伴よしかず/青春彷徨

伴よしかず/青春彷徨
1976年 日本
『純朴な人柄が窺い知れる』

 名古屋で人気だったという八事裏山フォーク・オーケストラの後期メンバーであった、伴よしかずがリリースした唯一作。「URC最後の蔵出し」シリーズから再発されたものです。

 オーケストラやバンドによるアレンジが豪華で洗練されているのが特徴。URCのイメージとは異なりますが、時代は1976年なのですから当たり前のことなのかもしれません。オーケストラにより、日々の暮らしに根付いた歌詞の情緒が強調されており、歌謡曲に近い印象を受けました。
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 優しく柔和な歌声は素晴らしい。歌詞世界も優しい目線が基本であり、寂しい雰囲気をまとっています。同じURCで例えるなら、西岡恭蔵に近い味わいがあり。

 今回CD化に伴い、発掘されたボーナス・トラック「北勢線」は地方のローカル路線をテーマとした曲。50年代のアメリカ、ゴールデンポップスを下敷きにしており、アルバムとは違った和気あいあいとした楽しい曲でした。

※音源は無し。
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バンバンバザール/えとらんぜ

バンバンバザール/えとらんぜ
2018年 日本
『サウダージも使いこなす』

 本拠地を博多に移しての初のアルバムとのことです。とは言え、従来通り東京でもコンスタントにライブをやってくれているので、ありがたい。5年振り15枚目のアルバム。久しぶりなのですが、収録曲は7曲とやや少なめ。せっかくなので各曲少しずつ感想を書いていきます。(7曲くらいなら)
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1.Stranger(feat.Inotomo) ボサノヴァ曲。イノトモとのデュエットです。本作発表に伴い、ポルトガルヴァージョンもデジタルでリリースしているとのこと。スキャット、フルートも入って本格的な仕上がりです。
2.マフラー オルガン、ピアノ、テナー・サックスが入ったジャジーなナンバー。ミュージカル調。オルガンからテナー・サックス、ピアノへと続くソロ・タイムが素晴らしい。
3.瞬夏終灯 バンジョーのせいなのか、少し沖縄民謡っぽさもあるバラード。
4.おこりんぼう ピアノ、アコーディオンが入っているブルース。サビでファンクが入っているのがポイント。むせび泣くブルース・ギターが素敵。
5. ボーイフレンド これはライブで聴いたことがある気がする。Leyonaへの提供曲のセルフカバーとのこと。高音のキーボード・ソロは幻想的で回顧する気持ちを表現したのかもしれません。
6. BUDDY BUDDY 友情を歌ったフォーク・ソング。これも以前ライブで聴いたことがあると思います。
7.春 リリースのタイミングを考えて、ラストに配された春の曲。ピアノ、トロンボーンが入ったジャズ・ヴォーカル風ナンバーです。落ち着いた感じで終わり。

 全編通して、激しい曲はほとんど無いながら、バラエティーに富んだ構成で起伏を作っています。ただ5年振りと考えるといささかあっさりめかも。ほら、やっぱ博多ですし。最後に、そういえば「えとらんぜ」ってどういう意味だろう、と調べてみたらフランス語で「外国人」という意味でした。なるほど、そういうテーマだと分かってもう一度聴くと、また印象が変わってくるのかもしれません。

 博多の夜を描いたジャケットが音楽と合っていて素晴らしい。こういうところで音楽をやっていますという感じが伝わる。3枚描いてくれているのがうれしいです。

【トレイラー】
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ビンジョウバカネ/ビンジョウバカネ

ビンジョウバカネ/ビンジョウバカネ
2003年 日本
『素人くささも味わい』

 変拍子が大好きなポップ・グループ、ビンジョウバカネが残したファースト・アルバムをご紹介。グループについてはセカンドでのレビューもご参照ください。
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8曲目にドアーズ「Light My Fire」のカバーがあり、それ以外はオリジナルで構成されています。永野亮、中川久史、森ゆに、の3人全員でヴォーカル、ギター、パーカッション、コーラスを分け合っているアットホームなフォーク・アンサンブルが楽しめる編成。

 彼らは3人で楽曲を持ち寄っているという認識でしたが、このファーストでは永野亮と中川久史の楽曲だけで構成されています。後にAPOGEEやソロでも活躍する永野亮はともかく、ビンジョウバカネ解散後、音楽界から消息を絶ってしまった中川久史という方の印象は薄かったです。ただファーストでの楽曲を聴く限り、ビートルズからの影響が強い、ファンタジックなポップ・ナンバーを書いており、これは永野亮へのソロ作の作風とも重なっています。恐らく影響を与えたのでしょう。これだけの素晴らしい曲を書くことが出来るのですから、いつか復活して頂きたいものです。

 ハーモニーが飛び交い、変拍子を多用するポップス、フォーク・ナンバーが並んでおり、のどかな山間の田舎町のような風情のアルバム。素人くささをビシバシと感じさせてくれるのも味わい。
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平井正也BAND/届く光

平井正也BAND/届く光
2017年 日本
『ソロで落とし物を拾う』

 マーガレット・ズロースのヴォーカル、ギター担当である、平井正也による自身の名義を冠したバンド作。実質、ソロ・アルバムだと思います。彼はバンドとは別にソロとして長く活動しており、自主盤でいくつかアルバムもリリースしていますが、流通に乗せたのは本作が初めて。
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 メンバー、編成は以下の通り。
平井正也(vo.g.マーガレットズロース)
船戸博史(wb.ふちがみとふなと)
鈴木亜沙美(d.僕のレテパシーズ、ミチノヒ)
鈴村まどか(key.PLUTATA)
うーむ、船戸博史しか知らない。僕のレテパシーズは好きなのですが、ドラムの方の名前を憶えておりませんでした。PLUTATAは聴いたことがありませんので、この後、調べてみます。

 初期のマーガレット・ズロースにあったフォーク要素がたっぷり詰まっているのが特徴。マーガレット・ズロースの最新作がロックンロールに特化したものだったことも影響しているのでしょう。棲み分けの意識が感じられます。フォークとは言え、若い頃にあった焦燥感や不安が歌われることはなく、ほのぼのとした日常が題材です。

 ヴォーカルはバンドよりもしっとりとした歌い口。震える歌声が穏やかな曲に合っています。隙間を多く作った心地よいリズムの波に、キーボードの清々しい音色が踊る、といった感じのバンド・アンサンブルも歌を活かしていて、とてもいい。
また、適度にラフなレコーディングがされており、これは平井正也のソロ作ならではの特徴。
このアルバムとマーガレット・ズロースの最新作。両方の魅力が合わさったとしたら最高なのだけれども、それが出来ない状況(多分時間と距離)があるということなのでしょう。

届く光、灯る光
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りりィ/りりシズム

りりィ/りりシズム
1977年 日本
『りりィが日向に出て来た』

 昨年亡くなられた、りりィ。何枚かアルバムを集めていたのですが、これは見かけたことがありませんでした。中古CDにて発見して購入しました。
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女性SSW黎明期から活躍していた彼女。1976年には資生堂のイメージソング「オレンジ村から春へ」がヒット。本作はその翌年にリリースされています。

 1974年から数年間、関わっていた資生堂のイメージソング制作に於いては、従来の暗いフォーク・ソングとは異なる明るいポップスを指向しており、本作もその流れを汲んだアルバムとなっています。ポップでファンキーな面が強調されている印象。アレンジには佐藤博、演奏陣には鈴木茂、上原裕、小原礼などが参加しています。
アメリカ西海岸憧憬が顕著な、ティン・パン・アレー周辺のセッション・プレイヤーが集結することで、どっしりとしたグルーヴが強調されることになりました。かすれ声によるうらぶれた感情を露わにした歌唱は健在ながら、洗練されたトロピカルな演奏で中和されている印象。これは功罪入り混じっていると感じましたが、本作ならではの特徴と捉えれば新鮮に楽しむことが出来ます。明らかに「オレンジ村から春へ」を発展させたと感じられる「春子」を筆頭に、明るいポップ・ナンバーが素晴らしい出来。
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