Steelism/ism

Steelism/ism
2017年 アメリカ
『ペダル・スティール愛』

 スティーリズムのスティールはペダル・スティールのスティール。美しい伸びやかな高音とギター、オーケストレーション、シンセサ
イザーが交歓するインストゥルメンタル・ミュージックです。

 ナッシュビルのインストゥルメンタル・デュオ、スティーリズム。イギリスのエセックス出身のスペンサー・カラム・ジュニア(ペダル・スティール担当)と、オハイオ州カントン出身のジェレミー・フェッツァー(ギター担当)が出会い、2013年に結成されました。フェイスブックの影響を受けた音楽には「Area Code 615, Booker T. & The MGs, Dick Dale, Pete Drake, Lloyd Green, Ennio Morricone, Lalo Schifrin, Goblin」と記載されており、カントリー、ソウル、映画音楽からの影響を受けていることが分かります。個人的にはゴブリンが入っているのがワクワクします。本作は2014年のデビュー作に続くセカンド・アルバム。
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 デュオ名義ですがバンド録音+ストリングスで録音されています。上記のリスト通り、ホラー、西部劇のサントラ、カントリー、ソウルと様々な音楽要素をごった煮したインストゥルメンタル・ミュージック。ペダル・スティールとギターが肝ながら、それぞれがソロを取ることはなく、合奏のみで展開。またアルバム全体のスパイスとしてか、女性のゲスト・ヴォーカルを数曲で起用しており、それらでは、よりドラマティックな魅力を強調しています。全編でスティール・ギターがふぃーーーんと唸っているのはどうなのだろう、と思いきや、清々しい聴後感。

Cup of Wasser
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Shilpa Ray/ Door Girl

Shilpa Ray/ Door Girl
2017年 アメリカ
『ニューヨークの伝統、繋がる』

 やさぐれた女性ヴォーカルのロックンロール、という取っつきやすさに加えて、レゲエやヒップホップ、ニューウェイヴも取り込んだ多彩なバックグラウンドも持っているミュージシャン。
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 シルパ・レイはニューヨーク、ブルックリン出身のSSW。幼少期、教会のゴスペルに触れることが音楽との出会いとなります。また自宅にあったハーモニウム(インドのオルガン)も、長い間彼女の遊び道具であったとのこと。ニック・ケイヴ・&・バッド・シーズの音楽を知ることで、パンク、ロックンロールの世界に魅了されていく彼女は、2004年にパンク・ロック・バンドShilpa Ray and her Happy Hookersを結成。数枚のアルバムを発表しています。バンドは2011年に活動停止となり、ここから新たなバック・バンドを編成してシルパ・レイ自身のソロ活動を開始。2015年にファースト『Last Year's Savage』を発表、本作はそれに続くセカンド・アルバムとなります。尚、彼女は影響を受けたミュージシャンとして、Nick Cave and the Bad Seeds, Warren Ellis, Jon Spencer Blues Explosion, Sharon Van Etten, Man Man, Nicole Atkins, Acid Mothers Templeといったメンツをリストに挙げています。

 古き良きニューヨーク・パンクの流れを汲む音楽性です。暗く寂しいメロディーと衝動的なビートが同居したスタイルは正しく王道。一方で先述したように、レゲエやヒップホップの要素を取り込んだ楽曲もあり、まるでポリスを彷彿とさせる部分もあり。抑揚をつけたヴォーカルは見事。ふくよかな声質。またハーモニウムを随所で活用しているのも特徴で、儚げな残響が美しいです。

Shilpa Ray "Morning Terrors Nights Of Dread
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The Cribs/24-7 Rock Star Shit

The Cribs/24-7 Rock Star Shit
2017年 イギリス
『スティーヴ・アルビニ・プロデュース』

 イギリス出身、インディー・ロック・バンド、ザ・クリブスの7作目。

 2004年、ウェークフィールド出身のジャーマン3兄弟で結成されました。既に数回の来日公演を実現しており、イギリスはもとより日本での人気も高いグループです。
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 自分は本作が初めてのザ・クリブス体験となります。本作はスティーヴ・アルビニによるプロデュース、更に5日間でレコーディングを終えたとの旨が宣伝文にて伝えられています。そのイメージ通りの正攻法なオルタナティヴ・ロックを披露。ほぼ一発録りならではの、臨場感溢れる演奏が楽しめます。掻き毟るようなギターを始めとする、演奏陣の蛮性も文句なし。荒々しいだけでなく、メロディーが甘く爽やかな所も魅力的です。思い入れたっぷりに歌うヴォーカルも素晴らしい。ずば抜けた個性の主張は無いものの、若者のロックらしい熱量をたっぷり楽しむことが出来るアルバムです。

Rainbow Ridge
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Blastwave/This One Goes To Eleven

Blastwave/This One Goes To Eleven
2017年 フランス
『実はAC/DCフォロワーでした』

 酒焼けした女性ヴォーカルによるロックンロール・バンド。そのキップの良さばかりに耳が行きがちですが、隙間を埋めるがごとき速弾きを見せるギターも素晴らしい。
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 ブラストウェーブ(衝撃波)は、2008年にデビューしたグループ。
Mélissa Castillon - Chant, Guitare
Fabien Castillon - Guitare, Choeurs
Cédric Etchenagucia - Basse, Choeurs
Jérémy Lavialle – Batterie
メンバーは以上4名。カスティヨン姓の二人は兄弟姉妹ですが、どちらが年長かは不明です。本作はセカンド・アルバムとなります。
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 ロックンロールと標榜していますが、音圧は完全にヘヴィ・メタル準拠のもの。分厚いリフが牽引して、リズム隊がスィングする様はAC/DCの如し。メロディーもかなりキャッチーで・・・・・・あれ、ギターは1本ですが意外と(バンド名を含めて)AC/DCフォロワーかもしれません。メロディアスな分ROSE TATTOOに近いかな。

Blastwave - Dream Vs Reality (Music Video)
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Little Barrie/ Death Express

Little Barrie/ Death Express
2017年 イギリス
『このダラダラ感がサイケなのか』

 プリティ・シングスのサード辺りを彷彿とさせる、ガレージなムードたっぷりのビート・サウンド。甘いサイケ風メロディーと埃っぽいギターが印象的です。総じてラフでルーズな演奏。ヴォーカルも気怠い感じ。更に、その音源をザクザクに切り刻んだり、わざと音を抜いたりしているので、目が回ってくる感じがします。サイケデリック。
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 リトル・バーリーは2000年、ノッティンガムにて結成されたトリオ編成のバンド。ロンドンのクラブで演奏する傍ら、デモを数枚制作。初期にはR&B、ファンク色の強いサウンドを指向していたとのことです。やがて2005年にはデビュー作『We Are Little Barrie』を発表。2007年にはワールド・ツアーを敢行した他、ポール・ウェラーの『22 Dreams』にてタイトル・トラックのレコーディングへ参加しました。その後、ブルーズ、ロカビリーと音楽性を変容させながらリリースを重ねており、今回のアルバムは3年振り5枚目のアルバムとなります。

 これまでは肉感的なサウンドを志していたリトル・バーリーですが、今回はかなりサイケデリックな作風へとシフトしています。カンからの影響にも言及しており、根暗で呪術的なジャーマン・サイケの要素と、これまでのストゥージズ、MC5的なやけっぱちロックンロールが融合している音楽性。エフェクト、フィードバックが飛び交うドロドロとしたグルーヴは、とっつきにくいながらも熱狂を感じさせるので、ついつい繰り返し聴いてしまいます。
 
ただ、フォローしきれない点が一つあり、それは本作が18曲1時間5分もあるということ。これはダレます。スパッと25分くらいで終わってくれればいいアルバムだったかもしれません。

Little Barrie – Produkt
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