Little Tybee/Little Tybee

Little Tybee/Little Tybee
2016年 アメリカ
『スーパーテクニカルなのにほのぼの系』

 ソフトな裏声の男性ヴォーカルの心地よさとは裏腹に、バックでは複雑なタッピングを披露する8弦ギター、フィドル、グロッケンなどが乱舞。ハイレベルなテクニックを交錯させたインプロヴィゼーションがビシバシと披露されているにもかかわらず、緊張感は無し。晴れ晴れと爽やかな聴き心地が不思議で癖になります。

 リトル・タイビーはアトランタを拠点に活動しているグループ。メンバーは以下の通り。

• Brock Scott - Vocals, Piano, Acoustic Guitar
• Ryan Donald - Electric Bass, Double Bass
• Pat Brooks - Drums, Percussion
• Josh Martin - Eight-String Electric Guitar
• Nirvana Kelly - Violin, Viola
• Chris Case - Keyboards
03-og.jpg

 2008年に結成されており、3枚のアルバムをリリースしており、本作は4作目となります。自身の音楽を「エクスペリメンタルなプログレッシヴ・フォーク」と表現している彼ら。
メンバーは6人ですが、アルバム毎に管楽器やペダル・スティールなど多彩な楽器のゲスト・プレイヤーが参加しています。
a0861533862_10.jpg

 一糸乱れぬインプロヴィゼーションは凄いですが、複雑なことをしていると感じさせないさりげなさがもっと凄い。アコースティックな編成なのでフォークと言われればそうかな、とも思えますがどちらかと言えばプログレ寄りのサウンドです。ロマンティックなメロディーが多用されており、イーソスなど70年代米プログレを愛聴している方へもお勧めできそう。

Languid
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカプログレ

Charity Children/Fabel

Charity Children/Fabel
2016年 ドイツ
『寒い冬にぴったりのフォーク・デュオ』

 寒い冬にぴったりのフォーク・デュオ。という書き出しも最早通じない暖かさですね。更新しそびれていました。

 フィドルとピアノが絡み合う様は荘厳にして寒々しく、力強いヴォーカルとの対比が鮮やかです。リズムにプログラミングを取り入れており、躍動感があるのがポイント。
desktop.jpg

 ニュージーランドで生まれ育ち、2011年にドイツのベルリンへ移住してきたクロエ・ロワーとエリオット・マーキーによるデュオ・グループ、チャリティ・チルドレン。移住後すぐに路上ライブで音楽活動を開始。数年で多くの支持を獲得しました。2013年にはデビュー作を発表して各地のフェスにも出場。本作はセカンド・アルバムとなります。尚、グループにはサポート・メンバーとして以下の4人が参加しています。Dave Sills: Cello, Keys Nick Morrison: Guitar, Keys Martin Rose: Bass Wouter Rentema: Drums
51JGRZKckgL.jpg

 ニュージーランドへの愛国心を前面に出しているグループで、トラッド色が濃厚です。一方でエレクトロ(いわゆるフォークトロニカ)やテクノの要素を取り入れており、ファンタスティックで心地よい揺らぎをもたらす音楽に仕上げています。

You Want Me
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ ニュージーランドドイツフォーク

META META/MM3

META META/MM3
2016年 ブラジル
『ジャズかブラジルかプログレかはさておき、この混沌は凄い』

 妖しさたっぷりに物語を紡ぐ女性ヴォーカル、ブルージーにしてアンダーグラウンドなギター、暴れまわるサックス。70年代アンダーグラウンドのような混沌としたサウンドが魅力のアルバムです。めためた、という言葉の響きはかわいいのですが、音楽性はかなりシリアス。

 まずこのジャケが強烈。
capa_mm3_alta.jpg
イサカを思い出してしまいました。
Front Cover001 copy
だがしかし、彼らはブラジルのグループ。女性ヴォーカルのジュサーラ・マルサル、ギタリストのキコ・ヂヌッシ、サキソフォンのチアゴ・フランサによるトリオで2008年に結成され、2011年にデビューしています。これまで3枚のアルバムと1枚のEPを発表。本作は4thアルバムとなります。先入観でプログレ・バンドだと勘違いしていましたが、彼らはジャズ畑で活躍しているミュージシャンが集まったバンドで、ジャズ・グループとして活動しているようです。初期の作品は一部輸入盤ショップなどでレビューもされており、それによるとアフロ・ジャズ的な音楽性で、コルトレーンにも影響されているとのこと。
mm3.jpg

 さて本作の内容について。本体である彼らトリオに加えて、キーボード、ドラムが参加しています。ドタバタしたドラムを加えたサックス、ギターが絡むバンド演奏はとにかく不穏でダーク。女性ヴォーカルによる妖しい語り口も絶妙で、改めて聴いてみてもやはり英アンダーグラウンドのような音楽性だと実感出来ました。躍動するリズム辺りにブラジルらしさを感じることが出来ます。ムタンチスに共通する熱気を発しているロック・バンドだと思います。

Mano Légua
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ ブラジルジャズロック

Marian Hill/ACT ONE

Marian Hill/ACT ONE
2016年 アメリカ
『細かく刻んで生み出された音楽』

 2017年1月にアップルのCMに抜擢されたとのことで、日本では彼女への注目が集まっているようです。CDの流通はまだされていませんが、スポティファイ等で聴くことは出来ます。エレクトロとソウル、ジャズを融合させたサイバーな音楽性、クールな歌声が魅力のデュオ。
c86aff1c458a537112a75c74b3764f24_1000x1000x1-320x320.jpg

 マリアン・ヒルという名前から、この女性ヴォーカリストのことだろうと思ってしまいましたが、実際はデュオでした。ジェレミー・ルロイドとサマンサ・ゴンゴルの二人組。出身地などの情報はありません。アメリカのミュージシャンです。高校時代の同級生が始めたデュオが、サウンドクラウド上で注目を集め、2014年に音源がCM曲として採用されます。それを切っ掛けとしてレーベルと契約、アルバム・デビューまでとんとん拍子で決まったようです。
marian-hill-press-2016-billboard-1548.jpg

 サマンサ・ゴンゴルのゴージャスなヴォーカルとそれを活かす90年代を彷彿とさせるディーバ的なスムースなソウル・ミュージック。それをヒップホップ的にザクザクと切り刻み、スクラッチして、ヴォーカルもお経の様に様変わり。新しい感覚を持っていないと、こんなもったいないことは出来そうにないです。これだけでなく、上にシンセサイザーや電子音を被せています。音のベースとなっているのは90年代ソウルなので、複雑で近未来の様に思えても本質は単純明快。とても聴きやすいです。ヴォーカリーズやサックスの導入などジャズの要素があるのもポイント。宅録作品の範疇だと思うのですが、そう感じさせないスケールの大きさが素晴らしい。

I Want You

続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカポップスソウル

Amy Blaschke/ Breaking the Blues

Amy Blaschke/ Breaking the Blues
2016年 アメリカ
『寂しげな雰囲気が魅力のSSW』

 エイミー・ブラスクはワシントン出身。以降シアトル、ロサンゼルスと移り住んでいます。14歳からギターを始めており、16歳で地元のライブハウスで歌い始めています。プロフィール欄には、主な音楽遍歴としてリズ・フェアー、エリオット・スミス、メアリー・ルー・ロードに影響を受けて、その向こうにいるジョニ・ミッチェルの『BLUE』にたどり着いた、との旨が記されています。1999年『Red Letter』でデビュー。以来、コンスタントにアルバムを発表しており、本作で6枚目となります。
1481996761_a0101271033_10.jpg

 歌声のメランコリックさに合わせるように、アコギ、ピアノ、ドラム、どれもが穏やかで寂しげな演奏をしています。カントリーをルーツとしたバーズのような素朴な曲が並んでいますが、とにかくどんよりとした暗さがあり。エリオット・スミスやジョニ・ミッチェル『BLUE』を引き合いに出すのにも納得がいきます。
maxresdefault11.jpg

「Running My Heart To You」
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカSSW