135/オーダーメイド

135/オーダーメイド
1991年 日本
『パーカッションの響きが気持ち良い』

 135についてはファーストセカンドのレビューをご参照ください。実体験したのはセカンドまでで、サード以降はソニーの再発盤で初めて聴くことになります。
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 アジア大陸を感じさせるメロディーは健在ながら、オーソドックスなロックへと近づいています。前作までぶっ飛んでいた歌詞も独特の味わいを残しているものの、かなり落ち着いている印象。演奏面ではパーカッションが元気よく跳ねており、ブラスも加わってグ ルーヴ感が増しています。生音重視で隙間をたっぷり開けているのもポイント。アレンジに古さを感じさせません。ジャズ、ソウルの要素も散りばめており、コーラス・ワークがまろやかで洗練されています。

 また作曲クレジットが各メンバー名義となっているのも特徴。本作では高木茂治が主導権を握っています。数曲ある歌謡曲度の高いナンバーは本田義博が担当していることが分かりました。

Will ~オーダーメイド~
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タカダスマイル/ぼくのちっぽけなロックンロール

タカダスマイル/ぼくのちっぽけなロックンロール
2016年 日本
『会ったことがないのに沸いてくる親近感』

 京都出身のフォーク・シンガー、ロックンローラー、タカダスマイル。プロフィールを見てもいつから始めたのか書いてありませんでしたが、2008年のyoutube動画はあったので、それ以前に活動を開始していると思います。2014年にファースト・アルバム『世界平和とオムライス』をリリース。本作はそれに続く6曲入りのミニアルバムです。
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 カントリー、フォークをベースにしたメロディーにおセンチな歌詞を乗せる、シンプルなフォーク・ロック。各曲ともゲストでギターまたはキーボードを迎えて録音されています。高音域でちょっと苦しそうに震えるヴォーカルは、たまの知久寿焼をハスキーにしたような味わいがあり、センチメンタルを増幅させます。年齢は定かではありませんが、中年に差し掛かるころから音楽活動を始めて、自分の内面を赤裸々にさらけ出す堂々たる開き直りが眩しいです。個性を探そうともせず、自分の気の向くまま歌っているだけなので、地味で素朴な内容。だからこそ、何度か聴いただけで、「会ったことがないのにこの人と3時間くらいサシで飲み交わしたような」親近感が沸いてくるのでしょう。応援したくなります。

ぼくのちっぽけなロックンロール
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池間由布子/明るい窓

池間由布子/明るい窓
2017年 日本
『もう一度ライブに行かねば』

 去年はやっと彼女のライブを観ることが出来ました。ただ、その日は疲れていたのか、はたまた彼女の歌があまりに心地よかったせいか、演奏の間3分の1くらい、うたた寝状態でした。もう一度観に行こうにも情報が手に入らず・・・・・・そして

 突然リリースされた池間由布子の新作。セカンド・フル・アルバム。またもやモノクロのジャケットなのです。
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 今回のアルバムはベテラン・エンジニアの大城真によるバックアップを受けて制作されています。ギター弾き語りを中心としつつも、12弦ギター、キーボード、ベースなどいくつかの曲でセッション・プレイヤーが参加しています。また植野隆司の曲を2曲カバー。
ボロンボロンとつま弾かれるギターは相変わらずながら、呟くような歌は独り言のような孤独な雰囲気を纏っています。研ぎ澄まされた鋭さがある曲と、弛緩した穏やかな曲が交互に配されており、この穏やかな曲の時に油断しているとすやすや眠れそうな感じがあり。コツコツと聴き込んで再びのライブ情報を待つとします。

『ぜんぶウソみたい』
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Ron Gallo/Heavy Meta

Ron Gallo/Heavy Meta
2017年 アメリカ
『60年代への敬意たっぷりのssw作』

 「いや、違う違う。ヘヴィメタじゃなくてヘヴィーメタルだから。」というやり取りを何度したことか。今回は、アメリカのシンガー・ソングライター、ロン・ギャロが発表したセカンド作『ヘヴィー・メタ』をご紹介。(煮え切らない・・・・・・)

 ロン・ギャロはフィラデルフィア出身。2007年、トイ・ソルジャーズというロック・グループを結成。鍵盤入りの5人編成であるトイ・ソルジャーズはこれまで3枚のアルバムを発表しています。グループの活動と並行してソロ活動もしており、本作は前述通りセカンド作となります。
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 1曲目 「Young Lady, You're Scaring Me」、明らかにローリング・ストーンズの「Heart Breaker」をイメージさせるヘヴィ・ナンバーが飛び出します。そして2曲目「Put the Kids to Bed」はパティスミス版「Grolia」っぽいギター・リフがフューチャー。彼は60年代のサイケデリック、ビート音楽に伴う荒々しさに惹かれているらしく、そのリスペクト振りは徹底しています。引き摺るようなディストーションで暴れまわるギター、感情豊かにシャウトするヴォーカルを中心に、伸び伸びとしたヘヴィー・ロックが楽しめます。サイケ時代のストーンズを従えてデヴィッド・ボウイが歌っているかのようなラスト・ナンバー「All the Punks are Domesticated」はドラマティックで、余韻の残る終わり方が素晴らしい。
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Young Lady, You're Scaring Me
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The Regrettes/Feel Your Feelings Fool!

The Regrettes/Feel Your Feelings Fool!
2017年 アメリカ 
『シンプルなガールズ・パンクが聴きたいときに』

 定期的に物色したくなるガールズ・バンド。いやぁ、おじさんも嫌いじゃないのです。今回見つけたのは。60年代ポップスのシンプルさ、ロマンティックさとガレージ・パンクのエネルギーを融合させたバンド、リグレッツのデビュー作です。
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 ワシントン州シアトル出身。2015年結成。15歳のヴォーカル、リディア・ライトを中心とした4人組のバンドで、ドラムのみ男性メンバーです。全員が10代という若いグループ。
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グループショットのテンションからにじみ出る若さ!

 ワーナーから国内盤がリリースされる彼女達。インフォでは「若さならではの辛辣さと甘さ、純粋さとひねくれさが同居したサウンドがたまらない魅力をふりまいている」というシンプルな若さ推しがされています。
スタンダードなパンク・バンドながら、10代のグループとしては緩急の付け方がうまく、加えてサーフ・サウンドやゴールデン・ポップスのエッセンスを散りばめた曲作りがされているのがポイント。パンクらしからぬ、クリーンでソリッドな演奏も素晴らしい。溌剌とした若さを体現しているヴォーカルはもちろん文句なし。一部、シューゲイザーっぽい曲があり。まだ引き出しがありそうな予感。

Hot
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Hey! Hello!/Hey! Hello! Too!

Hey! Hello!/Hey! Hello! Too!
2016年 イギリス
『分かりやすいパンク・ポップが並んだ佳作』

 1990年代後半、わたしはワイルドハーツというグループにズッポリとハマっていました。キャッチーさとヘヴィーさを両立させたハイテンションな音楽の洪水を浴びて、浴びて浴びて・・・・・・。しかし金属音を強調したヘヴィー路線に舵を切って以降、ジワジワと心が離れてしまい今では新譜が出たらyoutubeでチェックするくらいの付き合いとなっています。 このヘイ・ハローもワイルドハーツのリーダー、ジンジャーによる新しいグループの一つ。
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 あまり期待していなかったのですが、グラム・ロックのような煌びやかさにグイグイと惹きつけられました。

 ヘイ!ハロー!は2012年から活動開始。メンバー・チェンジをしているようで現在は日本人二人を含む4人組の日米英混合国籍グループとして活動しています。今回のアルバムでは各曲で異なるヴォーカルを迎えているようで、特に女性ヴォーカルの活躍が目立っているのもポイントです。

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 ザクザクのギター・リフと躍動感のあるキャッチーなメロディーを軸とした、分かりやすいパンク・ポップが並んでいます。分厚い多重録音コーラスと、ノイジーな音響の組み合わせは健在。ジンジャーの個性である唐突な楽曲展開は抑えられており、素直に気持ちよく楽しめます。専任の女性ヴォーカルは、概ね力強く快活な歌声を披露しており、素晴らしい。日本人メンバーが居ることもあり、数曲では日本語詞で収録してくれています。これは新鮮です。

 バーニー・トーメのグループ、トーメ(Torme)の曲をカバーするというロック・マニア振りを披露してくれているのもポイント。音圧が高いうえにテンションも一定なので、ちょっと中盤ダレてしまうところもありますが、近年のジンジャー作品では佳作だと思います。

Automatic Love
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Brewers Droop/Opening Time

Brewers Droop/Opening Time
1972年 イギリス
『パブロック・シーンを想像する一助に』

 再びBIGPINK再発アイテムのレビューをします。自分の得意分野なのですらすら書ける反面、マニアックな当ブログでもとびきり不親切な文章になってしまっています。反省しつつ、今日は分かりやすく書いてみたいところ。

 ブリュワーズ・ドゥループ。70年代初頭に活躍していたパブロック・グループの一つです。70年代初期、ロックンロールのリヴァイバルが起こったイギリス。そこで酒場音楽を提供するパブロック・バンドが活躍することになりました。ニック・ロウを擁したブリンズレー・シュワルツやエルヴィス・コステロなどが代表的なパブロック・グループ、ミュージシャンでしょう。
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 さてブリュワーズ・ドゥループについて。マホガニーというブルース・ロック・バンド(んー、アルバムはあんまりだった記憶があるが・・・)を母体として誕生したグループとのこと。本作はトム・マクギネスがプロデュースしたファースト・アルバム。

 楽曲はほぼすべてがブルース、カントリー、トラッドなどのカバー。楽器はヴァイオリン、ピアノ、アコーディオン、ハーモニカ、クラリネット、サックス、ギター、ベース、ドラムが用いられています。ソウルの熱気、トラッドのおおらかさがいい塩梅で融合しており、とにかく楽しい演奏。当時のパブロック・シーンを想像する一助になることでしょう。

If You See Kay Tonight
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ANATAKIKOU/ 3.2.1.O

ANATAKIKOU/ 3.2.1.O
2017年 日本
『相変わらずの不思議カラフル』

 XTC系ひねくれポップに盆踊りや民謡から由来する日本古来のビート、メロディーを組み合わせた独創的なポップ・グループだったANATAKIKOU。メンバー脱退を経て、現在は作曲担当、松浦正樹によるプロジェクトとなっています。本作は5年振り、6枚目のアルバムです。
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 ミックスには原巧一を起用。ゲストにYeYe(バック・ボーカル)と、元メンバーである藤井寿光(ドラム)が参加しています。主なセッション・メンバーはベースに杉村美奈(ママスタジヲは終わってしまったのか)、山口実紗(元サルバ通り)、藤井学(THE MICETEETH)という布陣。     
セッション・メンバーがある程度固定されており、ANATAKIKOUらしいカチャカチャとした小気味よい演奏を楽しむことが出来ます。また、冒頭で紹介した松浦氏ならではの節回しは健在。やはり彼の書く楽曲は独自の個性があります。また、スパニッシュ・ギターを導入した「救世主とカンツォーネ」など新しい試みを違和感なく取り入れているところもポイント。コーラスの甘い重ね方もいいです。

 ただし前作『きいちご』では感じなかった、作曲一人体制によるバラエティーの乏しさは気になる所。節回しの独創性を研ぎ澄ました故のことなのか、アルバムを通して聴くとちょっと疲れてしまいます。二人目の作曲家と組むか、楽曲提供を受けるか、もしくはカバー曲を入れて変化をつけると良かったかもしれません。

ANATAKIKOU 6th album『3.2.1.O』(さん にー いち まる)トレイラー〜アナタキコウマレーグマの夢想と冒険〜
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Couch/Little dancer

Couch/Little dancer
2017年 日本
『おっおーーー、は覚えていた』

 レコ発ライブは残念ながら見逃してしまいましたが、ソウル系ロック・トリオ、カウチの4作目が届きました。メンバーは作曲担当、ギター、ヴォーカルの平泉光司、ベースの中條卓、ドラムの小島徹也というベテランの3人。今回は6年振りの新作となります。
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 ゲストは一切なし、バンド・アンサンブルとコーラスのみという潔いスタイルで制作されています。6年振りの新作であるだけにこの配慮がありがたい。存分にカウチの強力なバンド・サウンドを楽しむことが出来ます。楽曲については、こちらが期待する通りのものが全て揃っており言うことなし。グルーヴィで洗練されているカウチの音です。密室で自分の為に演奏してくれているような親密な空間が心地よかったです。2016年にライブに行った折に演奏してくれた曲も何曲かあり、特に2曲目の「おっおーーー」はコール・アンド・レスポンスをした記憶が蘇りました。尚、カバーが2曲あり。既発である大貫妙子トリビュートからの「都会」と青山陽一の「最後はヌード」です。「最後はヌード」はパワフルに仕上げており、アルバムの良いアクセントになっています。

 COUCH「リトルダンサー」アルバムダイジェスト
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Bassel & the Supernaturals/ Elements

Bassel & the Supernaturals/ Elements
2017年 アメリカ
『逆境を歌で変える』

 シリア系アメリカ人(シリア育ちの第一世代)のフロントマン、バジル・アルマダニが率いるファンク・ロック・バンド、バジル&ザ・スーパーナチュラルズ。戦争で傷ついたシリアでの人道的努力を働きかけるために活動しているとのこと。ここまで確固たる思想を持ち、それに沿った音楽活動をするミュージシャンは今日では珍しいと思います。しかし且つては黒人解放運動と音楽は連動していました。直接、その運動を知らなくとも熱意が伝わる音楽。バジル&ザ・スーパーナチュラルズにも、いにしえのマーヴィン・ゲイやダニー・ハサウェイなどと同様に、現状を訴えて世界を変えたいと願っているのだと思います。
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 バジル&ザ・スーパーナチュラルズはシカゴを拠点に活動しているグループ。ブラス・セクション、鍵盤を含む9人編成です。バンドの結成時期は不明ですが、2013年にデビューEPがリリースされているので、その数年前だと推察されます。本作はファースト・アルバムとなります。
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 前述した通り、ファンク、ソウルを基盤とした音楽性ですが、おおらかなアメリカン・ハード・ロック、ジャズ、プログレッシヴ・ロックといった様々な要素を内包したごった煮サウンドが特徴です。手数が多くパワフルなドラム、フュージョンのように高音で鳴くシンセサイザー、オーセンティックなヴォーカル、重厚なブラス・セクションなどが飛び交うバンド・アンサンブルは、とてもエネルギッシュ。英語は分からないので、彼らのメッセージを歌から聴きとることは出来ませんが情熱は伝わります。

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