GoGo Penguin/v2.0

GoGo Penguin/v2.0
2014年5月 イギリス
『耽美的でダーク。ゴシック、アンビエントも取り込んだ
新世代フュージョン・ジャズ』


 今回のCDはウルトラ・ヴァイヴから国内盤仕様でリリースされているので、最初に、
そちらの宣伝文を引用(の引用)します。

ジャズをベースにしながらも、 レディオヘッドやポーティスヘッド、マッシヴアタック
と同列のような残像を含んでいる -STV Entertainment

マンチェスターのクラブが彼等でジャンプするのは明白だ -The Guardian紙 引用ここまで。

 イギリス、マンチェスター出身のジャズ・トリオによるセカンド・アルバム。
前作はアシッド・ジャズの権威(ディスク・ジョッキー)、
ジャイルス・ピーターソンから評価を受けており、
このジャンルに於いては注目の新人と言えます。
最初に引用した文章からも伺える通り、
ピアノ・ジャズに留まらない音楽性は多くのルーツをクロスオーバーさせたもの。
ポスト・ロック、アンビエント、現代音楽、
ジャズ・ピアノ、ゴシックなど複雑な要素を融合させていながら、
奏でられる音楽は透き通っており、
歪な部分を感じさせない丸みを帯びたものとして整理されている点が素晴らしい。
ggp.jpg


 ピアノ、ドラム、ベースというピアノ・トリオ。
人力でビートを刻みループも再現するリズム隊は、正しく冷徹無比。
主役たるピアノは柔らかいタッチで粒立ちの良い透明な音色を響かせており、
リリカルなメロディーを紡いでいます。エコーも多用されて幻想的です。
奏でられる音楽は概ね、冷たく耽美的でダーク。
所々で発生するインプロヴィゼーション・パートでもクールに決めています。
その佇まいは正しく英国ジャズの伝統を受け継いだものと言えるでしょう。
ブライアン・イーノやジョン・ケージなども引き合いに出されており、
知性を感じさせる優れたインストゥルメンタル音楽としての価値も高いです。

 ペンギン、と言えば同じイギリスのペンギン・カフェ・オーケストラを思い出しますが、
こちらのペンギンも来たるべき夏の盛りに涼を運んでくれるという点に於いては、
同等の効能をもたらしてくれること間違いなし。
「Kamaloka」
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古川豪/原子力時代の昔語り

古川豪/原子力時代の昔語り
1976年 日本
『愛嬌とユーモアたっぷりに伝承歌を歌い継ぐ』

 去年からリリースされている『URC最後の蔵出しシリーズ』。
SHM-CDで2835円、いや今は2916円という価格に恐れをなして手を付けていなかったのですが
そろそろ集め始めないとまずいんじゃないの、
というプレッシャーに負けてポツプツと買い始めております。
「最後の蔵出し」まで残っていただけにマニアックなメンツばかりが並んでおり、
ジャケットを見ると想像力を掻き立てられてしまうのです。
(まぁはじめから見なければいいのですが)
余談ですが、10枚集めると特典盤が貰えるという、昔懐かしいキャンペーンをやっています。
締切は今年いっぱいとのことですが、2916円を10枚とはかなり険しい。

本日は古川豪のセカンド・アルバムを取り上げます。

 京都出身のバンジョー奏者、古川豪。
本作は50年代アメリカ音楽(ブルース、カントリー、オールドタイム)
をベースにした弾き語りが収録されています。
曲はアメリカの伝承歌、フォークの替え歌が中心です。
昔、高田渡のアルバムでディランの替え歌が入っていたりして
「こういうのいいのかな」と思ったものですが、
フォーク、ブルースの歴史に於いては替え歌で代々歌い継ぐ文化というものがあり、
つまりはそういうことなのです。文化なのです。

 温もりを感じさせるバンジョーと、朗々としたハスキーな歌声が魅力的。

 タイトルからは時節柄、社会的な内容を想像してしまいますが、そんなことは全くありません。
有名な「ジョン・ヘイリーの末裔」(殺人者を歌うマーダーブルース)といったトラッドも
「自動改札が導入されたばかりの駅での笑い話」にしてしまうなど、
ユーモアたっぷりの創意工夫を発揮。

 力の抜けた日常の中に人々の悲哀が混じっており、正しくURCらしい作風と言えましょう。

 さて。ここで初めてタイトルを正面から取り上げます。
当時、輝かしい新技術だった原子力について皮肉を含めてタイトルにしているものの、
本作では一切、そのテーマに触れることはありません。
ただ、その心に秘するものはあったのでしょう。
1981年に、広島の原水禁世界大会で「原発に未来なし」を歌っています。

 現在も大小様々な会場で歌うことを続けているそうです。
本作収録曲のyoutube音源が無かったので、本作にボーナストラックとして収録されている
「ホーボーの子守唄」をどうぞ。
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Andrew Jackson Jihad/Christmas Island

Andrew Jackson Jihad/Christmas Island

2014年5月 アメリカ

『フォーク・パンク、それは甘美なメロディーに

哀愁を隠すアジな音楽』

 
 索引でも書きましたが今週からしばらく、金曜日にも洋楽新譜の記事を更新します。

 このグループのような音楽のことをアメリカでは、フォーク・パンクと呼ぶらしいです。
アコースティック主体(一部電化楽器もあり)での疾走感溢れる荒削りな演奏、
そしてクラッシュのような甘くポップなメロディー。
そこかしこからトラッドのルーツが感じ取れました。
音楽性がよく分かる、シンプルな表現だと思います。
そんな、アンドリュー・ジャクソン・ジハドの新作をご紹介。

 アリゾナ州フェニックス出身の5人組。
2005年のデビュー作から数えて本作で5枚目となるフル・アルバムの他、
EPも積極的にリリースしており、日本では話題に上ることもあまりないようですが、
アメリカではなかなかの人気を得ています。(代表曲は
youtube再生回数60万超え)。


 音楽性は前述した通り、フォーク・パンク。
通常のバンド編成に加え、キーボード、
アップライト・ベース、バンジョー、マンドリン
チェロ、ホーン、
カズーなど多彩な楽器を用いて、
ノスタルジックなサウンドを作り出しているのが特徴。
5人編成であり、先に挙げた多彩な楽器を操っているのですが、
あくまでもシンプルなアンサンブルになっているのもポイント。
ガチャガチャしていないということです。

甘くポップなメロディーを歌う、
高音で適度に震える泣き虫ヴォーカルも看板として魅力的。
甘さを前面に出しつつトラッド由来のハードボイルドが潜んでおり、
ディラン・チックな哀愁味を加えているのもポイント。
一方でノイジーな電化楽器を使ったハード・ロック・ナンバーも収録しており、
ポップさを伴う疾走感とドラマティックな曲展開は
ワイルド・ハーツを彷彿とさせます。

1234分とコンパクトにまとめられている点はさすがパンク・バンド。
しかも曲展開、アレンジ共に初期衝動とは異なる、丁寧な仕事振りが光っています。

Do, Re, and Me

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SVIATOSLAV RICHTER:MONTE CARLO NATIONAL OPERA ORCHESTRA:LOVRO VON MATICIC/GRIEG & SCHUMANN:PIANO CONCERTOS

SVIATOSLAV RICHTER:MONTE CARLO NATIONAL OPERA ORCHESTRA:
LOVRO VON MATICIC/GRIEG & SCHUMANN:PIANO CONCERTOS
1975年 ソビエト
『ロマン主義への憧れの中に、隠しきれない田園メロディー』

 タイトルが長い!クラシックのレビューをする時に感じていたことですが、
演奏者、指揮者、オーケストラ、作曲家、曲名、と書く要項が多いです。
今回のように協奏曲となると特に長くなる傾向があります。
しかも日本語でもう一度書き直すので、あんまり意味が無いことも分かっているのですが・・・・・・
やはりこだわりですね!

 さて、本作はリヒテル&マタチッチの共演盤として、有名なアルバム。
グリーグとシューマンのピアノ協奏曲を収録しています。
どちらも名演として知られていますが、
今回はグリーグのピアノ協奏曲にスポットを当てたいと思います。

 北欧のショパンとも称されているノルウェーを代表する作曲家、グリーグ。
1868年、前年、嫁いできたグリーグの妻は女の子を二人出産。幸せの絶頂期に発表したのが
このピアノ協奏曲イ短調作品16です。

曲を完成させた2年後、グリーグは。当代きってのピアノの名手リストと会見。
楽譜を見せました。
リストは「なんて素晴らしいんだ!」と感嘆しつつ、
「こことここをこういうふうにするともっといいね!」
と添削することも忘れませんでした。
(このキザ男(偏見)、僕のかわいい作品16にケチを付けやがって)と思っていたのか、
(あの大スターさまが直々に楽譜に直しを入れてくださった)と思っていたのかは
知る由もありませんが、このアドバイスを聞き入れ曲を改変。
器の大きな人物だと思います。

 この曲は第1楽章イントロのピアノの調べがあまりにもインパクトが強く、
サスペンスドラマに於いて、殺人シーンでこの曲がよく使われていたりします。
(この辺り、ピンと来ない人も後で曲を聴けば、あー、これか。と納得してもらえると思います。)
3つの楽章から成り立っており、全体としてロマンティックで壮麗なイメージの中に、
北欧らしいルーラルなメロディーが散りばめられているのが特徴。
休日の午前中などに、シュークリームなどをぱくつきながら聴くといいかもしれません。
(今は食べていませんよ、さっき食べ終わりました。)

『Grieg: Piano Concerto In A Minor, Op. 16 - 1. Allegro Moderato』
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Loleatta Holloway/Cry To Me

Loleatta Holloway/Cry To Me
1975年 アメリカ
『若き日のロレッタ・ハロウェイの熱唱』

 廃盤プレミアが付いていると内容を知らなくても、
何だか名盤に思えてくること、ありませんか。
今日紹介するアルバムもそんな一枚。(情緒もへったくれもなし)

 70年代後半、サルソウル・レーベルを代表するディスコ・クィーンとして活躍していた
ロレッタ・ハロウェイがアウェア・レーベルからリリースしたセカンド・アルバム。

 よく上記の説明を目にするもののディスコ・クィーンの活躍を知らずして、
本作に手を出してしまいました。
切っ掛けは「いつも廃盤プレミアが付いているアイツがワケありで値下げされていた。」です。

 ロレッタ・ハロウェイはパワフルなシャウトを得意とするシンガーで、
豊富な声量によるダイナミック且つ情緒豊かな歌唱が魅力。
作曲陣が豪華で、まずタイトル曲をはじめ、5曲をサム・ディーズが担当。
アトランティック・レーベル出身で、
当時ディープ・ソウルの名曲を数多く生み出していた人物。(シンガーでもあり)
本作はサム・ディーズ・ワークスとしても重要なアルバムです。
他にもカーティス・メイフィールド、ロニー・ウォーカーなど
ニューソウル以降のラブ・ソング職人が作曲家としてクレジットされています。

 内容は前述しましたがロレッタ・ハロウェイの独壇場。
感情を込めた歌声はもちろん素晴らしいのですが、
隙あらば入れてくるシャウトが圧巻。
やはり歌が上手い人となると、ついつい頑張ってしまうのでしょうか。
そんな風に推察したくなるほどの弾けっぷりです。
そんなプロ歌手初期ならではの溌剌としたパフォーマンスが、
サム・ディーズの楽曲群をより魅力的に仕上げています。

 本作からは通常「Cry Me」が紹介されるのが相場であり、
それが代表曲であることは揺るぎありません。
しかし、いつも同じでは面白くない。
敢えて別の曲を載せておきます。

「H.E.L.P. M.E. M.Y. L.O.R.D.」
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WILSON BROS./Another Night

WILSON BROS./Another Night
1979年 アメリカ
『スティーヴ・ルカサーのギターが唸る、AORの佳作』

 今月も到着しました新名盤探検隊。
とは言え、5月分のラインナップはAOR周辺へと対象を移しています。
これはこれで面白そうなのですが、
やはりスワンプやSSW系の発掘をもっと重点的にやって欲しかったというのが本音。
さすがに怒涛のリリースで息切れしちゃったのかもしれません。

 少し話が逸れます。
知らない間にフリー・ソウル・コレクション1000というなんて企画が
ユニバーサルでスタートしていた様子。
ジャクソン・シスターズグロリア・スコットのCDが1080円とは驚きです。
これは近々チェックせねば!

さて。
今回の新名盤探検隊はネット社会ならでは、の手法で購入CDを決定しました。
ズバリ、データを人気順に並べるという情緒もへったくれもない方法。
まずは5月分のラインナップで予約2位だったこちらをご紹介。

 AOR系兄弟デュオ、ウィルソン・ブラザーズの唯一作。
スティーヴ・ルカサーがセッション・プレイヤーとして
全面参加していることで知られるアルバムです。
オリジナル7曲、カバー3曲という構成。
カバーはそれぞれ、ナッシュ脱退後のホリーズ、トッド・ラングレン、
職業作家チームであるキースター兄弟、の手によるもの。

 ジャケット・イメージ通りのAORサウンドが楽しめるアルバムです。
A面は叙情を湛えたエモーショナルなパート、
B面がLAらしい(実際はナッシュビル録音も含みます)明るく爽やかなパートという具合。
ウィルソン兄弟は、ソフトでおしゃれなムードのB面の方が活躍が際立っています。
作曲面とヴォーカルの両面で爽やかな持ち味を発揮している印象。
一方、A面ではスティーヴ・ルカサーのギターが快調に唸っています。
エモーショナルな印象は彼のギターの泣きっぷりが
牽引しているといっても過言ではありません。

 全体的にはAORの佳作という地味なアルバム。
解説にも書いてありますが夏の終わりにぴったりな音楽で
気負わない日常のBGMとして、その頃にもう一度引っ張りだそうかと思います。

「Take Me To Your Heaven」
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JMクッツェー/恥辱

JMクッツェー/恥辱 鴻巣友季子訳
1999年 南アフリカ 290p 読書期間2日
『恥辱にまみれながら生きるぞ』

 読書動機は帯の「教え子の前で、男はエロスのしもべとなった・・・・・・。
に引っかかったため。一冊くらいこういうのもいいだろうと。
ブッカー賞受賞作だそうです。

 最近は読書に身が入らず、途中で投げ出すか、読破しても理解できないものが多かったです。
敗退が続いていました。
SFなど設定が難解なものが多かったのも要因かもしれません。
そこへ行くと本書は非常に読みやすかったです。

 セックス・ライフに積極的な52歳の教授が女子大生に手を出したところ、
問題がこじれ大学を解雇。
しかし、心機一転、娘の住む南アフリカでの暮らしも軌道に乗りつつありました。
そんなとき娘が暴漢に襲われる事件が発生。

他、犬を安楽死をさせるという南アフリカでの仕事、
などを絡めつつ
中年男があっという間にどん底に落ち込んでいく様を描いています。

 先述したように、まず文体がとても簡潔。ムダが一切なく心象なども極力端折られています。
もちろん原文がその通りの手法で書かれているからこそ、
ですが端的に訳してくれてありがたい。

 自分のクラスに在籍する中から、外見だけで口説く女性を決めるという、
52歳大学教授の率直さは素晴らしい。
さすがに共感は出来かねます。うらやましいですけれども。
自分には叙情が無い、欲望だけだ、という
自分の主義を曲げず、悪化する状況下でも全く屈しない精神もすごい。
もっとも、この年になると周りの言葉で自分が変わるなんてことは、難しいのかもしれません。 

 タイトルとなっている『恥辱』。
この本では自身のセクハラ問題を発端として
自身が落ちていく様を主人公が恥辱と称しています。
しかし、南アフリカでは、そんなことは日常茶飯事であり人権やら思いやりなんて
忘れ去られる瞬間があるんだよ、ということのようです。まさしく恥辱が日常。
悟りを開いたように状況を受け入れる登場人物たちが印象的です。

 ラストは爽やかなようでいて、諦めも漂っています。
もやもやした読後感があり、いい物語を楽しめました。
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ハンバート・ハンバート/むかしぼくはみじめだった

ハンバート・ハンバート/むかしぼくはみじめだった
2014年 日本
『カントリー路線を極めた、渋い一枚』

 現在活躍している中で、もっとも好きな邦楽グループの一つが
今日紹介する男女デュオ、ハンバート・ハンバート。
アイルランド民謡、アメリカのフォーク、カントリーと日本の童謡をルーツとした
アコースティック音楽をやっています。
本作は通算8枚目。

 帯にはティム・オブライエン・プロデュース、ナッシュビル録音の文字。
「ティム・オブライエン?あぁ、『ニュークリア・エイジ』とか書いた人だよね、
村上春樹が訳した・・・・・・ん、プロデュース?」
全然別人でした。グラミー賞受賞って最初に書いてありました。
この方のようですね。不勉強で申し訳ない!
フィドルでの弾き語りを得意とする、カントリー歌手のようです。
こちらは後日、きちんと聴いてレビュー予定。
とにかく、その道の第一人者によりプロデュースされており、
加えてカントリーのメッカ、ナッシュビルでの録音。期待が膨らみます。

 音楽性は前作の延長線上といえるもので、環境からして当然のことですが
カントリー寄りのものになっています。
前作と並ぶ通好み(地味とも言う)な内容。
アイリッシュ民謡由来の荒涼としたイメージは残っているものの、
どっしりのんびりとしたアンサンブルと乾いた音色が印象的です。

 まず作曲面から。
家畜や日常、マーダー・ソングの流れとしての「鬼」。これらを題材とした歌詞が並んでおり、
米ブルース、カントリーとの親和性を感じさせます。
内省的な曲が多いです。
オリジナルが並ぶ中、あべのぼるという人物の楽曲が2つあり。
あべのぼるは70年代から活躍する音楽プロデューサーであり、
ディランⅡやソー・バット・レビューのマネージメントで知られる人物。
自分は名前を知りませんでしたが、
昭和フォーク、和製ファンクといった音楽の発展に貢献した方です。
2010年に亡くなられていますが、恐らく彼が関わっていた春一番を切っ掛けとして
ハンバート・ハンバートと接点があったのでしょう。
シリアスな「何も考えない」、「三百六十五歩のマーチ」を彷彿とさせる朗らかな「オーイオイ」、
どちらもアルバムのカラーに溶け込んでいます。
他には、個人的に「移民の歌」というタイトルがツェッペリン・ファン魂を刺激されました。
(あっちはお茶目なダジャレですけれど)
テレビ番組『シャキーン!』『おかあさんといっしょ』に提供した
「ホンマツテントウ虫」「ポンヌフのたまご」辺りが、前作の「アセロラ体操のうた」に相当する、
世間一般とのコンタクトを図る目玉ソングでしょう。
ただ、如何せん素晴らしく本学的な仕上がりなので、コマーシャルな機能は果たしておりません。

 次に演奏面。
アコギ、オルガン、ベース、パーカッション、フィドルorギターという編成。
ハンバート・ハンバート独特の、隙間をとった緩やかなタイム感はそのままに
ルーラルな雰囲気満点のアンサンブルが特徴です。
コーラスも含めて音の伸びが素晴らしく、ナッシュビル録音というイメージそのまま。
佐野遊穂のヴォーカルは、相変わらずの素晴らしさ。もはや孤高の存在感があり。
反面、出番で割を食っているのが佐藤良成の歌。
近年活躍が減ってきており今作でもリードを取る曲(ソロ・パートはほぼ無し)が二つだけ。
致し方ないところかもしれませんが、もう少し活躍して欲しいところ。

 ハンバート・ハンバートのカントリー路線が極まった完成度の高いアルバムです。
じっくりと聴き込むほどに沁みてくることでしょう。

「ぼくのお日さま」
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Drop's/コール・ミー

Drop's/コール・ミー
2014年5月 日本
『オールド・ロック・ファン希望の星がシングル・リリース』

 ドロップスのニュー・シングルが登場。
amazonの購入特典である無料MP3枠を使って入手しました。
本来シングルはスルーしているのですが、
 「かわいい」音楽に若干もたれ気味の今日この頃、
(シンディ・ローパーは一人だからいいのに)
彼女たちの存在は希少だと改めて気づいたので軽く紹介したいと思います。

 3曲の新録(内1曲がカバー)に3曲の別ヴァージョン(ライヴ、アコースティック)を加えた内容。
タイトル・トラックは、歌謡曲由来のキャッチーさを持ったロックンロール・ナンバー。
キャロルなどに例えられる、硬派な魅力の中に愛嬌が垣間見える
グループの持ち味を発揮した曲です。
個人的には「浪漫飛行」や、マチルダ・ロドリゲスの「幸福論Z」を思い出しました。
(マイナーなのでこちらの影響は受けていないと思いますが)

 2曲目「C・O・F・F・E・E・E」は70年代のリリィなどが歌いそうな、やさぐれ喫茶ブルース。
呻くブルース・ギターにレーナード・スキナードも重なってくる、渋い曲。

 3曲目はカバーで「卒業写真」。
出来れば彼女たちには、
忘れ去られた日本語ブルース・ロックの名曲群(空へとか)をやって欲しい。
ただし、これはこれでらしさが出ていて悪くありません。

「コール・ミー」
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ADANOWSKY/Ada

ADANOWSKY/Ada
2014年3月 フランス 流通は現在ダウンロードのみ。
『21世紀でもラジオへの不滅の愛を叫ぶ男』

 80年代音楽への回帰がブームとなって久しいですが、本作もその流れを汲むエレクトロ・ポップ作です。
アダナスキーは、映画「ポル・トポ」で知られる俳優ホドロフスキーの息子。
2000年代後半から音楽活動を開始しており、本作がサード・アルバムとなります。

ファーストではデカダンスなロックを、セカンドではアシッド・フォークと
音楽性を変化させてきた彼ですが、今回は80年代回帰のエレクトロ・ポップを指向しています。
フランスはディスコ・ミュージック勃興のメッカ
(代表的なところではもちろんダフト・パンク)であり、故にこの路線は納得。
ADANOWSKY.png
毎回、ヴィジュアル・イメージを変えてくる彼ですが、今回は過去最高にはっちゃけております。
エレクトロ・ポップ全盛の80年代はプリンスを筆頭に、
カルチャー・クラブやデュラン・デュランなど
中性的なヴィジュアルの男性ミュージシャンが多数出現した時代。
アダナスキーも形から入っているようです。その意気や良し!

音楽性は既に述べてしまっているも同然ですが、前述のミュージシャンを彷彿とさせる・・・・・・
つまりニューウェイヴ〜ディスコ〜プリンス、といった辺りをブレンドした
シンセサイザーが眩しいエレクトロ・ミュージックをやっています。
ファルセットがセクシーなヴォーカルもバッチリ決まっており、
キャッチーなメロディーもふんだんに散りばめられた音楽は
完成度が高いです。

これまでの作品でもラテン・ミュージックを取り込んだりと、
アレンジ面でのプロデューサー気質を発揮していたアダナスキー。

今作でも上記80's感覚に加え、YMO的中近東メロディーを融合させていたりして、
油断出来ません。
シンセサイザーの残響に暗く耽美的な音の広がりが感じ取れるのもポイント。

とは言え、彼の場合、ビジュアルを含めて鑑賞しないとその本領は窺い知れません。
曲はこちらをどうぞ。

「Dancing To The Radio」
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