Peter Perrett/How the West Was Won

Peter Perrett/How the West Was Won
2017年 イギリス
『ルー・リードに憧れて。うつむき加減ロック』

 どこかで聴いたような、ニヒルで頑固そうな独り言ヴォーカル。これは、そう、ルー・リードのような、と思っていたら、ピーター・ペレットさんの新譜でした。お久しぶりです。

1970年代後半、3枚のアルバムを残して解散したパンク/ニューウェイヴ・グループ、The Only Ones。そのヴォーカルがピーター・ペレットです。ボブ・ディラン、ルー・リードに影響を受けたグループでした。2006年に再結成していますが、結局音源はリリースされることが無いまま、中心人物であるピーター・ペレットのソロ・デビューとなったようです。
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 冒頭で書いた通り、ボブ・ディランというよりはルー・リードもしくはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの影響が表面に出ています。特に表題曲「How the West Was Won」はそのまんまと言っても過言ではない。ナイス。ヴォーカル・パフォーマンスはもちろんのこと、ディストーションたっぷり、ノイジーでサイケデリックなギター・ソロを中心とした、鬱屈としたバンド・アンサンブルも素晴らしい。
往年のファンはもちろんのこと、イギリスのシリアスなロックが聴きたいならば是非におすすめしたい一枚です。

How The West Was Won
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Bedouine/Bedouine

Bedouine/Bedouine
2017年 アメリカ
『穏やかなフォーク・ナンバーをオルガンやストリングスが幻想的に彩る』

 穏やかなフォーク・ナンバーをオルガンやストリングスが幻想的に彩る。かつてアメリカ西海岸で流行したSSW作品をそのまま受け継いだようなアルバムです。

 ベドウィンという名前でデビューしていますが、本名はアズニヴ・コーカイアンだそうです。アルメリア人の両親の元シリアのアレッポで生まれ、サウジアラビアで育ち、やがてグリーンカードを得て、アメリカへ移住。ボストン、ヒューストン、レキシントン、オースティン、サバンナと転居を繰り返し、現在はロサンザルスに住んでいます。映像音楽ディレクターとして働いている彼女(30代)は、ジョニ・ミッチェルやレナード・コーエンからの影響を受けているとのこと。仕事の関係で、マシュー・E・ホワイトと交流を持つことが出来、それを切っ掛けとしてプロデューサー、ガス・シーファート(アデルなど)の協力も得て、今回のデビュー作を完成させました。尚、ベドウィンという名前はアラブ系の遊牧民から取られています。
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 マシュー・E・ホワイトが所属するSpacebomb Recordsからのリリース。ストリングスやオルガンによる幻想的でサイケデリックなアレンジはレーベル・カラーと言っていいでしょう。ヴォーカルについては少し声量が物足りないところがありますが、独白調で落ち着いた歌声は魅力的。紛争地帯で育ったこともあり、アメリカからの武器供給などについての政治的なメッセージも含んでいるとのこと。歌声は悟ったように落ち着いていますが、退廃的でダークなムードも多々あり。ポエトリーリーディングっぽい曲があることも含めて、なるほど、レナード・コーエンの影響を感じることが出来ます。
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One of These Days
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さよならポニーテール/夢見る惑星

さよならポニーテール/夢見る惑星
2017年 日本
『きっと試行錯誤中』
 
ネット上での音楽創作を中心に活動しているグループ、さよならポニーテールの4枚目のアルバム。大貫妙子やユーミンの影響をメルヘン増量且つ、ファンシーさを強調させたうえで再構築したような音楽性を持っているグループです。ただ作曲担当だけでも4人のメンバーが携わっていることもあり、音楽性の統一は大変な模様。近年はエレクトロ要素やロック要素もじわじわと増え始めており、特に前作はバラエティー豊かな内容でした。ジャケットがイラストで無くなっている、と思ったら担当していた方がグループを脱退したとのこと。
 
本作ではシンセサイザーの比重が高く、全体的にテクノポップ度がアップしている印象。4人の作曲担当の個性はそれぞれ奔放に発揮されているので、ロックとフォークが同居しているようなオムニバス作品のような状態になっています。アルバムとしてのまとまりが感じられず、グループとしての音楽性の筋も通っていないような印象を持ってしまいました。   
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 女性ヴォーカルの素朴な魅力は健在です。演奏部分はシンセの多用により、近未来感を強調させる意図があるとは思うのですが、手作り感が損なわれてしまっているのが残念。さよならポニーテールの女性ヴォーカルは、薄幸でデリケートな存在感なのでアレンジで盛り過ぎると埋没してしまうなぁ、と感じるところもあり。

 ユーミンの「卒業写真」を彷彿とさせる「さよなら夏の少年」など、繰り返して聴きたい曲もあるので、また次回にも期待したいです。

放課後てれぽ〜と
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Lucy Rose/ Something's Changing

Lucy Rose/ Something's Changing
2017年 イギリス
『森林浴をしているかのような、穏やかで清々しい気分にしていれる音楽』

 繊細で掠れて消え入りそうな歌声とふくよかなストリングスが印象的。森林浴をしているかのような、穏やかで清々しい気分にしていれる音楽です。

 ルーシー・ローズは1989年生まれ。出身はイギリス、ウォリックシャー。学校でオーケストラに参加したことから音楽に目覚め、ピアノ、ギターを経験。地理学を学ぶため18歳でロンドンに移住して以来、並行して音楽活動を開始しています。ボンベイ・バイシクル・クラブやマニック・ストリート・プリーチャーズの作品への作品を経験。その一方で自身の楽曲を制作。2012年に初のアルバム『Like I Used To』をリリースしています。本作は2年振りとなるサード・アルバム。
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 学生時代からの影響元であるオーケストラ音楽の他、ジョニ・ミッチェルやニール・ヤングからの影響も強いとのこと。オーガニックな世界観と清々しいヴォーカリーズにはケイト・ブッシュの面影があり、またドラマティックで宇宙を感じさせるインスト・パートではピンク・フロイドの影響が伺えたりと、若いSSWとしては様々な音楽を吸収しています。

 生音中心の音作りですが、打ち込みやプログラミングを交えているところがあり。
気になる所を挙げるとすれば、楽器に彼女の声量が負けているところが何箇所かある点でしょうか。ただ、オーケストラを被せるには彼女の声質が繊細すぎるので致し方ないところではあります。
lucy rose laura lewis

No Good At All

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かみぬまゆうたろう/くすんだ箱の中の物語

かみぬまゆうたろう/くすんだ箱の中の物語
2017年 日本
『くたびれた感じの歌い方が染みる』

 サード・アルバム。ハンバートハンバートとセットで購入しました。全編でバンド録音がされており、これまで以上にSSW寄りのサウンドへとシフトしています。高橋優を彷彿とさせるエモーショナルな熱血ナンバー「はじめぼくはひとりだった」は特にその印象が強いです。
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 アメリカン・カントリーの影響はそのままに、落ち着いた味わいの洒脱なピアノ(THE MICETEETHの次松大助)が効果的に使われており、ウエストコーストやジャズのような雰囲気も加わっています。酒場を回るパブロック・バンドの如き、気安く軽快な演奏が素晴らしい。

 柔和でどっしりと落ち着いた日常の歌が収録されており、ラブソングがテーマだった前作よりも爽やかさが印象に残ります。かす
れ声も渋く、くたびれた感じの歌い方が染みる。

 封筒のような装丁が施された特殊ジャケも素晴らしい出来。ディスクの出し入れには適さないので別のプラケースに移しつつ、本体はボックス置き場で大切に保管しようと思います。

ブルーシート・ブルース
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