Thelonious Monk/ Underground

Thelonious Monk/ Underground
1968年 アメリカ
『ジャケとの相乗効果で楽しさ倍増』

 ボブ・ディランの『地下室』と似たジャケットが気になって購入。(調べてみましたが確たる情報は見つからず)セロニアス・モンクは今回で5枚目です。即興と本筋の境界線が見えないような、スリリング且つ美しい旋律を聴かせてくれるピアニスト兼作曲家。
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本作での参加メンバーは以下。
Thelonious Monk(piano)
Charlie Rouse(tenor sax)
Larry Gales(bass)
Tommy Williams(bass)
Ben Railey(drums)
Jon Hendricks(vocal)

 セロニアス・モンクはこの時、50歳。53歳(1971年)には隠居体制に入ってしまうので、晩年の作品ということになります。収録曲は全7曲で5曲目の『Easy Street』のみスタンダードであり、他の曲は全て自作曲となります。

 この時代のセロニアス・モンクは初めて聴きました。ピアノのスタイルが落ち着いている。いや、音数を抑えて表現しようとしているように思えます。これはこれでやはりかっこいい。自在に閃くアドリブも健在です。また、アンサンブルも、モンクのコロンビア期を支えてきたメンバーが多く参加しているだけにコンビネーションはバッチリです。

 個人的に気に入ったのはまず3曲目「Raise Four」。延々と続くと思われるピアノのリフレインから徐々に崩れてアドリブ・パートへ。最初の無愛想な冷たさから一転、お茶目なセッションへと表情が変わるのが楽しい曲です。そしてラストに置かれた「In Walked Bud」。
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Terry Smith/Fallout

Terry Smith/Fallout
1968年 イギリス
『モッズをひきずった英ジャズアルバム』

 近所のブックオフで何気なくピックアップして来たもの。テリー・スミスという名前に聞き覚えがあるような、ないような、と思っていたら70年代に英ジャズ・ロック・グループとして活躍することになるIFのギタリストでした。本作はバンド結成前に録音された純粋なジャズ・アルバムです。彼にとって初のリーダー作でもあり。
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クレジットは以下の通り。

Arranged By – Harry South, Jimmy Deuchar
Bass – Ron Mathewson (tracks: A4, B1, B4, A1, A2, B2)
Drums – Chris Karen* (tracks: A3, B3), Ronnie Stephenson (tracks: A4, B1, B4, A1, A2, B2)
Engineer – David Voyde, Peter Olliff, Roger Wake
Guitar – Terry Smith
Organ – Bob Stuckley (tracks: A3, B3)
Percussion – Denis Lopez* (tracks: A4, B1, B4), Peter Aherne* (tracks: A1, A2, B2)
Piano – Gordon Beck (tracks: A4, B1, B4, A1, A2, B2)
Producer – Scott Walker
Saxophone [Alto], Flute – Ray Warleigh (tracks: A4, B1, B4, A1, A2, B2), Roy Willox (tracks: A1, A2, B2)
Saxophone [Baritone] – Ronnie Ross (tracks: A4, B1, B4)
Saxophone [Tenor], Flute – Bob Efford (tracks: A4, B1, B4, A1, A2, B2)
Trombone – Don Lusher (tracks: A4, B1, B4)
Trumpet – Derek Watkins (tracks: A1, A2, B2), Greg Bowen (tracks: A4, B1, B4), Kenny Wheeler (tracks: A1, A2, A4, B1, B2, B4), Les Condon (tracks: A4, B1, B4), Tony Fisher (2) (tracks: A1, A2, B2)
Vibraphone, Marimba – Jim Lawless (tracks: A1, A2, B2)

ピアノのゴードン・ベック、トランペットのケニー・ホィーラー辺りは聞いたことがあるのですが、他は勉強不足につき良く分かりません。プロデューサーがスコット・ウォーカーってところは意外です。(違う人なのかな?)

 クレジットを見ても分かりますが、半分はビッグバンドでの演奏となっています。残りの曲もオルガンとギターの絡みが中心となったモッズっぽい仕上がり。1968年ということを考えるとソウル風味がノスタルジーな音楽性ですが、グルーヴィな魅力が強調されていて楽しいです。ガーシュインやバートバカラックの曲を取り上げていることからポップス畑を意識しているのが伺えます。演奏は英ジャズらしいカッチリとしてクールな切れ味が感じられるもの。2分で終わってしまうビッグバンドによるアップテンポ「I Love You」の躍動感が素晴らしい。

動画が無かったです。
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モコ・ビーバー・オリーブ/わすれたいのに

モコ・ビーバー・オリーブ/わすれたいのに
1969年 日本
『根強い人気を誇るガールズ・グループ唯一作』

 恐らく3度目くらいの再発になるモコ・ビーバー・オリーブの唯一作。人気があります。ラジオDJをしていた3人組をガールズ・グループとしてデビューさせるため、フィル・スペクター流のゴージャスなストリングス・アレンジ(朝妻一郎氏による)を施した洋楽カバー・アルバムです。
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 1969年のリリースなので、いくら流行のスパンが遅れていた当時の日本といえどもちょっと古いサウンドだったとは思います。50年代のゴールデン・ポップスからの選曲で統一されています。
驚くほどに馴染んでいる日本語詞、コーラスを交えた甘やかな歌唱、ロマンティックさを強調したアレンジ辺りが本作の魅力。さすがに時代性を感じる音楽性で、特に曲間の歌謡曲ならではの独白は後追い世代にはちょっと辛いです。そこを差し引いてもノスタルジックな味わいがあり、心地よく聴けてしまう一枚です。
 
 今回追加された2曲はレーベルを移籍した後にリリースされた唯一のシングル曲2曲。共にオリジナル曲でオーソドックスな仕上がりです。

忘れたいのに
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Ice/Iceman 1967-68

Ice/Iceman 1967-68
1967年 イギリス
『若き日のモ・フォスターの活躍が・・・どこ!?』

 本日ご紹介するのはアフィニティー関連の発掘音源です。アフィニティーと言えば、キーフによる番傘女ジャケが有名な唯一作で知られる、英ロック・マニアご用達グループ。さすがに今回、アフィニティーについてフォローすると字数が足りなくなるので、アフィニティーにどっぷりハマった方々に向けて以下の文章は書きたいと思います。アフィニティーの出世頭と言えば、ヴォーカルのリンダ・ホイルとベーシストのモ・フォスター。特にモ・フォスターはアフィニティー以後もセッション・プレイヤーとしてジェフ・ベック、ゲイリー・ムーア、エリック・クラプトン、フィル・コリンズなどなど、一流ミュージシャンのアルバムやツアーへ参加することになる実力者です。彼のルーツとなる、アフィニティー結成前に参加していたグループ、アイスの音源を発掘したのが本作となります。当時はシングル2枚のみしか発表していなかったグループなのでこれは貴重。ただし。「モ・フォスターが参加しているのだぜ!」と前面でアピールしている本作なのですが、購入後にブックレットで確かめてみるとオリジナル・メンバーではなく、助っ人として加入しただけであることが判明。BBCピカデリー・スタジオ(ラジオ番組)での4曲のみにクレジットされているという悲しい事実。テンションがた落ちです。同セッションではリンダ・ホイルがバック・ヴォーカルで参加(ここで二人は出会った!)しているということを知っても、全く立ち直れません。うがー、一回休憩してチョコパイでも食べよう。
Front Cover copy
「アイスってバンド名でこんなんできました」っていうジャケットですね。

 改めてアイスを聴いてみます。黒魔術チックなオルガン・サイケ。オカルトと牧歌的な雰囲気が同居していて、楽しめてしまいました。声域の狭いヴォーカルには難があるものの、「ヴァーティゴがリリースを検討したけれども、オーディションで落ちた」ような風格があります。ボドキンなどをCD棚に刺しているマニア(同志)であれば、満足出来る内容でしょう。尚、エンジェル・エアーからの再発盤で、音質についてはごにょごにょな感じです。

 さてモ・フォスター、リンダ・ホイルの参加曲について。1曲目は「Day Tripper」。スパイ映画風のハード・ロック・ヴァージョンにアレンジしています。しかしまさかのフェイドアウト。(1:59)他の曲もなかなか良かったのですが、肝心の二人の活躍については確認できず。リンダ・ホイルが「Day Tripper」の後ろでコーラスをやっていることは分かったのですが、もはやそこまで。
ルーキー時代ですし、仕方ないところでしょう。

動画が無くてごめんなさい。
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DAVE KELLY/KEEPS IT IN THE FAMILY

DAVE KELLY/KEEPS IT IN THE FAMILY
1969年 イギリス
『デルタ・ブルース研究作、粘度が足らずとも熱意でカバー』

 最近、コツコツと買い漏らしていたビッグピンク(韓国の再発レーベル、日本ではヴィヴィッドが解説付きで流通)のタイトルを集めています。これもそんな一枚。
Dave Kelly - Keeps it in the Family (1969)

 ジョアン・ケリーの弟にしてジョン・ダマー・ブルース・バンドのギタリスト(当時)でもある、デイヴ・ケリーのソロ・デビュー作。女性ブルース・シンガーとして名を広めていたジョアン・ケリーが数曲で参加しています。

 60年代後半、デルタ・ブルースを探究していたデイヴが自然体で好きなことをやったのが、このファースト・アルバムです。5曲がデイヴのオリジナルで、他はブルース、トラッドのカバーという構成。正直、オリジナルもカバーも、その区別に意味はあまり無く、等しく本場のブルースへの憧れが詰まっています。全編ほぼ弾き語りのみ。

 ジョン・ダマー・ブルース・バンドなどでデイヴ・ケリーに興味を持って本作に触れたならば、ルーツへ真剣に取り組む彼の姿勢にロマンを見出すことが出来ることでしょう。ピリピリとした緊張感が伝わってくる録音から、初々しさも伝わってきます。本場のデルタ・ブルースと比較しても、ギター、歌唱共に聴き応え十分。

 イギリス人による、デルタ・ブルース憧憬。ここまで渋いと、ブルースを普段聴かない(ちなみに僕も違いがあんまり分かっていない)一般の音楽ファンにはおすすめし兼ねる内容です。ただ、英ブルース・ロック・ファンならば、デイヴ・ケリーの最初の一歩は気になるはず。その好奇心を満足させる質はあり。

When the levee breaks
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