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Ray Materick/Sidestreets

Ray Materick/Sidestreets
1972年 カナダ
『うつむき加減の散歩ジャケ、そのままの内容』

 カナダ人SSWとして知られる、レイ・マテリックのソロ・デビュー作。2009年にBIGPINKよりCD化されておりました。トニー・コジネク、ブルース・コバーン等々ときて、やっとレイ・マテリックを聴くときが来た、という感じです。

 レイ・マテリックはオントリオ州出身。生年は調べることが出来ませんでした。神父の息子として生まれたため、1940~50年代に掛けて、教会音楽のダンス・バンドにて吹奏楽を嗜んでいたとのこと。シンガーソングライターとしては、本作を皮切りに70年代に4枚のアルバムを発表しており、その後も息の長い活動をしています。現在はピース・オン・アースというトリオ編成のフォーク・グループで活動中。ご健在です。
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 さて、本作について。概ね、バンド演奏で録音されています。カナダのSSWらしい、というべきなのか、内省的なバラードが素晴らしい。厳しい冬を耐え抜くような辛抱強さをアコギの旋律と、歌声から感じることが出来ます。時折、挟み込まれるアップテンポでの激情迸るヴォーカルは鮮烈で、いいアクセントとなっています。教会音楽由来であろう、ゴスペルのような高揚感のあるコーラス、清々しいピアノも特徴。地味だけれども、うつむき加減の散歩ジャケにピンと来たなら、一度聴いてみてください。

Goodbye
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Bobby Patterson/It's Just a Matter of Time

Bobby Patterson/It's Just a Matter of Time
1972年 アメリカ
『ソウル系のブルース・ロック・バンドと同列で楽しむことも出来る』

 インディ・ソウル・レーベルの走りであったジュエル・レーベルの傘下、ポーラからリリースされたアルバム。

 ボビー・パターソンはニューソウル以後に現れたシンガーソングライター・スタイルのソウル・ミュージシャンの一人。プロデューサーとしても活躍していたとのことです。
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 ジャンプ・ナンバー、ファンク、メロウなバラードと比重が偏らないバラエティーに富んだ構成。さすがプロデューサー経験者というところ。上品なエレピやホーン、締まったリズム・セクションを中心としたバンド・サウンド、共に素晴らしい。そしてボビー・パターソンの歌唱が特に凄い。肺活量の凄さを感じさせるシャウトやパワフルな声量はもちろんのこと、各楽曲を歌い分ける情感豊かな表現力が見事で、これが各楽曲に彩りを与えているポイントになっているのでしょう。

 前述した通り、引き締まったリズム隊がもたらすグルーヴ感もポイント。ローリング・ストーンズなど、ソウル系のブルース・ロック・バンドと同列で楽しむことも出来るはず。60年代の空気感を引き摺っているセンスが生かされているのだと思います。エキサイティングなソウル・アルバム。

This Whole Funky World Is A Ghetto
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羅生門/インディアン、死よりも赤を選ぶ

羅生門/インディアン、死よりも赤を選ぶ
1972年 日本
『クニ河内、ミッキー・カーチス参加』

 クニ河内が作曲で参加しているという理由で購入しました。羅生門は元々、ハプニングス・フォーの前身であるサンライズというグループを母体としたグループだったらしいのですが、本作をリリースしていた頃にはバンドとしての実体のないプロジェクトのような状態だったようです。中心にいたのは作曲として関わったクニ河内、ミッキー・カーチスとヴォーカル、ギターを担当したフロントマン、ポール湯川の3人。
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 タイトルにインディアンとあるようにアメリカの先住民族をコンセプトとした歌詞が印象的です。クニ河内、ミッキー・カーチス共にブリティッシュ・ロックからの影響を強く受けた作曲家であり、1972年という時代を反映してかユーライア・ヒープなどを彷彿とさせる英ハード・ロックっぽい曲も多く収録。一方で3曲収録されたヴォーカルのポール湯川による楽曲はゴールデン・ポップス調ながら、調和が取れています。

 哀愁を称えた男くさいヴォーカルは魅力十分。ストリングスやホーンを交えたアレンジはややロマンティック過剰で時代を感じさせますが味と言えなくもないです。クニ河内、ミッキー・カーチス参加という部分に、期待をして聴いたとして、それを裏切らない充実の内容。

動画はありません。
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BELINDA BELL/WITH OUT INHIBITIONS

BELINDA BELL/WITH OUT INHIBITIONS
1972年 イギリス
『ド派手な映画音楽のようなジャズ・サウンドがアツイ』

 サンシャイン・ポップ系ソフト・ロックの人気作であったセカンドは、2012年に再発された際に入手していました。一方でこちらのファーストは2014年に再発(共にBIGPINKより)されていたのですが、どんな内容か全く知らなかったので長らく放置していました。

 ベリンダ・ベルはイギリスのポップ・シンガー。デビュー前にはスウェーデンで音楽活動をしていたようで、本作もスウェーデン録音がされています。作曲はしない専任歌手であり、本作ではウロデック・グルゴウスキーが作曲とアレンジを担当。ウロデック・グルゴウスキーはスウェーデンで活躍するジャズ系鍵盤奏者とのことで、この時点で自身の名義でアルバム・リリースを果たしています。
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 ジャズ系プレイヤーが集まっての録音。実際、ジャジーではあるものの、ストリングスはてんこ盛りであり、ドラムがかなりタイトで、映画音楽寄りのハッタリ満点な作風が特徴です。表情豊かに歌い分け、主張の激しい演奏陣に負けないパワフルな声量を持つベリンダ・ベルのヴォーカルは素晴らしい。ストリングス・アレンジは、21世紀に聴くと古臭さが目立つ印象。とは言え、ファーストとは異なるノスタルジックな魅力を楽しむことが出来ます。

Delivery Of Love
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柳田ヒロ/HIRO

柳田ヒロ/HIRO
1972年 日本
『誰かこのアルバムの曲をカヴァーしてください』

 日本のロック誕生時代を支えた鍵盤奏者、柳田ヒロのソロ3枚目のアルバム。個人的な話で恐縮ですが、何度かのCD化があったにも関わらず、リマスター盤が出てから買おうとスルーしていた一枚。この度、紙ジャケリマスター盤でグリーンウッドから再発されて購入しました。
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 前々作『Milk Time』がプログレ、ジャズ・ロック的なアプローチのインプロヴィゼーションが冴えわたるアルバムであり、前作がサンズ・オブ・サン名義によるソフト・ロック・アルバム。続く本作は、両方の要素を感じさせる過渡期のアルバムとなっています。清々しいピアノ・ソロ「NOTHING」からシャッフル「海のサンバ」というインスト2連発でスタート。『Milk Time』とは異なる、朗らかで海を感じさせる雰囲気が印象的。その後は松本隆作詞によるヴォーカル・ナンバー7曲を中心としてインストを交える構成となっています。サンズ・オブ・サンに比べると流麗なキーボードやブルージーなギターなど、演奏のスケールが大きく、ストリングスが控えめという印象。伝説の鍵盤奏者、柳田ヒロの歌声は丁寧に歌っている姿勢に好感が持てるものの、声量、声域共に弱い印象です。

サンズ・オブ・サンでのMAOの歌声は中性的な魅力を感じさせる稀有なものでした。しかし同時にどこか人工的で情緒が欠けていたことも事実。そのサイボーグのような歌唱は、本作の柳田ヒロの歌唱とも重なります。もしかすると、MAOの歌唱は柳田ヒロのプロデュースによる歌唱だったのかもしれません。

ヴォーカルは残念な出来ですが、メロディーの完成度は素晴らしい。そして爽やかなインストの魅力も光っています。
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