Grady Tate/After the Long Drive Home

Grady Tate/After the Long Drive Home
1970年 アメリカ
『ジャズ・ヴォーカルかソウルか、は置いておいて』
 
 昨年に当たる2017年10月に亡くなられたジャズ・ドラマーにしてヴォーカリストでもあるグラディ・テイト。自分は全く聴いたことが無かった、と思っていたら何故かジャズのGのところから『After the Long Drive Home』の紙ジャケを発見。あれ?いつだ。いつ買ったのだろうか。ともあれ、この機会にじっくり聴いてみよう。
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 グラディ・テイトは1932年ノースカロライナ州ダーナム生まれ。1963年にニューヨークへと移住。ヴァーヴ・レーベルでのジミー・スミスやウェス・モンゴメリのアルバムなど、多くの作品にドラマーとして参加しました。1960年代後半のジャズは、オルガン・ジャズやフュージョン、ソウル・ジャズなど洗練の時代を迎えていた時代。グラディ・テイトはグルーヴを保つことに集中する職人気質のスタイルで、多くのジャズ・プレイヤーから支持されていたとのこと。特にクインシー・ジョーンズの諸作品での演奏によって彼の名前は知れ渡りました。元々、ジャズ・ドラマーとして活動していた彼ですが、名歌手ペギー・リーのセッションに参加した際、彼女より特に勧められてヴォーカルを録音。これをきっかけとして、ジャズ・ドラマー兼ヴォーカリストとして活動することになります。

 『After the Long Drive Home』はソロ2作目に当たるアルバム。ハロルド・ホィーラーがプロデュース(アレンジと指揮)を担当しています。冒頭、ハロルド・ホィーラーによる牧歌的なオーケストラのテーマが入り、意表を突くスタート。2曲目(タイトル曲)からは、渋く辛口のディープ・ソウルなヴォーカルが炸裂。流麗なエレピ、ストリングスも相まって、王道ソウルにしか聴こえない音楽性。そんな中、軽やかに跳ね、グルーヴするドラムとベースだけは確かにジャズ。ヴァン・マッコイやランディ・ニューマンの楽曲を取り上げており、都会的なソウル・ジャズが楽しめるアルバムです。

After The Long Drive Home
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中川イサト/鼻歌とお月さん

中川イサト/鼻歌とお月さん
1976年 日本
『こんなふうに全力で引き留められたい』

 中川イサト周辺のCDを再発しているシールズ・レコードの盤。存在は知っていたものの、ライブ盤ということもあり長い間後回しにしていました。

 「1975年12月。「もう音楽をやめたい」ともらした中川イサトの元に集まった加川良、金森幸介、大塚まさじ、西岡恭蔵などのたくさんのミュージシャン。」と紹介文にあるので、中川イサトを励ますために集まった面々によるコンサートの模様を録音したものと思われます。上記メンバーの他、いとうたかお、シバ、長田”タコヤキ”和承が参加。さすが中川サイト、と思わせる豪華メンバーが集まっています。なので正確にはオムニバス盤。
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ジャケットはシバ。正直に言おう。分からないぞ!

 中川イサトの楽曲を中心に、各人の持ち寄った曲を合わせて構成された2枚組22曲という圧巻の物量。ただ代わる代わる登場する個性的な歌い手たちが楽しく、飽きることなく聴き通せてしまいます。趣旨の通り、中川イサトを囲む雰囲気も最高。会場も暖かい。ご本人のパフォーマンスもさることながら、中川イサトの曲を金森幸介や西岡恭蔵、いとうたかおが歌うテイクはとても貴重で聴き応えあり。70年代の日本語フォークが好きならば、楽しめること請け合いです。
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Water Into Wine Band/Hill Climbing For Beginners

Water Into Wine Band/Hill Climbing For Beginners
1974年 イギリス
『取って置き英フォーク』

 2000年に再発されたウォーター・イントゥ・ワイン・バンドのファースト・アルバム。ちょうど英フォークにどっぷり漬かっていた頃にリリースされたこともあり、愛着のある一枚です。愛着がありすぎて、色々な人に貸していたのですが、最後に貸した人と連絡が取れない状態になってしまい・・・・・・それから10年ほど。最近、買い直した次第です。
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 ケンブリッジ大学の同級生によって結成されたグループで、ヴァイオリン、アコギ2本、ベースという4人編成。ドラムレスの編成ながら、セッション・プレイヤーでドラムは入っています。他、フルートもあり。本作はファーストでMyrrhレーベルからリリースされました。クリスチャン系のレーベルとして知られています。

 英フォーク・ファンが夢想するような、牧歌的な世界観が展開されています。少しアシッドな感じもあり。ヴァイオリンがソロを取る場面では演歌の如く、情緒を強調したりする反面、ヴォーカルはしっとり穏やかに歌い上げており、ハーモニーも優しい。プログレに影響を受けたと思しき、ドラマティックな曲展開も素晴らしい。

 上記したKissing Spellの再発盤では2枚組となっており、英国盤、米国盤をそれぞれ収録。どちらも収録曲、曲順が同じなのですが演奏が異なっています。昔はそれぞれの国柄にこじ付けて聴こうとしていたのですが、やっぱり無理筋のようです。微妙な違いを楽しめればいいかと思います。

Stranger In The World
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小坂忠/Chu's Garden

小坂忠/Chu's Garden
2010年 日本
『ボックスを買っても、もやもや』

 以前から欲しかった小坂忠のボックスを購入。本当は各アルバムを廉価で再発して欲しかったのですが、いくら待っても報せは届かず。
今回のBOXの仕様について、少しばかり書きたいと思います。

 それぞれ紙ジャケで10タイトルが収録されたBOX。特に初期の3タイトルはオムニバスという形でしかCDで購入出来なかったのでうれしい。DVDや発掘音源など、BOXならではのお楽しみにも大満足です。
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 ただ「どろんこまつり」という曲が『ありがとう』『もっともっと』の2枚のアルバムからカットされている点は残念。差別用語(ここでは触れません)が含まれている為、収録を見送ったとのこと。またこのパターンか、とがっくり来ます。

 「完全復刻」と謳っておきながら、購入後の歌詞カードで「~の為、割愛しております。あらかじめご了承ください。」という告知はちょっと・・・・・・違う気がする。あらかじめご了承していたのは完全復刻された、ということだけですよ、と。

 ただ、こればっかりは、作者の了解を得ているのであれば、我々聴き手は何もできない状況。差別用語の基準も日々、厳しくなっていくみたいです。今日、生まれた曲の中にも、もしかしたら将来の差別用語が含まれているかもしれません。 

 次の機会には収録して欲しい、と思うべきか。いや待て。BOXを買ってコンプリートだったはずなのに、もう一度買うのか。
こんな思いをさせたくないとすれば、なるほど、ずっと再発に踏み切れなかったわけだ。

どろんこまつり/小坂忠
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MacMurrough/ MacMurrough

MacMurrough/ MacMurrough
1974年 イギリス
『地味目なブリティッシュ・トラッドもいいよね』

 本作は、アイルランドで活動していたフォーク・グループ、シェイド・オブ・マック・マーロウが名義を縮めてリリースしたセカンド作。ファースト、セカンド共にKISSING SPELLよりCD化されています。ファーストは未聴。原盤はポリドールです。
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 男性1人、女性2人という構成で12弦ギターやリュート、グロッケンなどを操るほか、ゲスト・プレイヤーによるコンサーティーナ(アコーディオンの仲間)も1曲で登場します。

 無伴奏もの程ではありませんが、地味目なブリティッシュ・トラッドをやっています。収録曲は全て伝承歌。3人の端正なコーラスは見事で、物悲しいメロディーと共に穏やかな気持ちにさせてくれる音楽です。


Bold William Taylor
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