JANET JONES/ JANET JONES

JANET JONES/ JANET JONES
1974年 イギリス
『キーボードを伴う清々しく可憐な弾き語り』

 フィメール・フォークとしての極上の内容がキャサリン・ハウのファーストに匹敵する、という帯の殺し文句に誘われて、餌食になってみました。そもそもキャサリン・ハウのファーストという言葉のチョイスが謎です。どうしてそこと並べたのか、煽るにしてももっとキャッチーなところもあったのではないか、などと思いますが、まんまと釣られてしまった僕は完敗でございます。
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 ミダス・レーベルから2枚のアルバムを出しているシンガー、ジャネット・ジョーンズのセカンド・アルバム。ギター2本とベース、キーボードという4人編成で録音されています。カバー9曲、オリジナル3曲という構成。ミダス・レーベル自体に硬派なトラッド・レーベルというイメージがあったのですが、本作は1974年という時代でもあり、かなりポップで聴きやすい印象です。まっすぐで清々しい歌声が素晴らしい。選曲はバフィ・セント・マリーやドリー・プレヴィンなど、私自身には馴染みのないラインナップが多く揃っています。ディランやジョニ・ミッチェルのナンバーも含め、どの曲も柔らかい印象のフォーク・ソングとして調整。キャサリン・ハウを例に出したのは、キーボードを伴う清々しく可憐な雰囲気が似ているからだと思います。ジャネット・ジョーンズの音楽の方が素朴な為、一概に比較できませんが確かにキャサリン・ハウを思わせるところもあり。(伸びやかに歌うところなどで)

Waiting For You
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OPUS AVANTRA/INTROSPEZIONE

OPUS AVANTRA/INTROSPEZIONE
1974年 イタリア
『久しぶりに聴いても芸術的』

 イタリアン・ロックを代表する名盤の一つ。ただあまりにも芸術的な為、馴染めず手放してしまう。それでもジャケの美しさ、存在感に引き寄せられて再び購入。そんなことをどうやら繰り返して4回目。紙ジャケSHM-CDになったオパス・アヴァントラが再び我が家にやってきた。
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 「ある夜、僕はドネラ・デル・モナコに会った~(中略)この夢を見たのは4年、あるいは5年前のことだった。」で始まる本作のライナーはいつ読んでも凄い。へぇ、ドネラさんに会ってインタビューでもしたのかな・・・と思いきや夢でしたー!という流れはもちろん、夢の話から始めるという度胸。ドネラ・デル・モナコが夢に出てくるという愛情。山崎尚洋さんは凄い人だ。僕は大好きなジミー・ペイジの夢もピーター・ガブリエルの夢も見たことが無い。

 本作はヴォーカル、ドネラ・デル・モナコとキーボード、アルフレッド・ディソッコによるユニット、オパス・アヴァントラのファースト・アルバム。クラシック、現代音楽、演劇の要素を混ぜ合わせたプログレッシヴ・ロックをやっている。芝居がかったドネラ・デル・モナコのヴォーカルは表情が豊かで怖い。かきむしられるピアノやヴァイオリンも加わり、曲が進むにつれ狂乱の度合いは増していく。しかしながら、牧歌的で優雅なメロディーを持ったヴォーカル・ナンバーがひょっと挟まれたりして、こちらの気持ちをグラグラと揺さぶってくる。イタリアらしい過剰さがてんこ盛り、久しぶりに聴いても芸術的だった。もう手放さないと思う。思う?

Ah! Douleur
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Mickey Baker/The Blues And Me

Mickey Baker/The Blues And Me 
1974年 アメリカ
『違いが分からない男のブルース・レビュー24』

 今回、取り上げるブルース・マンはミッキー・ベイカー。
ミッキー・ベイカーは1925年、ケンタッキー州ルイビルにて生まれました。
1936年に孤児院に入れられた彼は頻繁に脱走。
セントルイス、ニューヨーク、シカゴ、ピッツバーグなど、
各地の施設に送られては脱走を繰り返していたそうです。
ニューヨークで食器洗いの仕事を見つけた後は、一時落ち着いていました。
しかし、やがてビリヤードで稼ぐことに憧れ、仕事を辞めてしまいます。
19歳の頃、チャーリー・パーカーに感銘を受けたミッキーはトランペット奏者になるため、
いやトランペットを購入する為、皿洗いの仕事に復帰。
14ドル貯めることは出来たものの、それだけではトランペットは買えず、妥協してギターを購入することに。
その後、彼はニューヨークの音楽学校に入学。
しかし授業について行けずドロップアウト。
自宅学習もうまく行かないミッキーが頼ったのはストリート・ミュージシャン。
彼らの指導により、ジャズ・ギタリストとしての腕を磨きました。
24歳(1949年)になったミッキーは、いくつかの仕事を掛け持ちしながら、
自身のジャズ・コンボで音楽活動を続けていました。
ジャズ・コンボの活動を更に充実させるため、カリフォルニアに移ったミッキー。
しかし観衆は全く彼のジャズに興味を示してはくれません。
途方にくれていたある日、たまたま観ていたピー・ウィー・クレイトンのライブ。
そこで彼の白いエルドラド(キャデラック)と、バンドの為の大きなバスを見て衝撃を受けたのです。
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「ジャズなんてやっていたら、のたれ死んでしまう。これからはブルースだ。」みたいな感じでしょうか。
再び働いてお金を貯め、ピー・ウィー・クレイトンの研究をした後に、
彼のいない土地で稼ぐべくミッキーはニューヨークに戻ったのでした。
(修行して独立するラーメン職人みたいですね)
東に戻った後のベイカーはサヴォイやキング、アトランティック
といったレーベルでのセッション・プレイヤーとして数々のレコーディングに参加。
ドリフターズやレイ・チャールズ、ルース・ブラウン、ビッグ・ジョン・ターナー、
ルイ・ジョーダンという面々のセッションに携わり、一流セッション・プレイヤーとして地位を固めます。
そして1956年に恋人とのデュオ、ミッキー&シルヴィアを結成。
ヒット曲「Love Is Strange」を生み出します。
その後、ベイカーはフランスへ移住。
そちらではフランソワ・アルディやシルヴィ・バルタンのセッションに参加していたそうですが、
次第に音信も途絶えてしまったとのこと。
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 個人でのリリースは少ない彼ですが、本作はその少ないアルバムの一つ。
フランス移住後の74年に、来仏してきたブルース・プレイヤー達と共演したアルバムだそうです。
歌入りのルーズなブルースをやっています。
初期の頃のような豪快な速弾きこそないものの、ダイナミックなフレージングで聴き応え十分。
フランスではシャンソンのバック・ミュージシャンで稼いでいただけに、
楽しそうに演奏している姿が目に浮かぶようです。
それにしても生い立ちを書いているだけでも、面白い人生でした。

Mickey Baker - Kansas City
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HIGHWAY/HIGHWAY

HIGHWAY/HIGHWAY
1974年 イギリス
『フェイセスの地味な曲に通じる、っていうのは褒め言葉』
 一時期、遠ざかっていた英ロックのマイナー作品のコレクション。
最近、再び情熱に火が付き、(それでもお小遣いは少ないので)コツコツと買い集めています。
現在、この辺りにスポットを当ててくれている再発レーベルと言えば、やはりビッグ・ピンク。
(ヴィヴィッド配給)お世話になっております。
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 今回、ご紹介するのはハイウェイというロック・グループ。
1974年に2枚のアルバムを残して解散しており、こちらはファースト・アルバムです。
一部ガイド本で名前を知っており、帯の「イギリスのアメリカ」という文句に惹かれて購入。

 フランキー・ミラーの『FULL HOUSE』にギタリストとして参加した、
レイ・ミーンネットが在籍していたグループとライナーには記述されています。
うーむ、そのアルバムは持っていますが、ギタリストにまで注意を払っておりませんでした。
また本作にはコチーズのメンバーが二人参加しているのもポイント。
セッション・プレイヤーとして名高いスティール・ギターの名手B.J.コールはともかくとして、
ミック・グラハムも一緒に参加するのは珍しい。

 コチーズ、フランキー・ミラーという名前を並べたうえで聴くと、かなり爽やかな印象。
掠れたヴォーカル、穏やかに転がるピアノ、わななくギターなどによって、
ブルース・ロックを奏でています。
スワンプからの影響はそこかしこに見られるものの、あまり埃っぽくはありません。
澄んだピアノの音色と力を抜いたヴォーカルがポイントなのでしょう。
フェイセスの地味な曲(失礼)に通じるうらぶれた感じがたまりません。

 レイ・ミーンネットのギターはメロウなメロディーをなぞっており、
ブルージーで哀愁味を漂わせています。

Silver City
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JIMMY WEBB/LAND’S END

JIMMY WEBB/LAND’S END
1974年 アメリカ
『ロンドン・レコーディングで哀愁を強調』

 ジミー・ウェッブのアルバムはまだ数枚しか集められていないので、廉価盤はありがたい。
新名盤探検隊に感謝。
以前「P.F.Slone」絡みで記事を書いたと思いますが、彼を取り上げるのはこれで二度目となります。
(今、何気なくP.F.Sloneと検索したら1ページ目にウチのブログが載っていた。そのミラクルがうれしい!)

 本作はロンドン・レコーディングとなっており、英ロック・ファンとしてはうれしい限り。
プロデュースは本人の他に、ロビン・ケーブルという方が名を連ねています。
どうやらエルトン・ジョンのエンジニアを務めていた人物のようです。
他、ナイジェル・オルソン(ドラムス)などエルトン・ジョン人脈が多く参加。
他、フィリップ・グッドハンド・テイト、リンゴ・スター、B.J.コールといった渋いメンツが名を連ねています。
個人的にはB.J.コールのペダル・スティールがあれば外れ無し、
というタチなので参加がうれしいところ。
その他、参加ミュージシャンにはアメリカ勢もいます。
カナダからはジョニ・ミッチェルがコーラスで参加しているのが豪華。
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 牧歌的で哀愁味があるメロディーは、やはり素晴らしい。
エルトン・ジョン人脈ということで、しっとりとしたストリングスに、
豊かなコーラスが加わったふくよかなサウンド・プロダクションが印象的。
イギリス勢のメンツは、カントリー、ソウルへの造詣が深く、
黒さやラフさを出しながらフォーキーな原曲の味わいを損なわない、
柔らかいバンド・アンサンブルを実現しています。
ロックンロール、カントリー、バラードなどバラエティー豊かな構成は相変わらずで、
統一感こそイマイチですが、大いに楽しめました。

Land's End/Asleep On The Wind

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