Tom Jans/The Eyes Of An Only Child

Tom Jans/The Eyes Of An Only Child
1975年 アメリカ
『ロック度が高く華やかになった2nd』

 当ブログでは既にファーストを取り上げているトム・ヤンス。今回はセカンド・アルバムを取り上げます。本作は2016年に「ナイス・プライス・リターンズ」シリーズでの再発がされています。以前から当シリーズのリストに入っていたアルバムですが、今回は1300+税ですからお買い得度も格別。

 ロサンゼルスを拠点として活動していたSSW。1974年にファーストをリリースした後、翌年に発表したセカンド・アルバムが本作です。

 元来、カントリーを土台にした楽曲作りを得意とする彼がバンド・サウンドに興味を示して制作されたアルバムです。特にリトル・フィートに影響を受けていたらしく、ローウェル・ジョージが2曲に参加。作曲とプロデュースを担当。デヴィッド・リンドレー(g)、ジェシ・デイヴィス(g)、ジェフ・ポーカロ(dr)など、ローウェル・ジョージが連れてきた一流のセッション・プレイヤーが録音に参加しています。
 
 ロック度が高まっているのは確かで、「Where Did All My Good Friends Go?」など一部の楽曲では横乗りのグルーヴ感が強調されていて、SSWの作品とは思えないバンド・アンサンブルが楽しめます。ただし主軸はあくまでも内省的なカントリー・フォーク。ローウェル・ジョージが参加した2曲を含め、多くの曲は牧歌的な味わいの優しい歌で占められています。バンド・サウンドが強化された影響で、より瑞々しく叙情性が際立っているのがポイント。新しい試みがアルバムに奥行きを与えています。
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そして抜群のアルバム・ジャケット。これも含めて人気の高い作品です。

Lonely Brother
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GUY CLARK/OLD No.1

GUY CLARK/OLD No.1
1975年 アメリカ
『日本盤が出ていなかったのが意外』

 ソニーのナイス・プライスと言えば、廉価盤の老舗。僕も高校生の頃に行きつけのショップでナイス・プライスの小冊子を貰い、月々の小遣いで購入するラインナップを年単位で計画していたものです。そんなナイス・プライスがリターンズとして復活。1300円+税という更にお安い価格設定がありがたい。先に紹介していた「AOR CITY1000」の安さには及びませんが、ナイス・プライス・リターンズでは歌詞対訳が付いております。(「AOR CITY1000」は無し)やはり日本盤で買う場合、対訳が付いているとうれしいもの。曲とゆっくり向き合える材料になりますから。早速、いくつかのCDを買っているので紹介したいと思います。

 まずはSSWアルバムの中でも名盤として名高い、ガイ・クラークのデビュー作を選びました。有名なジャケが馴染み深かったのですが、意外にも日本初CD化だそうです。
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 1941年生まれ、1971年よりナッシュビルを拠点として作曲家のキャリアをスタートさせたガイ・クラーク。ジェリー・ジェフ・ウォーカー、リタ・クーリッジ、トム・ラッシュなどに楽曲を提供していました。本作はそれら提供曲を含んだデビュー作となります。

 カントリーを土台とした旅情豊かな作風が特徴。哀愁を漂わせた風景描写が印象的な歌詞、切ないメロディー、そして温もりと親密さを感じさせる味わい深い歌声、全てが素晴らしい。
カントリー系のSSWは泥臭く地味、という身もふたもない偏見があったせいでずっと素通りしてきたのですが、もっと早く聴くべきでした。それでも日本語の対訳が付いた今回の再発で初めて向き合えたのは良かった。秋にピッタリな一枚でもあり。

Desperado's Waiting For A Train
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森田童子/GOOD BYE

森田童子/GOOD BYE
1975年 日本
『フォーク度が最も高い代表作』

 遂に再度のCD化を果たした森田童子。自分が森田童子を知った頃には、安価で手に入るのはベストくらいだったので、これまではベスト2枚に収録されている曲しか聴けませんでした。今回、オリジナル作品が全てCD化されることになったのはありがたい。あんまりありがたいので、楽しみは取って置こうと後回しにしていた結果、2ヵ月も経ってしまいました。ファーストから順に聴いていこうと思います。

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 どうしようもなく暗く寂しい個性が最も濃厚に反映されたのが、このファースト・アルバムとのこと。実際、先に聴いていたベスト盤2枚にほとんどの曲が収録されており、彼女の代表作であることは間違いありません。

 沈んだ気持ちに追い打ちを掛けたいときに、最適の一枚と言えるでしょう。

 孤独に対して達観したかのような歌詞とは裏腹に、清らかな歌声。情緒たっぷりの悲しいメロディーを、ギター、ピアノ、そしてストリングス、大仰なSEが彩っています。今聴くとストリングスはやりすぎかもしれません。しかしこのストリングスが、底の底まで絶望させるような聴き心地を作るのに一役買っているのも事実。

 それにしても。秋晴れの日曜日のお昼、窓を開けた自分の部屋から流れ出す森田童子。多分、外を歩いている人は驚いていることだろう。ちょっと面白い。

雨のクロール
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LESLEY DUNCAN/Moon Bathing

LESLEY DUNCAN/Moon Bathing
1975年 イギリス
『久しぶりの世界初CD化に興奮』

 キャロル・キングの影響を受けた70年代のイギリス女性シンガーと言えば、レスリー・ダンカンでしょう。
エルトン・ジョンの後押しで、彼のレーベルからデビュー。
何枚かのアルバムを残しています。
90年代にエドセル・レーベルより再発されたファースト、セカンドは
地味ながら「イギリスのアメリカ」が楽しめる好作で気に入っていました。
まさか、2016年になって日本のレーベルが世界初CD化として4枚目のアルバムをリリースしてくれるとは。
どうやらフリーソウルものとして注目を集めていたようですね。
いずれにしてもありがたい!
(飛ばしてしまった、ジャケットが素晴らしい3枚目もいつかCD化して頂ければ。)
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 プロデュースはジミー・ホロヴィッツが担当。
リンダ・ルイスのファースト(2枚目でも3枚目でもなく、ってところがミソ)で、
アレンジを務めていた人物とのこと。
彼女の場合、初期作をエルトン・ジョンがプロデュースしていた為、路線変更をしたかったのでしょう。
レスリー・ダンカンはセカンドで『EARTH MOTHER』なんてタイトルを付けるくらい、
アーシーで渋い楽曲を作る印象があったのですが、
ここではキーボード、ストリングスがふんだんにあしらわれた洗練されたサウンドとなっています。
(一部、アーシーな曲もあり)
ソウルとフォークを融合させた爽やかな楽曲群は素晴らしく、
伸びやかで澄んだ歌声も存在感抜群。
演奏面では、英国ロック名盤の常連、
カメレオン・ギタリストことクリス・スペディングが乾いた音のギターを披露。
これはうれしい。
更に(こちらもいろんなところで大活躍)リザ・ストライクがコーラスで参加しているのもポイントです。

 1977年の『Maybe It's Lost』もCD化してくれているので、そちらも買いたいと思います。ありがたい!

 CDには歌詞対訳がありませんでした。日本盤なだけに少し残念。
ただし入っていた写真は良かったです。

I Can See Where I'm Going
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Led Zeppelin/ Physical Graffiti 40th Anniversary Deluxe

Led Zeppelin/ Physical Graffiti 40th Anniversary Deluxe
1975年 イギリス
『変わり過ぎると文句を言い、
変わら無すぎると何も言えない。』


・・・・・今日はほったらかしてしまっていたツェッペリン・リマスター盤のレビューを発掘してみます。
風邪が全然良くなりません。


 これまでツェッペリンの最新リマスター・シリーズは、
リリース後に即レビュー記事を更新してきた僕ですが、
ここに来て反応が鈍くなってきました。
やっぱり一気に全タイトル出してしまった方が良かったのではないか、
と外野から後出しで言ってしまう今日この頃。

 今回は『フィジカル・グラフィティ』ですね。
過去のアウト・テイク(『III以降』)を放出して盛り沢山で詰め込んだ結果、
2枚組になったという大作。
フォークやブルースといった彼等に取って従来のルーツ音楽からの影響のみならず、
流行のニュー・ソウルにも反応。
ブラック・フィーリングも取り込むことで、より粘り腰のグルーヴが生み出されています。
独創的なギター・リフのアイディアがここに極まっており、
名曲「Kashmir」やB’zがオマージュしたことでも知られる「Trampled under Foot」などでのギターには、
古典から昇華させたインパクト抜群のフレーズが盛り沢山。

 個人的には学生時代に通学路だった田んぼ道を
自転車で走った時のテーマとしていた(なんちゃって)ウエスト・コースト
Down By The Seaside」のレイドバック感がたまりません。

さてリマスター効果についてですが、
この辺りのアルバムになると録音状況も向上していることもあり、
自分の耳ではあまり差異を感じることが出来ませんでした。
今回のリマスターで共通していると感じた以下の2点、
①音圧が低くなっていることで蛮性が後退してスマートになっていること、
②ドラムが引っ込んでベースやキーボードが前に出ていること、
については本作も同様な気がします。
煮え切らない感じになってしまうのは、
それだけ中期以降の前リマスターに関して不満が無かったということに他なりません。

 コンパニオン・ディスクにはヘッドリィ・グランジでの未発表テイクが7曲収録。
ジョン・ポール・ジョーンズ一時離脱前の初期音源ということですね。
事前に教わっていたのですが
Everybody Makes It Through (In the Light) (Early Version / In Transit)」が
ハープシコードを使っており、とてもオカルティックな仕上がり。
これは面白い。
他は「Brandy & Coke (Trampled Under Foot) (Initial Rough Mix)」での
キーボード・ソロが原曲よりも前面に出ており、新鮮でした。
それにしても2枚組だからもっと未発表あるかな、
と思ったのにこの分量の少なさは何故!?
・・・・・・出し惜しみしているだろうと思わざるを得ません。

「Brandy & Coke (Trampled Under Foot) (Initial Rough Mix)」
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