RAB NOAKES / Never Too Late

RAB NOAKES / Never Too Late
1975年 アメリカ

『ラブ・ノークス、アメリカへ行く。西海岸編』

 今度はサンフランシスコだ!
サンフランシスコにはフィルモアもあるしね。
という訳でやってきたラブ・ノークスが、
レイドバックな空気を詰め込み、
ちょっぴりお洒落でジャジーなアレンジを加えたアルバムが本作。
(一部ロンドン録音も含む)

 今作にも現地セッション・プレイヤーの他、
スティーラーズ・ホイールの二人が参加。
しかし、あくまで彼の弾き語りにスポットを当てています。
伸びやかなスライド・ギターと、
細やかな音色を響かせるアコギが、
美しいメロディを紡ぎます。
自身のスタイルも完熟したアルバム。
リンディスファーンに提供した
「Turn A Deaf Ear」のセルフカバーも収録していますのも聴きどころです。

「Memories」
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Sibylle Baier/ Colour Green

Sibylle Baier/ Colour Green
1970年代 ドイツ

『30年寝かせた発酵アシッド・フォークにロマンあり』

 アマゾンの、
最近の履歴に含まれている商品を買った人は、こんな商品も買っています
というやつが、ありますよね。
そこで長年居座っていたのが、このCD。
2006年リリース。ドイツ出身女優が70年代前半にプライベート録音したテープを・・・・・・
という商品説明だけで
「プライベート録音かぁ、ステージが高いな・・・・・・」とパスしていました。
毎度毎度、アマゾンで調べ物をするたびに、
それでも顔を出して来るわけです。
そして、この間格安で発見した次第。

 さて聴いてみましょうか。
ちまたではヴァシュティ・バニヤンや森田童子を引き合いに出されていますが、はたして。

 70年代初期のドイツは、ブルース、サイケ由来のドロドロとした暗さを持った
アンダーグラウンド感が特徴なのですが、
本作にもそれを感じることが出来ます。
それはちょうど森田童子のような儚げな・・・・・・先人の皆さんの言うとおりでした。
NICOの初期ソロ(ドイツですし)にも通じるダルな雰囲気もあり。

 ギター弾き語りに虚ろで少し掠れたヴォーカルで、
あまり飾り付けないシンプルなメロディを紡いでいます。
それだけなのに、不思議と聴き入ってしまう。
録音状態が悪いため、ノイズがちょこちょこありますが、
アシッド・フォークが好きならおすすめ出来るアルバム。

「Tonight」

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あすなろう/TOWER

あすなろう/TOWER
2013年11月 日本
『60年代ブリティッシュ指向のバンドは、
それだけで応援したくなるのです。』

 ロックンロールの無敵さと、ビートルズの冒険精神と、ハートブロークンなメロディを愛する4人組のバンド。
という宣伝文のキャッチが目に止まり、彼らを知りました。

ロックンロールの無敵さもハートブロークンなメロディも分かる。
しかしビートルズの冒険精神(テープ逆回転みたいなことかな)は
・・・・・・今の時代には大きすぎる風呂敷だろうと思いました。

 あすなろうは金沢出身で、現在東京を拠点に活動する、鍵盤込み4人編成のロック・バンド。
サイケデリック期ビートルズの影響をガレージロックでやっており、
京都を拠点に活動していた ははの気まぐれにサイケになったはやぶさジョーンズを足したような音楽性が特徴です。
(無茶な例えですがリンク先でご勘弁ください)

 本作はセカンドとのことですが、現時点でテープ逆回転に匹敵するような
革新的な冒険精神は、チャレンジした痕跡すら見当たりません。

それは置いておいて
都会的なジャケットとは裏腹なサウンドが素晴らしい。
ポップ・ミュージックな体裁を保ちながらも、
虚ろなコーラスやディストーションの効いたギターなど
暗く沈み込んでおり、雰囲気はバッチリ。
アンダーグラウンド臭が全編から漂っているのが印象的。

 パフィーよろしく「Day Tripper」のリフが飛び出す
オープニング・ナンバーはビートルズ愛に溢れています。
この曲を始め、アルバム全編からブリティッシュ・ロックへの
リスペクト(クィーンやグラム・ロックなど)が迸っており、好感が持てます。

デキシード・ザ・エモンズも解散して久しい今、彼らに対する期待は切実。
是非頑張って欲しい!

「おはようヴァンパイア」

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Chris Morphitis/Where To Go

Chris Morphitis/Where To Go
2013年11月 イギリス
『ジンバブエも、ギリシャも、アフリカも、皆シャッフル。
上質インストゥルメンタル』


 本日からしばらくの間、土曜日に記事を二つ上げることにします。
まだ紹介できていない2013年のアルバムを出来るだけ載せるための措置です。
お楽しみいただければ幸いです。

今日はインスト物2連発となっており、↓の記事のRio Padiceもご覧ください。

 さて。今回は試聴でやられてしまった
インストゥルメンタル・ミュージックをご紹介。

作曲家、ギタリスト、プロデューサー、と幅広く活動してきた
イギリス人ギタリスト、クリス・モーフィティスのソロ・デビュー作。
ごめんなさい、全く知りませんでした。

ジンバブエ、ギリシャ、アフリカと様々な民族音楽に影響を受けている一方で、
ミニマル・ミュージックにも造詣が深いとのこと。

その幅広い音楽趣味に裏打ちされたサウンドは、正に変幻自在。
オリエンタルなメロディが様々な表情に変化していくのを楽しんだかと思えば、
スペーシーな旋律と鼓動のようなリズムで心地よく睡眠へと没入させてくれます。

編成は彼のギターを中心にピアノ、チェロ、コントラバス、ヴァイオリンなど。
イギリス人チェリスト、イアン・バージ、モロッコ人ヴァイオリニスト、ハサン・イラジが
参加しているそうです。
このお二人のこともご当人のことも存じませんでしたが、
端正で透明感ある演奏には、文句のつけようもありません。

幻想的且つルーラルな雰囲気に包まれており
それは、まるでトラッド・ミュージックのような趣。
マイク・オールドフィールドを彷彿とさせる瞬間があります。

「Where To Go」

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Rio Padice/Tropical Interlune

Rio Padice/Tropical Interlune
2013年6月 イタリア レコードがネット通販などで入手可能です。

『BPM130で快調にお掃除』

 皆さん、大掃除は終わりましたか?
ウチはまだなのですが、そろそろ取り掛かろうかと思います。
どっこいしょ。
まずはBGMのチョイスからですね。

 あぁ、こういう時はテクノがいいかな。
BPM130くらいでブンブン低音が唸っているような・・・
あれだな!

 というわけで大掃除に絡めて今年一番聴いた
ハウス・ミュージックのレコードをご紹介。

 イタリアのハウス・シーンで活躍するミュージシャン、
リオ・パディスの初リーダー作。

 時にアフロなビートも刻む、アグレッシヴなリズムに乗って
透明感のある洗練されたメロディが駆け巡るMPC主体によるハウス・ミュージック。
70年代のユーロ・ジャズの味わいがあるとの評を読みました。
確かにアヴァンギャルドな面とメロディアスな面が同居したクールなサウンドは、
ECMのキースジャレットを思い出す場面もありました。

「Insenature Feat. Massimo Di Lena 」



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花澤香菜/claire

花澤香菜/claire
2013年2月 日本

『新たなるステージに突入』

 この時期、色々な音楽レビュー・ブログで
続々と上がっている今年の総括記事。
本日紹介するアルバムは、
あるブログで年間ベストとして推されていたもの。
総括記事を見ると聴いていない音楽が多くて、
やっぱり自分が一生で聴ける音楽なんてほんのひと握りなんだな、と実感します。

 さて。花澤香菜は人気声優であり、本作はソロ・デビュー作となります。

色々出来損なっていますが、
だいぶ大人で偏見に凝り固まった自分。

ここはやはり
「声優!?ふっ」
と鼻で笑ってしまうところです。(ごめんなさい)
しかし、ラウンド・テーブルの北川勝利、元キップソーンの中塚 武、
クラムボンのmito、カジヒデキ、宮川 弾、小暮晋也、中森泰弘、
矢野博康など渋谷系多めの豪華メンツが参加。

 もちろん、そのメンツから創造出来る甘酸っぱいポップスが
堪能出来るアルバムとなっています。

 厳密には新世代のソング・ライターも参加しています。
しかしアニメ・ミュージックへの貢献も大きい、
ラウンド・テーブルの北川勝利がプロデュースを担当。
自然と参加ゲストの望むノスタルジックな(皆さん現役で頑張っていますが)渋谷系サウンドになっています。

 もちろん、彼女の健気で(・・・)かわいいヴォーカルが主役。
ポップな歌声は魅力的ですが、時々ふと得体の知れない自己嫌悪に襲われます。
きっと修行が足りないのでしょう。油断しているとセリフが曲間に入ります!
ヴォーカルの存在感は抜群。
声優とは思えない幅の広い歌唱を披露、結果ただの渋谷系ではない新鮮な魅力を放っています。

おっさんには全く共感は出来ないがファンタジックな歌詞も能天気で素敵。

「melody」
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Mississippi John Hurt/Mississippi John Hurt

Mississippi John Hurt/Mississippi John Hurt
1928年 アメリカ

『違いが分からない男のブルース・レビュー③』

ブルース記事も第三弾にして、遂に戦前物が来てしまいました。
戦前ブルースと言えば、地味でノイズがものすごいという印象ですが、果たしてこれはどうでしょう。

その名の通り、ミシシッピ・デルタ地帯に生まれたミシシッピ・ジョン・ハート。
20年代に地元にて黒人民謡やブルースを歌い継いでおり「ソングスター」
という名誉の呼称を授かっていました。

一般的に知られるのは戦後のこと。
後ほど紹介する戦前のセッションを収録後、消息を絶ったミシシッピ・ジョン・ハート。
しかし、戦前ブルース再発掘のムーヴメントがアメリカで起こり、
その過程で彼もも発見、評価されることになります。
ブルース研究家トム・ホプキンスが、
ミシシッピ・ジョン・ハートの残した歌の一節
「“Avalon is my hometown, always on my mind(故郷アヴァロンは、いつでもわが心にある)”」
から手がかりを発見。アヴァロンに彼はいるぞ!と徹底的に捜索。
遂にご本人が発見されたというわけです。
その後は、63年と64年にニューポート・フォーク・フェスティバルに出場することにより、
ブルース・リバイバルの波に乗って一気に知名度を高めました。

John-Hurt.jpg


本作は1928年、戦前に残された唯一のセッションを全て収録し、
他に同地域で活躍していたソングスター二人を併録した作品集です。

「Stack O' Lee Blues」
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Al Green/Green Is Blues

Al Green/Green Is Blues
1970年 アメリカ
『ほとんどをカバーで埋めた潔いデビュー作』


 情熱の60年代に対して、
クールで洗練された70年代。

ソウル・ミュージックのお話です。

 アル・グリーンはそんな洗練されたソウル・シンガーの一人。
ゴスペル・グループ、及びソウルのヴォーカル・グループへの在籍を経て、
67年にソロ・デビュー。
その後、69年にハイ・レコードのウィリー・ミッチェルにスカウトされ、
レコード会社を移籍。
そして70年にリリースされたセカンド・アルバムが本作。

 ハイ・レコードと言えば、オルガン、コーラス、ストリングス
全てが、ロマンティックな甘甘アレンジであることで知られるレーベルです。
その仕事の肝を担っているのが、プロデューサーのウィリー・ミッチェル。
そしてウィリーが発掘したアル・グリーンこそ、
ソウル・レーベルにハイ・サウンドあり」と世に知らしめた
看板シンガーなのです。

 以上が教科書通りのアル・グリーン解説だと思います。
しかし本ファーストは彼ら二人の初顔合わせということもあり、
それほどに甘くありません。
適度にポップ、軽妙なソウル・ミュージックという塩梅です。
タイトルは『Green Is Blues』で
「俺の名前はグリーンなんだけどブルースやっちゃうぞ、洒落てんだろ」という感じです。
(いかしてる!)
それでもブルース成分は、半分くらいでしょうか。
ちなみに、腹から絞り出すような逞しくも甘いヴォーカルは、
この時点で完成しております。

11曲中9曲がカバーです。
取り敢えず組んでやってみましたという
成り行き任せな感じがプンプンするアルバム。
ただ、有名曲に施されたソウルな解釈が素晴らしく、楽しく聴けるアルバムです。

『I Wanna Hold Your Hand 』
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RAB NOAKES/Red Pump Special

RAB NOAKES/Red Pump Special
1974年 アメリカ

『ラブ・ノークス、アメリカへ行く。南部編』 


 昨日に引き続いてのラブ・ノークスです。

本作はナッシュビル録音を敢行したサード・アルバム。
録音メンバーにはエリア・コード615のメンバー、
メンフィス・ホーンズなどメンフィスのセッション・プレイヤーが集結しているほか、
イギリスからは盟友ジェリー・ラファティやリンディスファーンのメンバーが参加しており、
前作よりもブリティッシュ度が高い仕上がりとなっています。

 音楽性については前日の記事でもお伝えしたとおりですが、
「イギリスのアメリカ」サウンドを保持しつつ、牧歌的なメロディが増えているのが特徴。
さすがカントリーの本場、ナッシュビルまで向かっただけに、
絶妙な枯れ具合に仕上がったアンサンブル。
跳ねるピアノ、渋いハーモニカ、伸びやかなスライドギター、軽やかな口笛など
が、全編で活躍しています。

「Clear Day」
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RAB NOAKES/ RAB NOAKES

RAB NOAKES/ RAB NOAKES
1973年イギリス
『ラブ・ノークスを予約していた同志達に捧げる』

※本編パート1はくどい点が多々ございます故、耐え切れなくなった場合、読み飛ばしてパート2へお進みください。

RabNoakes.jpg


パート1 「実録、あるCDの発売中止」

「誠に残念ではございますが、この度お客様からご予約を頂いておりました、
『ラブ・ノークス/ラブ・ノークス』(UICY75904)は、発売中止が決定いたしました。
つきましては・・・・・・(以下略)」

嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌

2013年12月12日(漢字の日)、ラブ・ノークスの紙ジャケは発売中止となりました。

 思い返すと・・・・・・
9月→お知らせ『SSW紙ジャケ・シリーズは10/30日発売!!』
G「世界初CD化のラブ・ノークスのセカンドがラインナップに入っているぞ!よっしゃ、盛り上がってきたー!」

10月→お知らせ『SSW紙ジャケ・シリーズは11/27に延期になりました。』
G「まぁ、紙ジャケ界にはよくあることよ。今月はきつかったから助かったな、うん」

11月→お知らせ『シリーズのうち、ラブ・ノークスだけ来月に延期します』
G「ちょっとヤバイ流れだな・・・・・・まぁ、クリスマスまでは越してくれるなよ?」

12月→お知らせ『12/18から25日に延期になります』
G「ここで一週間伸ばしか、これは久々に強烈な焦らしプレイと言わざるをえん。あみんでも聴くか。」

そして12月12日(漢字の日)
→お知らせ「誠に残念ではございますが・・・・・・
G「謝るんじゃない、謝っちゃダメだ・・・・・・(冒頭へ続く)

ユニバーサルの担当者の皆様も、全力を尽くしてくれたのだろうと思います。
だけど一言だけ。「延期してもいいのです、ただ発売できると確信してから告知しよう。」
このまま、お別れを告げるのはあんまりだ。ということで、収録曲が1曲YOUTUBEに上がっていたので、そちらをご紹介させてください。

パート2 「アルバム『ラブ・ノークス/ラブ・ノークス』紹介」

 ラブ・ノークスはスコットランド出身のシンガー・ソングライター。本作はセカンド・アルバムに当たります。プロデューサーにボブ・ジョンソン(※)を迎え、ボブ・ディラン、グラム・パーソンズ等への憧れを感じさせる、カントリー/フォークを指向しているのが特徴です。

 この時代、イギリス人シンガー・ソングライターの多くは、ボブ・ディランを始めとする、米国フォークからの影響を受けていました。
その一方で、自身のルーツであるトラッドの研究にも、熱心でした。
(アイルランド移民が伝えたトラッドが米国のカントリー、フォークになっているわけで、この辺りは密接に関係しています。)
結果として彼らが生み出した音楽は、アメリカ由来の明朗さが前面に出つつも、時折イギリスらしい陰鬱さが顔を出すことで、繊細且つ表情豊かなものとなりました。本作も、そんな「イギリス人が作るアメリカ音楽」の一つなのです。

「The Goodnight Lovin' Trail」
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