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Trickster/Back To Zero

Trickster/Back To Zero
1979年 イギリス
『英米いいとこどりのパワーポップ』

 70年代のブリティッシュ・ロックばかりに没入していた以前、1970年代後半のものを敬遠しがちでした。ポンプ・ロック~パンク~ニューウェイヴの流れに馴染めなかったことに加え、スケールが小さい印象も抱いていました。今はそういうことは無いですが、フラットな感情であっても、なかなかこの年代のアルバムが揃ってこない状態です。まだ偏見があるのかな。

 本作も存在は知っており、わざわざ今は亡きストレンジデイズが再発しているのですから、悪いはずは無いだろうと思っていながらなかなか手を出さなかったアルバムです。それなのに、Youtubeのおすすめ動画をクリックしてまんまとハマってしまった次第。
Trickster - Back To Zero [Japan remaster _4]

 後にELOパート2に参加することになるフィル・ベイツを中心とした4人組グループ、トリック・スター。1977年にデビュー作をリリースしており、本作はセカンドとなります。

 ソフトで甘い歌声、爽やかなコーラス、とろとろにポップなメロディー、と三拍子揃ったパワー・ポップをやっています。ELOのスペーシーでカラフルなポップさと、クィーンやコックニー・レベルのような演劇性を同時に受け継いでいるところは、さすが英国のグループ。しかしながら、このバンドの肝はそこではなく、AORやブルーアイドソウルなど、アメリカ音楽からの影響も同じくらい発露しているところがポイント。時にはジャーニーやボストンを先取りしたかのような、メロディアスなパワー・ロック・サウンドも聴かせてくれます。英米折衷とは言いますが、これほど目まぐるしく入れ替わる音楽性も珍しい。彼らが影響を受けた音楽性の幅とキラキラしたアレンジは、1979年ならではの味わいだと思います。残念ながら個性としては小粒になってしまっていますが、曲単位でピックアップして楽しむ現代には合っているかもしれません。 

Trickster /Tomorrow Belong To Me
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Albert Lee/Hiding

Albert Lee/Hiding
1979年 イギリス
『カントリー愛全開のほのぼのアルバム』

 1978年、エリック・クラプトンのバンド・メンバーとして迎えられたギタリスト、アルバート・リーが、その翌年に発表した初のソロ作。
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作品は、プロデューサーであるブライアン・エイバーンのつてでエミルー・ハリスのバンド・メンバー(ホット・バンド)が集結したアメリカ録音、古巣であるヘッズ・ハンズ&フィートのメンバーをバックにしたイギリス録音からなっています。

 バンド時代は自作曲に拘っていた彼ですが、ここではカバー曲も多く採用。チャス&デイヴの提供曲、エミルー・ハリスの作曲パートナー、ロドニー・クロウェルの提供曲の他、ルーヴィン・ブラザーズ、ダイアー・ストレイツなどのナンバーが収録されています。

 早弾きギタリストでもあるアルバート・リー。もちろん流麗なブルース・ギターを堪能出来るのですが、どちらかと言えば、ゆったりとしたリズムに程よく枯れた歌声が乗るレイドバックな味わいが特徴です。

 エミルー・ハリスの艶やかなハーモニー、軽快な演奏が楽しめる良いアルバム。2016年に再発されています。

Billy Tyler
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BLUE/FOOL’S PARTY

BLUE/FOOL’S PARTY
1979年 イギリス
『地味な内容ではありますが、素朴な温かみが魅力』

 70年代後半のブリティッシュ・ロックというと、どうしても不作のイメージが付きまとってしまい、必然的に棚に入っているその辺りの年数のアルバムは少なくなっています。そんな自分が久しぶりに購入した1979年のアルバムが本作。
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 1973年にデビュー。スコットランドを拠点に活動していたロック・バンド、ブルー。ウエストコースト・サウンドを意識したフォーク・ロックが特徴で、CCRやイーグルスなどと比較される「イギリスのアメリカ」的な味わいを持ったグループです。セカンド・リリース後にエルトン・ジョンのロケット・レーベルへ移籍。そこからリリースされた2枚目(通算4枚目)のアルバムです。

 60年代にはポップ・グループ、マーマレードで活躍していたギタリストにしてソングライターであるヒュー・ニコルソンが在籍しているのがポイントで、柔らかいコーラスとストリングスが印象的なウエストコースト・サウンドは彼が中心に作り上げたものです。ラスト作となった本作では、その傾向は一番顕著に出ています。泣きのギター、壮麗なストリングス辺りにイギリスの名残はあるものの、ほぼアメリカンなロックが楽しめるアルバム。1979年のこの音楽というのは、相当時代遅れなのかもしれません。ハイライトもハッキリせず、地味な内容ではありますが、素朴な温かみが魅力です。

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門あさ美/ FASCINATION

門あさ美/ FASCINATION
1979年 日本
『リバーヴで甘く仕上げたセクシーなシティ・ポップ』

 「ポプコン1stアルバム」というシリーズでの廉価盤再発がされた門あさ美のアルバムを購入しました。ポプコンは70年代、プロへの登竜門となった音楽コンテストで、中島みゆきや世良公則&ツイスト、佐野元春、長渕剛、円広志、チャゲ&飛鳥など多くのミュージシャンを輩出しています。若者の音楽文化に大きな影響を与えていたのでしょう。残念ながら世代的にあまりポプコンを意識出来なかったのですが、この機会に一枚買ってみようと思い立ち、今回は見開きのジャケが素敵だった門あさ美のアルバムを選んでみました。何度もCD化がされているようで、人気盤であることが伺えます。
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 本作は門あさ美が24歳の時にデビュー作としてリリースしたアルバム。インストを覗く8曲の作曲を自身が担当しています。編曲に戸塚 修、鈴木 茂、松任谷正隆、エンジニアに吉野金次がそれぞれ参加しており、ポプコンの主催であるヤマハからのバックアップは万全。

 音楽性はAORを通過したシティ・ポップで、華麗なメロディーが印象的。アンニュイな歌声と色っぽい歌詞の相乗効果もあり、とても大人でおしゃれな音楽に感じられます。全編リバーヴでトロトロに仕上げられているので、甘さ倍増。粒ぞろいに素晴らしい彼女自身の楽曲群のみならず、何故か女性歌手のデビュー作なのに収録されている、インスト曲「South Shore」の爽快なトロピカル加減も素晴らしい。

FASCINATION
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Sonny Fortune/With Sound Reason

Sonny Fortune/With Sound Reason
1979年 アメリカ
『汗臭くも爽やか』
 こいつぁ、濃厚なブラック・ジャズだろう。とジャケだけで購入してみたものの、
フュージョンに接近したアーバン・ファンクといった趣。

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 ソニー・フォーチュンは70年代から80年代に掛けて活躍したアルト奏者。
マイルス・デイヴィスの『Pangaea』(74年)や『Agharta』(75年)に参加していることで知られています。
(そうだったのか!)
近年、彼の作品がcd化され少しずつ再評価されているようです。

 本来、ストレートなジャズ作を発表していた彼ですが、
78年の『Infinity Is』と79年の本作だけはフュージョンに接近しています。
どうやら参加者に名を連ねているラリー・ウィリス(key)がサウンドの鍵を握っており(鍵盤だけに)、
彼の主導のもとフュージョン作を作っていたとのこと。
ちなみにラリー・ウィリスはブラッド、スウェット&ティアーズの諸作品への参加で
ロック・ファンにも馴染みがある人物です。

メンバーは以下。
ソニー・フォーチュン(sax)
ラリー・ウィリス(key)
ウィリー・ウィークス(b)ロン・ウッドのソロやスライのアルバムなどに参加。
マーク・イーガン(b)
スティーヴ・ジョーダン(ds)

 ほぼ全曲を作曲しているラリー・ウィリスの貢献は大。
涼しげな音色のシンセはもちろん、洗練された楽曲群の素晴らしさこそ、
アルバムの魅力の肝となっています。
また、ポコポココツコツと小気味よい鳴らしっぷりのドラムも素晴らしい。
柔軟なグルーヴを生み出すベースとのコンビは極上。
主役たるソニー・フォーチュンは流麗なソロを奏でているものの若干大人しい印象を受けます。
まして『Pangaea』などと比べてしまうと尚更。
ただアンサンブルの性質を考えると、
このくらいに抑えておくのが(リズム隊がビシバシな分)効果的なのかもしれません。
フュージョンの透き通った魅力と、
ファンキーなグルーヴが同居した地味ながら魅力的なアルバムです。

Igbob's shuffle
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