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V.A./巣鶴鈴慕

V.A./巣鶴鈴慕
2000年 日本
『ひなヅルの声が聞こえる』

 久しぶりに、民族音楽としての邦楽CDを購入。今回もビクターのJVC SOUNDシリーズより、尺八音楽の入門的な作品としてこちらを選びました。
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 民族音楽を扱う記事であれば、通常、誕生の歴史などを書くところですが、尺八の場合は概ねご存知かと思われますので割愛いたします。解説では宗教の法器として始まり、現代では持続音の出せる数少ない楽器として、様々な音楽に重宝されているとの旨が書かれています。このCDでは「巣鶴鈴慕」「鹿の遠音」という2つの代表曲を含む4曲の有名曲を、一級の演奏者により紹介してくれています。

尺八音楽は和食店のBGMで聴くことがあるくらいで馴染みも薄く、今回初めて落ち着いて聴いた次第。全編、尺八のみという硬派な内容。表題曲である巣鶴鈴慕をはじめ、どの曲にも物語が込められているのが特徴です。この辺り、解説のおかげで想像しながら楽しむことが出来ました。

鹿の遠音
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THE GYPSY VIOLIN Laszlo berki and His Gypsy Ensemble

THE GYPSY VIOLIN Laszlo berki and His Gypsy Ensemble

神技のジプシー・ヴァイオリン/ラースロー・ ベルキとジプシー楽団
1992年 ハンガリー
『超絶テクニックに姿勢を正す』

 流浪の芸能民ロマが奏でる怒濤の超絶テクニック、という見出しに惹かれて購入したアルバム。ジプシーは現在、差別的な意味を持つとしてロマと言う言葉が代わりに使われているらしいです。流浪の芸能民、とありますが実際に移動しながら音楽で暮らしている人は現在、ほとんどいないとのこと。尚、ジプシーという言葉は「エジプトの人」という意味が語源で、ヨーロッパ人から出身不明のためにこう呼ばれたということがライナーに書いてありました。勉強になります。

 内容はタイトル通りのもの。90年代、最高の名手と呼ばれたヴァイオリン奏者ラースロー・ベルキが率いるジプシー楽団の演奏を収めています。

 移民として各地の音楽文化、楽器を取り入れながら形作られていったジプシー音楽。ハンガリーでは、貴族がヴァイオリンを卑しい楽器としてジプシーに演奏させていたとのことで、それがハンガリーの民族音楽として広がっていったきっかけとなりました。(全部ライナーの受け売りでございます。)
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 彼らが得意とする民謡や舞曲が全12曲収録されています。楽団はベルキを含めて、ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ツィンバロンの7人編成。ツィンバロン(Cimbalom)という楽器は知らなかったのですが、ピアノの起源として知られるハンガリーの打弦楽器とのこと。→youtube音源
なんと100弦もあるそうで、サーカス・ポルカという曲で活躍しています。

 民謡や舞曲ということで喜びと哀しみ、二つの感情がはっきり伝わる曲が並んでいます。そもそもベースとして難しい曲ではないはずですが早さ正確さ情緒、全ての面で一級の演奏が繰り広げられているのがポイント。たゆまぬ努力から生まれる芸術に身が引き締まる思いです。

Ifj. Berki László and his Gipsy Band (live from Japan 2003) - Pacsirta (The Lark)
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KECAK II Chral Drama of Peliatan Village

KECAK II Chral Drama of Peliatan Village
甦る伝説のケチャ スマラ・マドヤ
1992年 バリ
『360人のケチャ』

 今回の民族音楽はバリ島のケチャを選びました。1970年代に一度解散してしまった代表的なケチャ・グループ、スマラ・マドヤが世代交代を果たして1990年に復活。その演奏を収めたCDです。通常、200名からなる村をあげての大編成で行われるケチャですが、今回のスマラ・マドヤの録音では360名の大軍勢(とレビューにはあるけれども、確かに軍ですね)が集められているとのことです。

 最初は録音のレンジが低いかな、と感じますが、それも最初だけ。360人の奥行きを表現するにはこれくらいが最適だと思います。時折入る詠唱と、寄せては返す「チャチャチャッ」ケチャの波が繰り返されるだけの内容でありながら、ド迫力に圧倒されてしまいます。
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 ケチャにはストーリーがあり、それはラーマーヤナ物語といいます。詠唱で物語が語られるのですが、その傍らで演劇も繰り広げられているようです。また360人の軍勢による手のひらを使った踊りもあり。CDに対して言うのは理不尽ではあるのですが、ここで視覚体験も出来れば、より素晴らしかっただろうなと思います。

 現在、バリでは観光客用にケチャを演じているグループが多くいるそうですが、もちろん、このCDで聴けるような大掛かりなものはなかなか体験できないでしょう。360人が一体となった声のパフォーマンス、ということだけでも聴く価値があると思います。
どうでもいい感想ですが、おっおっおっおっ、と吠える声のところでブルーザー・ブロディを思い出しました。

[BALI] Kecak (Semara Madya) [GAMELAN]
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Ci Bulag/Morin Huur(邦題:モンゴルの響き2)

Ci Bulag/Morin Huur(邦題:モンゴルの響き2)
1991年 中国
『仕事終わりにのんびり出来そう』
 今回のワールド・ミュージック・レビューは、モンゴル音楽。
馬頭琴の名人、チ・ボラグによる91年の演奏を収めたもの。
チ・ボラグの他に、デッドマー(歌)、李萌(古箏)が参加しています。
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馬頭琴(モリンホール)のことは知っている、と思っていたのですが、
実際にモンゴル音楽としてきちんと聴くのは初めてでした。
そればかりか、モンゴルと言えばモンゴル人民共和国というイメージだったのですが、
中国にも多くのモンゴル民族が暮らしていることも、
このCDを聴くまで(というより解説を読むまで)意識していませんでした。

馬頭琴は情緒があり、雄大に響いておりモンゴルらしさが存分に楽しめます。
望郷のノスタルジーが詰まった音。
そこに優雅な音色の古箏、朗々と響く歌が加わり、
中国の特色も加えた、とても贅沢な音楽が楽しめます。

昔話のような歌も多く、
解説を読みながら創造力を膨らませて音楽に身を委ねることが出来ました。

参考動画
Chi Bulico 'Oyoodai'
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S.BALACHANDER/MUSIC OF THE VEENA I

S.BALACHANDER/MUSIC OF THE VEENA I
1974年 インド
『延々と呻くヴィーナの音色にうつらうつら』

 コツコツと集めているワールド音楽の音源集。
今回は南インド音楽のラーガ・マラハリをチョイスしました。
ブリティッシュ・ロックではラーガを取り入れたアレンジが多く使われているので、
やはり一度は腰を据えて聴いておかなければなりません。

 本作は南インドに伝わるヒンズー教の瞑想音楽、
ラーガ・マラハリを扱ったアルバム。
演奏しているのはバーラチャンダー。
元々、南インドの音楽では声楽が主役となり、
代表的な古典楽器であるヴィーナも脇役に過ぎなかったそうです。
しかしその流れに逆らい、
技巧を磨きヴィーナの持つ魅力を生かした幻想的な音楽を生み出したのがバーラチャンダー。
伝統を守りながら、進化させた偉人です。
彼は親日家でもあり、1989年に亡くなるまで、いくつかの録音を日本で残しています。
本作もそんな一枚で青山のスタジオで録音されています。
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 ヴィーナの音をきちんと聴くのはこれが初めてかもしれません。
やはりシタールと比べてしまいます。
北インドのシタールにはミステリアスな味わいがありましたが、ヴィーナはずっと朴訥とした印象。
付属の解説にもありますが三味線を彷彿とさせる厳粛且つ慎ましやかな音で、
日本人には馴染みやすいかもしれません。

 バーラチャンダーの白熱したエモーショナルな演奏は素晴らしい。
一音一音ミョーンと伸びるヴィーナが延々と響き渡る硬派な内容。
序奏を含めた50分越えのインストゥルメンタルなだけに、気楽には聴けません。
心を開け放って音楽に身を委ねるのが良いのでしょう。

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