マジカル・パワー・マコ/マジカル・パワー・マコ

マジカル・パワー・マコ/マジカル・パワー・マコ
1974年 日本
『レビューが難しい』

 テープ・コラージュによるサイケデリック、ジャーマン・エレクトロ、ラーガ、ケチャや民謡などの民族音楽を融合させたマジカル・パワー・マコのファースト・アルバムです。
31Q5622G6VL.jpg

 ヴォーカルは遠くでぼそぼそ言っていたりして良く分からない箇所が多数。奇声、SEや電子音、テープ・コラージュが不規則に乱れいるので、落ち着きたいときに聴く音楽ではありません。宇宙を表現しているという批評を耳にしますが、確かにスケールの大きさとおおらかさを感じることが出来ます。最初はアヴァンギャルドな要素ばかりが耳に入るのですが、実は美しいメロディーが少しずつ隠れており、それが徐々に姿を現してくる頃にはアルバムに馴染んでいることでしょう。朝日を見たような清々しさ、爽快感が味わえるアルバムです。
関連するタグ 日本サイケデリック

Eleanore Mills/This Is Eleanore Mills

Eleanore Mills/This Is Eleanore Mills
1974年 アメリカ
『甘くゴージャスなソウルが聴きたい、という時に』

 スウィートソウルの「隠れた名盤として知られている」(この表現はおかしいけれども)
エレノア・ミルズの唯一のアルバム。ストリングス・アレンジがてんこ盛りのいわゆるスウィートソウルというジャンルに相当する音楽をやっています。
LPSBCS77_1.jpg

 本作以降はゲスト・ヴォーカリストとして様々な作品に参加することになるエレノア・ミルズだけに、甘くゴージャスな歌声は魅力的です。低音が渋く、音域が広いのも特徴。しっとりとしたバラードを得意としており、昼食後に聴くと、とろーんとしてきて気持ちよく眠れそう。間に挟まれたアップテンポ・ナンバーの出来も素晴らしく、よくまとまっているアルバム。

 甘くゴージャスなソウルが聴きたい、という時には重宝しそうです。

 恐らく制作過程でのことだと思いますがモコモコと膨らんだような音質で録音されているところがあり、気になりました。

He Said Goodbye
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカソウル

JANET JONES/ JANET JONES

JANET JONES/ JANET JONES
1974年 イギリス
『キーボードを伴う清々しく可憐な弾き語り』

 フィメール・フォークとしての極上の内容がキャサリン・ハウのファーストに匹敵する、という帯の殺し文句に誘われて、餌食になってみました。そもそもキャサリン・ハウのファーストという言葉のチョイスが謎です。どうしてそこと並べたのか、煽るにしてももっとキャッチーなところもあったのではないか、などと思いますが、まんまと釣られてしまった僕は完敗でございます。
R-8180007-1456638358-4274_jpeg.jpg

 ミダス・レーベルから2枚のアルバムを出しているシンガー、ジャネット・ジョーンズのセカンド・アルバム。ギター2本とベース、キーボードという4人編成で録音されています。カバー9曲、オリジナル3曲という構成。ミダス・レーベル自体に硬派なトラッド・レーベルというイメージがあったのですが、本作は1974年という時代でもあり、かなりポップで聴きやすい印象です。まっすぐで清々しい歌声が素晴らしい。選曲はバフィ・セント・マリーやドリー・プレヴィンなど、私自身には馴染みのないラインナップが多く揃っています。ディランやジョニ・ミッチェルのナンバーも含め、どの曲も柔らかい印象のフォーク・ソングとして調整。キャサリン・ハウを例に出したのは、キーボードを伴う清々しく可憐な雰囲気が似ているからだと思います。ジャネット・ジョーンズの音楽の方が素朴な為、一概に比較できませんが確かにキャサリン・ハウを思わせるところもあり。(伸びやかに歌うところなどで)

Waiting For You
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ イギリスフォーク

OPUS AVANTRA/INTROSPEZIONE

OPUS AVANTRA/INTROSPEZIONE
1974年 イタリア
『久しぶりに聴いても芸術的』

 イタリアン・ロックを代表する名盤の一つ。ただあまりにも芸術的な為、馴染めず手放してしまう。それでもジャケの美しさ、存在感に引き寄せられて再び購入。そんなことをどうやら繰り返して4回目。紙ジャケSHM-CDになったオパス・アヴァントラが再び我が家にやってきた。
opus_avantra.jpg

 「ある夜、僕はドネラ・デル・モナコに会った~(中略)この夢を見たのは4年、あるいは5年前のことだった。」で始まる本作のライナーはいつ読んでも凄い。へぇ、ドネラさんに会ってインタビューでもしたのかな・・・と思いきや夢でしたー!という流れはもちろん、夢の話から始めるという度胸。ドネラ・デル・モナコが夢に出てくるという愛情。山崎尚洋さんは凄い人だ。僕は大好きなジミー・ペイジの夢もピーター・ガブリエルの夢も見たことが無い。

 本作はヴォーカル、ドネラ・デル・モナコとキーボード、アルフレッド・ディソッコによるユニット、オパス・アヴァントラのファースト・アルバム。クラシック、現代音楽、演劇の要素を混ぜ合わせたプログレッシヴ・ロックをやっている。芝居がかったドネラ・デル・モナコのヴォーカルは表情が豊かで怖い。かきむしられるピアノやヴァイオリンも加わり、曲が進むにつれ狂乱の度合いは増していく。しかしながら、牧歌的で優雅なメロディーを持ったヴォーカル・ナンバーがひょっと挟まれたりして、こちらの気持ちをグラグラと揺さぶってくる。イタリアらしい過剰さがてんこ盛り、久しぶりに聴いても芸術的だった。もう手放さないと思う。思う?

Ah! Douleur
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ イタリアプログレ

Mickey Baker/The Blues And Me

Mickey Baker/The Blues And Me 
1974年 アメリカ
『違いが分からない男のブルース・レビュー24』

 今回、取り上げるブルース・マンはミッキー・ベイカー。
ミッキー・ベイカーは1925年、ケンタッキー州ルイビルにて生まれました。
1936年に孤児院に入れられた彼は頻繁に脱走。
セントルイス、ニューヨーク、シカゴ、ピッツバーグなど、
各地の施設に送られては脱走を繰り返していたそうです。
ニューヨークで食器洗いの仕事を見つけた後は、一時落ち着いていました。
しかし、やがてビリヤードで稼ぐことに憧れ、仕事を辞めてしまいます。
19歳の頃、チャーリー・パーカーに感銘を受けたミッキーはトランペット奏者になるため、
いやトランペットを購入する為、皿洗いの仕事に復帰。
14ドル貯めることは出来たものの、それだけではトランペットは買えず、妥協してギターを購入することに。
その後、彼はニューヨークの音楽学校に入学。
しかし授業について行けずドロップアウト。
自宅学習もうまく行かないミッキーが頼ったのはストリート・ミュージシャン。
彼らの指導により、ジャズ・ギタリストとしての腕を磨きました。
24歳(1949年)になったミッキーは、いくつかの仕事を掛け持ちしながら、
自身のジャズ・コンボで音楽活動を続けていました。
ジャズ・コンボの活動を更に充実させるため、カリフォルニアに移ったミッキー。
しかし観衆は全く彼のジャズに興味を示してはくれません。
途方にくれていたある日、たまたま観ていたピー・ウィー・クレイトンのライブ。
そこで彼の白いエルドラド(キャデラック)と、バンドの為の大きなバスを見て衝撃を受けたのです。
1976-cadillac-eldorado-1.jpg

「ジャズなんてやっていたら、のたれ死んでしまう。これからはブルースだ。」みたいな感じでしょうか。
再び働いてお金を貯め、ピー・ウィー・クレイトンの研究をした後に、
彼のいない土地で稼ぐべくミッキーはニューヨークに戻ったのでした。
(修行して独立するラーメン職人みたいですね)
東に戻った後のベイカーはサヴォイやキング、アトランティック
といったレーベルでのセッション・プレイヤーとして数々のレコーディングに参加。
ドリフターズやレイ・チャールズ、ルース・ブラウン、ビッグ・ジョン・ターナー、
ルイ・ジョーダンという面々のセッションに携わり、一流セッション・プレイヤーとして地位を固めます。
そして1956年に恋人とのデュオ、ミッキー&シルヴィアを結成。
ヒット曲「Love Is Strange」を生み出します。
その後、ベイカーはフランスへ移住。
そちらではフランソワ・アルディやシルヴィ・バルタンのセッションに参加していたそうですが、
次第に音信も途絶えてしまったとのこと。
Mickey-Baker1-300x300.png

 個人でのリリースは少ない彼ですが、本作はその少ないアルバムの一つ。
フランス移住後の74年に、来仏してきたブルース・プレイヤー達と共演したアルバムだそうです。
歌入りのルーズなブルースをやっています。
初期の頃のような豪快な速弾きこそないものの、ダイナミックなフレージングで聴き応え十分。
フランスではシャンソンのバック・ミュージシャンで稼いでいただけに、
楽しそうに演奏している姿が目に浮かぶようです。
それにしても生い立ちを書いているだけでも、面白い人生でした。

Mickey Baker - Kansas City
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカ違いが分からない男のブルース・レビュー