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稲村一志と第一巻第百章/フリー・フライト

稲村一志と第一巻第百章/フリー・フライト
1977年 日本
『何度も再発してくれてありがたい!』

 解説には「ショーボート屈指の名盤」、帯には「北海道のシュガーベイブ」とストレートに絶賛のコメントが並んでいる本作。アルバム・ジャケットに見覚えはあったものの、いままで聴く機会がありませんでした。一度聴いてみると、絶賛するのも納得の素晴らしい内容でした。何度も再発してくれてありがたい!
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 本作は稲村一志を中心とするグループの唯一作。北海道を拠点として活動していました。ブックレットには大瀧詠一のコメントも掲載されており、大きな影響元であり、且つ交流も持っていたとのこと。
ジャズ、ソウルの要素を内包したシティ・ポップをやっており、一部ではレゲエを取り入れるなど、バラエティ豊かで洗練された音楽が楽しめる内容。ブラス・セクション、管弦楽器、コーラス隊を加えた大所帯によるアンサンブルは、適度な隙間があり、ジャケット通り、夜を感じさせる穏やかさが特徴。また本作は4チャンネルで録音されたとのことで、現場の気怠さが伝わるようなザラザラとした粗さも、魅力を生んでいるポイントとなっています。

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DAVID DUNDAS/DAVID DUNDAS

DAVID DUNDAS/DAVID DUNDAS
1977年 イギリス
上質の、ほのぼの英ポップ』

 2018年1月にヴィヴィッドからリリースされたビッグピンク再発シリーズの1枚。ジャケットには覚えがあり、加えてブルーミンク人脈であるロジャー・グリーナウェイ・プロデュースということで、期待の購入。
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 デヴィッド・ダンダスは76年にデビューしたシンガーソングライターであり、本作はそのデビュー盤。スタンダード1曲を除く11曲を自作しており、内3曲はエディー・ハウエルとの共作です。彼の作品(75年)は昔、輸入盤でのみCD化されました。

 小西勝氏による解説では、「EMI系スタジオの音作りとグリーナウェイのポップ・センスの融合」と書かれていますが、納得の王道ブリティッシュ・ポップが楽しめます。手拍子、ホーンを交えた賑やかでほのぼのとしたアレンジ、甘々のメロディーが全編で貫かれており、加えてエルトン・ジョンのような上品さもあり。個性という点では一級に及ばないものの、英ポップ愛好家にはたまらないアルバム。

Daisy Star
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りりィ/りりシズム

りりィ/りりシズム
1977年 日本
『りりィが日向に出て来た』

 昨年亡くなられた、りりィ。何枚かアルバムを集めていたのですが、これは見かけたことがありませんでした。中古CDにて発見して購入しました。
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女性SSW黎明期から活躍していた彼女。1976年には資生堂のイメージソング「オレンジ村から春へ」がヒット。本作はその翌年にリリースされています。

 1974年から数年間、関わっていた資生堂のイメージソング制作に於いては、従来の暗いフォーク・ソングとは異なる明るいポップスを指向しており、本作もその流れを汲んだアルバムとなっています。ポップでファンキーな面が強調されている印象。アレンジには佐藤博、演奏陣には鈴木茂、上原裕、小原礼などが参加しています。
アメリカ西海岸憧憬が顕著な、ティン・パン・アレー周辺のセッション・プレイヤーが集結することで、どっしりとしたグルーヴが強調されることになりました。かすれ声によるうらぶれた感情を露わにした歌唱は健在ながら、洗練されたトロピカルな演奏で中和されている印象。これは功罪入り混じっていると感じましたが、本作ならではの特徴と捉えれば新鮮に楽しむことが出来ます。明らかに「オレンジ村から春へ」を発展させたと感じられる「春子」を筆頭に、明るいポップ・ナンバーが素晴らしい出来。
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佐藤奈々子/Sweet Swingin'

佐藤奈々子/Sweet Swingin'
1977年 日本
『ジャケ通りの甘さ』

 女性SSW、佐藤奈々子。作曲パートナーとして佐野元春、アレンジにジャズ・ギタリストの横内章次を迎えて制作されたセカンド・アルバム。
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 気怠いヴォーカルと優雅なジャズ・アレンジの組み合わせは相性がいいです。ゴールデン・ポップス風のノスタルジックなファーストと比べるとセクシーな大人っぽさが強調されています。上品でおしゃれなアレンジのたまものでしょう。

 実は10代の頃にこのアルバムを持っていたのですが、ファーストに比べて地味に感じて一度手放しています。今回、久しぶりに聴いてみると、なるほど、このだるーい感じではメタル大好きな当時の自分は受け付けなかっただろうな、と感じました。休日の掃除中にこれを掛けていたら、「チープ・ダンス」のところでいつもの部屋が素敵に見えて来ました。

ミューズの恋人

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森田童子/ A BOY ボーイ

森田童子/ A BOY ボーイ
1977年 日本
『オーケストラでセンチメンタルを盛り上げろ』

 森田童子の3枚目です。てっきり最高傑作はファーストだと思っていたのですが、再発時の紹介文によるとサードが最高傑作とされているようです。編曲家は複数人起用。ジャックス、五つの赤い風船、吐痙唾舐汰伽藍沙箱、六文銭などで知られる木田高介が4曲、演歌も手掛ける若草恵が3曲担当している他、男はつらいよシリーズの音楽も担当したクラシック畑の青山勇と、元六文銭のギタリストでもある石川鷹彦が1曲ずつで編曲しています。森田童子が注目を集めていたからこその勝負を掛けた豪華メンバーなのでしょう。オーケストラ・アレンジが多く採用されていますが、セッション・メンバーのクレジットは一切ありません。
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 フォーク畑の木田高介担当の楽曲は消え入りそうな歌唱とアコギこそが森田童子の作品の肝である、というシンプルな方針が貫かれています。オーケストラ・アレンジはギターと歌を邪魔していません。また石川鷹彦担当の「君と淋しい風になる」も同傾向ですが、終盤に情熱的なエレキギターのソロが入っています。

 もう一方の若草恵担当曲は、オーケストラ・アレンジの主張が激しく、ドラマティックな仕上がり。打楽器が轟く様は圧巻です。その為、「セルロイドの少女」の中盤から終盤に掛けての部分など、一部で森田童子が置いてきぼりになっている部分もあり。また、ヴォーカルの発声が不明瞭な箇所も少々あります。ただし森田童子の感傷を最大限に表現する方法としてバッチリ噛み合っていることも確か。グイグイ引き込まれます。

 青山勇が担当した「終曲のために 第3番 「友への手紙」」は、オーケストラをバックに従えての朗読でした。

 オーケストラ・アレンジで森田童子のセンチメンタルを最大限引き出そうとしたアルバムだと思います。最高傑作と言われるのも納得の濃密さがあります。しかしながら重いです。

君と淋しい風になる
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