長野友美/時のたてがみをつかんで

長野友美/時のたてがみをつかんで
2017年 日本
『部屋で落ち着いている時や旅の小休止の時に聴きたい』

 長崎出身で、京都を拠点に活動しているシンガーソングライターによる三枚目のアルバムです。彼女の音楽は、今回初めて聴きます。
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 プロフィールには情報が少なく、その中でアイルランド民謡やブラジル音楽に興味があることが書かれていました。ギターで作曲をしています。録音は長野友美のギター弾き語りを基本として、そこへ伴奏として楽器が加わる形で行われています。クレジットは
以下の通り。
<参加ミュージシャン>
CONTRABASS:HIROSHI FUNATO 船戸博史
CLARINET:WAKA OKABAYASHI 岡林和歌
DRUMS:TAKUJI ITOU 伊藤拓史
ELECTRIC GUITARS:HIDEAKI KURIMOTO 栗本英明
FLUTE:NAOE MORIBE 森部直枝
STEELPAN,PIANO:MEME めめ
PRODUCED BY HIROSHI FUNATO 船戸博史
上記の通り、船戸博史が参加しています。全11曲のうち、9曲を自作しており、残り2曲は提供曲です。

 風景描写が丁寧な歌詞と、冷たく清々しい、それでいて軽やかな歌唱。サビをはっきりさせずに放り投げたような(鼻歌のような)曲展開。これらの要素を持つ彼女の音楽は、ジョニ・ミッチェルからの影響を強く感じさせます。アイルランド民謡のような寒々しさや、ブラジル音楽のようなゆったりとしたリズムを反映させた曲もあり、バラエティーは豊か。楽器の足し方で各楽曲の個性を出している、プロデュース振りも見事です。

 地味なのですが、何故かもう一度聴きたくなるタイプの音楽でした。
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Nona Reeves/ MISSION

Nona Reeves/ MISSION
2017年 日本
『早い新作を遅く紹介』

 ワーナー復帰第一弾アルバムとのこと。1年半ほどのインターバルを経ただけで新作が届くことには驚きます。凄い。ジャケの色合い、イラストからも原点回帰な雰囲気が漂っている印象を受けました。
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 シンセやプログラミングを駆使した音の重ね方が相変わらず緻密です。聴くたびに新しい音に気が付いたり、快感を得るポイントが変わります。また、ゲストを迎えての新鮮さの演出はいつも通り。多様性の演出と共に、グループの刺激となっているのでしょう。

 リズム寄りだった前作『BLACKBERRY JAM』から引き継いでビートが強力。曽我部恵一参加曲である『未知なるファンク』を始め、グルーヴィーな曲が多いです。ヴォーカルのテンションは高く、まるで岡村靖幸のように聴こえる瞬間があり。ただし甘さやポップなメロディーが健在なので、楽曲は親しみやすいものばかり。演奏はビシバシ、キビキビとしていて気持ちいい。肉感的という印象です。抜群にキャッチーな音楽なはずですが、アクが強い。 

NONA REEVES 『Sweet Survivor』
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日本国憲法 羅生門

日本国憲法<平和・自由・愛> 羅生門
1971年 日本
『微妙な反応でした。』

 日本国憲法の条文にメロディーを付けた楽曲を収録したアルバム。その斬新な試みもさることながら、クニ河内が作曲アレンジで参加しているという点も特筆すべきところ。

 サイケ、プログレ、ブラス・ロックが融合したような、ごった煮のサウンドで、60年代後半辺りのブリティッシュ・ロックからの影響が大。キーボードの存在感が大きく、ドラマティックな曲展開にはハプニングス・フォーからの連続性も感じられます。
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 日本国憲法は学生時代に教科書で抜粋したものに触れた程度でした。ここでは朗々としたペペ吉弘の歌声によって、丁寧に内容をなぞっていくので、すんなりと頭に入る・・・・・・訳はないですね!うん。無表情で朗読する箇所とエモーショナルな歌唱との落差も大きく、加えて変拍子を取り入れた複雑な曲展開と相まって、あんまり歌詞の内容は入って来ません。

 しかしながら初期の日本語ロックとしての野心、個性への挑戦を感じるアルバムで大いに楽しめるはずです。今度、職場にいる法学部の学生に貸してあげよう。→微妙な反応でした。

日本国憲法(OUR CONSTITUTIONAL RIGHTS) SIDE 1
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一十三十一/Ecstasy

一十三十一/Ecstasy
2017年 日本
『自作自演としての我をもう少し』

 通算9枚目。近年はシティ・ポップ~テクノ・ポップの路線でアルバムを出しており、そのことごとくが高品質でした。ただデジタル重視のサウンド・プロデュースが強くなるにつれて、ちょっと量産品のようなイメージもついてしまいました。プロデューサーの意向にズバッと対応してしまう柔軟性は素晴らしいのですが、一方でもう少しアクの強さも欲しい。などと考えつつも新作を聴いてみる次第。
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 やけに落ち着いている・・・チルアウトっていうのかな。全曲でDorianがプロデュースしているとのことです。映画の1シーンのようなセリフSEが入るなど、Dorianがバックトラックをカッチリ作り込んでいます。メカニカルな印象を更に強めたアルバムとなっています。透き通った歌声は健在。バックトラックとの相性は抜群で、血の通ったボーカロイドの如し。作曲に関しては、ユーミンライクな良曲が揃っています。『カイエ』や『copine』の頃の大貫妙子のようなところもあり。それぞれ、一つずつと抜き出して聴くと、ポップであり夏のイメージも伝わるのです。しかしながら全編で聴いてみると、Dorianのバックトラックの主張が激しい分、アルバムの構成が平面的に感じました。ぼーーっと浸って聴いているのが、ベストな付き合い方かもしれません。

Flash of Light
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坂口恭平/アポロン

坂口恭平/アポロン
2018年 日本
『芸術の神を冠したファーストアルバム』

 熊本出身。建築家や画家として活躍している坂口恭平が、今度はシンガーソングライターとしてアルバムを発表。自分はそんな凄い経歴を知らず、寺尾紗穂参加ということで試聴した結果、購入しました。
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 アコギ弾き語りを坂口恭平、ベースに厚海義朗(GUIRO)、ドラムに菅沼雄太、ピアノに寺尾紗穂という布陣。

 ほぼ全編でゆったりとしたリズムのカントリー、フォーク・ロックをやっています。寺尾紗穂のピアノが前面に出ているので、室内楽の雰囲気が漂っている印象。坂口恭平の歌は声域が狭いので地味目ながらも、伸び伸びとしていて良いです。一方でほぼ全編、のんびりな楽曲で統一されているので、少しダレる部分もあり。ヒップホップを取り入れた「あの声」のような変化球がもう少し入っていれば良かったかも。
 
 ハンバートハンバートの佐藤良成がリードを取る曲のような劣等感を含んだ味わいを期待したのですが、もっと穏やかで平和な音楽となっています。また、寺尾紗穂がコーラスや時にはリード・ヴォーカルも務めており、華やかさを添えているのがポイント。晴れた休日の始まりに聴くべきような、期待感を静かに盛り上げてくれる音楽です。

休みの日
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