135/IV-fortune-

135/IV-fortune-
1991年 日本
『90年代サウンドにグループの個性を順応させたアルバム』

 135の再発盤レビューも4枚目となりました。そろそろ書くことも無くなってくるのでは、という心配もありつつ続けます。

 クレジットには大きな変化がありません。メンバーの3人と林有三の編曲により制作されています。
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 ドラムがかなり軽い叩き方をしており、サウンドは軽快なものへと変化しています。現在の耳で聴くとペラペラだなと思うところもありつつ、それでも鍵盤楽器の煌びやかさが強調されているので、これはこれで新鮮な音楽となっています。尚、一発録りと思しき「Callin’」だけが厳粛な雰囲気を持っていて浮いているのもポイント。アジア音階は健在。今回のアルバムでも琴やヴァイオリン、サックスが入っています。しかし音の隙間を十分とっており、キーボードの透明感を損なわないように配慮されているように感じました。

 90年代サウンドにグループの個性を順応させたアルバムです。トリッキーな歌詞が無くなっており、そのことに寂しさを感じつつも
洗練された魅力が楽しめます。

 尚、再発盤にはミニアルバム『Pentangle』がカップリングで収録されています。鍵盤奏者やパーカッション奏者がセッションに参加しており、『IV-fortune-』と同傾向ながら強めのバンド・サウンドが特徴。二胡が入っているため、民族色は残っていますが歌謡ロック度の高いキャッチーな楽曲が揃っています。

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135/オーダーメイド

135/オーダーメイド
1991年 日本
『パーカッションの響きが気持ち良い』

 135についてはファーストセカンドのレビューをご参照ください。実体験したのはセカンドまでで、サード以降はソニーの再発盤で初めて聴くことになります。
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 アジア大陸を感じさせるメロディーは健在ながら、オーソドックスなロックへと近づいています。前作までぶっ飛んでいた歌詞も独特の味わいを残しているものの、かなり落ち着いている印象。演奏面ではパーカッションが元気よく跳ねており、ブラスも加わってグ ルーヴ感が増しています。生音重視で隙間をたっぷり開けているのもポイント。アレンジに古さを感じさせません。ジャズ、ソウルの要素も散りばめており、コーラス・ワークがまろやかで洗練されています。

 また作曲クレジットが各メンバー名義となっているのも特徴。本作では高木茂治が主導権を握っています。数曲ある歌謡曲度の高いナンバーは本田義博が担当していることが分かりました。

Will ~オーダーメイド~
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Ci Bulag/Morin Huur(邦題:モンゴルの響き2)

Ci Bulag/Morin Huur(邦題:モンゴルの響き2)
1991年 中国
『仕事終わりにのんびり出来そう』
 今回のワールド・ミュージック・レビューは、モンゴル音楽。
馬頭琴の名人、チ・ボラグによる91年の演奏を収めたもの。
チ・ボラグの他に、デッドマー(歌)、李萌(古箏)が参加しています。
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馬頭琴(モリンホール)のことは知っている、と思っていたのですが、
実際にモンゴル音楽としてきちんと聴くのは初めてでした。
そればかりか、モンゴルと言えばモンゴル人民共和国というイメージだったのですが、
中国にも多くのモンゴル民族が暮らしていることも、
このCDを聴くまで(というより解説を読むまで)意識していませんでした。

馬頭琴は情緒があり、雄大に響いておりモンゴルらしさが存分に楽しめます。
望郷のノスタルジーが詰まった音。
そこに優雅な音色の古箏、朗々と響く歌が加わり、
中国の特色も加えた、とても贅沢な音楽が楽しめます。

昔話のような歌も多く、
解説を読みながら創造力を膨らませて音楽に身を委ねることが出来ました。

参考動画
Chi Bulico 'Oyoodai'
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10speed/10speed

10speed/10speed
1998年 アメリカ ロサンゼルス
『世紀末にもロック・ヒーローは居た』
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 1998年。彼らはロック・ヒーローになることを決意した。
ザクザクと刻まれるリフと太いビート。80年代以降失われていた、
ハッタリと情熱がたっぷりと詰まったサウンドを引っ提げて。

 テレビの音楽番組では、セリーヌ・ディオンとマライア・キャリーが引っ張りだこ。
ゴージャスな女性歌手によるポップスは、ゴスペルやR&Bといった黒人音楽由来のものが多く、
リズム、グルーヴを重視したサウンドが特徴でした。
一方ロックの人気も未だ健在。
大きなスタジアムではAC/DCやストーンズ、エアロスミス、ボンジョヴイといったベテランが活躍していました。
だがしかし。活躍しているのはベテランばかり。
新しいロック・ヒーローは現れていなかったのです。

 そんな時代。
アメリカのレーベル、A&Mに持ち込まれた新人グループの音源から聴こえてきたのがこんな音楽。

Give A Damn
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IVAN FISCHER/BRAHMS:HUNGARIAN DANCES

IVAN FISCHER/BRAHMS:HUNGARIAN DANCES
1998年 イタリア
『鬼軍曹、恐るべし』
 クラシックは少しずつ、曲毎の名演を集めています。
そんな中、ブラームスは本作で3枚目となります。
ブラームスの前回の記事はこちら
 それにしても本作のジャケは愉快。これはレコードでも映えそうです。
1998年でも素晴らしいジャケット・デザインはあるのだな、と感心しました。
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(本来は見開きジャケ)

ハンガリー舞曲集:ハンガリーのジプシー音楽をもとにピアノ用に編曲したもの。
もともとは、1853年にドイツ巡業中、
行動を共にしていたヴァイオリニストのレメーニが当時流行していた
ジプシー音楽に興味を抱いたのがきっかけとのことです。
民族音楽に新しい息吹を、という手法は今でも試みられるものですね。
この試みは大成功したのですが、その一方で民族音楽をもとにしたことが原因で、
作曲などの権利でかなりゴタゴタしました。
裁判も行われたとのこと。尚、本作に収録されているハンガリー舞曲集には、
ブラームスが編纂したものに加えて、ドヴォルザークが編曲したものなども加わっており、
時代を通じて内容が更新されていることが実感出来ます。

本作について:演奏はブタペスト祝祭管弦楽団。
録音当時はハンガリーを代表する新世代のオーケストラでした。
指揮者フィッシャーは解説を全曲分付けてくれており、
ハンガリー舞曲集に新しい解釈を加えようとしている意気が感じられます。

 残念ながらわたしは本作でハンガリー舞曲集に触れることになったので、
進化の具合が実感出来ませんでした。
こちらでは元々、ピアノ曲として発表されたものを管弦楽としてリアレンジされています。
起伏が激しくジプシー音楽としての勇壮さ、華麗さが実感出来る一方で、
ブラームスらしいセンチメンタルなメロディーも共存。
演奏はヴァイオリンのきびきびした調べが印象的です。
全体的に躍動するリズムが強調されており、
ビシバシ来るなぁ、と思っていたら指揮者のフィッシャーは鬼軍曹と呼ばれているのだそうで。納得。
改めてジャケを見るとこわい。
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