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Haley Heynderickx/I Need to Start a Garden

Haley Heynderickx/I Need to Start a Garden
2018年 アメリカ
『なんちゃってフォーク』

 オレゴン州ポートランドを拠点に活動するヘイリー・ヘンドリックスのデビュー作。
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 アシッド~オルタナ・フォークという部類の音楽をやっています。アコギの弦の響きがよく通るような、シンプルなアレンジが特徴。曲によってはストリングス、エコー、ホーンなどを加えており、幽玄な雰囲気を湛えています。儚げな高音のファルセットを始めとする情感たっぷりのヴォーカルも素晴らしい。カントリー、オルタナティヴ・ロックを内包したフォークという点で、素直な作風となっています。オレゴン州ならではの田舎らしい穏やかさがあらわれた楽曲も魅力的ですが、荒々しくギターをかき鳴らす、ロックの激情があらわれた曲こそ、彼女の真価だと感じました。

Oom Sha La La
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Thundermother/Thundermother

Thundermother/Thundermother
2018年 スウェーデン
『AC/DC愛、少し冷めたか』

 先ほど、ブラック・エーセスのレビューを書いたところで、次がこれとは。スウェーデンのAC/DCフォロワー、サンダーマザーを頑張って紹介したいと思います。

 既に2枚のアルバムを発表しており、スウェーデンのオンナAC/DCとして日本でも支持を得ている、サンダーマザー。本作はギター以外のメンバーを総入れ替えしてのサードとなります。前2枚を聴いていないので、何とも言えないのですが看板である女性ヴォーカルも変えてしまったのですね。
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 スウェーデンのグループらしく、AC/DCフォロワーと言えどもメロディアスで、バラード・ナンバーもあり。というよりも、サードにして方向転換したのか、オーセンティックなハード・ロック・ナンバーがチラホラとある印象。もちろん、ザクザクのリフはありますが、AC/DC度はKIX未満というところ。よりAC/DCに近いナンバーの方が出来が良いこともあり、アデンティティーに迷いが感じられる仕上がりとなっています。朗々とした女性ヴォーカルは魅力十分。

※右上のブログ内検索でAC/DCと入れるとこれまでのAC/DCフォロワー記事が出てくるかもしれません。

Whatever
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Black Aces/Anywhere But Here

Black Aces/Anywhere But Here
2017年 オーストラリア
『オーストラリアの伝統芸能、また受け継がれる』

 オーストラリアのハード・ブギ、ロックンロール・バンド、ブラック・エーセスのセカンド・アルバム。

 オーストラリアのビクトリア州にある都市、ベンディゴで2007年に結成された4人組グループです。地元のライブハウスで経験を重ねる後、
Lead Guitar/Lead Vocals - Tyler
Rhythm Guitar - Jazz
Bass Guitar - Alex
Drums – Pete
という現在のラインナップに落ち着きました。長い下積みを経て、2016年デビュー作『Shot In The Dark』をリリース。アルバムはオーストラリアのロック・チャートで20位以内に入り、それを機にヨーロッパ・ツアーを敢行します。また、ウェールズのハード・ロック・フェス、HARD ROCK HELLフェスティバルに於いて、Ratt、Living Colour、Molly Hatchetといったメンツに混じり、メインステージで出場しました。(それにしても懐古色の強いラインナップだ)そして2017年、彼らはイギリスのレーベルOff Yer Rockaとの契約に成功。オーストラリアの伝説的なプロデューサー、マーク・オピッツ(AC/DC、INXS、COLD CHISEL)を迎えて、『Anywhere But Here』をリリースしました。
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 「ニュー・ヴィンテージ・AC/DC」とグループのスタイルを表明しており、名産品の新しい職人が登場したかの如き、堂々たる表記であります。「俺たちはエアーボーンよりも、ボンスコット時代のAC/DCを愛する」といった発言から伺える通り、ブギー愛(=AC/DC愛)が貫かれたハード・ロックンロールが楽しめるアルバムです。うん、もう書くことないぞ!

Anywhere But Here
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Steelism/ism

Steelism/ism
2017年 アメリカ
『ペダル・スティール愛』

 スティーリズムのスティールはペダル・スティールのスティール。美しい伸びやかな高音とギター、オーケストレーション、シンセサ
イザーが交歓するインストゥルメンタル・ミュージックです。

 ナッシュビルのインストゥルメンタル・デュオ、スティーリズム。イギリスのエセックス出身のスペンサー・カラム・ジュニア(ペダル・スティール担当)と、オハイオ州カントン出身のジェレミー・フェッツァー(ギター担当)が出会い、2013年に結成されました。フェイスブックの影響を受けた音楽には「Area Code 615, Booker T. & The MGs, Dick Dale, Pete Drake, Lloyd Green, Ennio Morricone, Lalo Schifrin, Goblin」と記載されており、カントリー、ソウル、映画音楽からの影響を受けていることが分かります。個人的にはゴブリンが入っているのがワクワクします。本作は2014年のデビュー作に続くセカンド・アルバム。
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 デュオ名義ですがバンド録音+ストリングスで録音されています。上記のリスト通り、ホラー、西部劇のサントラ、カントリー、ソウルと様々な音楽要素をごった煮したインストゥルメンタル・ミュージック。ペダル・スティールとギターが肝ながら、それぞれがソロを取ることはなく、合奏のみで展開。またアルバム全体のスパイスとしてか、女性のゲスト・ヴォーカルを数曲で起用しており、それらでは、よりドラマティックな魅力を強調しています。全編でスティール・ギターがふぃーーーんと唸っているのはどうなのだろう、と思いきや、清々しい聴後感。

Cup of Wasser
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The Reverend Shawn Amos/Breaks It Down

The Reverend Shawn Amos/Breaks It Down
2018年 アメリカ
『リバーエンドで神父って意味なのか』

 渋いジャケに心惹かれてチェックしたアルバム。

 ジ・リバーエンド・ショーン・アモス、ショーン・アモス神父は現代のブルース・マンの一人。過去のブルースを検証、再解釈することを自身のスタイルとしているようです。神父と名乗るだけにゴスペルに造詣が深く、ソウルやロックの要素も多く取り込んでおり、シ
リアスなブルース音楽とは言えないものの、取っつきやすい音楽性が特徴です。

 ソロ名義ながら数名のギタリストの他、バンド・メンバーを招いて録音。いくつかの曲ではホーンセクションを加えています。
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 アルバムは2曲のカバーと5曲のオリジナルで構成されています。1曲目「Moved」は三枚目のツェッペリンがやりそうな、ギター弾き語りによる静謐なスロウ・ブルース。響き渡るハーモニカが印象的です。2曲目「2017」はソウル色の強いロック・ナンバー。絞り出すようなヴォーカルとリズム・セクションによるグルーヴが一体となっています。表情の全く異なる2曲で掴みはオーケー。以降、バラエティーに富んだ構成で、滋養がありそうな、ワクワクするブルース・ロックで楽しませてくれます。

 ブルース・ミュージシャンではあるのですが、アルバート・キング的な雰囲気がする人。カバーの選曲はロック寄りでデヴィッド・ボウイ「The Jean Genie」エルヴィス・コステロ「(What's So Funny 'bout) Peace, Love, And Understanding」というラインナップ。前者はデカダンスな部分を残しながら、骨太なギターラインを強調してハードボイルドなブルース・ナンバーへと変貌させており、後者はキーボード主体のゴスペル・ナンバーへと仕上げています。特に「(What's So Funny 'bout) Peace, Love, And Understanding」はメロディーの美しさが際立っており、素晴らしい。

The Reverend Shawn Amos - 2017 (Official Lyric Video)
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Grady Tate/After the Long Drive Home

Grady Tate/After the Long Drive Home
1970年 アメリカ
『ジャズ・ヴォーカルかソウルか、は置いておいて』
 
 昨年に当たる2017年10月に亡くなられたジャズ・ドラマーにしてヴォーカリストでもあるグラディ・テイト。自分は全く聴いたことが無かった、と思っていたら何故かジャズのGのところから『After the Long Drive Home』の紙ジャケを発見。あれ?いつだ。いつ買ったのだろうか。ともあれ、この機会にじっくり聴いてみよう。
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 グラディ・テイトは1932年ノースカロライナ州ダーナム生まれ。1963年にニューヨークへと移住。ヴァーヴ・レーベルでのジミー・スミスやウェス・モンゴメリのアルバムなど、多くの作品にドラマーとして参加しました。1960年代後半のジャズは、オルガン・ジャズやフュージョン、ソウル・ジャズなど洗練の時代を迎えていた時代。グラディ・テイトはグルーヴを保つことに集中する職人気質のスタイルで、多くのジャズ・プレイヤーから支持されていたとのこと。特にクインシー・ジョーンズの諸作品での演奏によって彼の名前は知れ渡りました。元々、ジャズ・ドラマーとして活動していた彼ですが、名歌手ペギー・リーのセッションに参加した際、彼女より特に勧められてヴォーカルを録音。これをきっかけとして、ジャズ・ドラマー兼ヴォーカリストとして活動することになります。

 『After the Long Drive Home』はソロ2作目に当たるアルバム。ハロルド・ホィーラーがプロデュース(アレンジと指揮)を担当しています。冒頭、ハロルド・ホィーラーによる牧歌的なオーケストラのテーマが入り、意表を突くスタート。2曲目(タイトル曲)からは、渋く辛口のディープ・ソウルなヴォーカルが炸裂。流麗なエレピ、ストリングスも相まって、王道ソウルにしか聴こえない音楽性。そんな中、軽やかに跳ね、グルーヴするドラムとベースだけは確かにジャズ。ヴァン・マッコイやランディ・ニューマンの楽曲を取り上げており、都会的なソウル・ジャズが楽しめるアルバムです。

After The Long Drive Home
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中川イサト/鼻歌とお月さん

中川イサト/鼻歌とお月さん
1976年 日本
『こんなふうに全力で引き留められたい』

 中川イサト周辺のCDを再発しているシールズ・レコードの盤。存在は知っていたものの、ライブ盤ということもあり長い間後回しにしていました。

 「1975年12月。「もう音楽をやめたい」ともらした中川イサトの元に集まった加川良、金森幸介、大塚まさじ、西岡恭蔵などのたくさんのミュージシャン。」と紹介文にあるので、中川イサトを励ますために集まった面々によるコンサートの模様を録音したものと思われます。上記メンバーの他、いとうたかお、シバ、長田”タコヤキ”和承が参加。さすが中川サイト、と思わせる豪華メンバーが集まっています。なので正確にはオムニバス盤。
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ジャケットはシバ。正直に言おう。分からないぞ!

 中川イサトの楽曲を中心に、各人の持ち寄った曲を合わせて構成された2枚組22曲という圧巻の物量。ただ代わる代わる登場する個性的な歌い手たちが楽しく、飽きることなく聴き通せてしまいます。趣旨の通り、中川イサトを囲む雰囲気も最高。会場も暖かい。ご本人のパフォーマンスもさることながら、中川イサトの曲を金森幸介や西岡恭蔵、いとうたかおが歌うテイクはとても貴重で聴き応えあり。70年代の日本語フォークが好きならば、楽しめること請け合いです。
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Eric Stewart/Frooty Rooties

Eric Stewart/Frooty Rooties
1982年 イギリス
『聴き漏らしがちな10cc関連作』

 10ccのメンバー、エリック・スチュワートのソロ2枚目。10ccの状況としては、ゴドレイ&クレームの二人が1976年に脱退。グレアム・グールドマンとエリックを中心とした6人組グループとして生まれ変わった10cc。しかしながら数年でデュオ編成に戻ることに。そんな中、81年に『Ten Out of 10』をリリース。その翌年に本作は発表されています。

 参加メンバーには6人編成時代の10ccメンバーが揃い踏み。ゲストも加わっていないことから、ほぼ10ccのアルバムといっていい
状況で制作されています。
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Aメロが「Come Together」にそっくりなポップなロックンロール「Never Say 'I Told You So'」。このようなポール・マッカートニーからの影響(パロディかな)も伺えるナンバーがいくつか収録されています。高品質な英ポップが並んだアルバムで、エリックの優れた楽曲群を楽しむことが出来ます。

 初期10ccのようなスケールの大きさは望めないものの、小粒な佳作が目白押し。これも後期10ccらしい味わいと言えるので、本作が未CD化であることは残念なところです。

Doris The Florist
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Shilpa Ray/ Door Girl

Shilpa Ray/ Door Girl
2017年 アメリカ
『ニューヨークの伝統、繋がる』

 やさぐれた女性ヴォーカルのロックンロール、という取っつきやすさに加えて、レゲエやヒップホップ、ニューウェイヴも取り込んだ多彩なバックグラウンドも持っているミュージシャン。
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 シルパ・レイはニューヨーク、ブルックリン出身のSSW。幼少期、教会のゴスペルに触れることが音楽との出会いとなります。また自宅にあったハーモニウム(インドのオルガン)も、長い間彼女の遊び道具であったとのこと。ニック・ケイヴ・&・バッド・シーズの音楽を知ることで、パンク、ロックンロールの世界に魅了されていく彼女は、2004年にパンク・ロック・バンドShilpa Ray and her Happy Hookersを結成。数枚のアルバムを発表しています。バンドは2011年に活動停止となり、ここから新たなバック・バンドを編成してシルパ・レイ自身のソロ活動を開始。2015年にファースト『Last Year's Savage』を発表、本作はそれに続くセカンド・アルバムとなります。尚、彼女は影響を受けたミュージシャンとして、Nick Cave and the Bad Seeds, Warren Ellis, Jon Spencer Blues Explosion, Sharon Van Etten, Man Man, Nicole Atkins, Acid Mothers Templeといったメンツをリストに挙げています。

 古き良きニューヨーク・パンクの流れを汲む音楽性です。暗く寂しいメロディーと衝動的なビートが同居したスタイルは正しく王道。一方で先述したように、レゲエやヒップホップの要素を取り込んだ楽曲もあり、まるでポリスを彷彿とさせる部分もあり。抑揚をつけたヴォーカルは見事。ふくよかな声質。またハーモニウムを随所で活用しているのも特徴で、儚げな残響が美しいです。

Shilpa Ray "Morning Terrors Nights Of Dread
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Jimi Hendrix/Both Sides of the Sky

Jimi Hendrix/Both Sides of the Sky
2018年 イギリス
『そろそろ我に返るときか』

 何だか『First Rays Of The New Rising Sun』がリリースされたことが遠い昔のような、と思っていたら1997年のことでした。再びリリースされたジミ・ヘンドリックスの発掘音源集第5弾の登場です。

 これら未発表音源集は、それぞれテーマが設けられていたような気がするのですが、棚に収めてしばらく聴いていないでいると忘れています。今一度、自分の為に復習しておきます。
1.First Rays Of The New Rising Sun(1997) バンド・オブ・ジプシーズ解散(1970年1月)~ジミ死去(同年9月)までのセッションで残されたアイデアを中心にまとめられたアルバム。次回作になるはずだった構成に近いとされています。
2. South Saturn Delta(1997) 1967年~1970年の音源を収録。当時、未発表曲が多数収録されたアルバムとされていました。
3. Valleys of Neptune(2010) 1969年(エクスペリエンス末期)の音源を中心に構成。エクスペリエンスの次のアルバムを作るためのセッションの模様。ですが芳しい成果が得られなかった為、解散したのであるからして内容は薄い。タイトル曲はいい。
4. People, Hell and Angel(2013)1968年~1969年のニューヨーク録音を収録。バンド・オブ・ジプシーズの活動期と重なる時期のものとなります。トリオ編成を基本として、サックス奏者やスティーヴン・スティルスなどを迎えたセッション音源が特徴。

 上記のうち、1、3、4は「4枚目のスタジオ作」という文句がメディアで使われていました。何だか不健全。

 さて今回の第5弾。『Valleys of Neptune』以降のアルバムはアーカイヴ・シリーズと銘打たれており、本作は第三弾となるそうです。ややこしいかな。1968年~1970年の音源を収録。今回もスティーヴン・スティルスとのセッション音源が2曲(「$20 Fine」「Woodstock」)されています。目玉はジョニー・ウィンターとの共演「Things I Used to Do」。ずっしり来るブルースで、ジョニー・ウィンターのスライド・ギターが魅力的。ジミが楽しんでいることが伝わるところもポイントです。前述したスティーヴン・スティルスとのセッション音源も、同様に素晴らしい。他は玉石混淆で石多めな感じです。遺族がしっかりジミの音楽を守る、とのことですが、世に出すつもりのなかったリハーサル・テイクをバンバン出してしまうのは方針に沿うことなのか。結局これまでと同じ道を・・・・・・などと言うのは野暮かな。スタジオ音源としては初、と言われてもテンションがライブテイクと比べると落ちるので感動が薄い。
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このラインまで発掘するなら、最初から録音順に並べてリリースしてほしいとも思います。と、書いていて思いついたのですが、これまでリリースされた未発表音源を録音日時順にプレイリストに並べてSpotifyで公開すれば需要がありそう。

Jimi Hendrix - Both Sides of the Sky (2018) – Compilation Music
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