racoustik/ざわめく木々の音楽

racoustik/ざわめく木々の音楽
2012年 日本
『内省的なブラジル音楽風』

 2004年から2005年くらいに掛けて活動していたTwellveというポップ・グループ。男女二人の作曲者を擁して、カラフルでジャジーなシティ・ポップが魅力的でした。ピアノやギターなど演奏も洗練されており「これはいいグループが出て来たな。」とワクワクしていたのですが、ファースト・アルバムのリリース後は音信不通に。本作はTwellveの作曲担当であった阿部仁のプロジェクト、racoustikのセカンドとなります。
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 名前から察せられる通り、弾き語りをベースとしたアコースティックな音楽集。レコーディング・メンバーにはシーナアキコ(key)やTwellveのメンバーであった石井清貫(g)が名を連ねています。スティールパンが参加する曲もあり。前グループからの連続性を感じさせつつ、よりプライベートな肩の力を抜いた感じが伝わります。キーボードによる隙間の埋め方、コーラスの付け方が洗練されていて素晴らしい。ブラジル音楽への傾倒が印象的でグルーヴィ。そんな中、エレキギターが入ると突然埃っぽくなるのが面白い。ヴォーカルは少し煮え切らない感じがあるのですが、相変わらずいい曲を書いてくれています。Twellveの時の期待を上回るような、素敵な音楽を期待。

racoustik/音階と雨@青山CAY120730

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アニス&ラカンカ/Aniss and Lacanca with the Chill Hearts

アニス&ラカンカ/Aniss and Lacanca with the Chill Hearts
2012年 日本
『幻想的でのどかなポップ・ミュージック』

 見汐麻衣のソロ作を購入した際、存在を知ったデュオ作。『広大なファーム広がるニュージャージーからやってきた、仲良し姉妹デュオ!16歳の妹アニスと18歳の妹ラカンカから突然の贈り物』(公式より)というお話のもと、見汐麻衣とmmmの二人が制作したアルバムです。フォーク、エレクトロ、サイケと音楽性に共通項が多い二人なので、相性は良さそう。

 録音・ミックス・マスタリングをWATER WATER CAMELの田辺玄が担当。バック・ミュージシャンには山本達久(drums, percussion)、千葉広樹(electric bass, double bass, percussion) 、坂口光央(rhodes, piano)の三人。1曲のみゲストとして宇波拓(electric guitar)が参加しています。英語詞4曲日本語詞5曲の計9曲。
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 全曲がアニス&ラカンカ名義になっていますが、埋火、mmmソロ、双方からの連続性が感じられる、幻想的でのどかなポップ・ミュージックが楽しめます。二人の緩いコーラス、掛け声、意図的に籠った録音などでトロントロンな聴き心地。一方で演奏面は達人を起用しているだけに引き締まっていて、楽曲後半に突如熱いセッション・タイムが挟み込まれるなど、レイラのような展開が楽しめる楽曲もあり。

アニス&ラカンカのテーマ - Aniss&Lacanca's Theme
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ポポポロ/POPOPOLO

ポポポロ/POPOPOLO
2012年 日本
『来月はきっと送られてくるはず』

 来ない。
あれからもうずいぶん経つというのに。
便秘の話ではない。
ポポポロは言ったんだ。
購入者には漏れなくカヴァー&リミックス・アルバムを送付してくれるって。
(2013年1月発送)
それなのに。
もう2年も経つというのに。
ポポポロからカヴァー・アルバムが送られてこない。

 2012年、少し話題になっていたJPOPの新人グループ。それがポポポロです。
ギター二人を擁する4人組バンド。
サイケデリック、エレクトリック、フォークを融合させた音楽が特徴で、
シューゲイザー要素もあり。

 優しく繊細なヴォーカル、哀愁が漂うメロディー、幻想的に絡み合うギター・サウンド、
穏やかでいかにも文系な感じのメッセージ。熱を抑えたクールなムード。
帯にもありますがサニー・デイサービスや羅針盤を彷彿とさせる雰囲気。
大人になってから始めたバンド、という性質も彼らにはあり、
やりたいことが整理出来ていて洗練されているというのもポイント。

 少しメロウに寄り過ぎなところもありますが、曲は総じて良く出来ています。
これからの活躍が楽しみなバンド

だったのに

 アルバムを発表された2012年を最後にHPの更新は止まっており、
消息を絶ってしまいました。

ここはエールも込めてメッセージを贈ろう。
「カヴァー・アルバムは来月、きっと送られてくるはず。」

「外はきっと雨 」
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The Juke Joint Pimps/Boogie the church down

The Juke Joint Pimps/Boogie the church down
2012年 ドイツ
『違いが分からない男のブルース・レビュー⑱』

 
 雰囲気ばっちりのジャケに釣られてみたら、実は2012年のアルバムでした。

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 ジューク・ジョイント・ピンプスはドイツ出身の二人組で結成されたブルース・デュオ。
ドラム兼ハープ兼ヴォーカルのマイティ・マイク、
ギターのTマンで構成されています。

 シカゴ・ブルースをベースとする様々なグループで切磋琢磨していた二人が合流したのは
2003年のこと。
彼らはシルヴァートーンズというグループに在籍し、ベルギーでアルバムを録音。
youtube動画を見る限り、イタリアやロシアなど様々な国にツアーで回っていたようです。
この時点ですっかり中年オヤジの様相。
日本でいう所のおやじロックバンドのような佇まいですね。

 そんなシルヴァートーンズと同時進行で二人が進めていたのが、
今回取り上げたデュオ編成のジューク・ジョイント・ピンプス。
結成年も同じく2003年のこと。
ドイツのケルンを拠点に活動していた彼等。
本作は彼らが英国デビューを飾ることになる、セカンド・アルバムです。

 緩いパブロックといった風情のシルヴァートーンズに比べると、
ジューク・ジョイント・ピンプスはワイルド。
ドンチャカ、ドンチャカと小気味いいリズムに、ルーズなブルース・ハーブ、
だみ声ヴォーカル、そしてジョン・リー・フッカーなどをお手本にした
ブギー・スタイルによる軽快なギター。
二人という特性を生かした一発録りとなっており、隙間はたっぷりながら
熱気とグルーヴもたっぷり詰まったアルバムとなっています。

 ルーツとなっているのはシカゴ・ブルースですが、
野良猫ブルースという形容がされており、
シャウト、ラウドを重視したロック・ファンにもアピールする内容となっています。
なるほど、
パンク/ロックンロール系のドイツ・レーベル、ブードゥ・リズムが目を付けるのも納得のサウンド。
また本作には別名義でゴスペル・ピンプスとしての楽曲も収録。
スプリット盤の形態を成しています。
こちらではその名の通り、ゴスペル要素を絡めており、
コーラス隊も含めて若干ソウルフルな演奏が楽しめます。
(同じグループなのでブギーがベースなのは変わらず)

 60年代英国でのホワイトブルース・ムーヴメントと同様に、
本作には黒人音楽への憧れが詰まっています。
本物ブルースにある粘り気はありませんが、
ソリッドな演奏から生み出すグルーヴでカバー。
おじさん二人による無邪気なはしゃぎっぷりに胸が熱くなるアルバム。

「Juke Joint In The Sky」
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Esperanza Spalding/Radio Music Society

Esperanza Spalding/Radio Music Society
2012年 アメリカ
『知性と技巧を追い過ぎず、緩く浴びる感じがベター』

 今回のCDは交流ブログの一つ、
Systematic Chaosさんの
私的名盤紹介―真の雑食を目指して』にてレビューが掲載されたもの。
素晴らしかったので購入〜こちらでもご紹介させていただくことになりました。
ただ、Systematic Chaosさんのレビューには、
自分には及ばない詳細さが備わっておりますので、こちらはさっぱりとまとめたいと思います。
今回は上記ページもご参照の上、読み進めていただければと思います。

 本作はオレゴン州ポートランド出身のベーシスト兼シンガーソングライター、
エスペランサ・スポルディングによる4thアルバム。
パット・メセニーに見出されたジャズ系ミュージシャンですが、
ヒスパニック、ネイティヴ・アメリカンなどの彼女自身が持つルーツから
ブラジル音楽やソウルなど幅広い音楽を探求しているのが特徴。
Systematic Chaosさんは最初の印象を「ファンキーなスティーリー・ダン」と称しており、
自分は初めて聴いた時「ジャジーなリンダ・ルイス」と感じました。
聴き手が辿ってきた音楽趣味で、初めの印象もガラッと変わり、
且つ聴き込むほどに、
見えなかった音楽性の深みにズブズブとはまっていくタイプと言えるでしょう。

 70年代フュージョン、ジャズ・ボッサ、ソウルをごった煮したような音楽性。
ベース・ラインをくっきりと強調したアレンジで、転調多めの知的な楽曲群が特徴です。
キュートな歌声と洗練されたアンサンブルで、難解な曲調もすんなりと耳に馴染む感じ。
都会的なポップスのようでいて、キャッチーなサビなどは用意されていないので
一回でグッと掴むような曲はありません。
しかし緩急が考えられた構成と、ボサノヴァ由来の爽やかスキャットや
ダイナミックなアンサンブルでグイグイ惹きつけられます。

 欠点はほとんどありませんが、再生時間が60分あり少し長く感じました。
インプロヴゼーション・・・は、音楽の生命線だと思うので、
収録曲を削っても良かったかもしれません。

 曲を追っているとこんがらがってきてしまうので、
あまり深く追わずに爽やかなサウンドに身を委ねるのが吉。
夏の終わりのドライブやプール・サイドに最適な音楽でしょう。

「City Of Roses」
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