Ci Bulag/Morin Huur(邦題:モンゴルの響き2)

Ci Bulag/Morin Huur(邦題:モンゴルの響き2)
1991年 中国
『仕事終わりにのんびり出来そう』
 今回のワールド・ミュージック・レビューは、モンゴル音楽。
馬頭琴の名人、チ・ボラグによる91年の演奏を収めたもの。
チ・ボラグの他に、デッドマー(歌)、李萌(古箏)が参加しています。
chnxn2008063017.jpg

馬頭琴(モリンホール)のことは知っている、と思っていたのですが、
実際にモンゴル音楽としてきちんと聴くのは初めてでした。
そればかりか、モンゴルと言えばモンゴル人民共和国というイメージだったのですが、
中国にも多くのモンゴル民族が暮らしていることも、
このCDを聴くまで(というより解説を読むまで)意識していませんでした。

馬頭琴は情緒があり、雄大に響いておりモンゴルらしさが存分に楽しめます。
望郷のノスタルジーが詰まった音。
そこに優雅な音色の古箏、朗々と響く歌が加わり、
中国の特色も加えた、とても贅沢な音楽が楽しめます。

昔話のような歌も多く、
解説を読みながら創造力を膨らませて音楽に身を委ねることが出来ました。

参考動画
Chi Bulico 'Oyoodai'
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S.BALACHANDER/MUSIC OF THE VEENA I

S.BALACHANDER/MUSIC OF THE VEENA I
1974年 インド
『延々と呻くヴィーナの音色にうつらうつら』

 コツコツと集めているワールド音楽の音源集。
今回は南インド音楽のラーガ・マラハリをチョイスしました。
ブリティッシュ・ロックではラーガを取り入れたアレンジが多く使われているので、
やはり一度は腰を据えて聴いておかなければなりません。

 本作は南インドに伝わるヒンズー教の瞑想音楽、
ラーガ・マラハリを扱ったアルバム。
演奏しているのはバーラチャンダー。
元々、南インドの音楽では声楽が主役となり、
代表的な古典楽器であるヴィーナも脇役に過ぎなかったそうです。
しかしその流れに逆らい、
技巧を磨きヴィーナの持つ魅力を生かした幻想的な音楽を生み出したのがバーラチャンダー。
伝統を守りながら、進化させた偉人です。
彼は親日家でもあり、1989年に亡くなるまで、いくつかの録音を日本で残しています。
本作もそんな一枚で青山のスタジオで録音されています。
Veena.png

 ヴィーナの音をきちんと聴くのはこれが初めてかもしれません。
やはりシタールと比べてしまいます。
北インドのシタールにはミステリアスな味わいがありましたが、ヴィーナはずっと朴訥とした印象。
付属の解説にもありますが三味線を彷彿とさせる厳粛且つ慎ましやかな音で、
日本人には馴染みやすいかもしれません。

 バーラチャンダーの白熱したエモーショナルな演奏は素晴らしい。
一音一音ミョーンと伸びるヴィーナが延々と響き渡る硬派な内容。
序奏を含めた50分越えのインストゥルメンタルなだけに、気楽には聴けません。
心を開け放って音楽に身を委ねるのが良いのでしょう。

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Silvia Pérez Cruz/ Domus

Silvia Pérez Cruz/ Domus
2016年2月 スペイン
『生まれ変わるスペイン音楽』

 浮き上がるような優しい歌声に強く惹かれてしまいました。
 シルヴィア・ペレス・クルースは1983年生まれ。
スペインのバルセロナ地方、パラフリュージェル出身。
音楽理論、クラシック・ピアノ、サックスを習い育った彼女は、
2000年代から著名なミュージシャン(ハヴィエル・コリーナなど)との共演を次々に果たし、
名声を高めていきます。
そして2012年、シンガーソングライターとしてソロデビューを果たすことに。
デビュー・アルバム『11 DE NOVEMBRE』ではスペイン民謡を基軸として、
ジャズ、ボサノヴァ、メナス音楽、キューバ音楽、ファドなど
様々な民族音楽を融合させた独自の音楽性を披露しています。
本作はそんな彼女による三枚目のアルバム。
PerezCruz.jpg

 スペイン民謡らしく粘っこく情感たっぷりのメロディーが特徴。
コテコテのスパニッシュもありますが、それだけでなく上述の通り様々な要素が代わる代わる登場。
アコースティック音楽ながら他には類を見ないほどのバラエティの豊かさが特徴です。

 アコーディオンや吹奏楽器、打楽器等、様々な民族楽器が彩るサウンド。
そちらも良いのですが、何といっても歌声こそが一番の聴きどころ。
エーデルワイスが似合う清廉な歌声、と形容するにふさわしい素晴らしさ。
そしてパートナーと思しき、甘い歌声を披露する男性ヴォーカル。
更に、たそがれた雰囲気を演出する男女コーラス。
歌声が折り重なる美しい響きには、ただただ感嘆します。
SEなどが曲間に入ることからコンセプト・アルバムなのかもしれませんが、
意味が分からなくても、作品の魅力は十分に堪能できます。
個人的には馴染みが無い、舌が巻かれるスペイン語の発声も新鮮で心地よいです。

Verde
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S.T.S.I. Ensemble from the Academy of Art and Dance, Surakarta/JAVA GAMELAN OF SURAKARTA

S.T.S.I. Ensemble from the Academy of Art and Dance, Surakarta/JAVA GAMELAN OF SURAKARTA
1992年 インドネシア
『王様気分』

 ガムラン音楽はバリ島のものをCDで持っていたので、本作で2枚目。
こちらは同じインドネシアでもジャワ島のガムランだそうです。
本作は邦題として「王宮のガムラン」というタイトルが付いているのですが、
そのタイトル通り、ジャワのガムランは王宮の音楽として成長してきたという背景を持っています。
お祭りや祝い事でのどんちゃん騒ぎに使われる、
派手なバリのガムランとは異なるとのこと。

 王宮の音楽だけに規模も大きく、楽隊は青銅の鍵盤楽器、
ゴング、太鼓、木琴、竹の竪笛、声楽などで構成されており、
鍵盤楽器やゴングは各音階ごとに異なるものが用意されているとのこと。
それを整然と並べるとこのようになります。
gam1.png

並んでいる楽器の数は凄いですが、
実際に演奏するのは20人程度で人が入るとこのようになります。
gam2.jpg


うーむ、こうしてみると鍵盤とゴングの担当者は、
自分の担当するエリアが広いですね。大変そう。

 本作はインドネシアが伝統音楽を受け継いでいくために結成された、
スラカルタ・インドネシア芸術学院部楽団による92年の現地演奏
(ジャワ州スラカルタ市の学院内)を収録しています。
既に書きましたが優雅な王宮音楽であるジャワのガムラン。
「コロコロ、ガラガラ、ドッシャーン」という感じの
バリのガムランに慣れていた自分は少々面食らいました。
笛も鍵盤も太鼓も、全てが泰然としていてゆったりとしたリズムに蕩けていると、
すぐに眠りに付けそうです。
インドネシアに伝わる神話を朗々と歌う男女のヴォーカルや詠唱の存在感が大きいのもポイント。
ライナーには沖縄民謡との類似点が挙げられていましたが、納得が行きました。
一番短い曲で8分、長い曲で34分あり、計3曲。
歌の意味も追えないので退屈する部分もあり。
しかし、ジャワ・ガムランならではの繊細な残響の重なり合いが幻想的で、
しばしのトリップ感覚が味わえます。

Javanese gamelan: music and dance
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Son Palenque/Afro-Colombian Sound Modernizers

Son Palenque/Afro-Colombian Sound Modernizers
2014年(編集盤)コロンビア
『アフロ・コロンビアンの温故知新』

 コロンビアの音楽と言われてもピンと来ないのですが、
カリブ海周辺に住むアフリカ系コロンビア人の間で伝えられた
アフロ・コロンビアン音楽というものがあるそうです。
カリブ海地域に於ける奴隷制度で虐げられた黒人たちが
コロンビアに逃亡、パレンケというコミュニティを形成。
そして日常を楽しむために音楽を作ったという訳です。

 ソン・パレンケは70年代後半から活動を続ける、
パレンケの音楽文化を継承しているグループ。
伝統を継承するだけでなく、ポピュラー音楽との融合も図っており、
コロンビア音楽を代表する存在として、近年はクラブ・シーンでも注目を浴びているそうです。

 本作はマニアックなワールド・ミュージックの再発に力を入れているレーベル、バンピ・ソウル
により編集されたベスト・アルバム。

 ポピュラー音楽との融合という点が肝であり、民族音楽としてのパッションは残しつつも
儀式的な冗長さなどは無く、グルーヴィーなノリの良さが強調されています。
ビートが強調されたダンス曲や渋くジャジーな曲もありつつ、
見事なポリフォニーで圧倒されたりもして、熱気ムンムンの内容で飽きさせません。

 30年の歴史に於いて姿を変えて伝統音楽が進化していくのを聴き通すのは、
なかなかにロマンあふれる体験。
 もちろん、カーニバルな雰囲気を演出するにはもってこいの一枚でしょう。

「PALENGUE PALENGUE」
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