様。

 落ち着いた歌声によるギター弾き語りを基調にしつつ、パーカッション、ヴァイオリンなどが入るバンド・サウンドです。ストリングス、多重録音によるコーラスなどによるアレンジはシンプルながら重厚。英米のフォーク系ミュージシャンとは異なり、ルーツを感じさせないメロディーは伸び伸びとしていて大らか。ジャケットのイメージとも重なる、ハワイアンや沖縄音楽など、島の音楽ならではの特徴を感じることが出来ます。個性は弱い。しかしながら、佳曲が揃ったアルバムでした。

'Secrets' Out Now
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Olden Yolk/Olden Yolk

Olden Yolk/Olden Yolk
2018年 アメリカ
『激しさを秘めたサイケ・フォーク』

 男女二人によるフォーク・デュオのデビュー作。
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 メンバーはシェーン・バトラー、ケイティー・シャファーの二人。二人とも、ボストンを拠点で活動しているサイケデリック・インディー・ロック・バンド Quiltのメンバーです。シェーンは作曲を担当、ケイティーはマルチの楽器奏者という役割分担。

 Quiltの幻想的でダルーなサイケデリック・ムードはそのまま持ち込まれており、且つアコースティックなサウンドを強調した内容。男女どちらもヴォーカルはヴォリュームを抑え目にしており、儚げでメルヘンチックな風情を醸し出しています。ネオアコ的とも形容できる。穏やかなパートでは70年代っぽさも顔を出していますが、全体的にはオルタナ以降のダークなガレージ感が支配。マルチの奏者が居るのですが、デュオなので、演奏は少し淡々としているのが残念なポイント。ただ、緩急の切り替え、メリハリの付け方がうまく、且つ楽曲間の繋がりがスムーズなので、集中を切らさず一気に聴き通せるところは素晴らしい。曲の出来は良く、さすがベテランの手腕と感じました。2月にリリースされており、ずっと心に引っ掛かっていたのですが紹介できてよかったです。

Olden Yolk - Vital Sign [Official Video]
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