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WIZZ JONES/WIZZ JONES

WIZZ JONES/WIZZ JONES
1969年 イギリス
『目立たなかった彼を再評価』

 英フォークの重鎮の一人でありながら、日本ではあまり注目されていないウィズ・ジョーンズ。ウチのCD棚にも代表作の「Right Now」くらいはあるだろう、とWのコーナーを捜索してみましたが・・・無い。CDが日本盤でリリースされたことは恐らく無いはずで、その辺りが認知度に影響しているものと思われます。

 今回はBIGPINKによるファーストの再発盤を購入しました。帯にはバート・ヤンシュやデイヴィ・グレアムと並ぶ名ギタリストと表記されており、改めて偉大さを認識する次第。1959年にフォーク・シンガーとしての活動を開始しながら、紆余曲折を経て1968年にファースト・ソロとなる本作を発表しています。
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魚眼レンズジャケが、この時代のイギリスらしさを感じさせます。

 古き良きブリティッシュ・フォークを現代(この場合1969年)に蘇らせよう、という意気込みが当時のフォーク・シンガーにはあり、その思いの源泉にはボブ・ディランがいました。ウィズ・ジョーンズもルーツを大切にしつつ、当時のロック・シーンの流行であったサイケデリック・サウンドに反応しており、カラフルなポップ・サウンドでブリティッシュ・フォークをアレンジしております。先述したバート・ヤンシュやデイヴィ・グレアムは伝統を重んじた濃厚なブリティッシュ・フォークを指向していましたので、彼らとは対極に位置する音楽性と言えます。同時代のドノヴァンに近い部分もあり。またバロック調のオーケストラ・アレンジも特徴で、イギリスらしい上品で温かみのあるムードを演出しています。

 アレンジが賑やかな分、楽曲本来の個性が埋没しているところはマイナス点。ただ代表作「Right Now」で結実するサイケ・フォーク路線は既に試みられており、名ギタリストと称えられる流麗な指捌きと清涼感のある楽曲群は十分魅力的でした。

Dazzling Stranger

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マジカル・パワー・マコ/マジカル・パワー・マコ

マジカル・パワー・マコ/マジカル・パワー・マコ
1974年 日本
『レビューが難しい』

 テープ・コラージュによるサイケデリック、ジャーマン・エレクトロ、ラーガ、ケチャや民謡などの民族音楽を融合させたマジカル・パワー・マコのファースト・アルバムです。
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 ヴォーカルは遠くでぼそぼそ言っていたりして良く分からない箇所が多数。奇声、SEや電子音、テープ・コラージュが不規則に乱れいるので、落ち着きたいときに聴く音楽ではありません。宇宙を表現しているという批評を耳にしますが、確かにスケールの大きさとおおらかさを感じることが出来ます。最初はアヴァンギャルドな要素ばかりが耳に入るのですが、実は美しいメロディーが少しずつ隠れており、それが徐々に姿を現してくる頃にはアルバムに馴染んでいることでしょう。朝日を見たような清々しさ、爽快感が味わえるアルバムです。
関連するタグ 日本サイケデリック

Tony Allen/The Source

Tony Allen/The Source
2017年 アメリカ(ナイジェリア出身)
『レゲエのリズムとロックの熱狂、テクノの没入感。全部入ってジャズ』

 ナイジェリア出身。アフロ・ビート・ドラマーの巨匠、トニー・アレンのブルーノート・デビュー・アルバム。(←宣伝文そのまま)色合い、レタリング共にブルーノートらしいジャケだったので、ついつい聴いてみました。
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 トニー・アレンは元々、ナイジェリアのラジオ局で働いていたそうです。そうした中でアート・ブレイキーの音楽に感銘を受けて、ドラムの演奏を始めることに。60年代にはフェラ・クティのメンバー・オーディションを受け、彼のバックでドラム、パーカッションを担当。アフロビートの感覚を身に付けました。その傍らで、自身のソロ作も多く発表しており、本作はフル・アルバムとして20枚目にあたります。

参加メンバーは以下。
Mathias Allamane(b) Jean Philippe Dary(p) Indy Dibongue(g) Yann Jankielewicz(ss) Nicolas Giraud(tp) Nicolas Giraud(flgh) Jean-Jacques Elangue(ts) Rémi Sciuto(bs) Rémi Sciuto(as, fl) Daniel Zimmerman(tb,tuba) Vincent Taurelle(clavinet) Tony Allen(ds)

テナー・サックスとしてクレジットされているヤン・ジョンキエレヴィックスは、共同プロデューサー的な立場でアルバムの方向性を決めた人物とのこと。また上には記載されていませんが、ゲストとしてブラーのデーモン・アルバーンがキーボードとして参加しています。トニー・アレンはセッション・ドラマーとしても活躍しており、デーモン・アルバーンとも共演しているのでその縁でしょう。その他、多彩な楽器が揃ったビッグバンド編成でのセッションとなっています。

 2017年の初めにはアート・ブレイキーのトリビュート盤も発表しており、且つビッグ・バンドでの演奏ということで、モダン・ジャズ以降の伝統を受け継いだ、アフロ・ビート・ジャズをやっています。ゆったりとしたグルーヴを作り出すトニー・アレンのパーカッションとスペーシーなピアノが鮮烈。ふくよかなサックス群のうねりと合わさって、とても神秘的に響いています。てっきりケニー・ドーハムのようなアフロ・キューバンだろうと思っていたのですが、レゲエのリズムとロックの熱狂、テクノの没入感が加わったジャズとして想像を上回るインパクトがありました。

Tony Allen - Ewajo (Album The Source, 2017)
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Siv Jakobsen/The Nordic Mellow

Siv Jakobsen/The Nordic Mellow
2017年 ノルウェー
『姿勢を正してしまうような、たおやかさが素敵』

 ここで言及するのは何度目かわかりませんが、ケイト・ブッシュやジョニ・ミッチェルを彷彿とさせる弾き語りの女性SSWに目がありません。そこで最近見つけてきたのがシフ・ヤコブセン。ネット検索をしてみたところ、曰く「新世代ヴァシュティ・バニヤン」「サンディ・デニーの再来」と絶賛の嵐でありました。相変わらず、メディアの皆さんはヴァシュティ・バニヤンやサンディ・デニーの名前を易々と使う悪癖が治癒していないようで残念。まー、僕も使う形容詞がワンパターンだから全然だめだけれども。

 ノルウェーの都市、オスロを拠点に活動するシンガーソングライター。ローラ・マニングを手掛けているプロデューサー、マット・イングラムのバックアップを経て制作されたのが、このデビュー・アルバムとなります。
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 歌声は美しい。こちらが姿勢を正してしまうような、たおやかさがあります。キリッとした芯の強さを感じさせる。メロディーは甘くなり過ぎず、言葉が詠唱の様に流れる滑らかさを優先させています。ジョニ・ミッチェルからの影響は大でしょう。敢えて英国の女性SSWからイメージとして挙げるとすれば、ブリジット・セント・ジョンが近い印象です。

 マット・イングラムによるヴァイオリンを中心としたストリングス・アレンジは、彼女の歌とギターを神秘的に演出。パーカッションの入れ方も仰々しく、雰囲気作りはバッチリです。一部過剰かな、と感じるところもありますが、概ねシフ・ヤコブセンの個性を大切にした出過ぎない演出が素晴らしい。
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 霧のかかった森の中にいるような寒々とした雰囲気は北欧フォークらしく、突出した名曲こそないものの、大いに楽しめました。

Shallow Digger
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JUSTIN HEATHCLIFF/ JUSTIN HEATHCLIFF

JUSTIN HEATHCLIFF/ JUSTIN HEATHCLIFF
1971年 日本
『執念を感じるべし』

 和楽器を用いた独自の和洋折衷音楽に取り組んだパイオニア、喜多嶋修と、日本のロック黎明期を支えたエンジニア、吉野金次がタッグを組んだプロジェクト、ジャスティン・ヒースクリフの唯一作。

 解説によると多重録音の拘りから「米国の一人マッカートニー」と呼ばれるエミット・ローズから触発されたのが切っ掛けで、「ビートルズのスタジオ・ワークを日本で再現する」というコンセプトにより制作されているアルバムです。
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 全編英詞による研究成果をまとめた録音というべきもので、後期ビートルズの手法を再現しています。当時は画期的だったことも頷けるところ。あまりオリジナリティーが感じられないのは事情が事情なだけに仕方ない部分です。本家よりもファズ・ギターが前面に出ているなど、微妙な質感の違いを楽しむのが吉でしょう。何よりも徹底した拘りには執念、妄執が感じられ、圧倒されます。
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Geyster/With All Due Respect

Geyster/With All Due Respect
2017年 フランス
『今度のガイスターはディスコ趣味全開』

 フランスのガエル・ベンヤミンによるプロジェクト、ガイスターの最新アルバム。通算8枚目です。前作は3枚組の大作だったのですが、まさかもう新作が届くとは創作意欲の旺盛さに驚きます。

 自分がガイスターを知ったのは6thアルバムである2013年「Down On Broadway」でした。ブリティッシュ・ロック要素の強い作風が気に入っていたのですが、彼の本道はAORやエレクトロ・ポップのフィールドにあるようです。またガエル・ベンヤミンはプロデューサーとしても活動しているマルチ・ミュージシャン(宅録職人)なので、作品ごとに性格付け(コンセプト)がはっきり成されているのも特徴。

さて今回のアルバムですがビートが強調されており、エレクトロ・ポップ、ディスコの要素が強い音楽性となっています。
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同郷のダフトパンクにも通じるソウル、ファンク要素を加味した洗練されたエレクトロ・ポップが楽しめます。きめ細かい裏音の配置、余裕を感じさせるヴォーカル、キラキラのキーボード・サウンド、ジャズを彷彿とさせる奔放なソロパートと従来のガイスターが好きなAORファンにも楽しめる内容だと思います。ただ「Down On Broadway」が好きだった自分としてはちょっと寂しくもあり。プリファブ・スプラウトのカバーはうれしかったけれDも。

Geyster (feat. Ethel Lindsey) - Easy (Music Video)
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The Preatures/ Girlhood

The Preatures/ Girlhood
2017年 オーストラリア
『初期ブロンディみたいなカッコよさ』

 オーストラリア、シドニーを拠点に活動するロック・バンドのセカンド・アルバム。女性ヴォーカルをフロントに、4人の野郎ロッカーがバックを固める布陣はまるでブロンディ。だったのですが、どうやら2017年に入ってメンバーが一人脱退してしまった模様。つまり現在はショッキング・ブルー的な4人編成です。サウンドはパンキッシュなロックンロールをやっており、やはりブロンディを彷彿とさせてくれるのがうれしいです。
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 タイトルとなっているガールフッドは少女時代という意味。前述した通り、パンキッシュなロックンロールがベースですが、女性ヴォーカルに少しエコーが掛かっており、少しノスタルジーな雰囲気を生み出しているのが特徴。結構なおじさんである自分が聴くと「80年代だな」という感想をついつい抱いてしまうアレンジです。緩急の付け方がうまい楽曲群、少し巻き舌の姉御ヴォーカル、タイトなバンド・サウンドが素晴らしい。英米と同じロックンロールながら素朴さを感じさせるのは、イージービーツやAC/DC、ビージーズ等を生んだオーストラリアならではの人懐っこさが出ていて素敵です。

難を言えば、2~3分台のビシッと締まったロック・ナンバーが魅力的な一方で、2曲目3曲目で5分台を続けてしまった構成は(コンセプトの趣旨は分かりやすいのですが)ちょっと失敗だったかもしれません。

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かっこいいな。

The Preatures – Girlhood
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Thelonious Monk/ Underground

Thelonious Monk/ Underground
1968年 アメリカ
『ジャケとの相乗効果で楽しさ倍増』

 ボブ・ディランの『地下室』と似たジャケットが気になって購入。(調べてみましたが確たる情報は見つからず)セロニアス・モンクは今回で5枚目です。即興と本筋の境界線が見えないような、スリリング且つ美しい旋律を聴かせてくれるピアニスト兼作曲家。
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本作での参加メンバーは以下。
Thelonious Monk(piano)
Charlie Rouse(tenor sax)
Larry Gales(bass)
Tommy Williams(bass)
Ben Railey(drums)
Jon Hendricks(vocal)

 セロニアス・モンクはこの時、50歳。53歳(1971年)には隠居体制に入ってしまうので、晩年の作品ということになります。収録曲は全7曲で5曲目の『Easy Street』のみスタンダードであり、他の曲は全て自作曲となります。

 この時代のセロニアス・モンクは初めて聴きました。ピアノのスタイルが落ち着いている。いや、音数を抑えて表現しようとしているように思えます。これはこれでやはりかっこいい。自在に閃くアドリブも健在です。また、アンサンブルも、モンクのコロンビア期を支えてきたメンバーが多く参加しているだけにコンビネーションはバッチリです。

 個人的に気に入ったのはまず3曲目「Raise Four」。延々と続くと思われるピアノのリフレインから徐々に崩れてアドリブ・パートへ。最初の無愛想な冷たさから一転、お茶目なセッションへと表情が変わるのが楽しい曲です。そしてラストに置かれた「In Walked Bud」。
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Electric Angels/Lost In The Atlantic

Electric Angels/Lost In The Atlantic
1990年頃 アメリカ
『LAメタル末期の忘れ形見』

 中学生の頃、将来バンドを組んだとしたらどんなバンド名にするか考えたことがあったのですが・・・エレクトリック・エンジェルス。このバンド名は盲点でした。やられました。

 そんな素敵な名前を持つグループのアルバムだったので聴いてみました。調べてみると後にGUNS’N ROSESに加入するギルビー・クラークが在籍していたロサンゼルスのバンド、CANDYを母体としたグループらしく、90年にファースト・アルバムをリリースしたのみで解散しているとのこと。未発表となってしまったセカンド・アルバムをリマスターして発掘音源として発売したのが本作となります。
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 内容もバンド名を裏切らない最高のもの。LAメタルの遺伝子を感じさせるグラマラスなロックンロールを全編で展開しています。頭が緩・・・いや、ポジティヴ思考の塊のようなシャウト、ルーズに繰り返されるギター・リフ、「俺たちは無敵」な感じの野郎コーラス。正にエレクトリック・エンジェルスという名にふさわしい音楽であります。
引き締まったバンド・アンサンブル、平均3分台とコンパクトにまとめられたポップで溌剌とした楽曲群、共に文句なし。発掘音源から知ったグループですが、ファースト・アルバムも聴いてみようと思います。

Electric Angels - New York Times
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Spencer the Rover/The Late Album

Spencer the Rover/The Late Album
2017年 ベルギー
『英国のポップ職人へのリスペクトが詰まったアルバム』

 大学が密集しているというベルギーの都市、ルーベンを拠点に活動しているポップ・グループ、スペンサー・ザ・ローバー。2001年にデビューしており、本作は3枚目のアルバムとなります。
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 影響を受けたミュージシャンではRon Sexsmith, Wilco, Rufus Wainwright, Joni Mitchell, Steely Dan, Paul McCartney, Neil Young, XTC, Beach Boys, Richard Thompson, Bob Dylan, Hayden、という具合に英米、カナダのメロディー・メイカーが並んでいます。

 編成は基本的な4人組でキーボードやシンセサイザー、フルートなどを各メンバーで分け合っているとのこと。ヴァイオリンなどの
ストリングスはセッション・プレイヤーが参加しているようです。音楽性はフェアポート・コンヴェンションや中期ビートルズからの影響を感じさせる、ほのぼのとした優雅なポップス。所々で荘厳且つスペーシーなアレンジが挿入されておりクリムゾンやピンク・フロイドの影響も垣間見えるのが印象的です。

 英国ポップスをよく研究されたのであろう、と推察されるほどに耳馴染みが良く落ち着いて聴ける良曲が揃っています。加えて細かいところにヴァイオリンや笛の音を入れているなど、凝ったアレンジも聴きどころ。再生する度に新しい音に気付かされる楽しさがあります。

 英国らしい仕掛け時計を題材にしたジャケからも分かる通り、英国のポップ職人へのリスペクトが詰まったアルバムでした。
Spencer the Rover/Late March
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