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SUTHERLAND BROTHERS/LIFEBOAT

SUTHERLAND BROTHERS/LIFEBOAT
1972年 イギリス
『これほどの名盤が日本初CD化だったとは』

 『ナイス・プライス・ライン・リターンズ』で再発されたアルバムを紹介するシリーズの第二回。今回はサザーランド・ブラザーズのセカンドを紹介します。当初は、このシリーズのアルバムを一挙に紹介する予定だったのですが、色々他にもレビューしたいアルバムも出てきているので、月1枚程度の更新となります。ご了承ください。
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 ロッド・スチュワートの「セイリング」のオリジナルが収録されている、というのが本作のウリ。実際、帯叩きにもガツンと書いてあります。ただ、今の若者には響かないような・・・・・・「セイリング」のCMが流れたのはいつの頃だったか(検索中)1995年でしたか。であれば、もうおじさん以上でないとキャッチコピーとして通用しないでしょうね。

 ロッドは自身も素晴らしい作曲家ですが、マイナーな楽曲を拾い上げてカバーすることも得意としています。1975年にカバーされた「セイリング」もその一つでしょう。

 アイルランド出身のサザーランド兄弟が前作のファーストで組んでいたバンドを解散して、デュオ名義でリリースしたのが本作です。アメリカ南部のスワンプ・ミュージックへの憧れをブリティッシュ由来の叙情的でポップなメロディーに包んで表現したサウンドが特徴。デュオ名義ではありますが、スティーヴ・ウィンウッドやデイヴ・マタックスなどアイルランド出身のセッション・ミュージシャンが多数参加。イギリスならではのパブ・ロックが楽しめるアルバムです。

 今回の再発で改めて良い曲が揃っていることを再確認しました。帯は「セイリング」推しにならざるを得ない状況ではありますが、アルバムでは「セイリング」は休憩ポイントのバラードとなっており、捨て曲無しの素晴らしい内容です。尚、同時に再発されたファースト・アルバムも甲乙つけがたい素晴らしさ。セットで購入されたし。
初の日本盤化とは意外です。そういえば、このアルバムも新宿まで遠征して購入したという記憶があります。サザーランド・ブラザーズは本作発表後、クィーバーというグループと合体し、サザーランド・ブラザーズ&クィーバーと名乗るのですが、その名義で本作を1977年に出し直しています。内容も異なるため、二つを集めようと必死になっていたのですが、後日、CDとして流通しているのはCBS盤(77年)のみだと判明して脱力したのでした。

Sutherland Brothers Band - Real Love (1972)
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Marem Ladson/ Marem Ladson

Marem Ladson/ Marem Ladson
2018年
『コーヒーショップからお手軽デビュー』

 ジャカジャカとざらついたギター・サウンドにエコーを掛けた気怠いヴォーカル、幻想的なシンセサイザーが絡み合う、サイケデリックなポップス。暗く沈み込むようなサウンドが大勢を占めますが、メロディーの美しさが光っています。
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 新人シンガーソングライター、マレム・ラドソンのデビュー作。アメリカとガリシア(スペインの自治区)のハーフとして生まれた、スペイン系のミュージシャンです。ガリシア州オーレンスにて、1997年に誕生。早熟であった彼女は9歳で短編小説や詩を書き始め、同時にギターを学び、曲を書き始めています。高校2年ではテキサス州ヒューストンへの短期留学を経験。その後、コーヒーショップでミュージシャンのコミュニティに入ることに。そのコーヒーショップでの演奏(アコースティックによるカバー)をインターネットに投稿。それが切っ掛けとなり、18歳の時、インディーズ・レーベル、モントヴェントとの契約を結びました。2017年には最初のシングル「All My Storms」を、2018年にはセカンドシングル「Shades of Blue」を発表。Spofityなどで話題となりました。そんな中、発表されたデビュー作が本作です。

 前述した通り、エコーの掛かった幽玄なアコースティック・ポップ。だらーんと弛緩しているようで、メロディーには気を使っており幻想的なポップスとして、クオリティは高いです。

Shades of Blue (Official Video)
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Saxon/ Thunderbolt

Saxon/ Thunderbolt
2018年 イギリス
『こんなに頑張っていたなんて知らなくて』

  NWOBHMシーンを代表するグループの一つ、サクソンの新作。全盛期である初期以降、試行錯誤の迷走をしていた時期もありましたが、今も生き延びているだけでなく、ハイペースでアルバムをリリースしていることは素晴らしい。軽い気持ちで「サクソンだ!なつかしー」とか言って試聴してみたものの、まさか紹介することになろうとは。舐めていました。
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 切れの良いブリティッシュ・ヘヴィ・メタルが全編で楽しめるアルバム。一糸乱れぬツイン・ギターを前面に押し出したバンド・アンサンブルがとにかく凄い。またコーラスによる威勢のいいサビ、67歳になるビフによるおじいちゃんシャウトも健在です。サクソンらしく、楽曲はとにかくキャッチー。ドラマティックな魅力もあり、ライブで盛り上がること請け合い。

 人間、老いて行けば落ち着きが出てくるもので、ディープ・パープルのように渋い音楽性へとシフトするのがベテランの常。だというのに、この元気なジジメタルの凄まじさたるや。ここ数年の過去作も素晴らしいようなので、チェックしてみます。
Saxon - Thunderbolt (Official Video)
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Saint Chameleon/ Mockingbird

Saint Chameleon/ Mockingbird
2018年 オーストラリア
『さびれた味わいがくせになるオリエンタル・ロック』

 トリオ編成のロック・バンド、セイント・カメレオンのデビュー作をご紹介。
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 今回は公式hp及びフェイスブックでしか、情報収集が出来ませんでした。

 2000年代後半、後に中心人物となるルーカス・クストスがストリート・ライブを開始。2010年、もう一人の中心人物であるルカ・スルゼールとルーカスがオーストラリア、グラッツの街で出会う。ジャズ、ブルース、ロック等多岐にわたる音楽を好んでいた両者は意気投合して、音楽活動を二人で開始することになる。音楽都市であるグラッツにはたくさんの音楽家が集まって来る。エミリアーノ・サンパイオ(トロンボーン)、カエタン・カメンジャセビッチ(ベース)、フランチェスコ・ドニネッリ(バイオリン)、ティロー・シヴァーズ(ピアノ)、デイビッド・ドレスラー(ドラム)といった面々を加え、5か国の国籍を持つメンバー達による7人組グループとなった。これが2015年のこと。

 というプロフィールが載っているのですが、肝心のルカとルーカスの二人の担当楽器が掛かれておらず。恐らくギター&ヴォーカルと鍵盤奏者だとは思うのですが。5か国の国籍の内訳なども欲しかったところですが記載は無し。ディスコグラフィーも不明ですが、過去音源が見つかることからセカンド・アルバムだと思います。

 トム・ウェイツ、マディ・ウォーターズ、ベイルート(ワールド要素のある米ロック・バンド)をフェイバリットに挙げています。

 リラックスしたブルース、フォーク要素はトム・ウェイツ、オリエンタルな雰囲気の跳ねるパーカッション、ゆったりしたリズムなどワールド要素はベイルートという感じ。多国籍グループらしいごった煮サウンドです。落ち着いた低音のヴォーカル、ジャジー且つオリエンタルな演奏がとてもカラフルなアンサンブル共に魅力的。トム・ウェイツからの影響を感じさせる、場末のバー的な、気安い雰囲気もグッド。

Mockingbird - Saint Chameleon
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Lamp/彼女の時計

Lamp/彼女の時計
2018年 日本
『作曲担当が二人いる豪華さを実感』

 Lampの8枚目。『八月の詩情』を含めると9枚目。ネットで公開されている紹介文によると「小さなバラード集」をテーマとして作り始めたアルバムとのことです。
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 バラード集だからこそ、なのか、ブラジル音楽をルーツとして、儚さを極めた染谷氏担当曲、英米の黄金期のポップス、ロックをルーツとして、美しいメロディーで分かりやすく山場を作る永井氏担当曲、それぞれの個性、味わいが異なっていることが分かり、楽しく聴くことが出来ました。

 繊細に折り重なるコーラス・ワークから「こういう感じがサヴタージなのだろう」と感じさせる(サヴタージを知ったかぶりしない姿勢を大事にしたい)、幽玄とした染谷氏担当曲を後半に多めに配している構成もバッチリ。近年はプログレチックな楽曲にも取り組むなど、凝った楽曲も多く起伏が激しかった彼らの作風。本作でもアレンジ自体は凝っているのですが、穏やかな楽曲が並んでいる分、なだらかな聴き心地。またLampの看板でもある、儚さを湛えた女性ヴォーカルを務める榊原嬢の出番がいつもより少ないのも特徴で、女性に送るバラード集という性格も出ているように思えます。キーボードを幻想的に使うところは、相変わらずプログレチック(Camelなど)で、音楽性に奥行きを生んでいます。榊原嬢の控え目ぶりが再び目立ってきていて、ところどころ歌詞が聞き取れないのは残念。

 次のアルバムでは新しい路線に挑戦しそうな予感。

「Fantasy」
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Yukon Blonde/Critical Hit

Yukon Blonde/Critical Hit
2018年 カナダ
『シンセポップの王道』

 シンセポップ・バンド、ユーコン・ブロンドの4枚目のアルバム。
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 カナダのバンクーバーを拠点にして活動しているグループですが、今回のアルバムではスペインのマドリードのアパートや、カナダのブリティッシュ・コロンビア地方にある、小さな島ガリアーノ・アイランドで、録音されたとのこと。
とてもリラックスした状況であったことが伝わる、のどかで晴れ晴れとしたシンセ・ポップ・ミュージックが全編で楽しめるアルバムです。シンセサイザーの浮遊感、エコーを掛けた甘い歌声、コーラスなど、古典的なシンセ・ポップの手法以上のものは無い。しかしながら、ドラマティック、メロウ、爽やかポップ、テクノとバラエティー豊かな楽曲群は質が高く、とても楽しめました。

Love The Way You Are
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村八分/くたびれて

村八分/くたびれて
1971年 日本
『おどろおどろしい日本語ロック』

 1971年のデモをまとめて1991年にリリースされたもの。その最新リマスター盤が2018年に登場しました。外道同様、村八分もスルーしていた自分は、再びこの機会に購入した次第です。正直に言います。英米の60~70年代の黄金期のロックを体験した後、それらをなぞった日本語ロックンロールを聴いても刺激が無いのでは、と少ない小遣いをやりくりしていた高校時代には思っていたのです。
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 村八分はローリング・ストーンズ、それも中期辺りに影響を受けているようです。分かりやすいところでは「あやつり人形」はイントロから「悪魔を憐れむ歌」を彷彿とさせる仕上がり。ただし、すっとぼけた歌い方で繰り出されるユーモアを含んだ歌詞、暗くアンダーグラウンドな雰囲気はストーンズとは異なるものがあり、聴き応え十分。またタイトル・ナンバー「くたびれて」は日本らしい侘しさを感じさせる素晴らしいバラードです。サイケデリック文化(色々)に浸って作られた日本語ロック、その凄みを感じることが出来ました。

あっ!! from 『村八分 / くたびれて (2018 remaster)』
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Stables/Reverie

Stables/Reverie
2018年 イギリス
『youtube動画大盛の巻』

オルタナティヴ・フォーク・ポップと自身の音楽を表現する二人組のデュオ、ステイブルズによるセカンド・アルバムです。

 2009年より活動しているフォーク・グループ、Keston Cobblers Club。彼らはロンドン、ブロムリー地区ケストンを拠点にしています。その中心メンバーであるロウ兄弟の片割れ、マシュー・ロウとダニエル・トレンホルメが組んで2016年よりステイブルズとして活動している、というのがバンド結成の由来となります。サイモンとガーファンクル、フリートウッド・マックという二つのグループを影響元としてフェイスブックに載せており、目指すフォーク・ポップのルーツを何となく察することが出来ます。
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 二人はアコギ、パーカッションもしくはピアノまたはシンセをそれぞれ担当しており、曲によってはフィドルを足しています。上品でほのぼのとしたメロディーは上記のルーツが反映された爽やかな聴き心地。朗々として落ち着いた歌声も素晴らしい。オルタナティヴたる由縁である、シンセサイザーやプログラミングによるエレクトロなさざ波も楽曲を盛り立てる演出として上手く作用しています。
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Stables - Reverie (Official Music Video)
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Ashe/The Rabbit Hole

Ashe/The Rabbit Hole
2018年 アメリカ
『将来有望、新人シンガーソングライター』

 新人シンガーソングライター、アッシュのデビューEPをご紹介。
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 カリフォルニア州サンディエゴ出身。本名、アシュリン・ウィルソンという彼女によるプロジェクト名がアッシュとのこと。バークリー音楽院出身のジャズ・ヴォーカリストです。デビュー前にして、ルイス・ザ・チャイルドやショーン・フランク、チェーンスモーカーなどとツアーをしています。またエミリー・シャクルトン、カリ・ロディなど若手ミュージシャンとの共作にも取り組み、ソングライターとして注目を浴びています。正直申しまして、上記ミュージシャンのことは全く知りませんでしたが、とにかくフル稼働で働いているということは理解しました。他のミュージシャンとのセッション中に、アイデアを即興で出して楽曲を生み出していくというスタイルが彼女流とのことです。

 内容について。ジャズとエレクトロを融合させたカラフルなポップをやっており、不思議の国のアリスを連想させるタイトルとも符合するイメージ。オリエンタルな要素も濃く、中期ケイト・ブッシュを彷彿とさせます。またitunesで飛躍したフェイストにも近いイメージで、アッシュの場合はSpotifyのチャートでトップ10に入る程の人気を獲得しています。

 キャッチーなリズムとメロディーを持った楽曲群は、ルーツの骨太さが伝わってくる本格派。次作もチェックしなければ。

Ashe – Choirs
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Anderson East/Encore

Anderson East/Encore
2018年 アメリカ
『熱血ブルーアイドソウル』

 ナッシュビルを拠点として活動するブルーアイドソウル系SSWのセカンド・アルバム。

 1988年、アラバマ州アセンズで誕生。ベン・フォールズに憧れていた高校時代にピアノを習い始め、その時に曲も書き始めました。彼の祖父は教会の神父であり、父はコーラス隊の一員として、母はピアノで、と家族がそれぞれ教会で音楽に関わっていました。その環境もあり、ゴスペル音楽に親しんでいたとのこと。大学へ進学する際、テネシー州マーフリーズボロへ移住。ここで音楽活動をスタートさせています。やがてカントリー・ミュージシャンのホリー・ウィリアムスとセッションする機会を得ると、それを切っ掛けとしてレコーディング・エンジニアの職にも就くことに。経験を積んで大学卒業後、ナッシュビルへ移住。芸名をアンダーソン・イーストと改めて、エレクトラと契約。通算4枚目、メジャー第二弾となるアルバムが本作となります。新世代のブルーアイドソウル系SSWとして、アメリカ、日本で注目を集めています。
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 渋い低音が伸びやか、且つ裏声も哀愁味たっぷりで、ヴォーカリストとしての力量は抜群。バックは鍵盤、ブラス、女性コーラス入りの塩辛いバンド・アンサンブル。ザ・バンドを彷彿とさせる、枯れたロック・サウンドが素晴らしい。中盤から終盤に掛けて、ブラスやストリングスが大々的にフューチャーされた(血管ブチ切れ)熱血ソウル・ナンバーの数々は圧巻です。一部楽曲ではシンセが登場するなど、ところどころで洗練を感じさせるのもポイント。

Anderson East - Girlfriend [Official Video]

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