Dream Wife/Dream Wife

Dream Wife/Dream Wife
2018年 イギリス
『新人らしい溌剌としたパンクポップ』

 ブライトン出身の女性3人 (Rakel Mjöll、Bella、Alice)で構成された、ロンドンを拠点に活動するパンクポップバンド、ドリーム・ワイフのファースト・アルバム。2015年に結成されており、翌2016年に4曲入りEPを制作。ライブ・ツアー、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)など音楽フェスへの参加を経て、本デビュー・アルバムのリリースへと漕ぎつけました。ここまで、順風満帆な活動ぶりと言えます。尚、バンドはトリオ編成ですが、サポートにドラム奏者をつけています。
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 透明感のある高音と瞬発力を感じるシャウトを武器にしたヴォーカルは華があります。切れ味の鋭いバンド・アンサンブルは若いパンク・バンドらしからぬ、どっしりとした力強さを感じます。サポートを入れているとは言え、ほぼ最小限度の編成であるため、適度な隙間があるのもポイント。パンクポップと名乗っているだけに、楽曲はとにかくポップ。海外ではパット・ベネターを引き合いに出しているところもあり。ロックンロールを基盤としたシンプルなナンバーが並んでおり、そのポップさ、溌剌とした魅力は確かにパット・ベネターに通じるものがあります。生き生きと音楽を楽しんでいる姿が感じられる、という意味で鮮度も抜群。ライブを見たいと思わせるアルバム。

Somebody
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The Magic Gang/ The Magic Gang

The Magic Gang/ The Magic Gang
2018年 イギリス
『完成度の高いオールド・スクール』

 各種音楽メディアにてガンガンに取り上げられている、ザ・マジック・ギャングのデビュー作。実は僕も聴いていました。相当に出遅れつつ、紹介したいと思います。

 ブライトンを拠点に活動する4人組グループ。僕自身もオアシスやクーラ・シェイカーを思い出したのですが、巷でも90年代インディー・ロックからの影響を投影させた音楽性が注目を集めており、「オールド・スクールなロマン派」と呼ばれているそうです。90年代はもうオールド・スクールだったのか!
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↑やる気のない感じがかっこいいじゃん、ってやつだと思う。

 ほぼ音楽性については語ってしまった感もありますが、もう少しだけ。ドカドカのドラムを擁した骨太のリズム隊、ジャラジャラしたギター、エコー、コーラスを纏った爽やかなヴォーカルといったバンド・アンサンブル。ビートルズやデヴィッド・ボウイ、トロッグス等々の遺伝子を感じさせるブリティッシュな楽曲群をスマートに演奏しています。

 2013年からEPなどを経て、経験を重ねてきたからなのか、すっきりと整理された音になっており、新人らしいフレッシュさに欠けるところもあり。反面、マイルドさは随一。聴き馴染みは良いです。例えば、フェスで偶然出会った音楽好きにもアピールする即効性があり。フェスは行ったことないけれども。もう少し我を出してほしい。英国ロックの新人だけに期待大。

Getting Along
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Judas Priest/Firepower

Judas Priest/Firepower
2018年 イギリス
『愛嬌のあるプリーストが戻って来た』

 若き日に『PAINKILLER』がリリースされて夢中になったジューダス・プリースト。世代的には壮年期にギリギリ間に合った感じでありました。以後ジューダス・プリーストは長い沈黙ののち、ロブ・ハルフォードのソロ活動を経て1997年、新ヴォーカルを迎えて『Jugulator』を発表。当時、このアルバムを肯定する為にあらゆる努力を惜しまなかったことが、今はいい思い出です。2005年にロブ・ハルフォードが復帰しての復活作『ANGEL OF RETRIBUTION』がリリースされるものの、この頃にはかなり醒めておりyoutubeでチェックしてスルーする決断が出来るほどクールでした。(ロブ・ハルフォードもハイトーンが出なくなったな、とか)更にK・K・ダウニングの脱退の報せがあり。それを機に、しばらくジューダス・プリーストの音楽に触れずにいました。60年代から活躍する伝説級のロック・ミュージシャンの訃報は残念でありますが、遠い歴史の出来事のような気持ちもあり。しかしジューダス・プリーストのように、ライブにも参加したバンドやミュージシャンが老いを感じさせるのは、凄く寂しく感じます。
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 そんな自分が手を出したジューダス・プリーストの新作『Firepower』。理由は、このジャケット。まるで『Screaming for Vengeance』のような雰囲気を醸し出しています。これは購入不可避!

 全盛期のアルバムも担当していたトム・アロムがプロデューサーに起用されています。ドラマティック且つキャッチーな楽曲が目白押しで、往年の個性が蘇っているのがポイント高し。『PAINKILLER』期に準ずるヘヴィさですが、前述したようにかなりキャッチーな作風となっているところが肝。ロブ・ハルフォードのシャウトも、ツインギターの艶も全盛期の輝きには及ばないものの、健闘を称えたい仕上がりです。ちょっと曲数多いかな、と思ってしまうところもあり。また、一気呵成に攻め立てるアルバムだからこそ「Sea of Red」はもっと徹底してメロウに、例えば「Before The Dawn」や「Last Rose of Summer」のように仕上げてくれれば文句なしでした。

 本作と同時期にグレン・ティプトンがパーキンソン病を患っていることが公表され、バンドのライブ活動からも離脱するとのこと。残念です。

Lightning Strike
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JabBee/風の歌

JabBee/風の歌
2018年 日本
『登山の前の日とかに聴いています』
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 ジャケットに映っている男性がJabBeeとのこと。裏ジャケには女性がもう一人映っており、ladyeria (ex. カリフラワーズ)と二人のユニットとしてJabBeeを名乗っているそうです。茨城県出身、東京を拠点として2000年代から活動しており、本作は流通作品として5年振り、2枚目のアルバムとなります。

 音楽性はブルース、ソウル、ロックンロールといった黒人音楽からの影響を感じさせるフォーク・ロックで、宣伝文で「70 年代の SSW が現代に蘇ったかのような風合い」と書かれているのも納得です。JabBeeは歌とアコギを担当。伸び伸びとしていて晴れやかな歌声は魅力的。ladyeriaはサックス、クラリネット、コーラスを担当しており、楽曲に華やかさを加えています。他、セッション・プレイヤーとしてコントラバスやドラム、エレキギター等が参加。エレキギターはいくつかの曲でスライド奏法を披露しており、JabBeeの音楽性との相性は抜群です。

 隙間を活かしたバンド・アンサンブル、ほのぼのとしたコーラスなど緩い雰囲気はカリフラワーズや東京ローカルホンク(ただしサイケ要素は抜く)を彷彿とさせます。

ハナレバナレ / JabBee
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Carolina Deslandes/Casa

Carolina Deslandes/Casa
2018年 ポルトガル
『2018年、暑気払いの1枚①』

 今回も膨大なリストから発見して来た洋楽の新譜をご紹介。カロライナ・デスライドスの3枚目のアルバムです。ポルトガルで活動する女性歌手とのこと。
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 カロライナはポルトガルのオーディション番組、IDOLS(アメリカン・アイドルのポルトガル・ヴァージョン)が切っ掛けでデビューしています。2009年のことです。この期間の6カ月で、ロンドンの音楽学校への留学を経験。ヴォーカルについて学んだとのことです。ちなみにIDOLSでの最高成績は、2010年12月の4位。2012年にデビュー・アルバムを発表。プロ・デビューを果たします。2015年には大御所の音楽プロデューサーであるディエゴ・クレメンテとの交際の後、結婚を経て出産。(この辺りはかなりゴシップとして騒がれた模様)本作はディエゴ・クレメンテのプロデュースを受けてのサード・アルバムです。などと、プロフィールを調べて書いてみたものの、ズバリ俗っぽい感じ。アイドル・オーディション番組でご年配のプロデューサーに気に入られて、芸能界を渡り歩いていくタフな女性というイメージです。

 ポルトガルの民族音楽の一つにファドというものがあります。アメリカのカントリーや日本の歌謡曲のように国民に親しまれており、スタイルとしてはポルトガル・ギターやクラシック・ギターの伴奏と共に歌われる穏やかな音楽です。ディエゴ・クレメンテは、ファドの歌姫、カルミーニョと長年連れ添ってきた(離婚、のちカロライナと結婚)だけでなく、ファドの大御所プロデューサーとして名を馳せている人物。本作でも軽やかなファド音楽を作り上げています。そして、カロライナの歌声が素晴らしい。可憐さ、清々しさが印象的で感情が乗っています。ギターだけではなく、管弦楽などが被さる華やかなアレンジもポイントです。数曲でゲスト・ヴォーカルが入ることで、アクセントになっており、構成もナイス。カロライナは母になったことで、息子への愛情をテーマにしているとのことで、それが爽やかで優しい聴き心地を醸し出しています。梅雨明けが早い今年の夏、最初の避暑アルバムとしてどうでしょうか。

Avião De Papel ft. Rui Veloso
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