Shilpa Ray/ Door Girl

Shilpa Ray/ Door Girl
2017年 アメリカ
『ニューヨークの伝統、繋がる』

 やさぐれた女性ヴォーカルのロックンロール、という取っつきやすさに加えて、レゲエやヒップホップ、ニューウェイヴも取り込んだ多彩なバックグラウンドも持っているミュージシャン。
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 シルパ・レイはニューヨーク、ブルックリン出身のSSW。幼少期、教会のゴスペルに触れることが音楽との出会いとなります。また自宅にあったハーモニウム(インドのオルガン)も、長い間彼女の遊び道具であったとのこと。ニック・ケイヴ・&・バッド・シーズの音楽を知ることで、パンク、ロックンロールの世界に魅了されていく彼女は、2004年にパンク・ロック・バンドShilpa Ray and her Happy Hookersを結成。数枚のアルバムを発表しています。バンドは2011年に活動停止となり、ここから新たなバック・バンドを編成してシルパ・レイ自身のソロ活動を開始。2015年にファースト『Last Year's Savage』を発表、本作はそれに続くセカンド・アルバムとなります。尚、彼女は影響を受けたミュージシャンとして、Nick Cave and the Bad Seeds, Warren Ellis, Jon Spencer Blues Explosion, Sharon Van Etten, Man Man, Nicole Atkins, Acid Mothers Templeといったメンツをリストに挙げています。

 古き良きニューヨーク・パンクの流れを汲む音楽性です。暗く寂しいメロディーと衝動的なビートが同居したスタイルは正しく王道。一方で先述したように、レゲエやヒップホップの要素を取り込んだ楽曲もあり、まるでポリスを彷彿とさせる部分もあり。抑揚をつけたヴォーカルは見事。ふくよかな声質。またハーモニウムを随所で活用しているのも特徴で、儚げな残響が美しいです。

Shilpa Ray "Morning Terrors Nights Of Dread
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racoustik/ざわめく木々の音楽

racoustik/ざわめく木々の音楽
2012年 日本
『内省的なブラジル音楽風』

 2004年から2005年くらいに掛けて活動していたTwellveというポップ・グループ。男女二人の作曲者を擁して、カラフルでジャジーなシティ・ポップが魅力的でした。ピアノやギターなど演奏も洗練されており「これはいいグループが出て来たな。」とワクワクしていたのですが、ファースト・アルバムのリリース後は音信不通に。本作はTwellveの作曲担当であった阿部仁のプロジェクト、racoustikのセカンドとなります。
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 名前から察せられる通り、弾き語りをベースとしたアコースティックな音楽集。レコーディング・メンバーにはシーナアキコ(key)やTwellveのメンバーであった石井清貫(g)が名を連ねています。スティールパンが参加する曲もあり。前グループからの連続性を感じさせつつ、よりプライベートな肩の力を抜いた感じが伝わります。キーボードによる隙間の埋め方、コーラスの付け方が洗練されていて素晴らしい。ブラジル音楽への傾倒が印象的でグルーヴィ。そんな中、エレキギターが入ると突然埃っぽくなるのが面白い。ヴォーカルは少し煮え切らない感じがあるのですが、相変わらずいい曲を書いてくれています。Twellveの時の期待を上回るような、素敵な音楽を期待。

racoustik/音階と雨@青山CAY120730

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アニス&ラカンカ/Aniss and Lacanca with the Chill Hearts

アニス&ラカンカ/Aniss and Lacanca with the Chill Hearts
2012年 日本
『幻想的でのどかなポップ・ミュージック』

 見汐麻衣のソロ作を購入した際、存在を知ったデュオ作。『広大なファーム広がるニュージャージーからやってきた、仲良し姉妹デュオ!16歳の妹アニスと18歳の妹ラカンカから突然の贈り物』(公式より)というお話のもと、見汐麻衣とmmmの二人が制作したアルバムです。フォーク、エレクトロ、サイケと音楽性に共通項が多い二人なので、相性は良さそう。

 録音・ミックス・マスタリングをWATER WATER CAMELの田辺玄が担当。バック・ミュージシャンには山本達久(drums, percussion)、千葉広樹(electric bass, double bass, percussion) 、坂口光央(rhodes, piano)の三人。1曲のみゲストとして宇波拓(electric guitar)が参加しています。英語詞4曲日本語詞5曲の計9曲。
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 全曲がアニス&ラカンカ名義になっていますが、埋火、mmmソロ、双方からの連続性が感じられる、幻想的でのどかなポップ・ミュージックが楽しめます。二人の緩いコーラス、掛け声、意図的に籠った録音などでトロントロンな聴き心地。一方で演奏面は達人を起用しているだけに引き締まっていて、楽曲後半に突如熱いセッション・タイムが挟み込まれるなど、レイラのような展開が楽しめる楽曲もあり。

アニス&ラカンカのテーマ - Aniss&Lacanca's Theme
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長野友美/時のたてがみをつかんで

長野友美/時のたてがみをつかんで
2017年 日本
『部屋で落ち着いている時や旅の小休止の時に聴きたい』

 長崎出身で、京都を拠点に活動しているシンガーソングライターによる三枚目のアルバムです。彼女の音楽は、今回初めて聴きます。
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 プロフィールには情報が少なく、その中でアイルランド民謡やブラジル音楽に興味があることが書かれていました。ギターで作曲をしています。録音は長野友美のギター弾き語りを基本として、そこへ伴奏として楽器が加わる形で行われています。クレジットは
以下の通り。
<参加ミュージシャン>
CONTRABASS:HIROSHI FUNATO 船戸博史
CLARINET:WAKA OKABAYASHI 岡林和歌
DRUMS:TAKUJI ITOU 伊藤拓史
ELECTRIC GUITARS:HIDEAKI KURIMOTO 栗本英明
FLUTE:NAOE MORIBE 森部直枝
STEELPAN,PIANO:MEME めめ
PRODUCED BY HIROSHI FUNATO 船戸博史
上記の通り、船戸博史が参加しています。全11曲のうち、9曲を自作しており、残り2曲は提供曲です。

 風景描写が丁寧な歌詞と、冷たく清々しい、それでいて軽やかな歌唱。サビをはっきりさせずに放り投げたような(鼻歌のような)曲展開。これらの要素を持つ彼女の音楽は、ジョニ・ミッチェルからの影響を強く感じさせます。アイルランド民謡のような寒々しさや、ブラジル音楽のようなゆったりとしたリズムを反映させた曲もあり、バラエティーは豊か。楽器の足し方で各楽曲の個性を出している、プロデュース振りも見事です。

 地味なのですが、何故かもう一度聴きたくなるタイプの音楽でした。
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DAVID DUNDAS/DAVID DUNDAS

DAVID DUNDAS/DAVID DUNDAS
1977年 イギリス
上質の、ほのぼの英ポップ』

 2018年1月にヴィヴィッドからリリースされたビッグピンク再発シリーズの1枚。ジャケットには覚えがあり、加えてブルーミンク人脈であるロジャー・グリーナウェイ・プロデュースということで、期待の購入。
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 デヴィッド・ダンダスは76年にデビューしたシンガーソングライターであり、本作はそのデビュー盤。スタンダード1曲を除く11曲を自作しており、内3曲はエディー・ハウエルとの共作です。彼の作品(75年)は昔、輸入盤でのみCD化されました。

 小西勝氏による解説では、「EMI系スタジオの音作りとグリーナウェイのポップ・センスの融合」と書かれていますが、納得の王道ブリティッシュ・ポップが楽しめます。手拍子、ホーンを交えた賑やかでほのぼのとしたアレンジ、甘々のメロディーが全編で貫かれており、加えてエルトン・ジョンのような上品さもあり。個性という点では一級に及ばないものの、英ポップ愛好家にはたまらないアルバム。

Daisy Star
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