羅生門/インディアン、死よりも赤を選ぶ

羅生門/インディアン、死よりも赤を選ぶ
1972年 日本
『クニ河内、ミッキー・カーチス参加』

 クニ河内が作曲で参加しているという理由で購入しました。羅生門は元々、ハプニングス・フォーの前身であるサンライズというグループを母体としたグループだったらしいのですが、本作をリリースしていた頃にはバンドとしての実体のないプロジェクトのような状態だったようです。中心にいたのは作曲として関わったクニ河内、ミッキー・カーチスとヴォーカル、ギターを担当したフロントマン、ポール湯川の3人。
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 タイトルにインディアンとあるようにアメリカの先住民族をコンセプトとした歌詞が印象的です。クニ河内、ミッキー・カーチス共にブリティッシュ・ロックからの影響を強く受けた作曲家であり、1972年という時代を反映してかユーライア・ヒープなどを彷彿とさせる英ハード・ロックっぽい曲も多く収録。一方で3曲収録されたヴォーカルのポール湯川による楽曲はゴールデン・ポップス調ながら、調和が取れています。

 哀愁を称えた男くさいヴォーカルは魅力十分。ストリングスやホーンを交えたアレンジはややロマンティック過剰で時代を感じさせますが味と言えなくもないです。クニ河内、ミッキー・カーチス参加という部分に、期待をして聴いたとして、それを裏切らない充実の内容。

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BELINDA BELL/WITH OUT INHIBITIONS

BELINDA BELL/WITH OUT INHIBITIONS
1972年 イギリス
『ド派手な映画音楽のようなジャズ・サウンドがアツイ』

 サンシャイン・ポップ系ソフト・ロックの人気作であったセカンドは、2012年に再発された際に入手していました。一方でこちらのファーストは2014年に再発(共にBIGPINKより)されていたのですが、どんな内容か全く知らなかったので長らく放置していました。

 ベリンダ・ベルはイギリスのポップ・シンガー。デビュー前にはスウェーデンで音楽活動をしていたようで、本作もスウェーデン録音がされています。作曲はしない専任歌手であり、本作ではウロデック・グルゴウスキーが作曲とアレンジを担当。ウロデック・グルゴウスキーはスウェーデンで活躍するジャズ系鍵盤奏者とのことで、この時点で自身の名義でアルバム・リリースを果たしています。
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 ジャズ系プレイヤーが集まっての録音。実際、ジャジーではあるものの、ストリングスはてんこ盛りであり、ドラムがかなりタイトで、映画音楽寄りのハッタリ満点な作風が特徴です。表情豊かに歌い分け、主張の激しい演奏陣に負けないパワフルな声量を持つベリンダ・ベルのヴォーカルは素晴らしい。ストリングス・アレンジは、21世紀に聴くと古臭さが目立つ印象。とは言え、ファーストとは異なるノスタルジックな魅力を楽しむことが出来ます。

Delivery Of Love
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柳田ヒロ/HIRO

柳田ヒロ/HIRO
1972年 日本
『誰かこのアルバムの曲をカヴァーしてください』

 日本のロック誕生時代を支えた鍵盤奏者、柳田ヒロのソロ3枚目のアルバム。個人的な話で恐縮ですが、何度かのCD化があったにも関わらず、リマスター盤が出てから買おうとスルーしていた一枚。この度、紙ジャケリマスター盤でグリーンウッドから再発されて購入しました。
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 前々作『Milk Time』がプログレ、ジャズ・ロック的なアプローチのインプロヴィゼーションが冴えわたるアルバムであり、前作がサンズ・オブ・サン名義によるソフト・ロック・アルバム。続く本作は、両方の要素を感じさせる過渡期のアルバムとなっています。清々しいピアノ・ソロ「NOTHING」からシャッフル「海のサンバ」というインスト2連発でスタート。『Milk Time』とは異なる、朗らかで海を感じさせる雰囲気が印象的。その後は松本隆作詞によるヴォーカル・ナンバー7曲を中心としてインストを交える構成となっています。サンズ・オブ・サンに比べると流麗なキーボードやブルージーなギターなど、演奏のスケールが大きく、ストリングスが控えめという印象。伝説の鍵盤奏者、柳田ヒロの歌声は丁寧に歌っている姿勢に好感が持てるものの、声量、声域共に弱い印象です。

サンズ・オブ・サンでのMAOの歌声は中性的な魅力を感じさせる稀有なものでした。しかし同時にどこか人工的で情緒が欠けていたことも事実。そのサイボーグのような歌唱は、本作の柳田ヒロの歌唱とも重なります。もしかすると、MAOの歌唱は柳田ヒロのプロデュースによる歌唱だったのかもしれません。

ヴォーカルは残念な出来ですが、メロディーの完成度は素晴らしい。そして爽やかなインストの魅力も光っています。
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GLENCOE/GLENCOE

GLENCOE/GLENCOE
1972年 イギリス
『アメリカ憧憬のサウンドの中で、美麗なキーボードがイギリスらしい』

 久しぶりにやって来ましたBIG PINK再発盤レビュー。

 今回、取り上げるグレンコーはロンドンで結成された4人組グループです。3人のスコットランド人がロンドンへと渡り、メンバーを加えて結成されたとのこと。日本盤では前身グループなどの経緯も小西氏の解説で知ることが出来ましたが、さっぱり聴いたことのないグループばかりだったので割愛いたします。尚、グレンコーはアルバム2枚を残したのちに解散。その後、メンバーはイアン・デューリー&ブロックヘッズやクリス・スペディングとアンディ・フレイザーが居た伝説のグループ、シャークス、ウィッシュ・ボーン・アッシュなどのメンバーとして活躍したとのこと。

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ジャケはナイス。ヒプノシスがデザインしている!そう聴くと、そんなにらしさは無いかな。と思いきや、実は見開きで裏面と対になっているのです。

 音楽性について。帯にはブリンズレー・シュウォーツ、グリースバンド、ハイウェイと同系統のアメリカン・ルーツ指向、と書いてあります。確かにどれもアメリカ憧憬なのですが、ブリンズレーやグリースバンドはザ・バンド、ハイウェイはイーグルスと影響を受けたグループが異なります。これを一括りにしては音をイメージ出来ないような・・・・・・。話が逸れてしまいましたが、ズバリ、グレンコーはハイウェイ・タイプのアメリカン・ルーツ指向です。

イーグルスやバーズの影響を感じさせる爽やかなコーラスとカントリー調の楽曲が特徴。また骨太なギターはファンキーで、コーラスと共にソウルフルな魅力を発揮。一方で繊細なキーボードからイギリスらしさを感じます。また、グループには3人のソングライターがおり、アメリカン指向の楽曲とは別にスコットランドらしい哀愁漂うバラード、ヘヴィリフによるミドル・ナンバーも混在しているのもポイント。結果、焦点はブレているものの、これはこれでファーストらしい魅力と言えるかもしれません。間奏部分では端正でコントロールされたアンサンブルを披露してくれます。特にキーボードを主役にした間奏部の美しさは素晴らしい。レイラの後半が好きなブリティッシュ・ファンには(あそこまでではないけれども)聴いてもらいたいです。

Questions
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Python Lee Jackson/In A Broken Dream

Python Lee Jackson/In A Broken Dream
1972年 オーストラリア
『ロッド・スチュワートが3曲で参加』

 フェイセス加入前のロッド・スチュワートが3曲で参加、という文言がインパクトを放つ!高校生の頃、ラジオ番組パワー・ロック・トゥデイでこのアルバムを知り、大学生の頃、西新宿の中古レコード店で発見して購入。(プレミアは付いていませんでした)そして2016年、遂にCD化されました。
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 以下、ヴィヴィッドの解説を参考にして簡単なプロフィールをどうぞ。1965年にオーストラリア、シドニーで結成された4人組グループ、パイソン・リー・ジャクソン。当初はオーストラリアで活動していましたが、メンバーの半分がイギリスだったこともあり、1968年にはイギリスへと活動拠点を移すことになります。ロッド参加の経緯は、ヴォーカルを務めるベントリー自身が、既にソウル系ヴォーカリストとして実力が知られていたロッドに3曲歌ってもらうように頼んだとのこと。そちらはシングルとしてリリースされたものの、バンドは程なく分裂状態へ移行。ヤング・ブラッド・レーベルのミキ・ダロンが中心となって、メンバーを集結させて録音した音源を合わせて発表したのが本ファースト・アルバムです。

 オーストラリア時代にはサム&デイヴやカーティス・メイフィールドのカバーをシングルとしてリリースしていたパイソン・リー・ジャクソン。本作での音楽性もソウル度が高いです。ベントリーの書く曲はソウルフルでブルージー。泥臭く暑苦しいナンバーが並んでいます。ロッドの他、ゲイリー・ボイルも参加しており、オーストラリアのグループですが、イギリス主導のアルバムと考えて問題ありません。ロッド参加曲は文句なしにカッコよく、ショットガン・エクスプレス(←これ、インスト曲でした)でのパフォーマンスを彷彿とさせます。一方でそれ以外、グループ主導の音源はどうしてもインパクトで数段落ちるのが正直な所。悪くはないソウル要素を含むブルース・ロックではあります。エクスペリエンスの「Hey Joe」みたいな曲もあったりするのはご愛嬌。アルバムとしてのまとまりに欠けるものの、ロッド・スチュワートが好きであれば、一度は聴いておくべき一枚です。

Doing Fine
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