Ci Bulag/Morin Huur(邦題:モンゴルの響き2)

Ci Bulag/Morin Huur(邦題:モンゴルの響き2)
1991年 中国
『仕事終わりにのんびり出来そう』
 今回のワールド・ミュージック・レビューは、モンゴル音楽。
馬頭琴の名人、チ・ボラグによる91年の演奏を収めたもの。
チ・ボラグの他に、デッドマー(歌)、李萌(古箏)が参加しています。
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馬頭琴(モリンホール)のことは知っている、と思っていたのですが、
実際にモンゴル音楽としてきちんと聴くのは初めてでした。
そればかりか、モンゴルと言えばモンゴル人民共和国というイメージだったのですが、
中国にも多くのモンゴル民族が暮らしていることも、
このCDを聴くまで(というより解説を読むまで)意識していませんでした。

馬頭琴は情緒があり、雄大に響いておりモンゴルらしさが存分に楽しめます。
望郷のノスタルジーが詰まった音。
そこに優雅な音色の古箏、朗々と響く歌が加わり、
中国の特色も加えた、とても贅沢な音楽が楽しめます。

昔話のような歌も多く、
解説を読みながら創造力を膨らませて音楽に身を委ねることが出来ました。

参考動画
Chi Bulico 'Oyoodai'
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10speed/10speed

10speed/10speed
1998年 アメリカ ロサンゼルス
『世紀末にもロック・ヒーローは居た』
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 1998年。彼らはロック・ヒーローになることを決意した。
ザクザクと刻まれるリフと太いビート。80年代以降失われていた、
ハッタリと情熱がたっぷりと詰まったサウンドを引っ提げて。

 テレビの音楽番組では、セリーヌ・ディオンとマライア・キャリーが引っ張りだこ。
ゴージャスな女性歌手によるポップスは、ゴスペルやR&Bといった黒人音楽由来のものが多く、
リズム、グルーヴを重視したサウンドが特徴でした。
一方ロックの人気も未だ健在。
大きなスタジアムではAC/DCやストーンズ、エアロスミス、ボンジョヴイといったベテランが活躍していました。
だがしかし。活躍しているのはベテランばかり。
新しいロック・ヒーローは現れていなかったのです。

 そんな時代。
アメリカのレーベル、A&Mに持ち込まれた新人グループの音源から聴こえてきたのがこんな音楽。

Give A Damn
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IVAN FISCHER/BRAHMS:HUNGARIAN DANCES

IVAN FISCHER/BRAHMS:HUNGARIAN DANCES
1998年 イタリア
『鬼軍曹、恐るべし』
 クラシックは少しずつ、曲毎の名演を集めています。
そんな中、ブラームスは本作で3枚目となります。
ブラームスの前回の記事はこちら
 それにしても本作のジャケは愉快。これはレコードでも映えそうです。
1998年でも素晴らしいジャケット・デザインはあるのだな、と感心しました。
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(本来は見開きジャケ)

ハンガリー舞曲集:ハンガリーのジプシー音楽をもとにピアノ用に編曲したもの。
もともとは、1853年にドイツ巡業中、
行動を共にしていたヴァイオリニストのレメーニが当時流行していた
ジプシー音楽に興味を抱いたのがきっかけとのことです。
民族音楽に新しい息吹を、という手法は今でも試みられるものですね。
この試みは大成功したのですが、その一方で民族音楽をもとにしたことが原因で、
作曲などの権利でかなりゴタゴタしました。
裁判も行われたとのこと。尚、本作に収録されているハンガリー舞曲集には、
ブラームスが編纂したものに加えて、ドヴォルザークが編曲したものなども加わっており、
時代を通じて内容が更新されていることが実感出来ます。

本作について:演奏はブタペスト祝祭管弦楽団。
録音当時はハンガリーを代表する新世代のオーケストラでした。
指揮者フィッシャーは解説を全曲分付けてくれており、
ハンガリー舞曲集に新しい解釈を加えようとしている意気が感じられます。

 残念ながらわたしは本作でハンガリー舞曲集に触れることになったので、
進化の具合が実感出来ませんでした。
こちらでは元々、ピアノ曲として発表されたものを管弦楽としてリアレンジされています。
起伏が激しくジプシー音楽としての勇壮さ、華麗さが実感出来る一方で、
ブラームスらしいセンチメンタルなメロディーも共存。
演奏はヴァイオリンのきびきびした調べが印象的です。
全体的に躍動するリズムが強調されており、
ビシバシ来るなぁ、と思っていたら指揮者のフィッシャーは鬼軍曹と呼ばれているのだそうで。納得。
改めてジャケを見るとこわい。
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S.T.S.I. Ensemble from the Academy of Art and Dance, Surakarta/JAVA GAMELAN OF SURAKARTA

S.T.S.I. Ensemble from the Academy of Art and Dance, Surakarta/JAVA GAMELAN OF SURAKARTA
1992年 インドネシア
『王様気分』

 ガムラン音楽はバリ島のものをCDで持っていたので、本作で2枚目。
こちらは同じインドネシアでもジャワ島のガムランだそうです。
本作は邦題として「王宮のガムラン」というタイトルが付いているのですが、
そのタイトル通り、ジャワのガムランは王宮の音楽として成長してきたという背景を持っています。
お祭りや祝い事でのどんちゃん騒ぎに使われる、
派手なバリのガムランとは異なるとのこと。

 王宮の音楽だけに規模も大きく、楽隊は青銅の鍵盤楽器、
ゴング、太鼓、木琴、竹の竪笛、声楽などで構成されており、
鍵盤楽器やゴングは各音階ごとに異なるものが用意されているとのこと。
それを整然と並べるとこのようになります。
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並んでいる楽器の数は凄いですが、
実際に演奏するのは20人程度で人が入るとこのようになります。
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うーむ、こうしてみると鍵盤とゴングの担当者は、
自分の担当するエリアが広いですね。大変そう。

 本作はインドネシアが伝統音楽を受け継いでいくために結成された、
スラカルタ・インドネシア芸術学院部楽団による92年の現地演奏
(ジャワ州スラカルタ市の学院内)を収録しています。
既に書きましたが優雅な王宮音楽であるジャワのガムラン。
「コロコロ、ガラガラ、ドッシャーン」という感じの
バリのガムランに慣れていた自分は少々面食らいました。
笛も鍵盤も太鼓も、全てが泰然としていてゆったりとしたリズムに蕩けていると、
すぐに眠りに付けそうです。
インドネシアに伝わる神話を朗々と歌う男女のヴォーカルや詠唱の存在感が大きいのもポイント。
ライナーには沖縄民謡との類似点が挙げられていましたが、納得が行きました。
一番短い曲で8分、長い曲で34分あり、計3曲。
歌の意味も追えないので退屈する部分もあり。
しかし、ジャワ・ガムランならではの繊細な残響の重なり合いが幻想的で、
しばしのトリップ感覚が味わえます。

Javanese gamelan: music and dance
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DEL AMITRI/Change Everything

DEL AMITRI/Change Everything
1992年 イギリス
『90年代型フォーク・ロックの代表作』

 デルアミトリの代表作『Change Everything』のデラックス・エディションが
いつの間にかリリースされており、しかも中古でゲット出来ましたのでご紹介。
 
 以下、来歴をどうぞ。
グラスゴー出身のフォーク・ロック・バンド。(名前はイタリアン・プログレだけれども)
82年、ヴォーカルのジャスティン・カリーとギターのイアン・ハーヴィーを中心に結成。
85年、『Del Amitri』でデビュー。
89年のセカンド『Waking Hours』ではシングルのいくつかがヒット。
その勢いでアメリカ・ツアーも成功させる。
手応えを掴んだバンドは、サード(本作)『Change Everything』で
ポップ路線へと舵を切り、勝負に出る。
結果バンドを一段上へと押し上げる出世作となった。
以降も佳作を発表し続けますが2002年『Can You Do Me Good ?』を
最後に新作の便りは途絶える。ライヴは行なっている模様。

 近年は少し寂しい状況のバンドです。
しかし、重苦しくモダンなグランジ全盛期に、
フォークロック・バンドが活躍できたことは快挙でしょう。
ただルックス面がネックになったのか、日本ではイマイチ人気が盛り上がらりませんでした。

 既に述べたとおり、本作はポップ化が図られたフォーク・ロック作。
サウンドはダイナミックになり、メロディーもよりキャッチーに。
アメリカナイズされており、
例えるならロビン・ザンダーのソロからくどさを抜いて爽やかにした感じでしょうか。
メロディーの充実こそが本作の魅力となっています。
そして、イギリスらしい濃厚さと色気を感じさせる、ソウルフルなヴォーカル。
作曲も手がけており彼がバンドの要であることは間違いありません。
バンド・アンサンブルはどれだけ派手な曲になろうとも透明感を失わないのが特徴です。
特に繊細な英フォーク・マナーを持つギターは貢献度大。

 90年代を代表するアルバムですが、前述した通り日本での認知は低いです。
この機会に再評価されるとうれしいな・・・せめてこちらをご覧の皆様には、と。

 さて今回はデラックス・エディションなので追加トラックについても少々。
ディスク2はシングルB面曲、及びレアな未発表曲となっています。
ディスク1とは一切曲が被っていないため、聴き応えがあり且つ便利なディスクと言えます。
新規リミックスやライヴ音源(両方共入っていますけれども)でお茶を濁すデラックス・エディションが多い中、
本作は当たり!ファンにもおすすめです。

本来なら代表曲「Always the Last to Know」は外せないのですが
そちらはリンクで済ませるとして、ここはディスク2の音源をどうぞ。

「Cindy Incidentally」
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