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Lake Street Dive/Free Yourself Up

Lake Street Dive/Free Yourself Up
2018年 アメリカ
『鍵盤奏者が加わり、落ち着いたポップさを身に付けた新作』

 ローリング・ストーンズやフェイセス、ハンブルパイなど、ソウルやファンクに影響を受けた英ロック・グループ。レイク・ストリート・ダイヴはそれら英ロック・グループに影響を受けているソウルフルなロック/ポップ・グループです。前作、前々作とレビューしていますが、今回はメジャー第二弾となります。
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 今回のアルバムより鍵盤奏者がメンバーに加わったとのこと。これまでのセッション・プレイヤーが参加していたのですが、より比重が高まり、グルーヴが増しています。落ち着いたシャッフル・ナンバー「Shame, Shame, Shame」バラード「I Can Change」ビート・ロック「Dude」と3~5曲目の流れでも顕著なように、引き出しの広い楽曲群による緩急の付いた構成も、鍵盤奏者が加わった成果でしょう。力押しが前作までほどでは無い分、ポップで聴きやすい仕上がり。女性ヴォーカル、レイチェルもパワフルさよりも表情に気を配った表現に比重を置いている印象で、カチッとまとまったバンド・アンサンブルを含めて、ベテランらしい円熟の魅力を放っています。昨年、初来日をいつの間にか果たしていたそうなのですが、残念ながら見逃してしまいました。今度こそ行ってみたい。

Lake Street Dive - "Hang On" [Live Performance]
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SONGS OF THE ANDES(1)/ANTONIO PANTOJA(邦題:『永遠なるケーナ』)

SONGS OF THE ANDES(1)/ANTONIO PANTOJA(邦題:『永遠なるケーナ』)
録音年不詳 ペルー
『心が洗われるような聴き心地』

 久しぶりのJVCワールド・サウンズは『永遠なるケーナ』にしてみました。フォルクローレの巨匠、アントニオ・パントーハの名録音を収録したコンピレーション・アルバムです。
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 アンデスの縦笛ケーナを独学でマスターして、地道な音楽活動でフォルクローレを世界に広めたのが、アントニオ・パントーハ。ライナーによると1991年に亡くなったとのこと。

 これまで、1曲目の「コンドルは飛んで行く」くらいしかフォルクローレのことを知らず。ケーナの音色は寂しく哀愁を帯びていますが、それぞれの楽曲は喜(怒はない)哀楽がはっきりとしていて、無邪気な音楽だと感じました。ベスト盤なので、曲毎に合奏者が異なっていますが、素朴な音楽であることは一貫しており、ペルーののどかな午後という印象。広々としています。月並みな感想で申し訳ないのですが、心が洗われるような聴き心地。アントニオ・パントーハのCDは一家に一枚あってもいいのではないか、と思いました。

 7曲目「耕す人」では口琴ビリンバオが登場。うまいな!そういえば最近ほったらかしてしまっていたので、久しぶりに引っ張り出してこの曲で練習してみよう。

Antonio pantoja El condor pasa アントニオ パントーハ コンドルは飛んで行く
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Tomorrow's Gift/Goodbye Future

Tomorrow's Gift/Goodbye Future
1973年 ドイツ
『ドイツのサイケど真ん中』

 ドイツのごった煮プログレッシヴ・ロック・グループ、トゥモロウズ・ギフト。誰も覚えていないと思うのですが、以前ファースト・アルバムを紹介したことがあります。一昨年の記事ですね。そこで「ちなみにセカンドもあるのですが、どんな内容だったか覚えていないので・・・お察しください。」などとバッサリ切っていたセカンド・アルバムを再び入手。「確かつまらない内容だった気がするが、大好きなトゥモロウズ・ギフトだけにもう一度確かめてみよう。」と思い立った次第です。今回の記事はややマニアックになりますので、前作のレビューを読んで頂けると分かりやすいと思います。
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 このセカンド、まず大幅な変更点として前作のメンバーが二人しか残っていません。残ったベースとキーボードが新しいドラムを加入させて、バンドを続行させたという訳です。前作でベタ褒めしていた看板女性シンガーもいません!この時点で戦意喪失気味ですが、一応聴いてみましょう。

 フリー・ジャズ気味のサイケ、プログレサウンドで、なるほど前作からの連続性も感じられます。プロデューサーに独サイケのキーパーソンである、コニー・プランクが参加していることもあり、サウンド・コラージュがたっぷり施されたカオスな音楽となっています。ピンク・フロイドやフランク・ザッパからの影響を多大に受けたグループが多かった、この時期のドイツ。そのサンプル事例として本作も挙げられるであろう内容。本作単体をイカれたサイケ音楽と評価出来るかな、とも思うのですが、如何せんファーストの鮮烈なイメージがあるので、やっぱり沈んでしかるべきでしょう。『Goodbye Future』というタイトル通りの結果になりました。

Der Geier Fliegt Vorbei
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David Ford/Animal Spirits

David Ford/Animal Spirits
2018年 イギリス
『エネルギッシュな声に圧倒される』
 ブルース・スプリングスティーンとエタ・ジェイムス、トム・ウェイツを愛するイギリス人による、酔いどれブルース/ロック・ミュージック。
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 デヴィッド・フォードは1978年ケント市ダートフォードにて誕生。上記のようなアメリカ音楽を楽しみながら育ったとのこと。学生時代からバンド活動を開始。インディー・ロック・バンド、EASYWORLDは2004年に解散するまで2枚のアルバムを発表するなど、地元では人気を得ていました。2005年からソロ活動を開始し、5枚のアルバムをリリース。本作は6枚目のアルバムとなります。
 
シャウトを交えた、ブルージーな歌声が素晴らしい。太い声です。ゴスペルを彷彿とさせる重厚な女性コーラス、叩きつけるような指使いが印象的なギター、オルガンなどによる迫力のバンド・アンサンブル。ソウルやブルース、カントリーなどアメリカ音楽への憧れを感じさせる音楽です。イアン・マシューズやロッド・スチュワートなど、かつてイギリスより生まれて来た米国憧憬のミュージシャンと同様に、ストリングス・アレンジの細やかさ、カチッとしていて凝った曲構成、煮え切らない暗さなど、イギリスらしさが隠し切れないところが魅力となっています。

Animal Spirits - David Ford

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Spiders/Killer Machine

Spiders/Killer Machine
2018年 スウェーデン
『クリップでのカッコよさは抜群』

 WITCHCRAFT~TROUBLED HORSEと、ヴィンテージ・ハード・ロック・グループを渡り歩いてきたギタリスト、ジョン・ホイルズによるハード・ロック・バンド、スパイダーズ。本作はサード・アルバムとなります。
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 スウェーデン出身ということで、グラム・ロック要素と暴走ロックンロール要素がミックスされた音楽性です。HellacoptersとBackyard Babiesを足して割ったようなサウンドと言えるでしょう。女性ヴォーカルは程よくワイルド、クリアーな発声でカッコ良し。

 そつなく楽しめるアルバムではあるのですが、もう一歩楽曲にパンチが足りず、あまり印象に残らないところは残念。


Spiders/Dead Or Alive

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さとうもか/Lukewarm

さとうもか/Lukewarm
2018年 日本
『ユーミンを彷彿とさせるのは歌詞世界』

 モナレコードで発掘された女性SSW。タワー・レコードのレーベルからミニアルバムでデビュー。Pvineからリリースされたファースト・アルバムが本作となります。帯の「新世代のユーミン」というキャッチコピーに惹かれて、試聴し購入しました。

 1994年生まれ、岡山県出身。3歳からピアノを始め、ギター、サックス、合唱、声楽などの音楽に触れて育ったとのこと。音楽科の高校と音楽の短大での勉強を経て、弾き語りの活動を開始しました。ファースト・アルバムのプロデューサーとして、入江陽が参加しています。
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 さとうもかによるピアノ、キーボード、ギターによる弾き語りの録音が中心。ドラムが2曲、トークボックスが1曲で参加しています。ただし、入江陽による特徴的な編曲がされており、ふわふわとした幻想的なシンセサイザーがカラフルでメルヘンチックな世界観を演出。尚、入江陽は1曲でゲスト参加しており、デュエットしています。

 乙女チックな比喩満載の歌詞は、なるほどユーミンの世界観に通じる部分があり。ただ音楽性自体はそれほど被っておらず、ピアノはかなりジャジー。また声楽などの経験からなのかオペラのルーツを感じさせます。ウクレレのようにつま弾かれるギターからはボサノヴァ、コーラスの被せ方からはソウルを感じさせますが、プロデューサーが同傾向の入江陽なだけにどこまでが彼女のルーツなのか判別はつきません。丁寧なプロデュースによるポップな楽曲が並んでいるのですが、それぞれ捻りが加えられていて楽しめました。感情の振れ幅が一定なことが気になるものの、気負わない歌声も魅力的です。

さとうもか 「最低な日曜日feat.鶴岡龍(LUVRAW)」
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DAVEY & MORRIS/ DAVEY & MORRIS

DAVEY & MORRIS/ DAVEY & MORRIS
1973年 イギリス
『トロトロに溶かされる、これがトニー・フーパー・プロデュース作の威力だ!』

 ヨーク・レーベルからリリースされたトニー・フーパー・プロデュースによる、男女デュオ作。エコーやストリングス、コーラスを駆使した夢見心地なフォーク・サウンドを生み出すトニー・フーパー・プロデュース作品がまた一つ、復刻されました。

 デュオ名義ですが、ストローブスの面々が参加しているバンド録音となっています。トニー・フーパー自身がストローブスの中心人物だったため、橋渡し役となったのでしょう。チェロやオルガンはもちろん、曲によってはメロトロン、バンジョー、ブズーキも入る多彩な編成が楽しめます。

 幽玄な調べの古楽器、格調高いストリングス・アレンジが代わる代わる登場する幻想的なサウンドは、トニー・フーパー作品ならではの味わい。
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 爽やかさと憂いを同居させた優しい歌声も魅力的。楽曲では中盤に挟まれているビートリッシュなポップ・ナンバー「Window」「Who Stole My Land」辺りが素晴らしい。総じて主張が控えめな牧歌的なフォークであり、トニー・フーパーのプロデュース・ワークにマウント・ポジションを取られている感じがヒシヒシと伝わってしまう出来栄え。期待通りの音楽性に満足です。

Who Stole My Land
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Sigrid/Raw

Sigrid/Raw
2018年 ノルウェー
『注目の新人SSW』

 大型新人として日本でも紹介されているシグリッド。本作は5曲入りのEPとなります。
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 1996年、ノルウェーの港町、オーレスンで生まれたシグレッド。影響を受けたミュージシャンとして、アデルやジョニ・ミッチェル、ニール・ヤングの名を挙げています。その他、2017年に参加したサントラではレナード・コーエンの「Everybody Knows」をカバー。2013年よりシンガーソングライターとして活動を開始しており、2016年には大手アイランドと契約。ノルウェーから世界へと活動規模を広げています。現在、シングル6枚、EP2枚をリリース(配信のみを含む)。

 シンセ、ストリングス、ギターを中心としたシンセ・ポップ。透き通っていて力強さも感じさせる歌声がインパクトあり。加えてアメリカのSSWを手本とした、軽快で爽やかなメロディーも素晴らしい。シンセやストリングスによる凝ったアレンジがされていますが、あくまでヴォーカル中心のミックスがされており、すっきりとした聴き心地です。21歳でこれだけの曲を書き、堂々とした歌唱も披露する新人ということで、注目されるのも納得。早くフルアルバムが聴きたいし、来日公演は是非見たい。

Sigrid - Raw (Live)
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ARTHUR CRUDUP/classic by arthur Crudup

ARTHUR CRUDUP/classic by arthur Crudup
1940年代後半~1950年代 アメリカ
『違いが分からない男のブルース・レビュー28』

 今回からブルース記事はSpotifyを使って書いております。ブルース・シンガーのアルバムをCDで購入しようとする時、(対象ミュージシャンがアルバムをリリースしていないなどの理由で)どうしてもベスト盤になりがちですが、レーベルをまたがって活動していたりするので、お目当ての曲がどれに入っているのか分からないことが多いです。でもSpotifyのような配信スタイルなら、いくつものベスト盤を横断して聴けるのでハイライト曲を漏らすことはありません。Spotifyは音質が残念だと思っていましたが、ことブルースの歴史的な作品に関しては1950年代を中心とした「味のある」録音状態が多いので、あまり気になりません。余談ではありますが、最近Spotifyのプレミアム勧誘メールが多く届き、少し迷惑しています。音質さえ何とか(ハイレゾ対応)してくれれば、いつでもお金を払う用意がある、と言っておきましょう。

 前置きが長くなりました。今回はアーサー・クルーダップを取り上げます。”エルヴィス・プレスリーが「That's All Right」をカバーした“という形容で知られるブルース・シンガー。今まできちんと聴くことが無かったので、今回掘り下げてみようと思いました。
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 1905年ミシシッピ州フォレスト生まれ。ゴスペルやブルースに親しんでいたアーサー・クルーダップは、1939年にシカゴに渡り、ブルース・シンガーへの道を志した。しかし現実は厳しく、梱包の仕事などをこなしながらストリート・ミュージシャンで日々の暮らしを凌いでいく状況。そんなギリギリの状況でRCA傘下のブルーバード・レコードと契約することに。当時36歳。ブルーバード・レコードでアーサーを担当したタンパ・レッドは、彼の自由にさせる放任主義を貫き、1940年代前半のRCAにオリジナル曲を次々に録音しています。その後も1950年代に掛けて、エース・レコード、チェッカー・レコード、トランペット・レコードとレーベルを渡り歩きながらレコードを発表。エルヴィス・プレスリーによる宣伝効果などもあり、この辺りが全盛期です。その後はギャラの分配で揉め、引退状態に。以後、数回の復活を経て、1974年に亡くなっています。後に多くの曲がカバーされることになった偉人にも関わらず、プロとなってからも十分な給料をもらうことが出来ず、農業や密造酒作りで生活をしていたという事実が侘しいです。

 今回選んだタイトルは2016年に編纂されたベスト盤です。最新編集だから、ということで選んだのですが、「That’s All Right」「My Baby Left Me」の2曲が外されているのは残念。それ以外は順当な選曲でオリジナルの有名曲を網羅した内容。威勢のいい高音の歌声とギクシャクとしたギターは、愛嬌があり、苦労人の逞しさを感じます。これを聴いて当時の労働者は慰められたのでしょう。

Chicago Blues : Arthur "Big Boy" Crudup
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Natalie Evans/Better At Night

Natalie Evans/Better At Night
2018年 イギリス
『放心した様な少し舌足らずな歌声がかわいい』

 放心した様な少し舌足らずな歌声がかわいい。我ながら歌声がかわいい、などと俗っぽい書き出しは久しぶりであります。

 ロンドンの南東にあるケント州で活動するシンガーソングライター、ナタリー・エヴァンスのデビュー・アルバムです。ハープとギターを演奏することが出来、2013年頃から活動。本作の前に『House』というEPをリリースしています。これしか情報が探し出せず、影響を受けた音楽なども不明。一応、日本語のページにはブライト・アイズやオーウェンズに影響を受けた、という情報も乗っていたのですが、根拠が見つからず。
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 こう書くとまたか、と言われるかもしれませんが、ケイト・ブッシュを彷彿とさせる音楽性です。ハープ、アコギを織り交ぜた素朴で幻想的なフォーク・サウンドを基調として、シンセ系の打ち込みがポスト・ロック的にリフレインで入る感じ。森林浴をイメージするような爽やかさ、清々しさが魅力で、加えてシンセなどの残響が心地よく催眠音楽としても有効です。タイトル通りですね。ハープ兼ギター奏者のシンガーソングライターという関連で言えば、ジョアンナ・ニューサムにも近いイメージがあり。

'Lyre Song'
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