B.J.COLE/THE NEW HOVERING DOG

B.J.COLE/THE NEW HOVERING DOG
1972年 イギリス
『縁の下の力持ちのソロ作は、意外に実験的』

 ペダル・スティール。ギターをテーブルのように寝かせて弾くスタイルの楽器で、カントリーなどで、のんびりとした旅情を演出してくれています。日本では駒沢裕城が有名ですね。そんなペダル・スティールを70年代英ロックに普及させたミュージシャンがB.J.コール。70年代、コチーズというグループで埃っぽいカントリー・ロックをやっていた彼は、その経験を活かしてペダル・スティール奏者として様々なセッションに参加しました。実はそれほど有名なミュージシャンと絡んでいるわけではないのですが、英ロックの奥深くに入っていくほどに彼の名前を見ることになるのです。有名なところではキャット・スティーヴンスやTレックス、ロイ・ハーパーのアルバムに参加しています。

 本作は彼がコチーズ解散後、所属レーベルのユナイテッド・アーティストとの契約履行の為に制作された初のソロ・アルバムです。
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 コチーズはカントリー・ロックをやりたいギタリスト、ミック・グラハムと実験精神に溢れたB.J.コールの双頭バンドでした。そのB.J.コールのソロということで、カントリー色を残しつつもかなりプログレッシヴなアルバムに仕上がっています。

 サイケデリックなキーボード、優雅なヴァイオリン、そしてペダル・スティールが活躍する楽曲群は、実験的且つバラエティに富んでいます。ヴォーカルがヨレヨレなのが弱点で、それをカバーするためかリバーヴが薄く掛けられています。

You're Probably Lost
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I POOH/OPERA PRIMA

I POOH/OPERA PRIMA
1972年 イタリア
『元ビート・グループのラブ・デビュー』

 イ・プーも廉価盤化で再購入したものの一つ。今回はあまり聴いていなかったメジャー・デビュー作を取り上げます。

 1966年にビート・グループとして登場して以来、現在も活動している国民的グループ。日本ではプログレッシヴな音楽性を持った70年代の作品群が人気であり、本作はその最初の作品となります。
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彼らの特徴であるメンバー全員がヴォーカルを担当することと、オーケストラとの共演は本作から導入されています。とは言え、次作以降のドラマティックの粋を極めたアレンジと比べれば、まだ素朴さが残っています。イタリア特有のドタバタとしたドラムを始めとしたバンド演奏は鋭さがありますし、ヴォーカルは得意とするメンバー全員のリレー方式はまだ控えめで、ほとんどの曲がソロで歌われています。

 甘美なメロディーでしっとりと歌い上げるラブ・ソング。それを盛り上げる華麗なオーケストラ・アレンジ。久しぶりに聴きましたが、王道ラブ・ソング集という趣がありストレートな姿勢に好感が持てます。まぁ若干もたれる感じもしますが、たまにはこういうのもいいでしょう。

 さてyoutube動画の時間です。巷ではシングル・カットされた2曲「Pensiero」「Tanta Voglia Di Lei」が人気で、これは確かに素晴らしい曲たち。しかしここは敢えて他の曲にスポットを当ててみたいと思います。

Il Primo E L’ultimo Uomo
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OSANNA/Milano Calibro 9

OSANNA/Milano Calibro 9
1972年 イタリア
『極上の現実逃避』

 廉価盤化の波はプログレにまで押し寄せています。『Progressive Rock SHM-CD Collection』として、2015年に1300円で数々の名盤が再発されていました。ラインナップは何度も再発されているものばかりだったので、目新しさこそ無いものの高音質盤でのこの価格は、新規のファンにはうれしいはず。また自分の様に金欠の際、ついついプレミアがついた紙ジャケを売ってしまい、それっきりになっていた、あまりよろしくないファンにとってもありがたい。オザンナ、やっと買い戻せた。
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 レビューが山ほどあるオザンナの名作だけに、解説はサラッと書くだけにしておきます。70年代のイタリアを代表するグループの一つ、オザンナが72年に発表したセカンド・アルバム。同年に公開された映画『ミラノ・カリプロ9』のサントラとして、映画音楽家ルイス・エンリケス・バカロフと組んで制作されています。またオーケストラとの共演曲があることもポイント。禍々しいヘヴィネスが魅力の彼らの作品群の中では、異色のドラマティックさを持ったアルバムです。

 冒頭2曲はルイス・エンリケス・バカロフによる作・編曲がされたナンバー。オーケストラとの共演なのですが、不穏なバンド・アンサンブルとオーケストラとの混ざり合わないぶつかり合いがスリリング。オザンナは躁鬱が極端に繰り返されるのが持ち味ですが、その個性がより強調されたクセになる2曲です。ドロドロのギター・ソロも素晴らしい。その後に続く7楽章構成のヴァリエーションは、オザンナ本来の持ち味を生かした、ヘヴィ・ロックなインプロヴィゼーション。映画に使われたものでは無いのですが、サントラらしく映像をイメージさせる幻想的な音楽となっています。

Canzona
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ARTHUR VEROCAI/ARTHUR VEROCAI

ARTHUR VEROCAI/ARTHUR VEROCAI
1972年 ブラジル
『ブラジル音楽にも宇宙を感じた』

 DJから絶大な人気を誇る、という煽り文句に好奇心をそそられて購入してみたアルトゥール・ヴェロカイのファースト・アルバム。さすがに抜群に素晴らしかった。たまにはDJの流行に乗っかってみるのも悪くないなと、偉そうなことを思ってしまいました。

 アルトゥール・ヴェロカイは60年代から活躍するプロデューサー。映画音楽やテレビの音楽を始め、多くのアーティストを手掛けていたとのこと。
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 イタリアン・プログレと言われても違和感ない、たそがれたメロウ・チューン「CABOCLO」から驚き。途中、アコギのソロのバックで、電子音がループして来ます。映画音楽を手掛けているだけに音楽がとても立体的。次の「PELAS SOMBRAS」ではサックスが登場。ハードボイルドに目配せしつつ、エレガントなポップスに仕立てています。ここまでで一気に心を掴まれました。ボサノヴァ、ジャズ、プログレが交錯して、鬱屈したスペース・ロックを生み出しています。ブラジルの音楽に対しての偏見(ボサノヴァしか見えていなかった)を取り去ってくれそうな一枚。

「PELAS SOMBRAS」
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WISHBONE ASH/ARGUS

WISHBONE ASH/ARGUS
1972年 イギリス
『どうせならのめり込んでみませんか。』

 本日は、自身3枚目のSACDとして購入したウィッシュボーン・アッシュの『アーガス』をご紹介。
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 まず残念な点として、背表紙の幅を取った紙ケースの装丁を採用しています。
これで背表紙のタイトル部分が、ヒプノシスの見開きデザインを分断してしまっており、いただけません。
もちろん棚に刺した際には見つけやすいのは間違いありません。
が、不便でもここはシームレスで繋げてほしかった。

 解説は『ARGUS』のCD規格について歴史を語ってくれています。
リミックス違い、ボーナス・トラックの変遷など、拘りが詰まった面白い内容。
その代わり、アルバムの内容についてはほとんど触れられていませんが、
「買い直している」前提での文章なのでむしろ親切でしょう。
(スムーズにそう感じてしまう我々ファンも若干病んでいる気がしないでもない)

 本作について少し。
フォーク、プログレ、ハード・ロック、ハーモニー・ポップス、と様々な要素が混ざり合い、
個性が開花したウィッシュボーン・アッシュの代表作。
彼らはしばしば、叙情的なメロディーが魅力の肝として紹介されます。
実は叙情性だけに限れば、初期作の陰影のある楽曲群の方が魅力的にも映ります。
しかしながら、本作にはハード・ロック由来のハッタリを効かせたドラマ性が加わっており、
このクサいメロディー展開が中毒性をもっているのです。
特に看板であるツインギターの繊細な絡み合いは素晴らしい。
童心に返してくれるワクワク感があります。
SACDとなり、ツインギターの高く飛翔する様もより迫力ある音で楽しむことが出来て、大満足。

Warrior
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