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Vulfpeck/Hill Climber

Vulfpeck/Hill Climber
2018年 アメリカ
『もう熟れていますよ』

 ヴルフペックの4thアルバム。フォークやファンク、テクノ、8ビットチューンなど、ジャンルごった煮のR&Bグループとして活動しています。デビュー・アルバムとなった『Thrill of the Arts』以降、年1枚のハイ・ペースで新作を発表し続けているところもポイント。メンバーはJack Stratton、Theo Katzman、Woody Goss、Joe Dartの4人。それぞれマルチ・プレイヤーであり、ヴォーカルも分担しています。今までのレビューはこちら
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 毎回、少しずつコンセプトを変えてくる彼らの作品。前半はAOR風という印象を受けます。彼らの初期作で、黒さ、ファンキーな魅力にやられていたので、この変化は少々残念。中心人物であるテオ・カッツマンの趣向が反映されたのでしょう。後半はインスト・パートとなっており『THE GAME』あたりのクィーンを彷彿とさせる、ポップなファンク・チューンあり、ファミコン風インストあり、ディスコ調インストあり、とバラエティー豊かな音楽性は相変わらず。ゲスト参加曲は4曲で主に女性ヴォーカルをフューチャーしたものとなっています。尚、フューチャリング名義でテオ・カッツマンの名前がありますが、これはヴォーカル曲で彼をフューチャーしました、という意味でしょう。ゲストではなく、彼はメンバーです。

 聴き終わってみれば、キラキラしたエレピが素晴らしく、AORな前半もお気に入り。いいアルバムです。

 自分としては初期のEP群、及びファーストからセカンドに掛けてが今の所、ピークという印象。それはそれとして。ライブは素晴らしいのでしょう。
 
 洋楽ファンにも十分、彼らの名前が知られてきた今。まだ来日していないという事実にも焦らされております。時間がもったいない。もう熟れていますよ。

Half of the Way (feat. Theo Katzman)
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SISTER SPARROW & THE DIRTY BIRDS/Gold

SISTER SPARROW & THE DIRTY BIRDS/Gold
2018年 アメリカ
『敢えて再発見と言ってみる』
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 ジャケットから想像した柔和なフォーク作品とは対照的な内容。パワフルなソウル・アルバムでびっくりしました。

 ブルックリンを拠点に活動している7人組ソウル・バンド、シスター・スパロー&ザ・ダーティ・バーズ。2008年に結成されており、本作で4枚目のアルバムとなります。
現状のメンバーは以下の通り。
Arleigh Kincheloe: vocal(SISTER SPARROW
Jackson Kincheloe: harmonica
Josh Myers: bass
Dan Boyden: drums
Phil Rodriguez: trumpet
Brian Graham: baritone and tenor saxophones
ブラス隊はともかくとして、ハーモニカ専任メンバーがいるのは珍しい。(実際はギターも弾いています)
この他、曲によっては鍵盤奏者が加わります。
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 まず、アレサ・フランクリンの再来、とまで評されるアーリー・キンケローの歌声が凄い。エネルギッシュなシャウトから沈み込むような渋い低音まで、聞き惚れてしまう状況。響き渡る声量は重厚なバンド・サウンドを凌駕しています。本作はスタジオ盤なので半信半疑でしたが、セッション映像も検証済み。あれ、こんな凄いグループ見逃していたのか。と自身のブログを検索したところ、2015年にレビューしていました。
 ソウルを基盤としつつ、ロック要素もミックスしていて親しみやすい音楽性。陽気なブラス隊、ブルージーなハーモニカの仕事が素晴らしい。

 どうやらまだ来日はしていない模様。今後の活躍に期待です。

Gold
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LAWRENCE/LIVING ROOM

LAWRENCE/LIVING ROOM
2018年 アメリカ
『来日公演を見逃していたことは平成最後の痛恨事』

 以前、こちらでも紹介していたローレンスですが、セカンド・アルバムがリリースされました。前々から来日してほしいな、と願っていたグループですが、2019年1月にブルーノート東京で初来日公演を行っていた模様。情報収集が不足していたことを悔やむばかり。今回、リリースされたセカンドは国内盤もリリースされており、初来日も実現。彼らの勢いを感じることが出来てうれしいです。
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 クライドとグレイシーによるローレンス兄妹によるユニット、ローレンス。ヴィンテージ・ソウルの流れを汲むグループで、特にモータウン、ニューソウル系の甘く爽やかなソウル・チューンを得意としています。

 タイトルこそ『LIVING ROOM』と付けられていますが、メンバー8人の大所帯。管楽器3人、ドラム、ベース、ギターの6人にヴォーカル&鍵盤のクライド、ヴォーカルのグレイシーという編成です。これに楽曲によってゲスト・ミュージシャンが参加。

 基本的には前作同様にスティーヴィー・ワンダーを彷彿とさせる甘くポップなソウルが楽しめます。8人のミュージシャンによる分厚いアンサンブルは強力。ジャクソン5へのリスペクトが溢れ出てしまっている楽曲(「Whoever You Are」「Limbo」)がある辺りも前作同様です。

よりカッチリしたプロデュースが為されており、スムーズな聴き心地。

グレイシーのヴォーカルの比重が上がっているところもポイント。パワフルな歌唱で幅が広がっています。

新機軸としては、12曲目「Last Song」辺りがダイナミックなアメリカン・バラード調で印象的。90年代のエアロスミスを彷彿とさせる、ブラス隊とコーラスの煽りがコテコテで強烈です。

60~70年代のソウル・クラシックをカバーしたyoutube動画を数々発表しているローレンス。現状、それらを超える名曲は生まれていないのが残念な所ですが、着実に近づいている感じがします。ソウル・ファンのみならず、70年代中盤までのロック、ポップスが好きな方には是非聴いてほしい一枚。

Make A Move
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VINTAGE TROUBLE/CHAPTER II-EP1

VINTAGE TROUBLE/CHAPTER II-EP1
2018年 アメリカ
『次のライブはムーディな時間が増えそう』

 来週(2019年4/15)には来日ライブに行く予定であるヴィンテージ・トラブル。ここ数年はライブ活動を中心にしており、音源の発表はデジタルでのシングルのみという状況でした。今回の来日では同時に新作のリリースもアナウンスされていたので「それならば」と再びチケットを取ってしまいました。毎度毎度、ズブズブとハマってしまっているようです。
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 さて新作の内容について。今回はEPとのことで5曲の新曲をバンド・サウンドとアコースティック・サウンドで収録。2枚組となっています。買う前から分かっていたことですが、この物量では物足りません。飢えは満たされない、というのが正直な所。

 中身は、かなりキャッチーな仕上がり。ダンサフル且つオーセンティックなロック曲③④辺りは、ザ・アメリカン・ロックという感じで、これまでとは一線を画す雰囲気です。もちろん彼らならではの黒さは健在ですが、洗練の度合いを増しており、完全にニュー・ソウル仕様。英ロック的なファースト、落ち着いたセカンド、と来て次は跳ねたロック作を期待していたのですが、どうやらそこには当分、戻らなそうな雰囲気です。

帯には「ステージのスピリットをスタジオの環境にシームレスに変換することを目指したのだ」とあるのですが、あの凄まじい圧力と本作のスッキリとしたクリーンなサウンドでは比べ物になりません。ただ、これらの楽曲がライブで、どのように変貌するのだろう、と考えると期待は膨らみます。来日記念盤としての役割は十分果たしている内容。

例えば、新曲を8曲くらい用意して、ライブ会場で披露。それをライブ盤として発売すれば、それが最高傑作になるのではないでしょうか。いや、新曲じゃなくてもいいから、ライブ盤が欲しい。

Do Me Right
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Florence + The Machine/ High As Hope

Florence + The Machine/ High As Hope
2018年 イギリス
『凄みで黙らせる音楽』

 2009年から活動しているロック・グループ、フローレンス・アンド・ザ・マシーン。なかなか音楽性を言葉で説明するのが難しい個性的なグループだと思います。本作での彼らは、ケイト・ブッシュのような自然の大らかさを含む神秘性と、ピンク・フロイドのような宇宙的サイケ・サウンド、クィーンのドラマ性を融合させたような音楽と書いておきます。これまでに3枚のアルバムを発表しており、これで4枚目。
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 主役であるフローレンス・ウェルチの歌唱は、瑞々しい高音を力強く発声しており、相変わらず強力です。キーボード、シンセサイザーの洪水がサウンドの肝となっています。全10曲それぞれが4分台程度でまとめられているのに関わらず、フローレンスの圧力なのか、緩急の激しい構成ゆえなのか、とにかくスケールの大きさを感じさせられます。圧倒される密度の濃さから、只者でない貫禄が伝わってくるわけですが、聴きやすいと言えないのも正直な所。ポップさが後退しているのが要因でしょう。ただしスタジオ音源の迫力で圧倒する力量は本物。キャッチーではない為、日本受けはしなさそうですが、ライブを見てみたくなります。

Florence + The Machine – Hunger
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