池間由布子/明るい窓

池間由布子/明るい窓
2017年 日本
『もう一度ライブに行かねば』

 去年はやっと彼女のライブを観ることが出来ました。ただ、その日は疲れていたのか、はたまた彼女の歌があまりに心地よかったせいか、演奏の間3分の1くらい、うたた寝状態でした。もう一度観に行こうにも情報が手に入らず・・・・・・そして

 突然リリースされた池間由布子の新作。セカンド・フル・アルバム。またもやモノクロのジャケットなのです。
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 今回のアルバムはベテラン・エンジニアの大城真によるバックアップを受けて制作されています。ギター弾き語りを中心としつつも、12弦ギター、キーボード、ベースなどいくつかの曲でセッション・プレイヤーが参加しています。また植野隆司の曲を2曲カバー。
ボロンボロンとつま弾かれるギターは相変わらずながら、呟くような歌は独り言のような孤独な雰囲気を纏っています。研ぎ澄まされた鋭さがある曲と、弛緩した穏やかな曲が交互に配されており、この穏やかな曲の時に油断しているとすやすや眠れそうな感じがあり。コツコツと聴き込んで再びのライブ情報を待つとします。

『ぜんぶウソみたい』
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ANATAKIKOU/ 3.2.1.O

ANATAKIKOU/ 3.2.1.O
2017年 日本
『相変わらずの不思議カラフル』

 XTC系ひねくれポップに盆踊りや民謡から由来する日本古来のビート、メロディーを組み合わせた独創的なポップ・グループだったANATAKIKOU。メンバー脱退を経て、現在は作曲担当、松浦正樹によるプロジェクトとなっています。本作は5年振り、6枚目のアルバムです。
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 ミックスには原巧一を起用。ゲストにYeYe(バック・ボーカル)と、元メンバーである藤井寿光(ドラム)が参加しています。主なセッション・メンバーはベースに杉村美奈(ママスタジヲは終わってしまったのか)、山口実紗(元サルバ通り)、藤井学(THE MICETEETH)という布陣。     
セッション・メンバーがある程度固定されており、ANATAKIKOUらしいカチャカチャとした小気味よい演奏を楽しむことが出来ます。また、冒頭で紹介した松浦氏ならではの節回しは健在。やはり彼の書く楽曲は独自の個性があります。また、スパニッシュ・ギターを導入した「救世主とカンツォーネ」など新しい試みを違和感なく取り入れているところもポイント。コーラスの甘い重ね方もいいです。

 ただし前作『きいちご』では感じなかった、作曲一人体制によるバラエティーの乏しさは気になる所。節回しの独創性を研ぎ澄ました故のことなのか、アルバムを通して聴くとちょっと疲れてしまいます。二人目の作曲家と組むか、楽曲提供を受けるか、もしくはカバー曲を入れて変化をつけると良かったかもしれません。

ANATAKIKOU 6th album『3.2.1.O』(さん にー いち まる)トレイラー〜アナタキコウマレーグマの夢想と冒険〜
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Couch/Little dancer

Couch/Little dancer
2017年 日本
『おっおーーー、は覚えていた』

 レコ発ライブは残念ながら見逃してしまいましたが、ソウル系ロック・トリオ、カウチの4作目が届きました。メンバーは作曲担当、ギター、ヴォーカルの平泉光司、ベースの中條卓、ドラムの小島徹也というベテランの3人。今回は6年振りの新作となります。
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 ゲストは一切なし、バンド・アンサンブルとコーラスのみという潔いスタイルで制作されています。6年振りの新作であるだけにこの配慮がありがたい。存分にカウチの強力なバンド・サウンドを楽しむことが出来ます。楽曲については、こちらが期待する通りのものが全て揃っており言うことなし。グルーヴィで洗練されているカウチの音です。密室で自分の為に演奏してくれているような親密な空間が心地よかったです。2016年にライブに行った折に演奏してくれた曲も何曲かあり、特に2曲目の「おっおーーー」はコール・アンド・レスポンスをした記憶が蘇りました。尚、カバーが2曲あり。既発である大貫妙子トリビュートからの「都会」と青山陽一の「最後はヌード」です。「最後はヌード」はパワフルに仕上げており、アルバムの良いアクセントになっています。

 COUCH「リトルダンサー」アルバムダイジェスト
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ドンガンボン/ビリオンサン

ドンガンボン/ビリオンサン
2016年 日本
『酉年で良かった!』
 
 2012年結成、都内を中心に活動するオルタナティヴ・ロック・バンドのファースト・アルバム。初めてyoutubeで「マジでトサカにきた」を聴いた際には「粗くて汚い演奏だし、ヴォーカルも何言っているのか分からないな。ギターの音量に負けている」とブツブツ思いながらも最後まで聴いてしまう。まぁいいかな。しかしその時から彼らの気怠い歌声とメロディーが頭から離れず・・・そして2017年酉年。酉年ソングを考えていた僕の口から「マジでトサカにきたぜーー」と発せられて・・・ハッ、何の歌だっけ!家に届いてから何度も聴いています。酉年で良かった!
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 届いたCDが分厚かったので「あれ。間違えてDVD付きの方を頼んでしまったのかな?」と思いました。開けてみると各楽曲の詳細をメンバー自身が解説してくれているセルフライナーノーツが封入されていました。彼らの曲がどこから生まれたのか、そのヒントがふんだんに記されており、ともかく音楽に対する愛情に触れることが出来てうれしい特典でした。「日本でプロのギターリストと勝手に名乗ってる人の中にカッコいいと思える人が殆どいないのは本当に危機だと思います。」という発言が曲解説の中で入っていたりするのは素敵。文中ではアル・グリーンやペイヴメント、B’Zなど幅広いミュージシャンが登場しています。
 
 実は僕はローファイが苦手です。何故あそこまで歪ませるのか理解が出来ません。ドンガンボンのCDの解説には自分たちの音楽はローファイだと語っている箇所があります。そう考えると初試聴で「粗くて汚い」と判断した自分の感覚にも納得。やっぱり何度聴いても何を歌っているのか分からないです。粗くて汚いと感じていた演奏とヴォーカル。そのザラザラさ加減と美しいメロディーの組み合わせが気持ちいいことが分かりました。もちろん未完成な音楽だと思いますが、だからこそ次のアルバムが楽しみです。

マジでトサカにきた
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ミックス・ナッツ・ハウス/ALL YOU NEED IS NUTS

ミックス・ナッツ・ハウス/ALL YOU NEED IS NUTS
2017年 日本
『捻くれポップに、はみ出し加減の日本語の組み合わせがくせになる』

 まだ健在だったとは嬉しい限り。ミックス・ナッツ・ハウスのサード・アルバムが到着しました。6年2カ月振りの新作です。
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 2005年に唯一のアルバムをリリースしたリトルハヤタの捻ったメロディー・センスが大好きでした。そんなリトルハヤタがあっさりと解散した後、作曲担当だった林良太が新しく作ったのがミックス・ナッツ・ハウスというトリオ編成のグループ。甘く捻じれた曲展開はそのままにミドルテンポ中心のポップなロックンロールを奏でており、リトルハヤタとは異なる魅力を発揮しています。

 今や希少価値がある、イギリスのロックへのリスペクトを捧げている日本語ロック・グループ、ミックス・ナッツ・ハウス。帯にはキンクス、ポール・マッカートニー、ニック・ロウという言葉が並んでいますが、今回のアルバムに限って言えばデヴィッド・ボウイ度も高いと思います。グラム・ロックを彷彿とさせる、太いギターリフとドラムはもちろんのこと、宇宙船をテーマにした完全にデヴィッド・ボウイをオマージュした「アーノルド」も収録されている!・・・と思ったのですが、この曲はジャケットを担当したイラストレーターにして漫画家である本秀康氏のマンガ『アーノルド』の世界をイメージして作られたそうです。(いや、でもこれはデヴィッド・ボウイだろう、このバックのストリングスは宇宙センターと交信している時のやつでしょう?)

 プロデュースはあだち麗三郎が担当。最初はどう機能しているのか感じ取れませんでしたが、何度か聴くうちに「白衣ダイナソー」のお経コーラスや「三温糖」でのジャジーなピアノやホーン(パブロック度アップ)、「河童の名探偵」でのわななくオルガンなど、よりカラフルなサウンドへと素敵にアレンジがされています。あだち麗三郎のソロ作は大好きでサイケデリック、アシッドという印象を持っていたのですが(サイケな味つけは所々であり)、ジャズや70年代ブリティッシュのツボも抑えていて予想を裏切られました。
 
英語の音楽として作られたロックに、無理やり日本語を載せている感じが凄くする歌詞と節回しは今回も健在。最初は噛み合わなくても、じわじわと浸透してくるのです。

ミックスナッツハウス『三温糖』告知動画(0:46) 
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