寺尾紗穂/たよりないもののために

寺尾紗穂/たよりないもののために
2017年 日本
『過渡期終了』

 8thアルバム。今回も1曲目から打ち込みを導入しており、度肝を抜かれました。凝ったアレンジだったけれども古風だった『わたしの好きなわらべうた』からの落差は大きい。2曲目はキャット・スティーヴンス「RubyLove」風リフレインが印象的な、ほのぼのとしたポップ・チューンでした。3曲目は新しい日本の童謡という趣のピアノ弾き語り・・・・・・と全曲紹介はやめておきます。
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 打ち込み、チェロやフルート、ヴァイオリンなどによる優雅な伴奏が特徴で、「青い夜のさよなら」からの音楽性を引き継いでいるアルバムです。ただし前2作よりはピアノの存在感を強めている印象。彼女独特の伸びやかな節回しを含め、清々しくきっぱりとした意志を感じる歌声はいつも通り素晴らしい。 

たよりないもののために
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Marian Call/Standing Stones

Marian Call/Standing Stones
2017年 アメリカ
『アラスカ発女性SSW』

 アラスカに住みながら音楽を世界に発信する、ということをインターネットを通じて実現したミュージシャン、マリアン・コールのニュー・アルバムをご紹介。

 1982年にワシントン州のギグハーパーで生まれたマリアン・コール。2004年にスタンフォード大学にて作曲と声楽の学士号を取得した後に、自身の憧れの地であったアラスカへと移住。以後、古典芸術の歌、ミュージカル、ゴスペル、ポップ、カントリー、ロック、フォーク、ジャズなど、あらゆる分野の音楽を研究する一方で、自身の作曲を始めています。マイ・スペースなどを活用することで世界の音楽ファンと繋がることが出来ることも分かり、現在までカバー・アルバムやライブを含む10枚のアルバムを発表しています。本作はスタジオ作としては7枚目のアルバムにあたります。
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 最も影響を受けたミュージシャンとしてジョニ・ミッチェルを挙げている彼女。実際、アコースティックな部分、フォーキーなメロディーではその影響が伺えます。クールで穏やかな歌声とギターを中心に、曲によってバンドセットやストリングスが加えられた録音がされています。ただ上記したように複雑なバックボーンを持っているだけにそれだけではありません。スペーシーで演劇的な音楽性や環境ゆえの荒涼な雰囲気が彼女なりの個性を際立たせています。スケールの大きさを含めて、ケイト・ブッシュに似ているところがあり。ドラマティックな曲展開は素晴らしい。
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Oregon Trail
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浜田真理子/Town Girl Blue

浜田真理子/Town Girl Blue
2017年 日本
『隣に住んでるピアノの先生にも教えないと』

 ジャズ・ヴォーカル、歌謡曲の流れを汲んだ歌手、SSWである浜田真理子の新作。今回は久保田麻琴プロデュースということで、ますます期待が高まります。
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 英語詞、日本語詞の曲が交互に置かれた構成で、インスト1曲、カバー4曲を収録しています。

 前作『But Beautiful』にもあったバンド演奏は本作でもあり。それでもピアノ弾き語りを中心とした構成に戻しています。ピアノの残響の美しさ、清々しい歌声を芯に据えた音作りがプロデュースの方針でしょう。2曲目「You don't know me」でのたそがれたスライド・ギターは久保田麻琴らしいですし、クレジットを見るとアップライト・ベースやアコーディオンなども入っているのですが、さりげない加減のアレンジがされています。自分の音で仕上げるのではなく「自分はこの人のここが好きなのだ!」という所に誘導する手法が見事にハマっている。いいアルバムです。

カバー曲のうち「なにもない Love Song」だけは全く知らずに「なんていい曲を書くのだろう!凄い!」と思ってしまいました。実際は久保田麻琴プロデュースのギタリスト、濱口祐自の作品とのこと。こちらもチェックせねば。

Town Girl Blue (全曲試聴)
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Pokey LaFarge/Manic Revelations

Pokey LaFarge/Manic Revelations
2017年 アメリカ
『ウキウキ気分にさせてくれる』
 
  自らの音楽ジャンルについて、カントリー、ブルースとアーリー・ジャズを21世紀流で、と記しているポーキー・ラファージ。50年代のキャバレー音楽やパブロックのような市井の人々に囲まれて育まれたような、親しみやすさと軽快さがあります。
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 ポーキー・ラファージは1983年生まれの33歳、イリノイ州ブルーミントン出身。子供時代に祖父の影響から、バンジョーとギターを始めます。しかし彼の夢はアメリカ文学の作家になることで、スタインベックなどの名作を読みながらアメリカの歴史を学ぶ過程で、ブルース、カントリーに触れることになったそうです。その後、近所のピザ屋で演奏しているブルースマンからの影響で、いよいよアメリカのルーツ音楽への興味に目覚め、バンドを組むことになりました。2006年にバンドを率いてのソロ・キャリアをスタート。現在まで7枚のアルバムを発表。既にアメリカのみならず、世界の音楽ファンからtoe-tapping music(足でリズムを取りたくなっちゃう音楽)と呼ばれ、親しまれているとのこと。本作は8枚目となります。
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 今回のアルバムではトランペット、ユーフォニアム、チューバ、ピアノ、サックス、ベース、クラリネット、フルート、グロッケンシュピール、エレキギター、ドラム、パーカッション、洗濯板、アップライトベース、ハーモニカなどを使用する、7人編成のバンドを組んで制作しています。穏やかながら心地よい低音が素晴らしいヴォーカルは、古き良きアメリカを想起させるもの。冒頭に記したアメリカン・ルーツ・ミュージックの他に、所々でウエスタンも混じっています。既に8枚のアルバムを出しているだけに、この音楽が芯まで馴染んでいるのが良く分かります。まだ来日したことが無いみたいですが・・・・・・来ないかな。

Riot In The Streets
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Jessica Gabrielle/Crazy

Jessica Gabrielle/Crazy
2017年 フランス
『タイトル曲は今年を代表する名曲』

 エイミー・ワイングラスとジョス・ストーンを足して割ったような、と現地のメディアから形容される新人ソウルSSW。スマートで涼やかなソウル・ミュージックはヨーロッパならではのものです。ハキハキとしたパワフルな歌唱は表情豊か。影のあるメロディーが印象的な楽曲群にはローラ・ニーロやキャロル・キング、リンダ・ルイスなど、ポップスからの影響も感じさせます。
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 フランス系アメリカ人、ジェシカ・ガブリエルはコロラド州で生まれ、現在はフランスのパリに移住しています。活動開始時期については不明ながら、2012年にはデンバーの歌唱コンテストの最終候補まで残った経歴があり。アルバム・デビュー前から幾多の歌唱コンクールに応募しているものの、残念ながらファイナリスト止まりだったようです。本作はコツコツと書き溜めていた自分の楽曲をまとめたファースト・アルバム。
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 既に書きましたが、ソウルというよりはソウルフルなポップスという印象。ピアノ弾き語りに、適時ストリングス、バンドを足した編成で録音されています。後ほど紹介しますが、表題曲「Crazy」の出来が圧倒的。他の曲も悪くはないのですが霞んでしまいます。ただデビュー作にして、素晴らしい曲を作ることが出来たのは僥倖。これからの活躍が期待される新人SSWです。

CRAZY

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