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THE GYPSY VIOLIN Laszlo berki and His Gypsy Ensemble

THE GYPSY VIOLIN Laszlo berki and His Gypsy Ensemble

神技のジプシー・ヴァイオリン/ラースロー・ ベルキとジプシー楽団
1992年 ハンガリー
『超絶テクニックに姿勢を正す』

 流浪の芸能民ロマが奏でる怒濤の超絶テクニック、という見出しに惹かれて購入したアルバム。ジプシーは現在、差別的な意味を持つとしてロマと言う言葉が代わりに使われているらしいです。流浪の芸能民、とありますが実際に移動しながら音楽で暮らしている人は現在、ほとんどいないとのこと。尚、ジプシーという言葉は「エジプトの人」という意味が語源で、ヨーロッパ人から出身不明のためにこう呼ばれたということがライナーに書いてありました。勉強になります。

 内容はタイトル通りのもの。90年代、最高の名手と呼ばれたヴァイオリン奏者ラースロー・ベルキが率いるジプシー楽団の演奏を収めています。

 移民として各地の音楽文化、楽器を取り入れながら形作られていったジプシー音楽。ハンガリーでは、貴族がヴァイオリンを卑しい楽器としてジプシーに演奏させていたとのことで、それがハンガリーの民族音楽として広がっていったきっかけとなりました。(全部ライナーの受け売りでございます。)
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 彼らが得意とする民謡や舞曲が全12曲収録されています。楽団はベルキを含めて、ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ツィンバロンの7人編成。ツィンバロン(Cimbalom)という楽器は知らなかったのですが、ピアノの起源として知られるハンガリーの打弦楽器とのこと。→youtube音源
なんと100弦もあるそうで、サーカス・ポルカという曲で活躍しています。

 民謡や舞曲ということで喜びと哀しみ、二つの感情がはっきり伝わる曲が並んでいます。そもそもベースとして難しい曲ではないはずですが早さ正確さ情緒、全ての面で一級の演奏が繰り広げられているのがポイント。たゆまぬ努力から生まれる芸術に身が引き締まる思いです。

Ifj. Berki László and his Gipsy Band (live from Japan 2003) - Pacsirta (The Lark)
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Rise and Fall of a Decade/ Rafoad Remasterised

Rise and Fall of a Decade/ Rafoad Remasterised
2017年編集 フランス
『ナイス・ゴシック』

 ニューウェイヴ、ゴシックな雰囲気プンプンのジャケに釣られました。調べてみると新譜ではないらしく、フランスで1988年から2008年まで活動していたグループの編集盤でした。
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 20年ほどの活動歴があるにも関わらず、日本語による情報はほぼ皆無。日本での知名度は無い模様です。ジャケットのイメージ通り、ニューウェイヴ、ゴシックをこよなく愛する音楽性を追求しているグループです。Thierry Sintoni、Sandy Casado 、Pierre-François Maurin-Maletのトリオ。幽玄な雰囲気がゴシックど真ん中のサンディのヴォーカルをフロントに、80年代らしい軽やかでミステリアスなシンセサイザーとエコーの波を軸としたサウンドが特徴。同時代に於けるイギリスのグループと比べると、エレクトロの本場なだけにダンサフルなところがポイント。隙間は多く、素朴さすら漂います。ベスト盤だからなのか、キャッチーな楽曲が多く親しみやすい内容でした。それぞれの楽曲が3分台ですっきりまとまっているところも良かったです。80年代のゴシック系ニューウェイヴに愛着がある方は是非。気に入るはずです。この編集盤はリマスターされていて音質も高いです。
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 2007年にメンバーの一人、ピエールが亡くなってしまい、それを切っ掛けとして翌年解散。現在は残された二人がGirl Like Youというデュオで活動しているとのこと。

Rise and Fall of a Decade- Pure Hands
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Golden Big Wheeler/Jump In

Golden Big Wheeler/Jump In
1997年 アメリカ

『違いが分からない男のブルース・レビュー26』

 今回、取り上げるブルース・ミュージシャンは、シカゴ・ブルースのシンガー兼ハーモニカ奏者、ゴールデン “ビッグ” ウィーラー。
彼は1929年、ジョージア州バコントンにて生まれました。1941年にイリノイ州シカゴへ移住。自動車整備士、タクシー運転手として生計を立てながら、シカゴの地でリトル・ウォルターと出会い、彼との友情を深めながら、ブルースにも傾倒していくことに。また彼のタクシーの常連には「Fannie Mae」でヒットを飛ばすことになるハーモニカ奏者バスター・ブラウンもおり、その技巧を伝授してもらう機会も得ました。1950年代にはシカゴ・ブルースのハーモニカ奏者として活躍したとのことですが、録音機会には恵まれませんでした。
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若き日の雄姿

そして時は流れて、1993年。シカゴで相変わらず、ハーモニカ奏者として活動していたゴールデン “ビッグ” ウィーラーの元に、地元のブルース・バンド、アイスクリーム・メンが「あなたのアルバムを作りたい。」と協力を申し出たのでした。かくして1993年、63歳の頃。デルマークよりファースト・アルバム『Bone Orchard』が発表されました。また4年後にはセカンド『Jump In』を発表。1998年には心不全で亡くなってしまいますが、生涯続けてきたブルースの記録を晩年に残すことが出来たのは凄いです。
聴いたアルバムはセカンドの『Jump In』。弟であるジェイムズ・ウィーラーがギターを務めており、ピアノを含むバンド編成で録音されています。歌もハーモニカもひょうきんで人懐っこいパフォーマンスが印象的。自身の名前も茶目っ気から付けたのでしょう。60代とは思えないパワフルな演奏で、同年代と思われるベテラン勢によるバックバンドとの息もピッタリです。スロー・テンポでも楽しさが伝わってくるブルース。

Golden "big" Wheeler - Chicago Winter Weather Blues
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Electric Angels/Lost In The Atlantic

Electric Angels/Lost In The Atlantic
1990年頃 アメリカ
『LAメタル末期の忘れ形見』

 中学生の頃、将来バンドを組んだとしたらどんなバンド名にするか考えたことがあったのですが・・・エレクトリック・エンジェルス。このバンド名は盲点でした。やられました。

 そんな素敵な名前を持つグループのアルバムだったので聴いてみました。調べてみると後にGUNS’N ROSESに加入するギルビー・クラークが在籍していたロサンゼルスのバンド、CANDYを母体としたグループらしく、90年にファースト・アルバムをリリースしたのみで解散しているとのこと。未発表となってしまったセカンド・アルバムをリマスターして発掘音源として発売したのが本作となります。
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 内容もバンド名を裏切らない最高のもの。LAメタルの遺伝子を感じさせるグラマラスなロックンロールを全編で展開しています。頭が緩・・・いや、ポジティヴ思考の塊のようなシャウト、ルーズに繰り返されるギター・リフ、「俺たちは無敵」な感じの野郎コーラス。正にエレクトリック・エンジェルスという名にふさわしい音楽であります。
引き締まったバンド・アンサンブル、平均3分台とコンパクトにまとめられたポップで溌剌とした楽曲群、共に文句なし。発掘音源から知ったグループですが、ファースト・アルバムも聴いてみようと思います。

Electric Angels - New York Times
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KECAK II Chral Drama of Peliatan Village

KECAK II Chral Drama of Peliatan Village
甦る伝説のケチャ スマラ・マドヤ
1992年 バリ
『360人のケチャ』

 今回の民族音楽はバリ島のケチャを選びました。1970年代に一度解散してしまった代表的なケチャ・グループ、スマラ・マドヤが世代交代を果たして1990年に復活。その演奏を収めたCDです。通常、200名からなる村をあげての大編成で行われるケチャですが、今回のスマラ・マドヤの録音では360名の大軍勢(とレビューにはあるけれども、確かに軍ですね)が集められているとのことです。

 最初は録音のレンジが低いかな、と感じますが、それも最初だけ。360人の奥行きを表現するにはこれくらいが最適だと思います。時折入る詠唱と、寄せては返す「チャチャチャッ」ケチャの波が繰り返されるだけの内容でありながら、ド迫力に圧倒されてしまいます。
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 ケチャにはストーリーがあり、それはラーマーヤナ物語といいます。詠唱で物語が語られるのですが、その傍らで演劇も繰り広げられているようです。また360人の軍勢による手のひらを使った踊りもあり。CDに対して言うのは理不尽ではあるのですが、ここで視覚体験も出来れば、より素晴らしかっただろうなと思います。

 現在、バリでは観光客用にケチャを演じているグループが多くいるそうですが、もちろん、このCDで聴けるような大掛かりなものはなかなか体験できないでしょう。360人が一体となった声のパフォーマンス、ということだけでも聴く価値があると思います。
どうでもいい感想ですが、おっおっおっおっ、と吠える声のところでブルーザー・ブロディを思い出しました。

[BALI] Kecak (Semara Madya) [GAMELAN]
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