FC2ブログ

GoGo Penguin/A.Humdrum.Star

GoGo Penguin/A.Humdrum.Star
2018年  イギリス
『ビートが強調されつつもピリピリする緊張感は健在』

 ゴーゴー・ペンギンの4枚目。いつも通り2年空けての新作となります。

 マンチェスター出身のジャズ・トリオであり、アンビエント、ポスト・ロック、アンビエント、現代音楽、ジャズ・ピアノ、ゴシックなど様々な要素を融合させた音楽をやっています。セカンド、サードも当ブログで紹介しています。
61dnB5MYexL__SL1200_.jpg

 サード『Man Made Object』の時点で傾向はあったのですが、作風がポップな方向へ振り切っている印象。ビートが強調されている曲もいくつかあり、一部、まるでヴァンゲリスのような趣。精密なドラム、うねるベース、さめざめと泣くようなピアノという三人のアンサンブルの関係は今作でも健在です。相変わらず、音の粒立ちがくっきりしているのもポイント。ちょっと普通になってしまったかな、ロック寄り過ぎないか、と最初は思いました。しかしながら、アルバム全体に緊張感が満ちており、楽曲同士が繋がっていくストーリー性もあり、聴き応えは十分です。

GoGo Penguin - Window (Official Video)
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ イギリスジャズ

King Leg/Meet King Leg

King Leg/Meet King Leg
2017年 アメリカ
『昔のアメリカ音楽のような温もり』

 アメリカのレーベル、Sireと契約した新人ロックンロール歌手、キング・レッグのファースト・アルバム。

 1986年生まれ、ネブラスカ州出身のSSW、ジョイス。地元ではカバーバンドに在籍していたのですが、自作自演への欲求に目覚め、より積極的な活動を求めてナッシュビルへ移住します。スミスのカバー・グループと並行して、自作曲を練っていたものの進展が見られない日々。一度は音楽の道をあきらめて、大学の医学部へと進んだものの、友人の勧めでロサンゼルスへ移住して、ジョイスをリーダーとするキング・レッグというグループを結成。彼らが演奏したある日のクラブにて、ワーナーの伝説的プロデューサー、レニー・ワロンカーの耳を捉え「ロイ・オービソンのように惹きつけられる声だ」などの絶賛を得ることに。レニー・ワロンカーは、Sireの責任者であるシーモア・シュタインを紹介。キング・レッグはレーベルとの契約を勝ち取りました。本作は彼(ら)のデビュー作となります。
81Kkob1jx-L__SY355_.jpg

 50年代のカントリー、R&Bをルーツとするロックンロールへの回帰をテーマとした音楽性が特徴です。鍵盤奏者を含む5人編成での録音。ヴォーカル中心の隙間の多いアンサンブルはパブロックのような軽やかさが素晴らしい。ジョイスの歌声はロイ・オービソンの如し、という程のインパクトは無いものの、甘さや切なさを感じさせる魅力があり。
情感たっぷりで、のどかな雰囲気を感じさせる楽曲群にはコンパクトなポップさや鋭さもあり、懐かしいだけではありません。

King Leg - Great Outdoors (Official Music Video)
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカロック

川崎テツシと燃えるキリン/燃えるキリンの話を聴いた

川崎テツシと燃えるキリン/燃えるキリンの話を聴いた
2017年 日本
『ドラマティックなフォーク・ロック』

 偶然、youtubeで試聴して知ることが出来た作品。STANCE PUNKSのベーシスト、川崎テツシを中心に2010年に結成された、川崎テツシと燃えるキリンの初音源です。STANCE PUNKSは1998年から活動するベテランのパンク・バンドですが、自分は不勉強につき、聴いたことがありません。川崎テツシに対する理解力が足りない状態でアルバムの感想だけ、述べたいと思います。
122842336.jpg

 恐らく燃えるキリンであろう、黄色い物体にもやもやしつつ(顔どこだろう、とか)内ジャケットを見ると、(多分キリンの)お面を付けたギターを持った人物の写真と、カラフル且つサイケデリックなコラージュ写真がいっぱいです。全てのジャケットを担当したのはdabstarというグラフィック・デザイナー。黄色を基調としてサイケデリックな世界観が表されています。

 マンドリン、ペダル・スティール、キーボードが入ったバンド編成によるフォーク・ロック。もちろんジャケット通り、サイケデリックな要素もあり、ピンクフロイドのようにスペーシーだったりもします。ただ、パンク・バンドのギタリストゆえなのか、リラックスした歌声がなぞるメロディーは哀愁味を帯びていて、実にキャッチー。加えてサイケデリック音楽にありがちな、「遠くから聴こえる」感じは皆無。6曲入りEPですが、凝った展開の長尺曲が多く、フル・アルバム並みの充実感が得られます。

川崎テツシと燃えるキリン ”サンデーモーニング” MUSIC VIDEO
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本ロック

遠い国の異邦人/群れを離れて

遠い国の異邦人/群れを離れて
1975年 日本
『再発見されるべき良質フォーク・ポップ』

 1975年に唯一のアルバムを発表した男女デュオ。ポプコン出身らしいのですが、全く知りませんでした。「太田ぼう、金森幸介のサポートを得て」という帯の文言に釣られて購入しました。元々、異邦人というグループ名だったのですが、再発を期に改名したとのことです。珍しいパターン。

 太田ぼう、金森幸介のサポートという部分が作曲に関わってくれていれば、と思っていたのですが、提供曲は全く無し。太田ぼうはA面5曲のディレクターとして、金森幸介はアコギでボーナス・トラック1曲に参加しています。
1007645452.jpg

 ほとんどの曲をメンバーの1人である新田和義が制作。ふるさとの情景を歌うものが多く、郷愁やノスタルジーを誘うフォーキーな楽曲が揃っています。I.M.O.BANDに通じるものがあり、そういう意味では太田ぼう、金森幸介のサポート目当てでも満たされる音楽です。

 URCっぽいとも言える優しいフォーク・サウンドは70年代中頃という時代を考えると、1周遅れている音楽だったのかもしれず、その辺りが人気を得られなかった要因でしょう。21世紀となった今では、そのような流行とは関係なく新鮮に楽しむことが出来ます。復刻してくれてありがとうございます。

動画はありません。
関連するタグ 日本フォーク

Barbara Dane/Hot Jazz, Cool Blues & Hard-Hitting Songs

Barbara Dane/Hot Jazz, Cool Blues & Hard-Hitting Songs
1950年代 アメリカ
『違いが分からない男のブルース・レビュー27』

 ブルースの新規開拓を目的とした連載だったこの企画も27回目。ネタにするべきブルース・シンガーを探すのがそろそろ難しくなってきた感じです。今回取り上げるバーバラ・デインは、タイトルからも分かる通り、フォーク、ブルース、ジャズ・ヴォーカルと多岐に渡って活躍している人物。純然たるブルース・シンガーと言えませんが、ご容赦ください。

 1927年デトロイト生まれ。音楽に関わり始めたのは高校時代の頃。1940年代のデトロイトは経済発展が目覚ましく、且つ労働組合による運動も活発化。人種平等と労働者の権利を求めるデモに、バーバラ・デインも参加することとなります。デモの一環として同世代(10代)の若者たちと共にバンドを結成。パフォーマンスを披露することで、地元の音楽プロモーターからの関心を集めました。ただ、この時点ではプロモーターからの誘いは断り、工場の正門や組合のホールで歌うことを楽しんでいたとのこと。
newport_wide-0af3283582f7376c75cf898cd24e214ae691ce39-s900-c85.jpg

 1949年にサンフランシスコへ移住。これを機に両親ら家族を養うために、ラジオやテレビでトラッドや流行歌を歌う音楽活動を開始します。1950年代、時代の流行に合わせてブルースの古典やジャズのスタンダードを独自の解釈で披露。彼女が主に活躍していたエンバカデロにあるクラブから評判が広がっていき、ジョージ・ルイスやキッド・オーリーのようなニューオーリンズのジャズミュージシャンや、トルコ・マーフィー、バート・ベールズ、ボブ・ミルケーといった地元のミュージシャンと交流。その他、メンフィス・スリム、ウィリー・ディクソン、マディ・ウォーターズ、クララ・ワード、ママ・ヤンシー、ウェス・モンゴメリー等、様々なミュージシャンと交流。フォーク、ブルース、ジャズとジャンルを超えた活動を見せ、1980年代までアルバムを発表しました。その後は社会活動を行うことに専念しています。2018年現在、90歳。

 今回、聴いたアルバムは2枚組のベスト盤。38曲も収録している充実の内容。前述した共演メンバーの他、ライトニング・ホプキンスやチャンバー・ブラザーズ、ドク・ワトソン、ピート・シーガーとの共演も収録しています。バーバラの歌声はパワフルで泥臭い。なるほど、こんな歌声で平等や権利を歌われたら、励まされることだろう。

Barbara Dane & Lightnin' Hopkins - I'm Going Back, Baby (Back Behind The Sun)
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカブルース違いが分からない男のブルース・レビュー

Dream Wife/Dream Wife

Dream Wife/Dream Wife
2018年 イギリス
『新人らしい溌剌としたパンクポップ』

 ブライトン出身の女性3人 (Rakel Mjöll、Bella、Alice)で構成された、ロンドンを拠点に活動するパンクポップバンド、ドリーム・ワイフのファースト・アルバム。2015年に結成されており、翌2016年に4曲入りEPを制作。ライブ・ツアー、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)など音楽フェスへの参加を経て、本デビュー・アルバムのリリースへと漕ぎつけました。ここまで、順風満帆な活動ぶりと言えます。尚、バンドはトリオ編成ですが、サポートにドラム奏者をつけています。
20171129181629.jpg

 透明感のある高音と瞬発力を感じるシャウトを武器にしたヴォーカルは華があります。切れ味の鋭いバンド・アンサンブルは若いパンク・バンドらしからぬ、どっしりとした力強さを感じます。サポートを入れているとは言え、ほぼ最小限度の編成であるため、適度な隙間があるのもポイント。パンクポップと名乗っているだけに、楽曲はとにかくポップ。海外ではパット・ベネターを引き合いに出しているところもあり。ロックンロールを基盤としたシンプルなナンバーが並んでおり、そのポップさ、溌剌とした魅力は確かにパット・ベネターに通じるものがあります。生き生きと音楽を楽しんでいる姿が感じられる、という意味で鮮度も抜群。ライブを見たいと思わせるアルバム。

Somebody
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ イギリスロック

The Magic Gang/ The Magic Gang

The Magic Gang/ The Magic Gang
2018年 イギリス
『完成度の高いオールド・スクール』

 各種音楽メディアにてガンガンに取り上げられている、ザ・マジック・ギャングのデビュー作。実は僕も聴いていました。相当に出遅れつつ、紹介したいと思います。

 ブライトンを拠点に活動する4人組グループ。僕自身もオアシスやクーラ・シェイカーを思い出したのですが、巷でも90年代インディー・ロックからの影響を投影させた音楽性が注目を集めており、「オールド・スクールなロマン派」と呼ばれているそうです。90年代はもうオールド・スクールだったのか!
600x600bb-2.jpg

↑やる気のない感じがかっこいいじゃん、ってやつだと思う。

 ほぼ音楽性については語ってしまった感もありますが、もう少しだけ。ドカドカのドラムを擁した骨太のリズム隊、ジャラジャラしたギター、エコー、コーラスを纏った爽やかなヴォーカルといったバンド・アンサンブル。ビートルズやデヴィッド・ボウイ、トロッグス等々の遺伝子を感じさせるブリティッシュな楽曲群をスマートに演奏しています。

 2013年からEPなどを経て、経験を重ねてきたからなのか、すっきりと整理された音になっており、新人らしいフレッシュさに欠けるところもあり。反面、マイルドさは随一。聴き馴染みは良いです。例えば、フェスで偶然出会った音楽好きにもアピールする即効性があり。フェスは行ったことないけれども。もう少し我を出してほしい。英国ロックの新人だけに期待大。

Getting Along
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ イギリスロック

RAVEL:MA MERE L’OYE/VALSES NOBLES ET SENTIMENTALES/CLUYTENS

RAVEL:MA MERE L’OYE/VALSES NOBLES ET SENTIMENTALES/CLUYTENS
ラヴェル/バレエ音楽「マ・メール・ロワ」(全曲)高雅にして感傷的なワルツ
アンドレ・クリュイタンス指揮/パリ音楽院管弦楽団
1963年 フランス
『ラヴェルで春らんまん』

 今月のクラシックはラヴェルのバレエ音楽を選びました。個人的にはラヴェル作品に触れるのは今回で3度目。優雅なラヴェルの音楽があれば、さすがの我が家にも華やかな春が来ていると実感できるというものです。※この記事は3月に書いていました。
505.jpg

 ラヴェルについて:  モーリス・ラヴェルは1875年、スイス人の父、バスク人の母を持ち、フランスのバスク地方に生まれました。父親の影響で音楽を習い始め、やがて名門であるパリ音楽院へと進学。1898年(23歳)には大きな演奏会に出場し、ここで作曲家デビューを果たします。その後、1900年よりラヴェルはローマ大賞(留学試験)へ応募、奨学金を経て、更にクラシックを学ばんとするも、5回の挑戦で全て落選することに。(審査に不正があったとのこと)その後、第一次大戦と母の死を経て、作曲家としての意欲を失っていくラヴェル。不安定な中で名曲「ボレロ」を生み出すも、1927年頃より言語や記憶の障害に悩まされることになります。そのまま作曲家としての活動が思うように出来ぬまま、1937年に亡くなりました。

 「マ・メール・ロワ」について 1908年作曲。時期的にはローマ賞の落選後、一次大戦前の頃に作られたものです。フランスのおとぎ話を題材にした楽曲。元々は友人の子供達のために書いたピアノ曲で、それをバレエ音楽へと編曲したものです。緻密な楽曲構成と優雅なメロディーというラヴェルの二大要素を盛り込んだ素晴らしい曲。子供用らしく30分弱で次々に場面転換されるスピード感も見事。

 指揮、演奏は華やかさ、気高さを強調するスタイルで、ラヴェルの音楽との相性は抜群。緻密な音の重なりも存分に楽しめます。
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ フランスクラシック

双六亭/双六亭

双六亭/双六亭
2017年 日本
ほのぼのとしたライブが想像できるアルバム

 1993年から2000年代前半に活動していたグループ、セロファン。その中心人物、ニシイケタカシによる新しいグループ、双六亭のファースト・アルバムです。この間まで活動していたタマコウォルス(アルバムは2010年)のメンバー2人(鳥羽修、中原由貴)が引き続き参加しており、連続性を感じさせます。メンバーには上記3人の他、鈴木晶久(SSWとして活躍)、時光真一郎(ベース)の5人編成だと思います。正式なメンバー表記が公式HPにもありません。タマコウォルスの次のアルバムを楽しみにしていた時期もあったのですが、長い間、音信不通ですっかり忘れていたところ、偶然、このCDを発見したという状況です。
1007551349.jpg

 作曲の内訳は10曲中、4曲が鈴木晶久、6曲がニシイケタカシ。スライド・ギターが心地よい、カントリー調の日本語ロックをやっています。落語を題材にした歌詞があり、肩の力が抜けた軽やかな演奏が印象的。要所、要所で分厚いコーラスを披露するところもポイント。ブリンズレー・シュウォーツなどのパブ・ロックに通じる魅力があり。楽曲はカントリー、ブルースを下地にしつつ、キャッチーなメロディーを散りばめており親しみやすい。ほのぼのとしたライブが想像できるアルバムになっています。

双六亭「サイワイ」Live at shibuya guest
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本ロック

Trickster/Back To Zero

Trickster/Back To Zero
1979年 イギリス
『英米いいとこどりのパワーポップ』

 70年代のブリティッシュ・ロックばかりに没入していた以前、1970年代後半のものを敬遠しがちでした。ポンプ・ロック~パンク~ニューウェイヴの流れに馴染めなかったことに加え、スケールが小さい印象も抱いていました。今はそういうことは無いですが、フラットな感情であっても、なかなかこの年代のアルバムが揃ってこない状態です。まだ偏見があるのかな。

 本作も存在は知っており、わざわざ今は亡きストレンジデイズが再発しているのですから、悪いはずは無いだろうと思っていながらなかなか手を出さなかったアルバムです。それなのに、Youtubeのおすすめ動画をクリックしてまんまとハマってしまった次第。
Trickster - Back To Zero [Japan remaster _4]

 後にELOパート2に参加することになるフィル・ベイツを中心とした4人組グループ、トリック・スター。1977年にデビュー作をリリースしており、本作はセカンドとなります。

 ソフトで甘い歌声、爽やかなコーラス、とろとろにポップなメロディー、と三拍子揃ったパワー・ポップをやっています。ELOのスペーシーでカラフルなポップさと、クィーンやコックニー・レベルのような演劇性を同時に受け継いでいるところは、さすが英国のグループ。しかしながら、このバンドの肝はそこではなく、AORやブルーアイドソウルなど、アメリカ音楽からの影響も同じくらい発露しているところがポイント。時にはジャーニーやボストンを先取りしたかのような、メロディアスなパワー・ロック・サウンドも聴かせてくれます。英米折衷とは言いますが、これほど目まぐるしく入れ替わる音楽性も珍しい。彼らが影響を受けた音楽性の幅とキラキラしたアレンジは、1979年ならではの味わいだと思います。残念ながら個性としては小粒になってしまっていますが、曲単位でピックアップして楽しむ現代には合っているかもしれません。 

Trickster /Tomorrow Belong To Me
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ イギリスロック