Imelda May/Life Love Flesh Blood

Imelda May/Life Love Flesh Blood
2017年
『ジプシー、サンバも取り入れた、柔軟な黒さへの憧れ』

 名前は知っていたもののアルバムを購入したのは初めてです。声量、艶、溜め、全てツボにはまった素晴らしいシンガー。「Crazy Love」(ヴァン・モリソン)調のバラードである1曲目「Call Me」を聴いてそう思いました。
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 イメルダ・メイはアイルランド、ダブリン出身のシンガー・ソングライター。1974年生まれ。2003年にアルバム・デビューを果たして以来、4枚のアルバムを発表。本作は5枚目となります。離婚後、LAで録音されたとのこと。
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 プロデューサーはTボーン・バーネットが担当。80年代から90年代にかけてロイ・オービソンやエルヴィス・コステロなど、多くの作品を手掛けた名プロデューサーです。12名ものスタジオ・ミュージシャンを招聘して録音。またゲストにはボノ、ジェフ・ベック、ジュール・ホランドなど豪華なメンツが集結しており、彼女の名声の高さを伺わせます。

 アルバムの内容は、タンゴ、ジプシー、ジャズ・ヴォーカルのムードも漂う、ソウルフルなポップ・ソング集。60~70年代を彷彿とさせるブルージーな演奏は、温故知新を得意とするプロデューサーのTボーン・バーネットならではの骨太なアンサンブルを聴かせてくれます。そんな中、うねるようなオルガンの使い方はアイルランド、イギリスらしさを感じさせます。

前述したヴァン・モリソンのように、黒人音楽、フォーク、トラッドをアイルランド人として吸収、転化して、彼女なりの音楽を作り上げています。ソウルフルであり、民族音楽らしいドロドロとした熱狂も感じさせてくれる、かっこいい音楽でした。

Black Tears (Audio) ft. Jeff Beck
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Alasdair Roberts/Pangs

Alasdair Roberts/Pangs
2017年 イギリス
『蘇える中世イギリスの幻想風景』

 正統派のフォーク・ロック。オルガン、ピアノ、フィドル、エレキギター、フルート等が奏でるトラッドに根差した荒涼としたメロディーは、まるでフェアポート・コンヴェンション(男所帯)を彷彿とさせます。
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 スコットランド出身のシンガー・ソングライター、アラスディア・ロバーツ。カランダーという町で育ち、現在はグラスゴーを拠点として音楽活動をしています。2001年からCDのリリースを開始しており、ラフ・トレードやドラッグ・シティといったレーベルより9枚の作品を発表。本作は10枚目のアルバムとなります。ヴァセリンズやジェフリー・ルイスの作品を手掛けている若手のエンジニア、ジュリー・マクラーノンが録音を担当。
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 2017年ならではのクリアな音質ですが、やっていることは70年代英フォークの回顧。程よく枯れたヴォーカルと土臭い楽曲群は相性抜群。新しさは全く見いだせないものの、フェアポート・コンヴェンションやトゥリーズが奏でていた中世イギリスの幻想風景を蘇らせており、魅力十分。既にベテランの域に達するミュージシャンですが、全く知りませんでした。

An Altar in the Glade
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ANDY BOWN/GONE TO MY HEAD

ANDY BOWN/GONE TO MY HEAD
1972年 イギリス(アメリカ原盤)
『バラードがいい』

 以前レビューしたジューダス・ジャンプにも参加していたアンディ・ボウンのファースト・ソロ作です。いわゆる「明るいエロ」路線のジャケで本作のことは覚えていて、CD化されたのを機に聴いてみました。
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 本作で、アンディ・ボウンはヴォーカルとアコギを担当。若干、パワー不足ですが、若干しゃがれた男前な歌声を披露しています。バックのメンツはなかなか豪華。まずギターにピーター・フランプトン。ドラムにミッキー・ウォーラー、ピアノにジミー・ホロヴィッツ、バック・ヴォーカルにレスリー・ダンカンというラインナップ。

 バンド・スタイルの曲とSSWタイプの曲が混在している中途半端な内容ながら、各楽曲はなかなかに聴かせてくれます。一部、アレンジを盛り過ぎている感じの曲があるのが玉にきず。英SSW作品をコレクションしているのであれば、後悔しないであろう好作品です。

The Mourning Leaves

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佐藤奈々子/Sweet Swingin'

佐藤奈々子/Sweet Swingin'
1977年 日本
『ジャケ通りの甘さ』

 女性SSW、佐藤奈々子。作曲パートナーとして佐野元春、アレンジにジャズ・ギタリストの横内章次を迎えて制作されたセカンド・アルバム。
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 気怠いヴォーカルと優雅なジャズ・アレンジの組み合わせは相性がいいです。ゴールデン・ポップス風のノスタルジックなファーストと比べるとセクシーな大人っぽさが強調されています。上品でおしゃれなアレンジのたまものでしょう。

 実は10代の頃にこのアルバムを持っていたのですが、ファーストに比べて地味に感じて一度手放しています。今回、久しぶりに聴いてみると、なるほど、このだるーい感じではメタル大好きな当時の自分は受け付けなかっただろうな、と感じました。休日の掃除中にこれを掛けていたら、「チープ・ダンス」のところでいつもの部屋が素敵に見えて来ました。

ミューズの恋人

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Amy Blaschke/ Breaking the Blues

Amy Blaschke/ Breaking the Blues
2016年 アメリカ
『寂しげな雰囲気が魅力のSSW』

 エイミー・ブラスクはワシントン出身。以降シアトル、ロサンゼルスと移り住んでいます。14歳からギターを始めており、16歳で地元のライブハウスで歌い始めています。プロフィール欄には、主な音楽遍歴としてリズ・フェアー、エリオット・スミス、メアリー・ルー・ロードに影響を受けて、その向こうにいるジョニ・ミッチェルの『BLUE』にたどり着いた、との旨が記されています。1999年『Red Letter』でデビュー。以来、コンスタントにアルバムを発表しており、本作で6枚目となります。
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 歌声のメランコリックさに合わせるように、アコギ、ピアノ、ドラム、どれもが穏やかで寂しげな演奏をしています。カントリーをルーツとしたバーズのような素朴な曲が並んでいますが、とにかくどんよりとした暗さがあり。エリオット・スミスやジョニ・ミッチェル『BLUE』を引き合いに出すのにも納得がいきます。
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「Running My Heart To You」
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