Jonny Fritz/Sweet Creep

Jonny Fritz/Sweet Creep
2016年 アメリカ
『ポヤポヤとした歌い口』

 アメリカの心の歌、カントリー。心の歌だけに毎月リリースされる新譜の量は凄まじく、且つお約束が詰まった内容になりがちです。ただ、今回購入したジョニー・フリッツの新譜は一味違いました。ポヤポヤとした歌い口とキーボードの洪水が溶け合った1曲目「Are You Thirsty」から予感をビシバシと感じたのです。

 ジョニー・フリッツ(本名:ジョナサン・ラッセル)はモンタナ州出身、2008年から音楽活動をしているカントリー系SSWです。これまでジョニー・コーンダックとして2枚のアルバムをリリース、フリッツに改名して1枚アルバムをリリース。今回はフリッツ名義でのセカンド・アルバムとなります。
61_eS1ICWCL__SY355_.jpg
おもしろそうな人だなぁ。

 濃厚なカントリーというよりはアメリカン・ルーツのSSWという風情の音楽性で、アコギ弾き語りに、オルガンやキーボードとドラムが絡むバンド編成での録音がされています。

 哀愁と寂寥感を感じさせるメロディーが素晴らしい。加えて、ジョニー・フリッツのしがらみを感じさせない、伸び伸びとしていて気負っていない(つまりやっぱりポヤポヤとした、だ)歌が素晴らしい。70年代のSSWのような味わい豊かな音楽です。残響をうまく使ったキーボードの使い方もナイス。

 2014年には来日をしているジョニー・フリッツ。こんな素晴らしい歌手のライブを見られたなんて羨ましい。今回のアルバムでも来てくれないかなぁ。

I Love Leaving
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカSSWカントリー

Theo Katzman/Heartbreak Hits

Theo Katzman/Heartbreak Hits
2017年 アメリカ
『ファルセット・ヴォーカルの洪水が気持ちいい!』

 スマートなシャウトと洗練されたコーラスで彩られたポップなロックンロール。バンド・サウンドとコーラスだけで紡がれる、シンプルで骨太な曲がかっこいい!
無題
いい表情!

 テオ・カッツマンのソロ1作目。テオ・カッツマンはヴァルフペックにてヴォーカル、ギター、ドラムを担当している人物です。おぉ、あのヴァルフペックか!どうやら僕も最新洋楽の事情通へと近づいているようです。ヴァルフペックの記事はこちらへ。尚、ヴァルフペックは新作をリリースしており、近日中にそちらも紹介予定です。ファンクグループ、ヴァルフペックとは別に、自身のルーツであるロックンロールを掘り下げるためにシンガーソングライターとして活動を始めたとのこと。
theo-katzman-752x440.jpg

 本体のヴァルフペックでのソフトな印象を残しつつ、よりビートが効いています。ただロックンロールかというと微妙で、冒頭で書いた通りポップさが際立っています。ヴァルフペックでも使っていたファルセット・ヴォーカルの洪水がこちらでも炸裂。今年最初の必聴盤はこれだ!

Theo Katzman – Break Up Together (In the Kitchen)
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカポップスSSW

杉野清隆/メロウ

杉野清隆/メロウ
2008年 日本
『これがメロウか』

 メロウ、と言われると叙情や哀愁、穏やかな音楽を連想してしまうのですが、本来は豊潤な、甘美な、という意味の形容詞なのですね。先のイメージはメロウな夕焼けが似合う音楽、というところから連想されたものなのでしょう。とにかく分かりやすいタイトルです。
61x_AXjm4AL__SY355_.jpg

 金沢を拠点に活動している杉野清隆によるセカンド・ミニ・アルバム。メロウというイメージそのままのメロディーは、ルーツにカントリーを持っているのが特徴。大サビのCメロまでドラマティックに盛り上げる凝った作曲が素晴らしい。そしてギターは、一音を伸ばして揺らす。更にダンディな歌声。たまに無償に聴きたくなるアルバムです。

馬/杉野清隆 in メロメロポッチ
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本SSWフォーク

森田童子/マザー・スカイ

森田童子/マザー・スカイ
1976年 日本
『J.A.シーザーがクライマックスを演出』

 93年にTVドラマの主題歌として使われた「ぼくたちの失敗」が収録されているセカンド・アルバム。僕は後追い世代なので、この曲を切っ掛けにして彼女を知りました。ただアルバム(ベスト盤)を購入したのは2000年を過ぎてからでした。TVドラマ『高校教師』は見ていませんでしたが、それでもこの曲は当時よく耳にした気がします。ただ、高校生だった自分には何だか恐ろしい感じがして、近づけませんでした。
51ocoUqXDQL.jpg

 編曲として石川鷹彦(元六文銭)が7曲を担当、J.A.シーザーが2曲を担当しています。

 セカンドでも森田童子は淋しがっておりアルバムの半数5曲で「淋しい」という単語が登場しています。

 基本的にはファースト同様にギターもしくはピアノの弾き語りにストリングスが絡むというスタイル。石川鷹彦編曲では、生音を強調する一方でシンセなどによる幻想的なアレンジが印象的です。J.A.シーザーの2曲ではフル-ト、ヴァイオリンが活躍する演劇調となっています。まさしく、らしい仕上がり。これをラスト2曲として持ってきており、なるほどアルバムのクライマックスとなっています。

今日は奇跡の朝です
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本SSWフォーク

かえる目/切符

かえる目/切符
2016年 日本
『GSもブラコンも音頭もある』

 かえる目の4作目が遂にリリース。自分は前作から彼らを知ったのですが、随分待っていた気がします。5年半振りでしたか、どおりで長かった訳であります。
cn0042_j.jpg

 リーダーの細馬宏通が大学教授をしている方なので、多忙なのかもしれません。前作のレビューの文章を張り付けてしまいますが、歌&ギター、鍵盤、弦楽器、パーカッションという編成によるアコースティック・ミュージックをやっているグループです。リーダーの他には宇波拓、木下和重、中尾勘二という、個性的なプレイヤーが名を連ねています。

 鼻歌気分の緩い雰囲気は相変わらずですが、前作のほのぼのとしたノスタルジー一色という感じとは違っていて、電化楽器を多用することでガチャガチャと賑々しいアルバムとなっています。ブレイクビーツを導入するなど4枚目ならではの冒険がたっぷり。

 歌詞も振り切っていて、前作以上に「何を言っているのか分からないけれども、いい歌だ。」という感情を抱きがちでした。ここで「こういう話だ。」と書いてしまうとつまらないので、タイトルだけ書くと「ラーメン日和」「ドローン音頭」「よしおくん」など、独創的なテーマが取り扱われています。中でも「あんたがたどこさ」を標準語でリアレンジした「手毬歌」は不気味さと楽しさが同居していてインパクトがありました。またどんどんリピートしてしまいそうです。

※動画はありません。
関連するタグ 日本SSW