Orango/The Mules Of Nana

Orango/The Mules Of Nana
2017年 ノルウェー
『こんな北欧ロックンロールがあってもいい』

 一時期、隆盛を誇っていた(1990年代後半から2000年代前半まで)北欧ロックンロール系グループはルーツの一つにパンクがあり、疾走感のあるバンド・サウンドが特徴でした。そして2017年、再びロックンロール愛を叫ぶグループがノルウェーから登場。埃っぽくブルージー。レイドバックしていて土臭さ満点。ルーツはレイナード・スキナードとZZトップという新しい(?)北欧ロックンロール・バンドです。
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 ノルウェーのオスロを拠点に活動するオランゴ(オラウータンのこと)は2004年に結成されました。4人編成のグループです。学生時代より地元のフェスや学園祭などを精力的に回ることにより、知名度を獲得。ノルウェーで最もハイエナジーなロックンロールを演奏するバンドとして知られているとのこと。2010年にアルバム・デビューを果たしており、本作で6枚目となります。

 フェイスブックのリスペクト欄にはレイナード・スキナード、ZZトップのみならず、マウンテンやCSN&Y、ツェッペリン、フリートウッド・マック(ただしピーター・グリーン期)といった硬派なメンツが並んでいます。
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 実際、彼らの音楽はレイドバックなハード・ロック・サウンドが特徴。隙間を空けたゆったりとした空気感、ずっしりとしたヘヴィネスは本場ゆずり。しかもCSN&Y(ピリピリしている方のCSN)やマウンテン譲りと思われる叙情的なコーラス・パートもあり、アメリカのストーナー勢が陥りがちな一本調子な展開とは無縁。全編、飽きずに聴きとおせました。演奏もさすが6枚目のアルバムだけのことはあり、達者。本家アメリカン・ハードなみの迫力を味わえます。

Give Me A Hundred
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Michael Chapman/50

Michael Chapman/50
2017年 イギリス
『祝デビュー50年』

 ロイ・ハーパーやジョン・マーティンのアシスタントを経て1967年にデビュー。以来、サイケデリックなフォーク、フォーク・ロックを探究しているSSW、マイケル・チャップマン。

 自分は初期のハーヴェスト~中期のデッカといった70年代中期までの地味なSSW時代のアルバムを愛聴しております。サイケデリックな味つけがされていながらポップで聴きやすい。そして枯れた歌声が渋い魅力を放っています。
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 そんなマイケル・チャップマンが2017年にもアルバムを出していました。手元の資料で調べたところ、恐らく通算37枚目のアルバムだと思います。ただ自主製作盤やライブ盤も多いので、前後ということでご容赦ください。タイトルの50は、デビュー50年ということでしょう。
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このおじいちゃん、かっこいい!

全10曲。概ね5分台で曲がまとめられています。原点回帰ということなのでしょうか、ギター弾き語りによるシンプルなサイケデリック・フォークをやっています。歌声は元々枯れていたのであまり変わっていない印象ですが、晩年期のレナード・コーエンのような凄みがあり。また、サイケデリックなギターとキーボードの絡み合いはスペーシーでスケールが大きいのも特徴です。マイク・オールドフィールドやピンク・フロイドのような空間演出を感じることが出来ます。かっこいいアルバムです。
76歳となったマイケル・チャップマン。若い時代にアシッドな文化に心身どっぷり漬かっていたであろう彼ですが、長生きしてアルバムを出してくれると嬉しい。

That Time Of Night

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Sarah McKenzie/Paris In The Rain

 まだ2016年のアルバムで紹介できていないものもあるのですが(しかもすごくいいもの)、今日から2017年の新譜紹介を始めたいと思います。
尚、2016年の総括記事は2月末に更新予定です。

Sarah McKenzie/Paris In The Rain
2017年 オーストラリア 
『上品でゆったりとした時間が流れる雨の日のジャズ』

 軽やかなピアノとヴォーカル。上品でゆったりとした時間が流れる雨の日のジャズ。しとしと雨の中の室内楽といった趣です。ただ、最近の日本の雨は容赦が無い時が多いですね。

 オーストラリア、メルボルン育ちのジャズ・ヴォーカリスト、サラ・マッケンジー。アメリカにあるバークレー音楽大学を卒業後、ジャズ・フェスティバル等で経験を積み、2010年にデビュー。2015年には世界進出を果たしており、本作は4枚目のアルバムとなります。
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 本作はニューヨークで録音されています。プロデュースはノラ・ジョーンズの作品でも知られるブライアン・バッカスが担当。主なセッション・メンバーは以下の通りです。
Ingrid Jensen(トランペット)
Warren Wolf(ヴィブラフォン)
Hugh Stuckey(ギタリスト)
Alex Boneham(ベーシスト)
Marco Valeri(ドラマー)

 ヘンリー・マンシーニ、ガーシュイン、デューク・エリントン、ジェローム・カーン、コール・ポーター、ケニー・ランキン、アントニオ・カルロス・ジョビンといった作曲家のスタンダードと、自作3曲を織り交ぜた構成。
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 オーストラリアからアメリカ、アメリカからヨーロッパ、という彼女が経験した旅を歌集として表現しています。女性のジャズ・ヴォーカル、雨の日のジャズ、といったイメージ通りのしっとりとした雰囲気が楽しめるアルバムです。

Paris In The Rain
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