タカダスマイル/ぼくのちっぽけなロックンロール

タカダスマイル/ぼくのちっぽけなロックンロール
2016年 日本
『会ったことがないのに沸いてくる親近感』

 京都出身のフォーク・シンガー、ロックンローラー、タカダスマイル。プロフィールを見てもいつから始めたのか書いてありませんでしたが、2008年のyoutube動画はあったので、それ以前に活動を開始していると思います。2014年にファースト・アルバム『世界平和とオムライス』をリリース。本作はそれに続く6曲入りのミニアルバムです。
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 カントリー、フォークをベースにしたメロディーにおセンチな歌詞を乗せる、シンプルなフォーク・ロック。各曲ともゲストでギターまたはキーボードを迎えて録音されています。高音域でちょっと苦しそうに震えるヴォーカルは、たまの知久寿焼をハスキーにしたような味わいがあり、センチメンタルを増幅させます。年齢は定かではありませんが、中年に差し掛かるころから音楽活動を始めて、自分の内面を赤裸々にさらけ出す堂々たる開き直りが眩しいです。個性を探そうともせず、自分の気の向くまま歌っているだけなので、地味で素朴な内容。だからこそ、何度か聴いただけで、「会ったことがないのにこの人と3時間くらいサシで飲み交わしたような」親近感が沸いてくるのでしょう。応援したくなります。

ぼくのちっぽけなロックンロール
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Hey! Hello!/Hey! Hello! Too!

Hey! Hello!/Hey! Hello! Too!
2016年 イギリス
『分かりやすいパンク・ポップが並んだ佳作』

 1990年代後半、わたしはワイルドハーツというグループにズッポリとハマっていました。キャッチーさとヘヴィーさを両立させたハイテンションな音楽の洪水を浴びて、浴びて浴びて・・・・・・。しかし金属音を強調したヘヴィー路線に舵を切って以降、ジワジワと心が離れてしまい今では新譜が出たらyoutubeでチェックするくらいの付き合いとなっています。 このヘイ・ハローもワイルドハーツのリーダー、ジンジャーによる新しいグループの一つ。
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 あまり期待していなかったのですが、グラム・ロックのような煌びやかさにグイグイと惹きつけられました。

 ヘイ!ハロー!は2012年から活動開始。メンバー・チェンジをしているようで現在は日本人二人を含む4人組の日米英混合国籍グループとして活動しています。今回のアルバムでは各曲で異なるヴォーカルを迎えているようで、特に女性ヴォーカルの活躍が目立っているのもポイントです。

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 ザクザクのギター・リフと躍動感のあるキャッチーなメロディーを軸とした、分かりやすいパンク・ポップが並んでいます。分厚い多重録音コーラスと、ノイジーな音響の組み合わせは健在。ジンジャーの個性である唐突な楽曲展開は抑えられており、素直に気持ちよく楽しめます。専任の女性ヴォーカルは、概ね力強く快活な歌声を披露しており、素晴らしい。日本人メンバーが居ることもあり、数曲では日本語詞で収録してくれています。これは新鮮です。

 バーニー・トーメのグループ、トーメ(Torme)の曲をカバーするというロック・マニア振りを披露してくれているのもポイント。音圧が高いうえにテンションも一定なので、ちょっと中盤ダレてしまうところもありますが、近年のジンジャー作品では佳作だと思います。

Automatic Love
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Vulfpeck///The Beautiful Game

Vulfpeck///The Beautiful Game
2016年 アメリカ
『ジャケが捻挫しそうで気になる』

 ミシガン州出身、洗練されたファンクサウンドを愛嬌たっぷりのグルーヴィなバンド・アンサンブルで聴かせるグループ、ヴァルフペック。モータウンやニューソウルなどのルーツを持つ、本格派のソウル・グループです。気づかないうちに年末にリリースされていたセカンド・アルバムを紹介いたします。
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ビューティフル・ゲームというタイトルでこのジャケ・・・・・・うーむ、捻挫しそうとしか思えない。

 笛の音(オーボエorクラリネット)のソロから始まり、意表を突く1曲目。これはイントロダクション的な室内楽インストでした。2曲目からは通常のトラックがスタート。ジャクソン5風の手拍子、ピアノ、ファルセットによるコーラスが合わさったポップ・ソングですね。3曲目「Dean Town」はブレイクビーツにキーボードが乗る都会的なインスト。4曲目は明るいオペラチックなソウルで、ヴォーカル・エフェクトを駆使したチャカチャカ・ソング。5曲目はナムコのファミコンBGM(ディグダグかマッピーかな)をファンク・アレンジしたような、お茶目インストです。・・・と、全曲紹介しそうな勢いですが、ここまでにしておいて。
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ヴォーカル・ナンバー、インストが交互に並ぶ構成になっていて、インストはテクノの要素があり愛嬌たっぷり、ヴォーカル・ナンバーはクラシック・ソウルの流れを汲んでおりポップな仕上がり。次にどんな曲が来るのかとワクワクさせられる混沌としたアルバム構成からは、ライブの楽しさが伝わってくるようです。日本でもかなり浸透して来た気もします。

1 for 1, DiMaggio
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Jonny Fritz/Sweet Creep

Jonny Fritz/Sweet Creep
2016年 アメリカ
『ポヤポヤとした歌い口』

 アメリカの心の歌、カントリー。心の歌だけに毎月リリースされる新譜の量は凄まじく、且つお約束が詰まった内容になりがちです。ただ、今回購入したジョニー・フリッツの新譜は一味違いました。ポヤポヤとした歌い口とキーボードの洪水が溶け合った1曲目「Are You Thirsty」から予感をビシバシと感じたのです。

 ジョニー・フリッツ(本名:ジョナサン・ラッセル)はモンタナ州出身、2008年から音楽活動をしているカントリー系SSWです。これまでジョニー・コーンダックとして2枚のアルバムをリリース、フリッツに改名して1枚アルバムをリリース。今回はフリッツ名義でのセカンド・アルバムとなります。
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おもしろそうな人だなぁ。

 濃厚なカントリーというよりはアメリカン・ルーツのSSWという風情の音楽性で、アコギ弾き語りに、オルガンやキーボードとドラムが絡むバンド編成での録音がされています。

 哀愁と寂寥感を感じさせるメロディーが素晴らしい。加えて、ジョニー・フリッツのしがらみを感じさせない、伸び伸びとしていて気負っていない(つまりやっぱりポヤポヤとした、だ)歌が素晴らしい。70年代のSSWのような味わい豊かな音楽です。残響をうまく使ったキーボードの使い方もナイス。

 2014年には来日をしているジョニー・フリッツ。こんな素晴らしい歌手のライブを見られたなんて羨ましい。今回のアルバムでも来てくれないかなぁ。

I Love Leaving
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ドンガンボン/ビリオンサン

ドンガンボン/ビリオンサン
2016年 日本
『酉年で良かった!』
 
 2012年結成、都内を中心に活動するオルタナティヴ・ロック・バンドのファースト・アルバム。初めてyoutubeで「マジでトサカにきた」を聴いた際には「粗くて汚い演奏だし、ヴォーカルも何言っているのか分からないな。ギターの音量に負けている」とブツブツ思いながらも最後まで聴いてしまう。まぁいいかな。しかしその時から彼らの気怠い歌声とメロディーが頭から離れず・・・そして2017年酉年。酉年ソングを考えていた僕の口から「マジでトサカにきたぜーー」と発せられて・・・ハッ、何の歌だっけ!家に届いてから何度も聴いています。酉年で良かった!
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 届いたCDが分厚かったので「あれ。間違えてDVD付きの方を頼んでしまったのかな?」と思いました。開けてみると各楽曲の詳細をメンバー自身が解説してくれているセルフライナーノーツが封入されていました。彼らの曲がどこから生まれたのか、そのヒントがふんだんに記されており、ともかく音楽に対する愛情に触れることが出来てうれしい特典でした。「日本でプロのギターリストと勝手に名乗ってる人の中にカッコいいと思える人が殆どいないのは本当に危機だと思います。」という発言が曲解説の中で入っていたりするのは素敵。文中ではアル・グリーンやペイヴメント、B’Zなど幅広いミュージシャンが登場しています。
 
 実は僕はローファイが苦手です。何故あそこまで歪ませるのか理解が出来ません。ドンガンボンのCDの解説には自分たちの音楽はローファイだと語っている箇所があります。そう考えると初試聴で「粗くて汚い」と判断した自分の感覚にも納得。やっぱり何度聴いても何を歌っているのか分からないです。粗くて汚いと感じていた演奏とヴォーカル。そのザラザラさ加減と美しいメロディーの組み合わせが気持ちいいことが分かりました。もちろん未完成な音楽だと思いますが、だからこそ次のアルバムが楽しみです。

マジでトサカにきた
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